(原審) 東京高裁民事21部 裁判長濱野惺 裁判官高世三郎 裁判官西口元
上告理由第9点 違法性についての浅香らの認識可能性
第1 不当訴訟における不法行為責任の要件事実(甲95・法律文献)
1 不当訴訟における不法行為責任の要件事実(請求原因事実)の構造は,
①:被侵害利益の存在,②:権利侵害の事実=違法性,③:故意・過失,④:
②と⑤間の因果関係,⑤:損害発生事実とその数額となる。
2 違法性の内容②は規範的要件と解されるから,その評価を根拠づける具体的
事実が主要事実となる。
3 応訴及び訴訟追行が不法行為を構成する要件は「応訴及び訴訟追行が裁判制
度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くこと」が違法性の内容となる。
4 浅香らの認識可能性の有無によって違法性が決せられる。
5 応訴者(浅香ら・国)が,積極的に虚偽事実を主張したり,証拠をねつ造し
たりすることまで許容されないから,虚偽事実の主張を伴う積極的否認や抗弁
の主張は違法と評価される。
第2 違法性についての浅香らの認識可能性
(別件訴訟の指定代理人)
1 別件訴訟第1審での指定代理人は, (1)東京法務局訟務部・部付浅香幹子,
上席訟務官加藤正一,法務事務官八木下孝義, (2)横浜地方法務局訟務部門・
上席訟務官池上照代,訟務官④渡部美和子,法務事務官宇山聡, (3)陸上自衛
隊西部方面総監部法務課・法務課長1等陸佐山本幸一,法務班長2等陸佐高橋
宗義,法務幹部3等陸佐森川和成,賠償専門官防衛庁事務官京極一司 (4)陸
上自衛隊第8師団司令部法務官室・法務官3等陸佐講初靖,法務幹部2等陸尉
26/30
福山登之, (5)陸上幕僚監部監理部法務課・民事訴訟専門官防衛庁事務官北
畠彰である(甲2)。
2 別件訴訟控訴審での指定代理人は,(1)東京法務局訟務部・部付浅香幹子,
法務事務官八木下孝義,(2)陸上自衛隊西部方面総監部法務課・1等陸佐林田
和彦,3等陸佐古野茂樹,3等陸佐森川和成,賠償専門官古澤秀一,(3)陸上
自衛隊第8師団司令部法務官室・3等陸佐講初靖,2等陸尉福山登之,(4)陸
上幕僚監部監理部法務課・民事訴訟専門官佐藤朋裕である(甲102)。
(本件事故処理の当事者)
3 陸上自衛隊西部方面総監部総務部法務課賠償専門官防衛事務官京極一司は,
平成13年8月30日別件訴訟第1審の国の指定代理人に指定された(甲2)。
京極事務官は,自衛隊が平成13年9月18日に行った事故再現見分に参加
し,同月19日事故現場見取図(甲23)を作成し,同見取図を別紙として添
付した平成13年11月5日付け準備書面(1)に指定代理人の一員として記載
されている(甲21)。
4 陸上自衛隊北熊本駐屯地業務隊防衛庁事務官古澤秀一(甲65)は,平成1
1年10月15日熊本赤十字病院に入院中の上告人を訪ね「昨日で自衛隊の調
査が終わった」と述べた。ちなみに,交通事故による賠償事故の発生の通知を
受けた駐屯地業務隊防衛庁事務官は,陸上自衛隊損害賠償規則(甲28)に基
づき,交通事故の実況見分調書,事故状況写真,供述書等事故に関する一切の
証拠を作成する(甲31)。
古澤事務官は,平成15年1月14日陸上自衛隊西部方面総監部法務課賠償
専門官として,別件訴訟控訴審の国の指定代理人に指定された(甲102)。
5 第8師団司令部付隊斉藤1尉(甲65)は,平成11年10月12日熊本赤
十字病院に入院中の上告人を訪ねた。
6 第8師団司令部付隊は,隊本部,車両小隊,管理小隊,保安警務隊及び師団
司令部勤務班で編成され,師団司令部の業務やその管理支援・車両の運行・車
27/30
