民事裁判の記録(国賠)・自衛隊車とバイクの交通事故の民事裁判

1・訟務検事の証拠資料のねつ造など不法な弁論。
2・玖珠署の違法な交通犯罪の捜査,虚偽の実況見分調書の作成

22:原告・準備書面(6)・p1-p6

2006-06-01 04:36:58 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
平成17年(ワ)第3710号 国家賠償請求事件
原告 出羽やるか
被告 国
             準 備 書 面 (6)
                          平成18年5月31日
横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中
                           原告 出羽やるか
  原告は,次のとおり弁論を準備し,原告の主張の趣旨を明らかにする。
  略称等は,本準備書面で新たに用いるもののほかは,従前の例による。
           目    次
 第1 訴状及び準備書面の変更・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
 第2 KP34.9の里程標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
 第3 本件事故の態様(初認位置)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
 第4 本件事故による道路の痕跡(タイヤ痕と擦過痕)・・・・・・・・・・6
 第5 本件事故による自衛隊車の制動痕・・・・・・・・・・・・・・・・・10
 第6 おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
第1 訴状及び準備書面の変更
 1 訴状21頁第4の2の「慰謝料等」の「等」の文字を削除する。
 2 準備書面(1)5頁第1の2の「慰謝料等」の「等」の文字を削除し,「別件行
  政訴訟遂行などにより生じた財産的損害を加えれば」を,「別件行政訴訟遂行な
  どにより原告が蒙った精神的苦痛を加えれば」に改める。
 3 訴状18頁第3点1及び21頁第5点での引用を改め,本準備書面もって,
  以下の通り具体的に主張する。
第2 KP34.9の里程標
 1 原告の主張(1) ・事故当日,事故現場見取図(甲23)のKP34.9の位
  置に里程標は存在しない。
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   原告が平成11年10月29日に撮影した写真(甲66)には,里程標は写
  っていない。写真(甲66)は原告が玖珠警察署からの帰途,道路の南側の草
  地の東端に駐車し,その位置から西へ歩き,カーブの頂点付近で引き返し,本
  件事故現場を撮影した,同一の機会に撮影した一連の写真である。写真は普通
  の写真店でネガフィルムからプリントしてあるから「加工」はされてない。里
  程標は自分では動かない。里程標が写ってない理由は写真にはないものは写ら
  ないからである。被告は写真(甲66)の成立を争っていない。
 2 原告の主張(2) ・警察及び自衛隊が撮影したKP34.9の里程標の写真と
  原告が平成13年10月30日に撮影した写真に写っている同里程標とは,地
  上高及び設置されている位置が異なる。(甲34)
   別件行政訴訟で,担当裁判官の適切な釈明により,神奈川県公安委員会は,
  平成17年1月18日付けで,乙4号証として実況見分調書に添付された写真
  ⑪の拡大写真(甲33)を提出した。
    甲34①は,甲33の拡大写真である。(甲34②は,原告が平成13年10
  月30日に撮影した写真を拡大し,甲34①の画面と同じになるようトリミン
  グした写真である。基点となるものとして,(1)ガードレール上の2個の視線誘
  導標,(2)その延長上にある擁壁上の(警ら車の後窓を通して見える)警戒標識,
  (3)間ノ瀬巡査部長の後ろにある警戒標識がある。
   ガードレールの袖の視線誘導標を基点として甲34①と②を重ね合わせ(透
  かして)見ると,(2)の警戒標識の高さは一致するが,甲34②の里程標の標示
  板は自衛官の肩付近の高さに位置する(甲第80号証)。甲34①の標示板は自
  衛官の臀部に写っている(甲35①・②)から,甲34①の標示板の地上高は
  明らかに甲34②の標示板より低い。
   本件道路は,日本道路公団の「別府阿蘇道路」として,昭和39年10月,
  水分峠~一の宮間の有料道路として完成した。平成6年6月に大分・熊本県道
  別府一の宮線となり無料化された。その名残として里程標が設置されている。
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  大分県「道の相談室」によると,里程標の立替えが平成12年6月頃から平成
