民事裁判の記録(国賠)・自衛隊車とバイクの交通事故の民事裁判

1・訟務検事の証拠資料のねつ造など不法な弁論。
2・玖珠署の違法な交通犯罪の捜査,虚偽の実況見分調書の作成

46:第1回準備手続

2007-06-26 10:51:24 | 第3訴訟 第2審 被告国(訟務検事)
*第1回準備手続(ヒヤリング)
-平成19年7月25日午前11時過ぎから始まり,自由に発言が許され,気づいた時には,12時40分を廻っていた。
-書記官は立ち会わず,調書も作成されない。(調書は作成された。)
-裁判所及び被控訴人の考え方が分かり,有意義だった。
次回準備手続は,8月22日午後3時から4時まで。
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  第 1 回 弁 論 手 続 調 書
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事 件 の 表 示 | 平成18年(ネ)第5934号
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期      日  | 平成19年6月25日 午前11時00分
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場   所   等 | 東京高等裁判所第21民事部準備手続室
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受 命 裁 判 官 | 西 口   元
裁 判 所 書 記 官 | 矢 口 真 知
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出頭した当事者等 | 控訴人           出 羽 やるか
            | 被控訴人指定代理人  藤 原 典 子
            |同             熊 谷 勇 人
            |同             小 田    昇
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指 定 期 日 | 平成19年8月22日 午後3時00分
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            当事者の陳述等
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 続 行
              裁判所書記官 矢口真知

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*難しい不法行為法を学ぶ
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*国賠法
国賠法1条は,「国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が,その職務を行うについて,故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは,国または公共団体が,これを賠償する責に任ずる」と規定する。これは,国賠法が制定された当時の不法行為法の通説が,違法性を峻別していたことによる。
*過失の立証
過失を結果回避に向けた行為義務違反と理解するにせよ,予見義務違反と理解するにせよ,こうした「過失」については厳密な意味での立証というのは当てはまらない。なぜなら,一定の内容を伴った結果回避義務や一定の内容についての予見義務というのは法的判断であって,そもそも立証の対象となるようなものではないからである。厳密に言えば,立証の対象となるのは,そうした行為義務違反に該当する事実の部分である。つまり,「当該手術の前には,○○の検査をしなければならないのに,それを怠った」等の義務に違反したという事実について立証が語られるのである。
 もっとも,そうは言っても,ここでの評価である「○○をしなくてはならない」と立証の対象たる事実である「○○をしなかった」というのが,表裏の関係にあることは明らかである。不法行為上の義務というのは,自明なものとして存在しているわけではない。ハンドの公式を手がかりとしたり,あるいは,医療過誤の場合であれば,医療水準を手がかりとしたりしながら,具体的義務の有無を検討していくことになるのである。
 原告が過失を立証するという場合,実際には,こうした具体的な義務が加害者にあったということを裁判官に納得させるという作業と,その義務に違反する事実があったということを立証するという2つが含まれていると見ることができる。この2つの中,厳密な意味で立証責任を語ることができるのは後者だけである。しかし,義務の存否自体が自明なものとして存在しているわけではない不法行為法の世界においては,この前者についての当事者によって行われる活動を軽視することはできない。むしろ,多くの不法行為訴訟においては,まさしく被告に当該義務がそもそも課せられていたかをめぐって,当事者間が主張をぶっつけ合うという形になるのである。
*過失の立証の意味
過失というのは,一定の事実に対する法的評価である。

 -----工事中-------

*損害の発生と因果関係
 
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                    不法行為法 窪田充見 (有斐閣)









45:第3回口頭弁論調書

2007-06-26 08:50:36 | 第3訴訟 第2審 被告国(訟務検事)
  第 3 回 口 頭 弁 論 調 書
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事 件 の 表 示| 平成18年(ネ)第5934号
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期    日   | 平成19年6月19日 午前11時00分
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場所及び公開の有無| 東京高等裁判所第21民事部法廷で公開
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裁判長裁判官 | 浜 野    惺
    裁 判 官| 高 世 三 郎
    裁 判 官| 西 口   元
裁判所書記官 | 服 部 好 男
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出頭した当事者等 | 控訴人           出 羽 やるか
         | 被控訴人指定代理人  藤 原 典 子
         |同              熊 谷 勇 人
         |同              小 田    昇
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指 定 期 日 | 平成19年6月25日 午前11時00分
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            弁 論 の 要 領
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 --閲覧準備中ーーー 少々お待ちください                 

