平成18年(ネ)第5934号 国家賠償請求控訴事件
控 訴 人 出羽やるか
被控訴人 国
準 備 書 面(6)
平成19年10月19日
東京高等裁判所第21民事部 御中
控訴人 出羽やるか
控訴人は,平成19年9月27日の第3回弁論準備手続期日になされた弁論及
び受命裁判官の「控訴人は,他に主張・立証することがあれば,準備書面,人証
申請等を10月19日までに提出すること。」との釈明を踏まえ下記のとおり弁
論を準備する。
なお,略称等は本準備書面で新たに用いるものの他は従前の例による。
第1 別件訴訟控訴審における浅香らの応訴の追行
1 平成15年1月21日付け答弁書(甲105)
浅香らは,別件訴訟の平成14年10月15日付け控訴理由書(甲104)
に対し上記答弁書で反論した。同答弁書に対して控訴人は平成15年1月21
日付け控訴人準備書面(1)(甲106)で反論した。
2 浅香らが別件訴訟控訴審で主張した争点は,
(1) 本件自衛隊車両は事故後道路外の草地に移動されたか。
(2) KP34.9の里程標は事故当日事故現場見取図(甲23)の位置に存在
したか。
(3) 炊事車の衝突痕について
(4) 乙4号証事故状況再現写真(甲27)について
(5) 本件事故に関する警務隊の調査資料について
(6) 本件事故の態様について
であり,本件訴訟での争点と重なる。
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3 控訴人は平成19年9月18日付け準備書面(5)第3事故現場又は事故現場
写真の偽造・変造及び証拠資料の隠蔽・毀棄の事実として,
(1) KP34.9の警戒標識(甲67①)
(2) 徐行の道路標示(甲32⑦)
(3) 炊事車の衝突痕(甲67⑬)
(4) 控訴人車の転倒位置(甲32⑯)
(5) 自衛隊の実況見分調書
(6) 玖珠警察署の実況見分調書
を挙げたが,下記の2項目を重要な争点に加える。
(7) 草地に移動された自衛隊車(甲67⑪~⑬)(甲32⑤~⑨)
(8) KP34.9の里程標(甲67①・甲67⑧)(甲33・甲32⑪)
第2 草地に移動された自衛隊車(甲67⑪~⑬)(甲32⑤~⑨)
本件自衛隊車両は,事故後道路外の草地に移動されたか。
1 浅香らの反論・答弁書(甲105)
控訴人は,甲第23号証(甲42)について,同号証の別紙3項「現場到着
時の状況」 において,被疑車両の自動二輪車及び大型貨物自動車は,道路外の
草地に移動されていた」と記載され,同号証の別添の写真⑤ないし⑨において
は,本件自衛隊車両が道路外の草地の上で写真に写されているが,「証拠(証人
小野寺秀和)によれば,事故当日の検証は,本件自衛隊車両を,片側通行のた
めの誘導員を付けて,道路上に置いたまま行われた(平成14年3月25日付
け速記録(甲22)26頁4-12行)。」のであって,「事故当日は本件自衛
隊車両を草地に移動していないのは明らかであることから,草地に移動したと
する玖珠警察署の実況見分調書(甲42)の記載は虚偽の記載であり」また,
同写真についても「事故当日に写されたものではない」などと主張する。
しかしながら,原審の訴外小野寺の証言における「検証が終わるまで自衛
隊車両を道路上に止めていた」という趣旨は,検証時において本件自衛隊車両
2/8
を道路上に止めていたというにすぎない。このことは,本件事故現場たる県道
は,観光道路であり,観光バスやトラック等の交通量の多い道路であって,こ
のような道路において,本件事故発生から実況見分終了時刻までの約2時間半,
本件自衛隊車両を道路上に停車させると交通阻害となり,現場付近は大渋滞と
なったであろうことは容易に予測されるところであるから,本件自衛隊車両を
道路上に長時間止めておくことはあり得ないことからも明らかである。したが
って,控訴人の甲第23号証(甲42)に虚偽があるかのような主張は理由が
ない。
2 控訴人の反論・準備書面(1)(甲106)
浅香らは,原審の訴外小野寺の証言における「検証が終わるまで自衛隊車両
を道路に止めていた。」という趣旨は,「検証時において本件自衛隊車両を道
路上にとめていた。」というにすぎないという。浅香らのこの主張の趣旨は不
明であるが,「検証時において本件自衛隊車両を道路上にとめていた。」とい
う証言を採用したとしても,本件自衛隊車両を草地に移動しなかったことは明
