民事裁判の記録(国賠)・自衛隊車とバイクの交通事故の民事裁判

1・訟務検事の証拠資料のねつ造など不法な弁論。
2・玖珠署の違法な交通犯罪の捜査,虚偽の実況見分調書の作成

5:第1回口頭弁論調書

2005-12-09 14:00:00 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
                             裁判長認印 ○
        第 1 回 口 頭 弁 論 調 書 
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事 件 の 表 示|   平成17年(ワ)第3710号
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期    日 |   平成17年12月9日 午後1時15分
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場所及び公開の有無 |   横浜地方裁判所第9民事部法廷で公開
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裁判長裁判官  |   土  屋  文  昭
裁   判   官  |   市  村      弘
裁   判   官  |   吉  岡  あゆみ
裁判所書記官  |   高  良  建  次
-------------------------------------------------------------------------
出頭した当事者等   |   原      告   出羽やるか
              |   被告代理人  宮崎雅子
              |   被告代理人  熊谷勇人
              |   被告代理人  久保寺勝
              |   被告代理人  大當光憲
--------------------------------------------------------------------------
指 定 期 日   |   平成18年2月10日 午後1時15分
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                      弁  論  の  要  領   等
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原  告
   訴状陳述
被  告
   答弁書陳述
証拠関係別紙のとおり
                                 裁判所書記官 高良建次 印
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4:国賠・答弁書

2005-12-06 15:04:14 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
平成17年(ワ)第3710号国家賠償請求事件
原告  出羽やるか
被告  国


            答 弁 書
                         平成17年12月9日
横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中

               被告指定代理人  宮 崎  雅 子  代
                        熊 谷  勇 人  代
                        清 宮  克 美  
                        久保寺    勝
                        大 當  光 憲  代
                        小 田    昇  代

                一1一

第1 請求の趣旨に対する答弁
 1 原告の請求を棄却する。
 2 訴訟費用は原告の負担とする。
 3 仮執行の宣言は相当でないが,仮に仮執行宣言を付する場合は,
  (1) 担保を条件とする仮執行免脱宣言
  (2) その執行開始時期を判決が被告国に送達された後14日経過した時とする
    こと
  を求める。

第2請求の原因に対する認否
 1 「第1 当事者関係・責任原因」について
  (1) 「1 訴訟の提起」について
   認める。
  (2)「2 指定代理人」について
   認める。ただし,(2)の「横浜地方法務局訟務部」は,「横浜地方法務局訟務
   部門」が正しく,(3)の「高橋宗義」は,「橋宗義」が,「法務幹部 森川和
      成」は,「法務幹部 3等陸佐 森川和成」がそれぞれ正しく,(4)の「法務官
    2等陸佐 講初靖」は,「法務官 3等陸佐 講初靖」が正しく,(5)の「陸
   上幕僚監部管理部法務課」は,「陸上幕僚監部監理部法務課」が正しい。
  (3) 「3 責任原因」について
   浅香らが公務員であることは認め,その余は争う。
 2 「第2 事案の概要」について
  (1) 「1 交通事故の発生」について
   認める。
   ただし,「国(陸上自衛隊)所有の大型貨物自動車(33・1451。以下
   「本件大型トラック」という。)に牽引されたフル・トレーラ(80・242
                 一2一

   1)以下「本件トレーラ」といい,「本件大型トラック」と「本件トレーラ」
   とを併せて「自衛隊車両」という。)とが衝突」は,「国(陸上自衛隊)所有
      の73式大型トラック(33-1451)に牽引された野外炊事1号(炊事
   車)(80-2431)とが衝突」が正しい。
  (2) 「2 本件事故による原告の受傷,治療の経過及び診断書の警察提出」に
   ついて
    診断書記載事項は認め,その余は不知。
  (3) 「3 原告による国に対する損害賠償請求訴訟の提起,その結果」につい
   て
    認める。
  (4) 「4 原告による神奈川県公安委員会に対する行政訴訟の提起」について
   不知
  (5) 「5 別件訴訟第一審での訴訟の経緯」について
   おおむね認める。
   ただし,(4)第3回口頭弁論期日は,「平成14年1月28日」が正しい。
  (6) 「6 別件訴訟第一審での国の主張及び立証」について
   認める。
 3 「第3別件訴訟に於ける,浅香ら国の指定代理人の違法行為」について
   追って,準備書面において主張する。
 4 「第4原告の損害」について
   否認ないし争う。