44:控訴人・準備書面(4)

2007-06-14 13:37:07 | 第3訴訟 第2審 被告国(訟務検事)
平成18年(ネ)第5934号 国家賠償請求控訴事件
控 訴 人 出羽やるか
被控訴人 国
              準 備 書 面(4)
                           平成19年6月13日
東京高等裁判所第21民事部 御中
                         控訴人 出羽やるか

  控訴人は,被控訴人の平成19年6月19日付け準備書面(2)をうけて,下記の
 とおり弁論を準備する。
  なお,略称等は本準備書面で新たに用いるものの他は従前の例による。
第1 調査嘱託に対する玖珠警察署長回答等を前提にした被控訴人の責任
 1 平成19年2月15日,当審の第1回口頭弁論期日に,裁判長は「平成11
  年10月になされた実況見分の調書の作成日付けが平成13年9月になってい
  るが,被控訴人はその理由を説明し,証拠があれば提出されたい。2上記1に
  関連して,当事者双方は,別件訴訟の記録の取り寄せをの申請をすること。」
  と釈明した。被控訴人は「上記について記載した準備書面を平成19年3月3
  0日までに提出する」と述べた。
 2 裁判所は,上記文書送付嘱託平成19年3月15日に嘱託,同月19日別件
  行政訴訟(最高裁で審理中)の記録,同月23日に別件訴訟の記録が到着した。 
 3 裁判所は,被控訴人が平成19年3月16日に申立てた調査嘱託を同月16
  日に嘱託,玖珠警察署長の回答(甲92)は同月28日に到着した。
 4 控訴人は,平成19年4月11日に同日付け準備書面(2)及び調査嘱託に対す
  る玖珠警察署長回答を書証(甲92)として提出した。
 5 被控訴人は,平成19年4月17日に,同月24日付けの準備書面(1),及び
  上記玖珠警察署長回答(甲92)を乙第4号証として提出した。
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 6 裁判長は,平成19年4月24日当審の第2回口頭弁論期日に,「被控訴人
  は,調査嘱託に対する玖珠警察署長回答等を前提に被控訴人の責任の有無につ
  いて6月8日までに準備書面を提出すること。」と釈明した。
 7 被控訴人は,平成19年6月8日,平成19年6月19日付け準備書面(2)を
  提出した。
   被控訴人は,「本準備書面において,これまでの当事者双方の主張立証内容
  を踏まえ,主張を補充及び整理する。」とするが,被控訴人の主張は補充も整
  理もされていないうえ,裁判長に求められた,署長回答(甲92)等を前提に
  した被控訴人の責任の有無についての記載は一切ない。
第2 被控訴人の主張
 1 被控訴人は,答弁書で,控訴理由書の「理由の要旨」第2項,第3項並びに
  「控訴理由」第5点,第6点及び第21点については,警察署の事件の送致等
  にかかわる行為又は神奈川県公安委員会の処分について論難するものであり,
  本件事故についての原判決及び別件訴訟の確定判決の認定からして理由がない
  主張であるばかりでなく,そもそも本件とは無関係である。」と主張した。
 2 被控訴人は,準備書面(2)で,「控訴人の主張については,既に確定している
  別件訴訟の判決を不服とする控訴人が,本件事故の態様について述べているに
  過ぎないものであって,本件訴訟における審理は不要である。」とか「本件訴
  訟の争点は,浅香らによる不法行為の有無であり,本件事故における控訴人の
  過失の有無ではない。本件事故における控訴人の過失については別件訴訟で既
  に判断されており,本件訴訟の争点でもないないため,本件訴訟において本件
  事故の態様に関する審理は不要である。」と主張する。
 3 原判決は,第3争点に対する判断,2争点(1)(判決書19頁)(別件訴訟で
  浅香らが証拠資料を隠ぺい・破棄したか。)について,原告は,別件訴訟で浅
  香らが,以下の(1)ない(4)の証拠資料について,これを隠ぺい・破棄したと主
  張するので検討する,として,(1) 玖珠警察署の実況見分調書について,前記
                 2/7
  1(2)で認定したとおり,本件事故に対する玖珠警察署員による実況見分は,本
  件事故当日に行われたこと,別件訴訟の裁判所に提出された本件実況見分調書
  は,作成日付こそ本件事故から約2年後ではあるが,内容としては,本件事故
  当日に実施された実況見分に基づく調書であることが明らかである。
そして,
  警察が本件事故直後に,本件実況見分調書とは別個の新たな実況見分調書を作
  成したと認めるに足りる証拠もない。よって,浅香らが,警察が本件事故直後
  に作成した実況見分調書を提出しなかった違法をいう原告の主張は採用できな
  い。また,本件事故現場の見取図が,別件訴訟で浅香らが陳述した平成13年
  11月5日付け準備書面に添付されていることも同準備書面(甲21)から認
  めることができるから,浅香らが別件訴訟で同見取図を提出しなかった違法を
  いう原告の主張も,採用できない,と判示した。
   原審は,玖珠警察署の実況見分調書についての当事者の争いを,第1の争点