  13年度に行なわれた(甲第81号証)。立替えられた後の里程標の形状・寸法
  は甲81に記載の図面及び写真のとおりである。地上高は1500mm程度で,
  標示板の寸法は,縦140mm,横350mmである。
   路側用ガードレールの高さは800mm前後であるから,ガードレールと比
  較しても,実況見分調書に添付された写真⑪(甲32⑪・33・35①・35
  ②)の里程標の地上高は,1500mmより明らかに低い。
 3 原告の主張(3) ・事故当時,本件道路の里程標は,キロメートル標(ポスト)
  と100メートル標では形状寸法が異なっていた。KP34.9の里程標は1
  00メートル標で,事故現場見取図(甲23)のKP34.9の位置の地点よ
  り45メートル前後別府よりにあった。警察,自衛隊の写真には,キロメート
  ル標と同じ形状寸法の100メートル標が写っている。
   間ノ瀬巡査部長は,「現場を見てください,さっき紙をあげたでしょう,形で
  いったらですね,この紙よりも若干小さいぐらいの標板が道路の左側について
  いるのです,水分峠から,キロメートルの地点ですよと書いてある標板なんで
  すよ,それのヘヤピンカーブの丁度その衝突地点のすぐそば,倒れられたすぐ
  傍に34.9と書かれたあれがある」と述べている(甲5の15頁)。「さっき
  あげた紙」は,交通事故担当者告知表(手書き書き込み部分 作成者 原告)
  である(甲第82号証)。同告知表の寸法は,縦64mm,横89mmである。
  「34.9とかかれた標板の大きさ」は「縦64mm,横89mmより少し小
  さめである」との間ノ瀬巡査部長の認識,説明を疑うべき事情は存在しない。
  立替えられた里程標の標示板の寸法は,縦140mm,横350mmである
  から,本件事故当時存在した100メートル標の寸法と明らかに異なる。
 4 自衛隊が玖珠警察署の実況見分に関与していることは,実況見分調書に添付
  された写真⑪に間ノ瀬巡査部長と同行している2名の自衛官が写されているこ
  とからも明らかである。
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 5 浅香らは,本件事故当時には事故現場見取図(甲23)のKP34.9の位
  置に里程標が存在しないことを知っていた(知りうる立場にあった)。
第3 本件事故の態様(初認位置)
 1 小野寺は,実況見分調書(甲42の19頁)では,「小野寺が最初に原告車を
  認めた地点は㋐,その時原告車は①,危険を感じ・ブレーキをかけた地点は㋑,
  その時の原告車は②,衝突した地点はⓍ,その時小野寺は㋒,原告車はⓍが右
  前部,小野寺が停止した地点は㋓,原告が転倒した地点は③,原告のバイクが
  転倒した地点は④」と各地点を指示説明した。各地点関係位置は交通事故現場
  見取図第3図(甲42の23頁・甲38)記載のとおりである。
 2 小野寺は,別件訴訟の証言調書速記録(甲22)では,「カーブに入る手前は,
  右側が杉林になって見通しは悪いが,①の地点で見通しがよくなる(甲22の
  6頁)。小野寺が①の地点で,イ地点の原告車(バイク)を発見した。①の時点
  では異常は認められなかったので,バイクに注意しながら進行した。小野寺が
  ②の地点,バイクがロの地点で危険を感じた。②の時点でバイクとの距離は1
  0から15m以内であった。危険を感じてから一瞬のことで,ブレーキをかけ
  る間もなく,ハンドルを切る時間もなく,バイクは横を通り過ぎ,小野寺が④
  の地点で,トレーラがⓍの地点で衝突した。(甲22の7,8頁)」と証言した。
  各地点は事故現場見取図(甲23)記載のとおりである。
 3 実況見分調書添付の交通事故現場見取図(甲38)と自衛隊の事故現場見取
  図(甲23)を,自衛隊車の最終停止位置(甲38の㋓と甲23の⑤)を重ね,
  擁壁になっている西側の道路の外側線を重ね合わせると,衝突位置付近の道路
  及び原告車の転倒位置は大体一致する(甲40・本図では,甲6を甲23,甲
  7を甲38と読み替える。)
   この原告作成の事故現場見取図(甲40)で検証(事実を確認・証明する)
  すると,小野寺が原告車を初認した位置方向距離などについての,警察官への
  指示説明(甲42,甲38)の場合はバイクを「右方向の視界を遮る草木の左
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  側に」に初認しているが,別件訴訟の小野寺の証言(甲22,甲23)の場合
  はバイクを「草地越しに」に初認していていることになり,全く異なる。
 4  事故現場見取図(甲23)で,小野寺が,①地点で草地越しに(イ)地点の
  原告車を認めてから衝突するまで,自衛隊車は23.3メートル走行している。
  自衛隊車が毎時40キロメートの速度で走行していたと仮定すると,初認後2.