両の誘導統制などを行っている(甲58)。本件事故当時,小野寺は管理小隊吉
田兼亮1尉指揮下の自衛隊車を運転していた(甲22・25)。
第8師団司令部付隊隊長近松3佐は,本件事故直後現場に到着し,現場検証
後小野寺を連れて小国に向かった(甲22・26)。
松島3佐隷下の保安警務隊は,犯罪の捜査はできないが,交通事故発生後の
現場保全や交通統制を行ない,警察官及び業務隊に捜査・処理を引き継ぐ。
(間ノ瀬巡査部長の実況見分に対する第8師団司令部付隊の関与)
7 本件実況見分調書(甲42)添付の写真(甲32①,⑦,⑪,⑫)に,間ノ
瀬巡査部長及び早水巡査長と作業帽の自衛官及び鉄帽の自衛官が写っている。
写真(甲33)は写真(甲32⑪)の拡大写真で,別件行政訴訟で原本の複
製が提出された。上記2名の自衛官は右腕に腕章を着けているから保安警務隊
所属である。作業帽の自衛官は,自衛隊写真(甲67①,②)(甲63)にも写
されていることなどから,第8師団司令部付隊隊長近松3佐である。
8 別件訴訟の代理人に指定された陸上自衛隊第8師団司令部法務官室(師団司
令部勤務班)の3等陸佐講初靖及び2等陸尉福山登之は,第8師団司令部付隊
隊長近松3佐の指揮下にあった(甲58)。
(事故再現見分の参加者)
9 被上告人は,「事故再現見分は,警務隊の協力得て自衛隊側で実施したもので
あり,甲27号証の写真のうち,ワイシャツ,ネクタイの着用は,防衛庁事務
官であり,オートバイの運転者は自衛隊の作業服を,その他は自衛隊の夏制服
を着用した自衛官である。なを,上告人は写真に写っている人物の特定を求め
ているが,本件訴訟における上告人の主張,立証を準備するために必要な事項
とは認められない(平成18年2月10日付け準備書面(1))」という。
事故再現写真(甲63)事故発生の状況1「バイクを確認した位置」の写真
の画面,草地の上に,①里程標の近くに立っている正体不明の人物から時計回
りに,②白色の帽子覆いの制帽の自衛官,③カメラを構えている自衛官,④腕
28/30
組みをしている自衛官,⑤自衛官,⑥作業帽作業服を着た自衛官の計6名が写
っている。道路上には,⑦オートバイの運転者と⑧路上を駆けている警官,⑨
路側に白色の鉄帽の自衛官が写されている。
事故再現写真(甲64)事故発生の状況4ブレーキを踏んだ地点の写真に写
っている人物は,画面左から,①バイクの後ろを支えている活動帽半そでシャ
ツの正体不明の人物,②バイクの後部を支えている半そでネクタイの青年,③
トランシバを手にしている長袖シャツネクタイの中年男性,④メモを取ってい
る半そでネクタイの青年,⑤バイクのハンドルを持った制帽夏制服の自衛官,
⑥カメラを構えている半そでネクタイの男性,⑦オートバイの運転者,⑧大型
トラックの運転者である。他に⑨この写真の撮影者がいる。
自衛隊関係は,防衛庁事務官(平服の人物は5名)は,写真の撮影者の,①
北熊本駐屯地業務隊総務科防衛庁事務官藤戸一昭,②湯布院駐屯地業務隊総務
科片山智裕及び,③西部方面総監部防衛事務官京極一司,④陸上幕僚監部監理
部法務課民事訴訟専門官早水朋裕,及び⑤氏名不詳の1名である。
自衛隊の夏制服を着用した自衛官は4名で,第8師団司令部法務官室①3等
陸佐講初靖,②2等陸尉福山登之並びに陸上自衛隊西部方面総監部法務課③3
等陸佐森川和成及び④氏名不詳の1名である。
(浅香らの認識可能性の有無・まとめ)
10 上記から,浅香らの一員である西部方面総監部(防衛事務官京極一司・古澤
秀一)及び第8師団司令部法務官室(3等陸佐講初靖・2等陸尉福山登之)の
自衛隊の事故調査及び間ノ瀬巡査部長の実況見分への関与は明らかで,本件証