  として審理を行なったのである。
 4 当審で,署長回答(甲92,乙4)が証拠として提出され,平成11年10
  月になされた実況見分の調書の作成日付けが平成13年9月になっている理由,
  及び署長回答を前提に被控訴人の責任の有無について審理されることになった。
 5 署長の回答(甲92,乙4)は,本件調書の作成日時が実施日時と異なった
  理由は,控訴人立会いの実況見分が出来なかったことから,本件を一旦保留処
  分にしたためである,というのである。
 6 控訴人は,準備書面(2),第1 署長の回答,1 控訴人立会いの実況見分の必
  要性で,「立会人の指示説明が実況見分調書に記載されるのは、第一義的には
  実況見分の動機・手段を明らかにする必要からであって、その内容の真実性を
  立証することを直接の目的として記載されるものではない。本件調書では小野
  寺が立会人とされ,指示説明をしており,実況見分の対象は特定されているか
  ら,控訴人立会いの実況見分は必ずしも必要ではない。」と主張した。
   さらに,上記署長の回答,5 本件の一時保留処分で,「本件では,事故直後
                3/7
  現場が保存され,保安警務隊,小国警察署員及び玖珠警察署員が必要な捜査を
  行う十分な時間があった。間ノ瀬巡査部長は,事故当日実況見分を行い,平成
  11年10月8日に実況見分調書を作成し,同月12日に小野寺の供述調書を
  作成した(甲86の17頁)という。同巡査部長は,控訴人に実況見分立会い
  のための出頭を求めたが,玖珠警察署の「呼出の葉書」を平成11年11月1
  5日に自宅で受け取った控訴人は同日電話で,出頭出来ないと申立,間ノ瀬巡
  査部長が「出頭しなければ強制捜査を含めた然るべき措置を検討せざるを得な
  い。」と告げると,控訴人は「然るべき措置」を採るよう申立てた(甲86の
  20頁)のである。この時点で玖珠警察署は検察官の指揮をうけ,「なしうる
  捜査」をして,速やかに事件を送致しなければない。」と主張した。
 7 被控訴人は,「本件事故について警察の作成した実況見分調書は本件実況見
  分調書のみである。そして,同調書が,本件事故の実況見分が実施されてから,
  2年以上経過して作成されている理由は,控訴人が,玖珠警察署からの実況見
  分の立会いのための出頭要請に応じなかったことが主たる原因である。控訴人
  は,本件事故後1か月を経過しない時点で,少なくとも玖珠警察署が本件事故
  の原因が控訴人が普通自動二輪車を運転して道路中央線を越えて本件大型トラ
  ックの走行車線に進入したことにあると認識していることを知り,本件事故の
  現場には本件事故の際に印象されたタイヤ痕が存在しているとも聞かされ,そ
  の後も,同署の担当者から,再三,本件事故の現場の実況見分に立ち会うよう
  求められていたのであるから,控訴人において本件事故の現場に赴き,自ら現
  場のタイヤ痕の有無等を確認し,自らの認識している本件事故の態様について
  指示説明する機会は十分にあったのである。それにもかかわらず,控訴人は自
  らその機会を放棄したのであって,このような控訴人の態度は,その主張全般
  の信用性に大きく影響するというべきである(被控訴人準備書面(2)5,6頁)
  などと,奇妙な論理で意味もない場違いの人格攻撃を行うがこのような代理人
  の態度は,美しい国の代理人としての矜持も品格もないというべきである。
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 8 被控訴人は,自衛隊車の制動痕について「本件事故現場には,同トラックの
  制動痕が存在していなかったことは,玖珠警察署が作成した本件実況見分調書
  (甲42)からも明らかである。」とか,自衛隊作成の実況見分調書について,
  「原判決も,控訴人の主張に理由がない旨正当に判示している。」等と,本件
  実況見分調書(甲42),調査嘱託に対する玖珠警察署長回答(甲92),及
  び原判決の内容がすべて正しいとの前提で当審での審理は必要ないという。
   控訴人は,本件実況見分調書(甲42),調査嘱託に対する玖珠警察署長回
  答(甲92),及び原判決の内容が正しいかどうかの審理を当控訴審に求めて
  いるのである。
 9 控訴人の,玖珠警察署関連の原判決への不服は,控訴理由書の「理由の要
  旨」第2項,第3項並びに「控訴理由」第5点,第6点及び第21点について,
  署長の回答(甲92)を前提にした弁論は,平成19年4月11日付け準備書
  面(2)に記載したとおりであるが,被控訴人は,控訴人が具体的に主張立証した
  請求原因事実について,単純否認を繰り返すのみである。
第3 確定判決の不当取得と不法行為の成否
 1 被控訴人は,「本件訴訟の争点は,浅香らによる不法行為の有無であり,本
  件事故における控訴人の過失の有無ではない。それにもかかわらず,控訴人が,
  本件事故の態様について控訴人に過失がなかったという意味で主張を繰り返し
  ているのではないかと思われるため,被控訴人も,必然的に,本件事故におけ
  る控訴人の過失については別件訴訟で既に判断されており,本件訴訟の争点で