  097秒で衝突が発生している,原告車が小野寺に初認された地点(イ)から,
  衝突地点Ⓧ)までの走行距離は45メートルである。原告車が毎時40キロメ
  ートルの速度で走行していたと仮定すると,2.097秒で23.3メートル
  走行する。自衛隊・警察の主張する衝突時刻には原告車は衝突地点から21.
  5メートルの地点にいる (45-23.3=21.5)。浅香らが主張する事
  故の態様では本件事故は発生しない。
 5 自衛隊車の助手席に乗っていた片岡は,別件訴訟における陳述書(甲26)
  で,「右前方約30~40mぐらいの位置に同カーブに近づいてくるバイクを
  確認しました。対向車線は,道路に端に沿って約1mぐらい草刈りしてあった
  ので見通しは良好でした。」と陳述している。片岡は「カーブの内側にある草地
  越しに」ではなく「右方向の視界を遮る草木の左側に」原告車を認めたのであ
  る。小野寺も警察官への指示説明(甲42,甲38)では,小野寺が㋐の位置
  で①の位置に原告車を認めている。すなわち,右方向の視界を遮る草木の左側
  に原告車を初認したと供述している。
 6 原告の主張する本件事故の態様を,原告作成の事故現場見取図(甲第39号
  証1/2)及び同付属書類(甲第39号証2/2)に記載した。
  小野寺は,同現場見取図((甲39)の◎の地点で,(ロ)の地点を走行してく
  る原告車を「右方向の視界を遮る草木の左側に」に約31mの距離で初認した。
  本件事故現場付近の◎の地点で右カーブに高速で進入する大型トラックの運転
  手は全神経を進路方向に集中している。◎若しくは,①の地点で(イ)の方向
  を見る余裕もなく,もし見たとしたらわき見運転である。もともと(イ)方向
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  は草木に遮られ見通せない。
 7 事故現場見取図の「カーブの内側にある,道路外の草地」には,道路脇に沿
  って,1乃至2メートルに破線が描かれている。甲38では草地が道路側から
  「草地」と「草」とに区別されている。小野寺が最初に原告車を認めた地点㋐
  とその時原告車は①の地点を結ぶ線は甲38の「草地」の上を通る。
 8 事故当時の現場付近の草地の状況は,原告が平成11年10月29日に撮影
  した本件事故現場道路写真(甲66)のとおりである。
 9  自衛隊撮影の事故現場写真(甲67)の写真甲67①は当時の草地の茅(か
  や)の状況がわかる。自衛隊車が写っている写真(甲67⑤⑥)では茅の生育
  状態が他の写真と異なる。実況見分調書添付の写真(甲32)も自衛隊車が写
  っている写真では茅の生育状態が他の写真と異なる(甲32⑤⑦)。甲37②も
  茅の生育状態が他の写真と異なる。
 10 本件のように,相互の見通しの良くない場所での現場写真には,相手を初認
  した位置からの見通しの状況を示す写真が存在しなければならない。現に事故
  再現写真(甲27)の第1番目に「バイクを確認した位置」のような草地の状
  況を明らかにする写真が示されている。(事故再現見分時には現場の状況が変更
  されていることは,訴状(18頁)第3,第2点12(5)で主張した。)
   本件事故直後,現場には交通事故処理のプロである保安警務隊がいて,撮影
  を担当する隊員が現場写真を撮影したことは証拠から明らかである。信用する
  に足る写真で,草木の状態がわかるのは,自衛隊写真(甲67①・⑧)及び実
  況見分調書添付の写真(甲32③)の3枚だけで草地の上の相互の見通しの状
  況がわかる写真は一枚も提出されていない。
第4 本件事故による道路の痕跡(タイヤ痕と擦過痕)
 1 小野寺は,別件訴訟の証言調書速記録(甲22の9~10頁)で,「現場検証
  した警察官は本件事故の状況について,バイクのタイヤ痕が中央線より約60