らかである。
証拠(証人小野寺)によれば,「自衛隊車両は,検証が終わるまでは別府よ
りの道路上にとめていた。バイクさえ移動すれば,自衛隊車両がいても片側通
行が確保される。ちゃんと誘導員をつけていた。検証が終わってから演習場に
持っていってもらった。」のである。(速記録25頁24行~26頁12行)
事故発生日平成11年10月7日は木曜日であり観光シーズンでもなかった
ので交通量は多くなかった。検証前に本件自衛隊車両を草地に移動する特段の
理由はなかった。事故直後の停車位置から炊事車を牽引した大型トラックを写
真の草地の位置に移動するには,一旦後退しなければならず簡単ではない。
乙2号証(甲25)訴外小野寺と乙3号証(甲26)訴外片岡の陳述書によ
ると,「事故の約10分後,24普通科連隊の車両が通過した」のである。そ
の以前に後続の9号車および10号車が通過している。本件自衛隊車両が事故
3/8
直後の停止位置にあっても,現場付近の交通に渋滞となるような障害はなかっ
たのである。
浅香らは,本調書の実況見分の日時平成11年10月7日午後0時34分か
ら午後1時20分までを採用している。
控訴人は,実況見分の開始時刻は長者原の駐在所の巡査が書いたという平成
11年10月7日午前11時50分で,見分時間を約40分として見分終了時
間を午後0時30分であると主張する。
国民の目もあるし手順からも本件自衛隊車両の検証を先に済ませ,正午頃に
は演習場に向かわせて,その後検証を続けたと考えるのが自然である。
別添えの写真⑥及び⑦の写真(甲32⑥⑦)には,熊本方面への車線に「徐
行」の道路標示が写っている。この道路標示は事故当時存在しない。もし存在
しておればこの車線を通行した控訴人には徐行義務が発生したはずであるが,
浅香ら及び警察からの控訴人の徐行義務違反の主張はない。したがってこのこ
とからもこれらの写真が事故当日写されたものでないと断定できる。
第3 KP34.9の里程標(甲67①・甲67⑧)(甲33・甲32⑪)
KP34.9の里程標は事故当日事故現場見取図(甲23)の位置に存在
したか。
1 浅香らの反論・答弁書(甲105)
控訴人は,乙第1号証の事故現場写真(甲67)のうち,事故当時の道路状
況(熊本方面から別府方面)(甲67①)及び原告自動二輪車転倒位置(白い
部分)(甲67⑧)の写真に里程標が写っているところ,当該里程標は事故当
時存在していなかったとして,浅香らが上記写真の改ざんを行っているなどと
主張する。
しかしながら本件事故現場付近に設置されている34.9と表示された里程
標が,本件事故の前後において立て替えられたことはないのであって(甲第22
号証の3=甲109③),同里程標が事故当時存在しなかったということもない。
4/8
これについて,控訴人は,甲第21号証の1,2(甲108号証の①,②)を
提出し,大分県「道の相談室」は,里程標は平成12年6月から9月に立て替
えられたなどと主張するようであるが,大分県「道の相談室」の回答(同号証
の②)は,古くなり文字が見えなくなったもの,破損したものについて立て替
えたというにすぎず,上記34.9と表示された里程標が立て替えられたと回
答するものではないから,同22号証の3と矛盾するものではない。したがっ
て,控訴人の主張は失当である。
2 控訴人の反論・準備書面(1)(甲106)
34.9と表示された里程標が事故当時写真の位置に存在しなかった事実は,
控訴人が控訴理由書(甲104)8頁(2)アでも主張,甲20号証(甲10
7)により証明したとおりである。浅香らはこの甲20号証(甲107)によ
る主張については反論していない。
控訴人は,甲20号証(甲107)および甲21号証(甲108)により甲
22号証(甲109)の3(③)の大分県玖珠土木事務所長の「送付嘱託書に
ついて(回答)」の内容は虚偽であると主張しているのである。
また,炊事車の衝突痕1ないし3について事故当日に写されたものでないこ
とは(1)において主張立証したとおりである。加えて,事故時本件自動二輪
車のフロントフォークのボトムケースが接触した炊事車のホイールカバーのボ
ルトナットは損傷が生じたと推断されるが,これらの写真では損傷はなく塗装
すら剥がれていないことからも事故当日に写されたものでない。
なお,控訴人は,上告受理申立理由書(甲14)5頁,第2点・本件現場付