  もないため,本件訴訟において本件事故の態様に関する審理は不要である旨繰
  り返さざるを得ないのであって,控訴人の非難は失当である。」主張する。
 2 控訴人は,確定判決は主文に包含するものに限り,既判力を有するものであ
  り,判決理由中の判断には既判力を生じないと主張している。
 3 本件訴訟の争点は,浅香らが,虚偽の文書・図画を作り,虚偽の事実を主張
  する等の不正な行為を行ったかである。
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 4 控訴人は,控訴理由書の控訴理由第4点,本件事故の態様で,浅香らが主張
  する本件事故の態様では,本件事故は発生しないと主張立証した。
 5 浅香らは,虚偽の文書(甲21,平成13年11月5日付け準備書面(1))及
  び虚偽の図画(甲23,京極一司作成の事故現場見取図)を作り,本件事故の
  態様について,虚偽の事実を主張したのである。
 6 被控訴人は,本件訴訟の争点は,浅香らによる不法行為の有無であるという。
  ならば,別件訴訟の争点は,小野寺による不法行為の有無である。既判力は,
  判決の主文で表現されている判断についてのみ生じるのが原則である。紛争解
  決の終局性を保証するために既判力が認められるのであるが,訴訟による紛争
  の解決は,当事者が意識的に審判を求めた紛争に対してのみ解決基準を示すた
  てまえをとっているから,既判力を生じさせてそれによる解決の終局性を保証
  すべき判断は,請求についての判断であるべきでありこの判断を主文で表示す
  ることにしているのである。
 7 確定判決といえども絶対ではあり得ず,場合によっては,衡平ないし具体的
  正義の見地から救済が与えられねばならない。そのために,先ず再審がある。
  しかし再審は,要件が厳重で,申立期間が限られていて,現実に再審では不十
  分で賄いきれない。当事者の文書偽造,虚偽の陳述などによる不当な確定判決
  が問題になった時,その救済のため,判例はつとに,不法行為による損害賠償
  を認めている。(最高裁昭和44年7月8日第3小法廷判決,昭和43年
  (オ)第906号債務不存在確認等請求事件)。判旨「判決が確定した場合に
  は、その既判力によつて右判決の対象となつた請求権の存在することが確定し、
  その内容に従つた執行力の生ずることはいうをまたないが、その判決の成立過
  程において、訴訟当事者が、相手方の権利を害する意図のもとに、作為または
  不作為によつて相手方が訴訟手続に関与することを妨げ、あるいは虚偽の事実
  を主張して裁判所を欺罔する等の不正な行為を行ない、その結果本来ありうべ
  からざる内容の確定判決を取得し、かつこれを執行した場合においては、右判
                  6/7
  決が確定したからといつて、そのような当事者の不正が直ちに問責しえなくな
  るいわれなく、これによつて損害を被つた相手方は、かりにそれが右確定判決
  に対する再審事由を構成し、別に再審の訴を提起しうる場合であつても、なお
  独立の訴によつて、右不法行為による損害の賠償を請求することを妨げられな
  いものと解すべきである。」
第4 おわりに
 1 被控訴人は,準備書面(2)で,(1)本件訴訟に至る経緯について,(2)本件実況
  見分調書(甲42)の作成経緯について,(3)現場写真のねつ造・改ざんについ
  て,(4)自衛隊車の制動痕の隠蔽・破棄について(5) 自衛隊作成の実況見分調
  書について(6)本件事故の態様に係る控訴人の主張について,の6項目について,
  控訴人の主張に反論するとしているが,玖珠警察署及び自衛隊の主張並びに原
  判決に沿う事情の説明に過ぎず,控訴人が具体的に主張した請求原因事実に当
  審でも単純否認を繰り返し何ら具体的反論はしない。
 2 原審では,控訴人(原告)が第4回口頭弁論時陳述した平成18年5月19
  日付け準備書面(5),第5回口頭弁論時陳述した平成18年5月31付け準備書
  面(6),第6回口頭弁論時陳述した平成18年8月9日付け準備書面(7)の全て
  の準備書面に対する被控訴人(被告)の準備書面の提出(反論)は行われない
  まま弁論は終結され,判決が言渡された。原審では,国側に不利な事実を表面
  化させないよう釈明せず,被控訴人国は黙っていても,訴訟に勝てたのである。
 3 当審では,別件訴訟及び別件行政訴訟の記録を取寄せ,被控訴人に調査嘱託
  に対する玖珠警察署長回答(に記された事実)を前提に被控訴人の責任の有無
  について準備書面を提出するよう積極的に釈明されている。控訴人は署長の回
  答を前提に平成19年4月11日付け準備書面(2)を提出したが被控訴人の提出
  した準備書面(2)には裁判長に求められた被控訴人の責任についての記載がない。
 4 控訴人は,「人事を尽くして真実を発見してほしい。」と願い,当審での本
  件事案解明に期待している。                    以上
                7/7
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43:被控訴人準備書面(2)