  センチ自衛隊車の車線上にはっきり残っていたので,バイクが中央線をオーバ
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22:原告・準備書面(6)・p7-p11

2006-06-01 04:32:23 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
  ーしたのだなといった。急ブレーキによるタイヤ痕の写真(甲67⑦)でいう
  と,白い線で囲まれた部分で60センチオーバーしているというふうに言って
  いた。」と証言している。
 2 浅香らは,別件訴訟準備書面(1)(甲21の5~6頁)で,「自衛隊車と原告
  車の衝突場所は,自衛隊車の走行車線において,センターラインから約40セ
  ンチメートルの位置に約40センチメートルの急ブレーキによるタイヤ痕が認
  められたことから,自衛隊車走行車線内であると認められる。急ブレーキによ
  るタイヤ痕の写真(甲67⑦)は本件事故発生直後に撮影された。原告車の右
  前ブレーキが本件トレーラ(炊事車)の右タイヤフェンダーに接触したため,
  原告車の前輪に急ブレーキがかかり,スリップし,タイヤ痕が残ったものと考
  えられる。」と主張した。
 3 堀部警部補は,実況見分調書(甲42の19頁)6事故の模様(1)現場の痕跡
  等に,「自衛隊車の進路上中央線付近に,新しいタイヤ痕1条,a,同タイヤ痕
  の反対側車線上つまり原告車の進路上,新しい擦過痕2条,c・d,が印象さ
  れていた。別添交通事故見取図第3図(甲42の23頁・甲38)写真⑫~⑯
  (甲32⑫~⑯)」と記載している。
   堀部警部補は,「原告車の右前ブレーキレバーが曲がり,炊事車の右タイヤ
  フェンダーには,ブレーキレバーと同じくらいの高さの部分に接触痕が認められ
  たこと,自衛隊車の進路上中央線から約43センチメートル入った所に約35
  センチメートルの真新しいタイヤ痕が印象されていたこと,同地点から原告車
  の進路上に向けて擦過痕が印象されていたこと,自衛隊車の進路上には,上記
  のタイヤ痕以外には痕跡がなかったこと」が判明したという。
 4 原告作成の事故現場見取図(甲40・本図では,甲6を甲23,甲7を甲3
  8と読み替える。)で検証すると,甲23及び甲38の衝突位置Ⓧは中央線に平
  行に約4.6m前後に位置する。
 5 甲23及び甲38の衝突位置は共にタイヤ痕の位置を基準に決定されている
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  から,甲38のタイヤ痕の南方約4.6mに甲23のタイヤ痕が存在すること
  になる。
 6 別件訴訟で国(自衛隊)は,本件事故発生直後に撮影されたとして,40cm
  の長さの「急ブレーキによるタイヤ痕」の写真(甲67⑦)を提出した。自衛
  隊犯罪捜査服務規則第118条は,「警務官等は,現場において撮影をするとき
  は,物の長短,大小などを明らかにするため,巻尺,方眼紙などを添え,でき
  る限り紙片に年月日,場所を記載し,これに立会人又は第三者の署名を求め,
  これとともに撮影するようにしなければならない。」と定められているが全く守
  られてない。同写真(甲67⑦)は,測定基準が写されていないので位置が特
  定できず,道路面だけでしか写されていないので付近の草木の状況もわからず
  撮影の時期も推定できない。そもそも,真新しく残っていたと国が主張してい
  る,40cmの急ブレーキによるタイヤ痕も写っていないのである。
 7 堀部警部補は,自衛隊車の進路上中央線から約43センチメートル入った所
  に約35センチメートルの真新しいタイヤ痕が印象されていたとして実況見分