近の里程標について,以下の通り主張している。
(1) 原判決は,下記のとおり判示する。「控訴人は,34.9と表示された
里程標が本件事故当時に存在していなかったと主張する。しかし,甲第22号
証(甲109)の1ないし3によれば,本件事故当時,前記里程標が存在して
いたことが認められる。そうすると,「原告自動二輪車転倒位置(白い部
5/8
分)」の写真に34.9と表示された里程標が写っていることは当然であって,
この写真が浅香らにおいて改ざんされたということはできない。なを,甲第2
1号証(甲108)の2は,古くなり文字が見えなくなったり破損したりした
ものについて立て替えたことをいうものにすぎず,本件事故現場付近の里程標
が立て替えられたことを回答するものでないから,控訴人の主張を裏付けるも
のではない。」
(2) 申立人(控訴人)は原審第1回口頭弁論期日に控訴理由書(甲104)
を陳述し,下記のとおり主張した。「控訴人は,平成13年10月30日に本
件事故現場に行き,平成11年10月29日に事故現場を訪れたときには里程
標が存在しなかった地点に,34.9と表示された里程標を認め写真を撮影し
た(甲20-3,4=甲107-3,4)。
浅香らは,平成13年11月5日に乙第1号証として平成11年10月7日
撮影したという事故現場写真を提出した。これらの写真のうち事故当時の道路
状況(熊本方面から別府方面)(甲67①)及び(原告自動二輪車転倒位置)
(甲67⑧)に里程標が写っている。この里程標は事故当時存在していない。
事故後の平成11年10月29日に,控訴人が撮影した写真にはこの里程標
は存在しない(甲20-1,2=甲107-1,2)。平成11年10月29
日に存在した34.9の里程表は上記里程標と明らかに違う小さなもので,大
分県道路課道路図面のKP34.9の地点より45メートル前後別府よりにあ
った。大分県「道の相談室」は,里程標は平成12年6月~平成12年9月に
大きな里程標に立て替えたといっている(甲21=甲108)。浅香らは,こ
れらの写真に事故当時存在していない里程標を上記の写真に挿入し,証拠写真
の改ざんを行っている。」
(3) 浅香らは原審第1回口頭弁論期日に答弁書(甲104)を陳述し,下記の
とおり反論した。
「乙第1号証(事故現場写真)」(控訴理由書第3の(2))について控訴
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人は,乙第1号証の事故現場写真のうち,事故当時の道路状況(熊本方面から
別府方面)及び原告自動二輪車転倒位置(白い部分)の写真に里程標が写って
いるところ,当該里程標は事故当時存在していなかったとして,浅香らが上記
写真の改ざんを行っているなどと主張する。
しかしながら,本件事故現場付近に設置されている34.9と表示された里
程標が,本件事故の前後において立て替えられたことはないのであって(甲第2
2号証=甲108の3),同里程標が事故当時存在しなかったということもな
い。これについて,控訴人は,甲第21号証の1,2=甲107の1,2)を提
出し,大分県「道の相談室」は,里程標は平成12年6月から9月に立て替え
られたなどと主張するようであるが,大分県「道の相談室」の回答(同号証の
2)は,古くなり文字が見えなくなったもの,破損したものについて立て替え
たというにすぎず,上記34.9と表示された里程標が立て替えられたと回答
するものではないから,同22号証の3と矛盾するものではない。したがって,
控訴人の主張は失当である。」
論理的に整理して考えてみる。命題は下記のとおりである。
A 平成11年10月07日に浅香らが撮影した写真(乙1)
B 平成11年10月29日に控訴人が撮影した写真(甲20-1,2)
C 平成13年10月30日に控訴人が撮影した写真(甲20-3,4)
X 大きな里程標(立て替えられた後の)
Y 小さな里程標(立て替えられる前の)
K 玖珠土木事務所は,平成11年10月7日から平成13年10月30日
の間にYの立替はないという。(甲第22号証=甲109の1ないし3)
O 大分県道路課は,Yの一部を平成12年6月から平成12年9月の間に
Xに立て替えたという。(甲第21号証=甲108の2)
M 控訴人は,YはXとは明らかに違う小さなもので,事故当時はKP34.