拠資料の評価ができる立場にあった。
29/30
上告理由第9点 違法性についての浅香らの認識可能性
第1 不当訴訟における不法行為責任の要件事実(甲95・法律文献)
1 不当訴訟における不法行為責任の要件事実(請求原因事実)の構造は,
①:被侵害利益の存在,②:権利侵害の事実=違法性,③:故意・過失,④:
②と⑤間の因果関係,⑤:損害発生事実とその数額となる。
2 違法性の内容②は規範的要件と解されるから,その評価を根拠づける具体的
事実が主要事実となる。
3 応訴及び訴訟追行が不法行為を構成する要件は「応訴及び訴訟追行が裁判制
度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くこと」が違法性の内容となる。
4 浅香らの認識可能性の有無によって違法性が決せられる。
5 応訴者(浅香ら・国)が,積極的に虚偽事実を主張したり,証拠をねつ造し
たりすることまで許容されないから,虚偽事実の主張を伴う積極的否認や抗弁
の主張は違法と評価される。
第2 違法性についての浅香らの認識可能性
(別件訴訟の指定代理人)
1 別件訴訟第1審での指定代理人は, (1)東京法務局訟務部・部付浅香幹子,
上席訟務官加藤正一,法務事務官八木下孝義, (2)横浜地方法務局訟務部門・
上席訟務官池上照代,訟務官④渡部美和子,法務事務官宇山聡, (3)陸上自衛
隊西部方面総監部法務課・法務課長1等陸佐山本幸一,法務班長2等陸佐高橋
宗義,法務幹部3等陸佐森川和成,賠償専門官防衛庁事務官京極一司 (4)陸
上自衛隊第8師団司令部法務官室・法務官3等陸佐講初靖,法務幹部2等陸尉
26/30
福山登之, (5)陸上幕僚監部監理部法務課・民事訴訟専門官防衛庁事務官北
畠彰である(甲2)。
2 別件訴訟控訴審での指定代理人は,(1)東京法務局訟務部・部付浅香幹子,
法務事務官八木下孝義,(2)陸上自衛隊西部方面総監部法務課・1等陸佐林田
和彦,3等陸佐古野茂樹,3等陸佐森川和成,賠償専門官古澤秀一,(3)陸上
自衛隊第8師団司令部法務官室・3等陸佐講初靖,2等陸尉福山登之,(4)陸
上幕僚監部監理部法務課・民事訴訟専門官佐藤朋裕である(甲102)。
(本件事故処理の当事者)
3 陸上自衛隊西部方面総監部総務部法務課賠償専門官防衛事務官京極一司は,
平成13年8月30日別件訴訟第1審の国の指定代理人に指定された(甲2)。
京極事務官は,自衛隊が平成13年9月18日に行った事故再現見分に参加
し,同月19日事故現場見取図(甲23)を作成し,同見取図を別紙として添
付した平成13年11月5日付け準備書面(1)に指定代理人の一員として記載
されている(甲21)。
4 陸上自衛隊北熊本駐屯地業務隊防衛庁事務官古澤秀一(甲65)は,平成1
1年10月15日熊本赤十字病院に入院中の上告人を訪ね「昨日で自衛隊の調
査が終わった」と述べた。ちなみに,交通事故による賠償事故の発生の通知を
受けた駐屯地業務隊防衛庁事務官は,陸上自衛隊損害賠償規則(甲28)に基
づき,交通事故の実況見分調書,事故状況写真,供述書等事故に関する一切の
証拠を作成する(甲31)。
古澤事務官は,平成15年1月14日陸上自衛隊西部方面総監部法務課賠償
専門官として,別件訴訟控訴審の国の指定代理人に指定された(甲102)。
5 第8師団司令部付隊斉藤1尉(甲65)は,平成11年10月12日熊本赤
十字病院に入院中の上告人を訪ねた。
6 第8師団司令部付隊は,隊本部,車両小隊,管理小隊,保安警務隊及び師団
司令部勤務班で編成され,師団司令部の業務やその管理支援・車両の運行・車
27/30
両の誘導統制などを行っている(甲58)。本件事故当時,小野寺は管理小隊吉