  時撮影した写真(甲32⑬)を実況見分調書に添付した。この写真も上記自
  衛隊写真(甲67⑦)と同様の代物でタイヤ痕も写っていない。交通事故処理
  車で出動した交通課係長の警部補が撮影した写真とは到底思えない。テレビド
  ラマに出てくる新人の警察官でも,現場写真を撮影する時には,巻尺,方眼紙
  等がなくても,紙幣の一枚,タバコの一箱など添えて撮影する。
 8 擦過痕については,別件訴訟で国はその存在を主張していない。堀部警部補
  は実況見分調書添付の写真(甲32)で,写真⑫⑮⑯は擦過痕を撮影したもの
  と説明しているが,擦過痕は写っておらず,写っていたとしてもその位置は特
  定できない。
 9 タイヤ痕(スリップ痕,制動痕,タイヤマーク)は,さまざまなタイヤのす
  べり現象によって生じ,印象するスリップ痕の模様もそれぞれ異なる。「新しい
  タイヤ痕」の写真には,タイヤ痕の,模様,長さ,方向,幅,濃淡などが写さ
  れていなければならない。
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 10 タイヤ痕が印象された原因について,(1) 前輪の制動痕説,(2) 衝突時の
  衝撃による前輪の押し戻し痕説,(3) 後輪の制動痕説が主張された。小野寺及
  び堀部警部補は(1)説である。
  (1) 前輪の制動痕説
    小野寺は,別件訴訟で,写真(甲67⑦)に写されているタイヤ痕につい
   て,バイクの前輪ブレーキレバーとトレーラの右側タイヤ枠が衝突したため,
   急ブレーキがかかり印されたと現場検証した警察官は考えたのだと思うと供
   述している。証言調書速記録(甲22の10頁)。(擦過痕についてのその存
   在の言及すら無い。)
    片岡の別件訴訟での陳述書(甲25)に,「(本件事故後)バイクを移動し
   ようとしましたが,ブレーキが壊れていてブレーキがかかったままの状態で,
   前に進ませることができませんでした。」との記載がある。原告車の前輪ブレ
   ーキは油圧式のディスクブレーキで右のレバーで操作するが,レバーが壊れ
   ても,構造的にブレーキがかかったままの状態にはならない。(甲69)
  (2) 衝突時の衝撃による前輪の押し戻し痕説
   間ノ瀬巡査部長は,「対向車と衝突した時,衝突した衝撃で,押し戻されタイ
   ヤが道路に印をつける。急ブレーキもかけていないのにタイヤ痕があるのは
   衝突の衝撃で押し戻されて印されたからである。だから私はタイヤ痕という,
   ブレーキ痕とはいわない。」と述べた。(甲5の24頁)
  (3) 後輪の制動痕説
    原告は,上記(1),(2)では長さ40センチメートルの制動痕は印象されない
   と主張する。衝突時,原告の右足(傷の部分)がバイクのギヤケース(クラ
   ンクケース)に激しく衝突し,写真に写されているケース表面の擦過痕を残
   した(甲69⑬⑭)。このとき原告の右足には足の傷の部分を支点にする力が
   生じ,ステップバーを押し曲げ,後輪ブレーキが破損するまで強くかかった
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   と推断される(甲69⑤⑥)。ステップバー及び後輪ブレーキペタルに道路面
   と接触した傷はない。接触したとされる右レバー先の損傷も擦過程度で(甲
   69③),右手指の負傷が軽微であることなどから,前輪ブレーキはかかって
   おらず,ブレーキ痕が存在したら後輪ブレーキによるものであると主張する。
第5 本件事故による自衛隊車の制動痕
 1 小野寺は,実況見分調書によると,自衛隊車(炊事車を牽引している大型ト
  ラック)を運転し,時速40キロメートルで,本件道路のヘヤピンカーブに進
  入し,対向車線に原告車を30.1mの位置(㋐~①)で初認した直後,19.