9の地点より45メートル前後別府よりにあったと主張する。
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(1) 控訴人の主張は,「BにはXもYも写っていない。CにはXが写っている。
Bが真ならAにはXもYも写らない。浅香らはBの真偽を争っていないから
Bは真。故にXが写っている写真Aは偽。Kも偽。」
(2) 原判決の認定は,「Kは真。それゆえ,Aは真。Oも真。」である。
① 上記(1)で,控訴人が偽と主張しているKを真とした証拠・説明が必要で
ある。(公務員の供述あるいは公文書は常に真として事実を認定する原判
決には経験則違反がある。公務員も嘘をつくのは公知の事実である。)
② Kが真ならOは偽,Oが真ならKは偽である。
③ Kが真としてもAにはXYは写らないが,写ってもYである。
④ ゆえに,Xが写っているAは偽である。
3 本件事実関係を明らかにするため,平成19年9月10日付け,調査嘱託申
立書(嘱託先玖珠土木事務所)の採用を求める。
第4 終わりに
控訴人が,本件事案解明のために必要として別件訴訟で提出を求めた資料は,
控訴理由(第6点)①早水巡査長の実況見分調書,②間ノ瀬巡査部長の実況見
分調書,(第7点)③車両使用請求書・車両運転指令書,(第8点)④当事者照
会の回答,(第9点)⑤運行記録計,(第10点及び第16点)⑥自衛隊の実
況見分調書である。これらの資料が訴訟の場に現れていたら,別件訴訟の裁判
所も欺罔されることはなく,本来ありうべからざる内容の判決が確定すること
もなかった。
以上
附属書類: 証拠説明書(13) 書証 甲第104~110号証 各1通
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控 訴 人 出羽やるか
被控訴人 国
準 備 書 面(6)
平成19年10月19日
東京高等裁判所第21民事部 御中
控訴人 出羽やるか
控訴人は,平成19年9月27日の第3回弁論準備手続期日になされた弁論及
び受命裁判官の「控訴人は,他に主張・立証することがあれば,準備書面,人証
申請等を10月19日までに提出すること。」との釈明を踏まえ下記のとおり弁
論を準備する。
なお,略称等は本準備書面で新たに用いるものの他は従前の例による。
第1 別件訴訟控訴審における浅香らの応訴の追行
1 平成15年1月21日付け答弁書(甲105)
浅香らは,別件訴訟の平成14年10月15日付け控訴理由書(甲104)
に対し上記答弁書で反論した。同答弁書に対して控訴人は平成15年1月21
日付け控訴人準備書面(1)(甲106)で反論した。
2 浅香らが別件訴訟控訴審で主張した争点は,
(1) 本件自衛隊車両は事故後道路外の草地に移動されたか。
(2) KP34.9の里程標は事故当日事故現場見取図(甲23)の位置に存在
したか。
(3) 炊事車の衝突痕について
(4) 乙4号証事故状況再現写真(甲27)について
(5) 本件事故に関する警務隊の調査資料について
(6) 本件事故の態様について
であり,本件訴訟での争点と重なる。
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3 控訴人は平成19年9月18日付け準備書面(5)第3事故現場又は事故現場
写真の偽造・変造及び証拠資料の隠蔽・毀棄の事実として,
(1) KP34.9の警戒標識(甲67①)
(2) 徐行の道路標示(甲32⑦)
(3) 炊事車の衝突痕(甲67⑬)
(4) 控訴人車の転倒位置(甲32⑯)
(5) 自衛隊の実況見分調書
(6) 玖珠警察署の実況見分調書
を挙げたが,下記の2項目を重要な争点に加える。
(7) 草地に移動された自衛隊車(甲67⑪~⑬)(甲32⑤~⑨)
(8) KP34.9の里程標(甲67①・甲67⑧)(甲33・甲32⑪)
第2 草地に移動された自衛隊車(甲67⑪~⑬)(甲32⑤~⑨)
本件自衛隊車両は,事故後道路外の草地に移動されたか。
1 浅香らの反論・答弁書(甲105)
控訴人は,甲第23号証(甲42)について,同号証の別紙3項「現場到着