2007-06-10 13:44:20 | 第3訴訟 第2審 被告国(訟務検事)
平成18年(ネ)第5934号 国家賠償請求控訴事件
控 訴 人  出 羽 や る か
被控訴人  国
                 準 備 書 面(2)

 東京高等裁判所第21民事部ロろ係 御中
                           平成19年6月19日
              被控訴人指定代理人  藤  原  典  子 藤印
                         熊  谷  勇  人 熊印
                         大  迫  輝  己 熊印
                         小  田     昇 熊印
                         梅  木  俊  洋 熊印
                -1-
 
  被控訴人は,本準備書面において,これまでの当事者双方の主張立証内容を踏
 まえ,主張を補充及び整理する。
 なお,略語等は,本準備書面において特に断らない限り,従前の例による。

第1 はじめに
   控訴人は,被控訴人が,別件訴訟における本件事故の証拠資料を隠ぺい・破
  棄して提出せず,証拠資料のねつ造・改ざんを行い,あるいは不法に作成され
  た証拠を弁論に使用した違法があると主張し,併せて本件事故の態様等につい
  て繰り返し主張する。
   これに対する被控訴人の事実上及び法律上の主張は,原審において述べたと
  おりであるが,以下,控訴理由書における控訴人の主張及び当審において明ら
  かになった事実を踏まえ,必要と認める範囲で反論する。
第2 被控訴人の主張
 1 本件訴訟に至る経緯について
  (1)平成11年10月7日午前10時55分ころ,大分県玖珠郡九重町所在の
   本件道路において,本件事故が発生し,控訴人が負傷した(当事者間に争い
   がない。)。
    同日午前11時5分ころ,本件大型トラックを運転していた小野寺は,1
   19番通報をし,同日午前11時33分ころ,救急車が本件事故の現場に到
   着し,控訴人はまず小国公立病院へ搬送され,その後,熊本赤十字病院へ搬
   送された(甲第85号証)。
    玖珠警察署交通課所属の堀部警部補及び間ノ瀬巡査部長は,本件事故発生
   の通報を受け,同日午後0時25分ころ,本件事故の現場に臨場し,同日午
   後0時34分から同日午後1時20分までの間,小野寺の立会いの下,本件
   事故の実況見分を実施し,タイヤ痕等必要な写真撮影を行った。堀部警部補
   は,同日,同見分結果を記載した現場メモを作成した(甲第42,第92号
-2-
   証,乙第4号証)。
    また,陸上自衛隊第8師団第42普通科連隊第4中隊陸曹長(当時)赤埴
   源蔵は,本件事故の現場写真を撮影した(甲第24, 第67号証)。
  (2) 控訴人は,本件事故直後から熊本赤十字病院に入院していたところ,玖珠
   警察署との間で,退院後同署に出頭し,実況見分に立ち会うことを合意して
   いた(甲第92号証,乙第4号証)。
    控訴人は,同月29日,玖珠警察署を訪れ,同月14日付け診断書(甲第
   6号証)を提出した。この時,控訴人は,応対した警察官から,本件事故の
   現場の本件大型トラックの走行車線に被控訴人運転の普通自動二輪車のタイ
   ヤ痕があり,本件事故の原因は,控訴人が道路中央線を越えたことにある旨
   伝えられたのに対し,自分が中央線を越えたのではない旨の意見を述べた。
   同警察官は,控訴人に対し,納得がいかないのであれば現場へ赴き,控訴人
   立会いの下実況見分を行う必要があるので,日を決めて来てほしい等と述べ
   たが,控訴人は,そのまま同署を辞した(甲第5号証)。
    控訴人は,その後,同署に連絡することなく,神奈川県所在の控訴人の自
   宅に帰宅した。同署は,控訴人を立会人とする実況見分を実施するため,控