  3mに接近したところ(㋑~②)で相手がセンターラインを割るかもしれない
  として,瞬間的に急ブレーキをかけ,20.2mの距離(㋑~㋓)で停止した
  のである。小野寺が危険を感じ・ブレーキをかけた地点は㋑,衝突した時の自
  衛隊車は㋒,自衛隊車が停止した地点は㋓である。㋑~㋒の距離は10.9メ
  ートル,㋒~㋓の距離は9.3メートルである(甲42の23頁・甲38)。
 2 小野寺は,別件訴訟で,「危険を感じるまでアクセルを踏んでいたことになり
  ますね。(はい。)危険を感じた後,ブレーキペダルに足を乗せただけでブレー
  キは踏まなかった,さっきの話でね。(はい。)危険を感じてから実際にブレー
  キを踏んでブレーキが効き始めるまで何秒ぐらいかかりましたか。(先ほど言
  いましたように,アクセルから足を離しブレーキペダルに足を乗せた瞬間には
  横を通り過ぎておりましたので,ブレーキを踏む時間はありません。衝突音が
  してからブレーキを踏みましたので。)」と証言している。(甲22の21頁)
 3 小野寺は,衝突音がしてから(衝突してから),ブレーキを踏み込み,㋒~㋓
  の距離9.3メートルで停止した。制動距離は9.3メートルである。
 4 アスファルト道路における制動距離と制動時間は,交通事故損害賠償必携(新
  日本法規)の資料5-40(甲第83号証)に記載されている。時速40キロ
  メートルの場合,実制動距離は8.82メートルで,ブレーキを踏み込んでブ
  レーキが効き始めるまでの時間を0.1秒とすると空走距離は1.11メート
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  ルであるから,制動距離は9.93メートルである。
 5 一般に,時速40キロで急ブレーキをかけた時の停止距離は22メートルに
  なるといわれている(甲第84号証)。小野寺が,㋑の地点で危険を感じて急ブ
  レーキが必要と判断した時点から自衛隊車が停止した地点を㋓までの距離は,
  20.2mである。(甲42の23頁)。
 6 以上から,小野寺が急ブレーキをかけたことは疑いがない。急ブレーキをか
  けると制動痕が印象される。浅香らは写真に写ってもいない原告車のタイヤ痕
  の存在を主張しながら,自衛隊車の制動痕の存在を一切認めない。自衛隊車の
  印象した制動痕が存在しなかったという浅香らの主張は事実及び経験則に反し
  信用できない。
 7 スリップ痕(制動痕)は衝突前,衝突後の自動車の運動を示す記録であるか
  ら,事故再現にとって数少ない物的証拠のひとつである。とくに衝突における
  最初の接触点を見出す場合には,スリップ痕が唯一の決め手となることが多い。
 8 浅香らは,重要な証拠を隠滅している。
第6 終わりに
 1 被告が本件の事実関係を明らかにし,原告の主張に対して認否・具体的な反
  論を行ない,必要な書証の写しを添付し,甲24号証で提出されている事故現
  場写真及び甲27号証で提出されている事故状況再現写真については新たに現
  像して書証として提出することを求める。
 2 被告が準備書面を,原告が応答するための準備をなすに必要な期間を置いて,
  原告に直送することを求める。
 3 被告が否認した事実については,被告の具体的主張・証拠の提出を待って反
  論・主張をおこなう。
          附 属 書 類
 証拠説明書(7)平成18年5月31日 (甲第80~84号証) 各1通
                                  以上