時の状況」 において,被疑車両の自動二輪車及び大型貨物自動車は,道路外の
草地に移動されていた」と記載され,同号証の別添の写真⑤ないし⑨において
は,本件自衛隊車両が道路外の草地の上で写真に写されているが,「証拠(証人
小野寺秀和)によれば,事故当日の検証は,本件自衛隊車両を,片側通行のた
めの誘導員を付けて,道路上に置いたまま行われた(平成14年3月25日付
け速記録(甲22)26頁4-12行)。」のであって,「事故当日は本件自衛
隊車両を草地に移動していないのは明らかであることから,草地に移動したと
する玖珠警察署の実況見分調書(甲42)の記載は虚偽の記載であり」また,
同写真についても「事故当日に写されたものではない」などと主張する。
しかしながら,原審の訴外小野寺の証言における「検証が終わるまで自衛
隊車両を道路上に止めていた」という趣旨は,検証時において本件自衛隊車両
2/8
を道路上に止めていたというにすぎない。このことは,本件事故現場たる県道
は,観光道路であり,観光バスやトラック等の交通量の多い道路であって,こ
のような道路において,本件事故発生から実況見分終了時刻までの約2時間半,
本件自衛隊車両を道路上に停車させると交通阻害となり,現場付近は大渋滞と
なったであろうことは容易に予測されるところであるから,本件自衛隊車両を
道路上に長時間止めておくことはあり得ないことからも明らかである。したが
って,控訴人の甲第23号証(甲42)に虚偽があるかのような主張は理由が
ない。
2 控訴人の反論・準備書面(1)(甲106)
浅香らは,原審の訴外小野寺の証言における「検証が終わるまで自衛隊車両
を道路に止めていた。」という趣旨は,「検証時において本件自衛隊車両を道
路上にとめていた。」というにすぎないという。浅香らのこの主張の趣旨は不
明であるが,「検証時において本件自衛隊車両を道路上にとめていた。」とい
う証言を採用したとしても,本件自衛隊車両を草地に移動しなかったことは明
らかである。
証拠(証人小野寺)によれば,「自衛隊車両は,検証が終わるまでは別府よ
りの道路上にとめていた。バイクさえ移動すれば,自衛隊車両がいても片側通
行が確保される。ちゃんと誘導員をつけていた。検証が終わってから演習場に
持っていってもらった。」のである。(速記録25頁24行~26頁12行)
事故発生日平成11年10月7日は木曜日であり観光シーズンでもなかった
ので交通量は多くなかった。検証前に本件自衛隊車両を草地に移動する特段の
理由はなかった。事故直後の停車位置から炊事車を牽引した大型トラックを写
真の草地の位置に移動するには,一旦後退しなければならず簡単ではない。
乙2号証(甲25)訴外小野寺と乙3号証(甲26)訴外片岡の陳述書によ
ると,「事故の約10分後,24普通科連隊の車両が通過した」のである。そ
の以前に後続の9号車および10号車が通過している。本件自衛隊車両が事故
3/8
直後の停止位置にあっても,現場付近の交通に渋滞となるような障害はなかっ
たのである。
浅香らは,本調書の実況見分の日時平成11年10月7日午後0時34分か
ら午後1時20分までを採用している。
控訴人は,実況見分の開始時刻は長者原の駐在所の巡査が書いたという平成
11年10月7日午前11時50分で,見分時間を約40分として見分終了時
間を午後0時30分であると主張する。
国民の目もあるし手順からも本件自衛隊車両の検証を先に済ませ,正午頃に
は演習場に向かわせて,その後検証を続けたと考えるのが自然である。
別添えの写真⑥及び⑦の写真(甲32⑥⑦)には,熊本方面への車線に「徐
行」の道路標示が写っている。この道路標示は事故当時存在しない。もし存在
しておればこの車線を通行した控訴人には徐行義務が発生したはずであるが,
浅香ら及び警察からの控訴人の徐行義務違反の主張はない。したがってこのこ
とからもこれらの写真が事故当日写されたものでないと断定できる。
第3 KP34.9の里程標(甲67①・甲67⑧)(甲33・甲32⑪)
KP34.9の里程標は事故当日事故現場見取図(甲23)の位置に存在
したか。
1 浅香らの反論・答弁書(甲105)