   訴人に対し,郵便などで同署に出頭するよう要請したが,控訴人はこれに応
   じなかった(甲第92号証,乙第4号証)。
  (3) 他方,自衛隊及び小野寺は,玖珠警察署に対し,自衛隊車両に実質的な損
   害がないので,控訴人の処罰は望まない旨を申し立てた。そこで,同署は,
   平成12年2月10日,本件事故につき,後日紛議が生じた場合は捜査を再
   開し検察庁に対し送致することを前提に,一時保留処分とすることを決定し
   た(甲第92号証,乙第4号証)。
  (4) 控訴人は,平成13年7月23日,横浜地方裁判所に対し,本件大型トラ
   ックの運行供用者である国を被告として,別件訴訟を提起した(甲第1号
   証)。
                   -3-
(5)玖珠警察署は,同年8月ころ,控訴人が本件事故に関し別件訴訟を提起し
   た事実を知ったことから,本件事故に係る一時保留処分を解除し,控訴人に
   対し,同署への出頭を求めた。しかし,控訴人は,高齢及び経済的な問題を
   理由に,これに応じなかった。
    そのため,同署は,最終的に,堀部警部補が保管していた上記(1)の現場
   メモ及び当時撮影した現場の写真に基づき,同年9月27日付け実況見分調
   書(甲第42号証。以下「本件実況見分調書」という。)を作成した(以上
   につき,甲第92号証,乙第4号証)。
  (6) また,自衛隊は,別件訴訟の提起を受け,同月18日,本件事故の再現実
   況見分を実施し,事故現場見取図及び再現見分写真(略語の定義は原判決1
   7ページ参照)を作成したほか(甲第21,第23,第27号証),上記
   (1)のとおり本件事故当日撮影した本件事故の現場の写真により,同月11
   日付けで自衛隊現場写真(略語の定義は原判決17ページ参照)を作成した
   (甲第24,第67号証)。
(7) 別件訴訟における被告の指定代理人浅香らは,同年11月5日の口頭弁論
   期日において,上記事故現場見取図を添付した同日付け準備書面を陳述し,
   このころ,自衛隊現場写真及び再現見分写真を含む書証を横浜地方裁判所に
   提出した(甲第21,第24, 第27,第67号証)。
  (8)控訴人は,別件訴訟において,同年9月3日付けで,裁判所に対し,本件
   事故に係る実況見分調書等の送付嘱託を申し立て(甲第60号証),当該文
   書の所持者であった大分地方検察庁日田支部は,平成14年2月15日,本
   件実況見分調書を別件訴訟の裁判所に送付した(甲第62号証)。
  (9) 横浜地方裁判所は,平成14年8月30日,別件訴訟について原告の請求
   を棄却する判決をし,控訴人はこれを不服として東京高等裁判所に控訴した
   が,同裁判所は,平成15年2月4日,控訴を棄却する判決をした。控訴人
   は,これを不服として最高裁判所に上告するとともに上告受理の申立てをし
                  -4-
   たが,東京高等裁判所は,同年4月11日,上記上告受理申立てを却下する
   決定をした。控訴人は,これに対して許可抗告の申立てをしたが,同裁判所
   は,同年5月6日,不許可の決定をした。控訴人は,この決定に対し,特別
   抗告の申立てをしたが,最高裁判所は,同年9月12日,上記上告を棄却す
   る決定及び上記特別抗告を棄却する決定をし,別件訴訟は確定した(以上に
   つき,甲第8号証ないし第16号証)。
 2 本件実況見分調書(甲第42号証)の作成経緯について
   控訴人は,本件実況見分調書の正確性等について多々論難し,浅香らが別件
  訴訟において,本件事故直後に作成された実況見分調書を提出しなかった違法
  等を主張する。
   しかし,控訴人の主張は,すべて,本件事故において道路中央線を越えたの
  が本件大型トラックであることを前提にしたものであるところ,本件事故に関
  し国が控訴人に対し何らの損害賠償債務を負わないことは,別件訴訟及びその