田兼亮1尉指揮下の自衛隊車を運転していた(甲22・25)。
第8師団司令部付隊隊長近松3佐は,本件事故直後現場に到着し,現場検証
後小野寺を連れて小国に向かった(甲22・26)。
松島3佐隷下の保安警務隊は,犯罪の捜査はできないが,交通事故発生後の
現場保全や交通統制を行ない,警察官及び業務隊に捜査・処理を引き継ぐ。
(間ノ瀬巡査部長の実況見分に対する第8師団司令部付隊の関与)
7 本件実況見分調書(甲42)添付の写真(甲32①,⑦,⑪,⑫)に,間ノ
瀬巡査部長及び早水巡査長と作業帽の自衛官及び鉄帽の自衛官が写っている。
写真(甲33)は写真(甲32⑪)の拡大写真で,別件行政訴訟で原本の複
製が提出された。上記2名の自衛官は右腕に腕章を着けているから保安警務隊
所属である。作業帽の自衛官は,自衛隊写真(甲67①,②)(甲63)にも写
されていることなどから,第8師団司令部付隊隊長近松3佐である。
8 別件訴訟の代理人に指定された陸上自衛隊第8師団司令部法務官室(師団司
令部勤務班)の3等陸佐講初靖及び2等陸尉福山登之は,第8師団司令部付隊
隊長近松3佐の指揮下にあった(甲58)。
(事故再現見分の参加者)
9 被上告人は,「事故再現見分は,警務隊の協力得て自衛隊側で実施したもので
あり,甲27号証の写真のうち,ワイシャツ,ネクタイの着用は,防衛庁事務
官であり,オートバイの運転者は自衛隊の作業服を,その他は自衛隊の夏制服
を着用した自衛官である。なを,上告人は写真に写っている人物の特定を求め
ているが,本件訴訟における上告人の主張,立証を準備するために必要な事項
とは認められない(平成18年2月10日付け準備書面(1))」という。
事故再現写真(甲63)事故発生の状況1「バイクを確認した位置」の写真
の画面,草地の上に,①里程標の近くに立っている正体不明の人物から時計回
りに,②白色の帽子覆いの制帽の自衛官,③カメラを構えている自衛官,④腕
28/30
組みをしている自衛官,⑤自衛官,⑥作業帽作業服を着た自衛官の計6名が写
っている。道路上には,⑦オートバイの運転者と⑧路上を駆けている警官,⑨
路側に白色の鉄帽の自衛官が写されている。
事故再現写真(甲64)事故発生の状況4ブレーキを踏んだ地点の写真に写
っている人物は,画面左から,①バイクの後ろを支えている活動帽半そでシャ
ツの正体不明の人物,②バイクの後部を支えている半そでネクタイの青年,③
トランシバを手にしている長袖シャツネクタイの中年男性,④メモを取ってい
る半そでネクタイの青年,⑤バイクのハンドルを持った制帽夏制服の自衛官,
⑥カメラを構えている半そでネクタイの男性,⑦オートバイの運転者,⑧大型
トラックの運転者である。他に⑨この写真の撮影者がいる。
自衛隊関係は,防衛庁事務官(平服の人物は5名)は,写真の撮影者の,①
北熊本駐屯地業務隊総務科防衛庁事務官藤戸一昭,②湯布院駐屯地業務隊総務
科片山智裕及び,③西部方面総監部防衛事務官京極一司,④陸上幕僚監部監理
部法務課民事訴訟専門官早水朋裕,及び⑤氏名不詳の1名である。
自衛隊の夏制服を着用した自衛官は4名で,第8師団司令部法務官室①3等
陸佐講初靖,②2等陸尉福山登之並びに陸上自衛隊西部方面総監部法務課③3
等陸佐森川和成及び④氏名不詳の1名である。
(浅香らの認識可能性の有無・まとめ)
10 上記から,浅香らの一員である西部方面総監部(防衛事務官京極一司・古澤
秀一)及び第8師団司令部法務官室(3等陸佐講初靖・2等陸尉福山登之)の
自衛隊の事故調査及び間ノ瀬巡査部長の実況見分への関与は明らかで,本件証
拠資料の評価ができる立場にあった。
29/30