控訴人は,乙第1号証の事故現場写真(甲67)のうち,事故当時の道路状
況(熊本方面から別府方面)(甲67①)及び原告自動二輪車転倒位置(白い
部分)(甲67⑧)の写真に里程標が写っているところ,当該里程標は事故当
時存在していなかったとして,浅香らが上記写真の改ざんを行っているなどと
主張する。
しかしながら本件事故現場付近に設置されている34.9と表示された里程
標が,本件事故の前後において立て替えられたことはないのであって(甲第22
号証の3=甲109③),同里程標が事故当時存在しなかったということもない。
4/8
これについて,控訴人は,甲第21号証の1,2(甲108号証の①,②)を
提出し,大分県「道の相談室」は,里程標は平成12年6月から9月に立て替
えられたなどと主張するようであるが,大分県「道の相談室」の回答(同号証
の②)は,古くなり文字が見えなくなったもの,破損したものについて立て替
えたというにすぎず,上記34.9と表示された里程標が立て替えられたと回
答するものではないから,同22号証の3と矛盾するものではない。したがっ
て,控訴人の主張は失当である。
2 控訴人の反論・準備書面(1)(甲106)
34.9と表示された里程標が事故当時写真の位置に存在しなかった事実は,
控訴人が控訴理由書(甲104)8頁(2)アでも主張,甲20号証(甲10
7)により証明したとおりである。浅香らはこの甲20号証(甲107)によ
る主張については反論していない。
控訴人は,甲20号証(甲107)および甲21号証(甲108)により甲
22号証(甲109)の3(③)の大分県玖珠土木事務所長の「送付嘱託書に
ついて(回答)」の内容は虚偽であると主張しているのである。
また,炊事車の衝突痕1ないし3について事故当日に写されたものでないこ
とは(1)において主張立証したとおりである。加えて,事故時本件自動二輪
車のフロントフォークのボトムケースが接触した炊事車のホイールカバーのボ
ルトナットは損傷が生じたと推断されるが,これらの写真では損傷はなく塗装
すら剥がれていないことからも事故当日に写されたものでない。
なお,控訴人は,上告受理申立理由書(甲14)5頁,第2点・本件現場付
近の里程標について,以下の通り主張している。
(1) 原判決は,下記のとおり判示する。「控訴人は,34.9と表示された
里程標が本件事故当時に存在していなかったと主張する。しかし,甲第22号
証(甲109)の1ないし3によれば,本件事故当時,前記里程標が存在して
いたことが認められる。そうすると,「原告自動二輪車転倒位置(白い部
5/8
分)」の写真に34.9と表示された里程標が写っていることは当然であって,
この写真が浅香らにおいて改ざんされたということはできない。なを,甲第2
1号証(甲108)の2は,古くなり文字が見えなくなったり破損したりした
ものについて立て替えたことをいうものにすぎず,本件事故現場付近の里程標
が立て替えられたことを回答するものでないから,控訴人の主張を裏付けるも
のではない。」
(2) 申立人(控訴人)は原審第1回口頭弁論期日に控訴理由書(甲104)
を陳述し,下記のとおり主張した。「控訴人は,平成13年10月30日に本
件事故現場に行き,平成11年10月29日に事故現場を訪れたときには里程
標が存在しなかった地点に,34.9と表示された里程標を認め写真を撮影し
た(甲20-3,4=甲107-3,4)。
浅香らは,平成13年11月5日に乙第1号証として平成11年10月7日
撮影したという事故現場写真を提出した。これらの写真のうち事故当時の道路
状況(熊本方面から別府方面)(甲67①)及び(原告自動二輪車転倒位置)
(甲67⑧)に里程標が写っている。この里程標は事故当時存在していない。
事故後の平成11年10月29日に,控訴人が撮影した写真にはこの里程標
は存在しない(甲20-1,2=甲107-1,2)。平成11年10月29
日に存在した34.9の里程表は上記里程標と明らかに違う小さなもので,大
分県道路課道路図面のKP34.9の地点より45メートル前後別府よりにあ
