平成18年(ネ)第5934号 国家賠償請求控訴事件
控 訴 人 出羽やるか
被控訴人 国
準 備 書 面(9)
平成19年12月10日
東京高等裁判所第21民事部 御中
控訴人 出羽やるか
控訴人は,本書面において,平成19年12月3日提出した準備書面(8)に関し,
下記のとおり,主張を補充及び整理する。
なお,略称等は本準備書面で新たに用いるものの他は従前の例による。
第1
警察写真甲32-10のバイク
1 控訴人の主張
実況見分調書添付の写真-10(
警察写真・甲32-10)
に写っているバイクは,
原告車両(控訴人車)ではない。(
争点9)
2 理由1:写真-10の撮影時間には,控訴人車には荷物は積まれていない。
理由2:
写真-10のバイクのホイールは
ディスクタイプのスポークであるが,
控訴人車のホイールは
ワイヤースポークである(
警察写真・甲32-1)。
3 経緯
別件行政訴訟で,神奈川県公安委員会は平成16年11月1日,大分県玖珠
警察署堀部警部補が平成11年10月7日の作成した写真を
乙1-1号として
提出した(甲41の2)。立証趣旨は,「本件交通事故発生日当日(平成11
年10月7日)に,実況見分調書(甲42)添付の写真が撮影されている事実
(7コマ目~23コマ目。但し,22コマ目は使用せず。)。なお,1コマ目
ないし6コマ目及び24コマ目ないしEまでの写真は,本件事故の前後の日時
に別の交通事故現場で撮影されたもの。」。同人が同日作成した写真を同時に
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乙1-2号証として提出した(甲98の2-2-3)。立証趣旨は,「乙1-1の
ネガフィルム16コマ目は,実況見分調書(甲42)添付の写真-10であるとこ
ろ,同写真に原告車両が写っている事実。」とある。
4 事情・説明・証拠
(1) 調査嘱託に対する平成19年8月17日付け玖珠警察署長の回答によると,
警察写真(甲32)のネガは現存する。
(2) スポークは、車輪を構成する部品の一つ。外周部分を支えている金属部品
(リム)と軸受(ハブ)をつないでいる部品。軸受から放射状に伸びている。
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(3) 警察写真に写っている人物は,第1に,写真(甲98号2-1・
甲32-11)
に写っている実況見分中の間ノ瀬巡査部長と行動をともにしている早水巡査
長並びに作業帽の自衛官と鉄帽の自衛官の計4名のグループがある。
第2のグループは,写真(甲98号2-3・甲32-10)に写っているバイク
の近くに停車している小型トラックの近くに写っている3名の鉄帽の自衛官
である。同トラックに「8師-付」と記されているから
第8師団司令部付隊
の車で,自衛官3名は腕章をしているから保安警務隊員である。
(4) 事故当日,午後0時30分頃(甲97)早水巡査長の実況見分の終了後,
本件バイクはどうしたか。同日午後3時前後に小国公立病院で控訴人の兄は
バイクを引取るよういわれ,小国町の下条モータース(甲56)に引取りを
依頼した。バイクは事故当日の午後4時前後まで事故現場にあった。但し,
バイクには荷物は積まれていない。
第2 控訴人の荷物と靴(
警察写真-2-3)自衛隊写真(
甲67-1-8)
1 控訴人の主張
(1) 平成11年10月7日
午後1時20分頃には控訴人の荷物は本件事故現場
付近には存在しない。(
争点10)
(2) バイクの運転者は負傷し意識がなかったから,
荷物は積載状態を確認し撮
影した後バイクから降ろし,身元や不審物の有無の調査をする必要がある。
(3)
荷物と
靴は事故当日
午後0時20分早水巡査長の実況見分が終了した後,
事故現場から自衛官が病院に運んだ。着替え等身の回り品は病院でも必要で
ある。控訴人の兄が事故当日
午後1時20分頃(甲97)小国公立病院に到
着した時には数人の自衛官がいた(甲74)。
2 玖珠警察署の主張
「 各地点の測定写真撮影等の一連の見分終了後堀部警部補らは小野寺に対し
て原告所有の
自動二輸車及び
荷物の保管を依頼し、実況見分は同日
午後1時2
0分に終了した。」別件行政訴訟被告準備書面(1)(甲86・16頁)。
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3 事情・説明・証拠
(1)
バイクと
荷物と
靴
→自衛隊写真
(甲67-1)の部分
→自衛隊写真
(甲67-8)の部分
→警察写真
(甲32-3)の部分
(-1)
靴とバイクの距離の相違
(-2)
靴の向きの相違
(-3)
靴を写す意味・目的・必要性
(2)
近松3佐(司令部付隊隊長)の事故当日の動静
近松3佐=作業帽と腕章を着用している
→自衛隊写真
(甲67-1) 近松3佐+早水巡査長+小国署員2名
→
(甲67-2) 近松3佐+早水巡査長
→警察写真
(甲32-11) 近松3佐+間ノ瀬巡査部長
(-1) 上記写真の筋書きでは,近松3佐は,小国警察署員から早水巡査長への
捜査の引継ぎに立会い,早水巡査長に資料を手渡し,間ノ瀬巡査部長らの
実況見分(甲42)に同行,立ち会っている。
(-2) 間ノ瀬巡査部長らは,当日
午後1時20分実況見分終了後小国町の病院
に立寄る予定であったが同署に確認したところ熊本市に搬送されたとのこ
とで病院には立寄らずそのまま同署に戻った(甲86・16頁)という。
(-3) 消防長の回答(甲85)によれば,小国公立病院から熊本赤十字病院に
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向け搬送開始した時刻は
午後2時20分である。
(-4) 小野寺は,現場検証は当日12時半過ぎに始まり40分ぐらいで終わっ
た。その後小国公立病院に近松3佐と同行したという(甲22,甲25)。
(-5) 事故現場は人家のない山中であるが,小野寺は私物の携帯電話で110
番した(市内回線に接続出来た)(甲22・18頁)というのである。
(-6) 事故現場に,事故当日午前11時35分頃小国警察の警ら車が,午前1
1時50分早水巡査長の小型警ら車が到着した。警察無線を使用し玖珠警
察署及び間ノ瀬巡査部長の警ら車と事故現場は直接交信できる。警察無線
は市内回線にもつながる。事故現場には近松3佐の隊長車が存在するから
自衛隊との連絡にも問題ない。
(3)
間ノ瀬巡査部長の動静
(-1) 間ノ瀬巡査部長は事故当日午後0時25分頃事故現場に到着したという
(甲86・12頁)から,時間的に早水巡査長の実況見分に参加できない。
(-2) 玖珠警察署は,早水巡査長の報告から現場の状況を把握していた。
(-3) 早水巡査長の実況見分の終了時刻は,当日午後0時30分頃であるから
(甲97)その終了と同時に間ノ瀬巡査部長の実況見分が開始されたこと
になるが,この事態はありえない。
(-4) 間ノ瀬巡査部長は玖珠警察署から直接小国署に向かい早水巡査長と落合
って小野寺の供述調書を作成し,その帰途事故現場に行き近松3佐と早水巡
査長から説明をきいた。事故現場を変更した上で,後日見分を再現し撮影
したのが警察写真(甲32)である。(控訴人の推測・仮説)
(4)
堀部警部補の影が現場にない。
玖珠警察署は大分自動車道,国道210号の重要道が通る管内北部に位置
し,本件事故現場は遠く離れた管内の南部の山中にある(甲94)。本件事
故では,本署の交通捜査係全員が事故現場に出動する必然性はない。堀部警
部補は本署で指揮を執っていたと考えるのが自然である。 以上
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