  上級審の判決等を経て確定しており,控訴人の主張はその前提において失当で
  ある。
   また,本件実況見分調書の作成経緯については,被控訴人準備書面(1)におい
  て詳述し,上記1においてその要点を示したとおりであり,本件事故について
  警察の作成した実況見分調書は本件実況見分調書のみである。そして,同調書
  が,本件事故の実況見分が実施されてから,2年以上経過して作成されている
  理由は,控訴人が,玖珠警察署からの実況見分の立会いのための出頭要請に応
  じなかったことが主たる原因である。上記1で指摘したとおり,控訴人は,本
  件事故後1か月を経過しない時点で,少なくとも玖珠警察署が本件事故の原因
  が控訴人が普通自動二輪車を運転して道路中央線を越えて本件大型トラックの
  走行車線に進入したことにあると認識していることを知り,本件事故の現場に
  は本件事故の際に印象されたタイヤ痕が存在しているとも聞かされ,その後も,
  同署の担当者から,再三,本件事故の現場の実況見分に立ち会うよう求められ
                 -5-
  ていたのであるから,控訴人において本件事故の現場に赴き,自ら現場のタイ
  ヤ痕の有無等を確認し,自らの認識している本件事故の態様について指示説明
  する機会は十分にあったのである。
   それにもかかわらず,控訴人は自らその機会を放棄したのであって,このよ
  うな控訴人の態度は,その主張全般の信用性に大きく影響するというべきであ
  る。
   なお,本件実況見分調書は,本件事故当日,実況見分の補助者であった堀部
  警部補が,事故当日作成し保管していた現場メモに基づき,適正に作成された
  ものであることは,被控訴人準備書面(1)において,既に指摘したとおりである。
 3 現場写真のねつ造・改ざんについて
  控訴人は,種々の事情を挙げて,警察及び自衛隊が事故当日に撮影した写真
  が,本件事故当日に撮影されたものではなく,ねつ造・改ざんされたものであ
  る旨主張する(控訴理由書43ないし53ページ)。
   しかしながら,控訴人が指摘する写真で,個別に反論が必要と思われる点に
  ついては,原審において認否,反論しているとおりである(原審被告準備書面
  (1)7,8ページ,同準備書面(2)3ページ,同準備書面(3),同準備書面(4)2ない
  し5ページ)。また,控訴人が挙げる事情は,結局,控訴審において新たに主
  張する部分も含め,写真画面上の単なるコントラストの問題や,自衛官の位置
  等について,控訴人の憶測から不自然であると論難しているだけのものであり,
  この点は,原判決において正当に判示されているとおりである(原判決22ペ
  ージ以下)。
   ちなみに,控訴人の主張を控訴人が提出した書証にも忠実にあてはめるなら
  ば,控訴人が撮影した甲第66号証①及び②の写真の右上白色部分,同③ない
  し⑨の写真の樹木の黒色部分などは,「明らかに不自然」といわざるをえない
  ものであり,そうすると,控訴人はこれらの写真をねつ造・改ざんしたことに
  なる。しかし,これらの写真の上記白色部分,黒色部分等についても,撮影時
                 -6-
  の光の具合,あるいは写真をカラーコピーした際のコントラストの問題であっ
  て,ねつ造・改ざんとはいわないのが通常であり,控訴人が自衛隊現場写真及
  び再現見分写真についてねつ造・改ざんであると主張する事情も,これと同じ
  レベルのものにすぎない。
   なお,現場写真の撮影経緯については,上記1で指摘したとおりであり,何
  らの不自然な点も存在せず,そもそも,自衛隊あるいは警察が作成する写真に
  ついて浅香らがその作成に関与できる立場でないことは,原審でも繰り返し主
  張したとおりである。
 4 自衛隊車の制動痕の隠ぺい・破棄について
   また,控訴人は,被控訴人は,本件事故による自衛隊車の制動痕の存在を一
  切認めず,印象されていた自衛隊車の制動痕を隠ぺい・破棄した旨主張する