った。大分県「道の相談室」は,里程標は平成12年6月~平成12年9月に
大きな里程標に立て替えたといっている(甲21=甲108)。浅香らは,こ
れらの写真に事故当時存在していない里程標を上記の写真に挿入し,証拠写真
の改ざんを行っている。」
(3) 浅香らは原審第1回口頭弁論期日に答弁書(甲104)を陳述し,下記の
とおり反論した。
「乙第1号証(事故現場写真)」(控訴理由書第3の(2))について控訴
6/8
人は,乙第1号証の事故現場写真のうち,事故当時の道路状況(熊本方面から
別府方面)及び原告自動二輪車転倒位置(白い部分)の写真に里程標が写って
いるところ,当該里程標は事故当時存在していなかったとして,浅香らが上記
写真の改ざんを行っているなどと主張する。
しかしながら,本件事故現場付近に設置されている34.9と表示された里
程標が,本件事故の前後において立て替えられたことはないのであって(甲第2
2号証=甲108の3),同里程標が事故当時存在しなかったということもな
い。これについて,控訴人は,甲第21号証の1,2=甲107の1,2)を提
出し,大分県「道の相談室」は,里程標は平成12年6月から9月に立て替え
られたなどと主張するようであるが,大分県「道の相談室」の回答(同号証の
2)は,古くなり文字が見えなくなったもの,破損したものについて立て替え
たというにすぎず,上記34.9と表示された里程標が立て替えられたと回答
するものではないから,同22号証の3と矛盾するものではない。したがって,
控訴人の主張は失当である。」
論理的に整理して考えてみる。命題は下記のとおりである。
A 平成11年10月07日に浅香らが撮影した写真(乙1)
B 平成11年10月29日に控訴人が撮影した写真(甲20-1,2)
C 平成13年10月30日に控訴人が撮影した写真(甲20-3,4)
X 大きな里程標(立て替えられた後の)
Y 小さな里程標(立て替えられる前の)
K 玖珠土木事務所は,平成11年10月7日から平成13年10月30日
の間にYの立替はないという。(甲第22号証=甲109の1ないし3)
O 大分県道路課は,Yの一部を平成12年6月から平成12年9月の間に
Xに立て替えたという。(甲第21号証=甲108の2)
M 控訴人は,YはXとは明らかに違う小さなもので,事故当時はKP34.
9の地点より45メートル前後別府よりにあったと主張する。
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(1) 控訴人の主張は,「BにはXもYも写っていない。CにはXが写っている。
Bが真ならAにはXもYも写らない。浅香らはBの真偽を争っていないから
Bは真。故にXが写っている写真Aは偽。Kも偽。」
(2) 原判決の認定は,「Kは真。それゆえ,Aは真。Oも真。」である。
① 上記(1)で,控訴人が偽と主張しているKを真とした証拠・説明が必要で
ある。(公務員の供述あるいは公文書は常に真として事実を認定する原判
決には経験則違反がある。公務員も嘘をつくのは公知の事実である。)
② Kが真ならOは偽,Oが真ならKは偽である。
③ Kが真としてもAにはXYは写らないが,写ってもYである。
④ ゆえに,Xが写っているAは偽である。
3 本件事実関係を明らかにするため,平成19年9月10日付け,調査嘱託申
立書(嘱託先玖珠土木事務所)の採用を求める。
第4 終わりに
控訴人が,本件事案解明のために必要として別件訴訟で提出を求めた資料は,
控訴理由(第6点)①早水巡査長の実況見分調書,②間ノ瀬巡査部長の実況見
分調書,(第7点)③車両使用請求書・車両運転指令書,(第8点)④当事者照
会の回答,(第9点)⑤運行記録計,(第10点及び第16点)⑥自衛隊の実
況見分調書である。これらの資料が訴訟の場に現れていたら,別件訴訟の裁判
所も欺罔されることはなく,本来ありうべからざる内容の判決が確定すること
もなかった。
以上
附属書類: 証拠説明書(13) 書証 甲第104~110号証 各1通
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