   (控訴理由書3ページ,58ないし60ページ)。
   しかし,控訴人の主張は,結局,控訴人が存在すると主張するものが訴訟の
  場に現れないときはすべて浅香らが隠ぺいないし破棄したと主張しているにす
  ぎないのであって,何らの根拠もない。
   なお,本件大型トラックを運転していた小野寺は,衝突音がしてからプレー
  キをかけたと証言している(甲第22号証21ページ)。また,本件事故現場
  には,同トラックの制動痕が存在していなかったことは,玖珠警察署が作成し
  た本件実況見分調書(甲第42号証)からも明らかである。付言すれば,控訴
  人が客観的根拠であるとする制動距離及び制動時間のデータ(甲第83号証)
  は,同トラックにとって上り坂でありヘアピンカーブである本件事故の現場に
  そのまま該当するものでないことは当然であり,小野寺急ブレーキをかけた
  という控訴人の憶測を裏付けるものとはなり得ない。
 5 自衛隊作成の実況見分調書について
   控訴人は,当審においても,被控訴人の指定代理人は,自衛隊が本件事故直
  後に作成した実況見分調書を隠ぺいした旨主張する(控訴理由書39ないし4
                  -7-
  3ページ)。これに対しては,被控訴人は,既に原審被告準備書面(1)7ページ
  において反論し,原判決も,控訴人の主張に理由がない旨正当に判示している
  とおりである(原判決21ページ以下)。
   付言するに,控訴人は,本件事故発生10分後である午前11時5分ころか
  ら,玖珠警察署の早水巡査長らが現場に到着するまでの間,複数の警務隊員及
  び近松3佐が現場にいたことを根拠に,本件事故の現場の保存,捜査,実況見
  分及び現場写真撮影がされた旨主張する。しかしながら,上記1のとおり,自
  衛隊は,本件事故当日,現場写真を撮影したが,そのことと実況見分を実施す
  ることは全く別である。現に,本件事故の捜査は,「自衛隊と警察との犯罪捜
  査に関する協定」(乙第1号証の1)及び「自衛隊と警察との犯罪捜査に関す
  る協定の運用に関する了解事項」(乙第1号証の2)に基づき,警察官が行う
  ことになり,実際に,玖珠警察署の早水巡査長らによって,実況見分が行われ
  ているものである(甲第42号証)。
   以上のとおり,自衛隊が本件事故の実況見分を行った事実はない。
 6 本件事故の態様に係る控訴人の主張について
   その余の控訴人の主張については,既に確定している別件訴訟の判決を不服
  とする控訴人が,本件事故の態様について述べているにすぎないのであって,
  本件訴訟における審理は不要である。
   なお,控訴人は,原審における被控訴人の主張に対し,「「控訴人の主張の
  趣旨が,本件事故の態様に関して,控訴人に過失がないという意味で主張を利
  用するのであれば,別件訴訟の蒸返しともいうべきものであり,本件事故の態
  様に関する審理は不要である。」と主張して単純否認を繰り返し,控訴人の主
  張に対しなんら抗弁・反論をしなかった。」旨主張する(控訴理由書2ページ,
  69ページ)。
   しかし,本件訴訟の争点は,浅香らによる不法行為の有無であり,本件事故
  における控訴人の過失の有無ではない。それにもかかわらず,控訴人が,本件
                  -8-
  事故の態様について控訴人に過失がなかったという意味で主張を繰り返してい
  るのではないかと思われるため,被控訴人も,必然的に,本件事故における控
  訴人の過失については別件訴訟で既に判断されており,本件訴訟の争点でもな
  いため,本件訴訟において本件事故の態様に関する審理は不要である旨繰り返
  さざるを得ないのであって,控訴人の非難は失当である。
第3 結語
   以上のとおり,控訴人の主張はいずれも理由がないことは明らかであるから
  本件控訴は速やかに棄却されるべきである。
                   -9-