第3 被告の主張
   原告が主張する,被告が,証拠資科を隠蔽破棄し提出しなかったこと,自衛
   隊の行った本件事故の実況見分を隠蔽したこと,証拠資料をねつ造,改ざんし
   たことについては,別件訴訟の判決文において,原告の主張が失当ないし理由
                  一3一
   が無い旨示されているところであるが,次回準備書面において,補充して主張
   する。
                  一4一


3-1:国賠・訴状 (p1-10)

2005-12-03 11:35:33 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
             訴     状
                        平成17年10月18日
横浜地方裁判所 御中
原告 出羽やるか  

〒000-0000神奈川県横浜市xx区xxx丁目xx番xx号(送達場所)
           原告 出羽やるか
                  電話045(000)0000
                  FAX 045(000)0000
〒100-8977東京都千代田区霞が関一丁目1番1号
           被告 国  代表者 法務大臣  南野 知恵子

国家賠償請求事件

 訴訟物の価額  30万円
 貼用印紙額   3000円

請求の趣旨
 1 被告は,原告に対し金3000万円の一部として30万円及びこれに対する
  訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  2 訴訟費用は被告の負担とする。
  との判決を求める。
                  1/21
請求の原因
第1  当事者関係・責任原因
 1 訴訟の提起
   原告は,平成13年7月23日に横浜地方裁判所に対し,自衛隊車の運
  行供用者である国を相手方(被告)として損害賠償請求訴訟(以下「別件訴訟」
  という。) を提起した(甲第1号証)(同庁平成13年(ワ)第2714号)。
 2 指定代理人
   国は,被告国のために別件訴訟につき裁判上の行為を行なう職員として下記
  の者を指定した(以下「浅香ら」という。)(甲第2号証)
  (1) 東京法務局訟務部,部付 浅香幹子,上席訟務官 加藤正一,法務事務官
   八木下孝義
  (2) 横浜地方法務局訟務部,上席訟務官 池上照代,訟務官 渡部美和子,法
   務事務官 宇山聡
  (3) 陸上自衛隊西部方面総監部法務課,法務課長 1等陸佐 山本幸一,法務
   班長 2等陸佐 高橋宗義,法務幹部 森川和成,賠償専門官 防衛庁事務
   官 京極一司
  (4) 陸上自衛隊第8師団司令部法務官室,法務官 2等陸佐 講初靖,法務幹
   部 2等陸尉 福山登之
  (5) 陸上幕僚監部管理部法務課 民事訴訟専門官 防衛庁事務官 北畠彰
 3 責任原因
   浅香らは,国の公権力の行使に当たる公務員であり,その職務を行なうにつ
  いて,故意または過失によって違法に原告に損害を加えたので,被告は,国家
  賠償法第1条に基づき,原告に生じた損害を賠償する責任がある。
第2  事案の概要
 1 交通事故の発生
  (1) 平成11年10月7日午前10時55分ころ,大分県玖珠郡九重町大字湯
                 2/21
   坪県道別府一の宮線水分起点34.9㎞先付近道路(以下「本件道路」とい
   う。)において,原告が運転する原告所有の普通自動二輪車(1横浜あ00
   00。以下「原告車」という。)と,小野寺秀和(以下「小野寺」という。)
   が運転する国(陸上自衛隊)所有の大型貨物自動車(33・1451。以下
   「本件大型トラック」という。)に牽引されたフル・トレーラ(80・24
   31。以下「本件トレーラ」といい,「本件大型トラック」と「本件トレー
   ラ」とを併せて「自衛隊車」という。)とが衝突ないし接触する交通事故が
   発生した(以下この交通事故を「本件事故」という。)。(甲第3号証)
 2  本件事故による原告の受傷,治療の経過及び診断書の警察提出
  (1) 原告は,平成11年10月7日事故後熊本赤十字病院(熊本市)に入院,
   手術を受け,術後安静・リハビリを施行,同10月30日転院となった。(甲
   第4号証)
  (2) 原告は,平成11年10月29日大分県玖珠警察署に,本件事故の見分官
   である玖珠警察署巡査部長,間ノ瀬久太(以下「間ノ瀬巡査部長」という。)
   を訪ね本件事故について話を聞き(甲第5号証),平成11年10月14日付
     け熊本赤十字病院の礒貝正久医師作成の,約3ヶ月の加療を必要とする見込
   みとの内容の診断書(甲第6号証)を提出した。
  (3) 原告は,転院先のxxx病院(横浜市)でリハビリ,骨移植・再固定の手
   術・抜釘術を受けた。リハビリを続けたが,右手指の拘縮及び握力の低下の
   改善認められず,平成13年4月24日症状固定となった。(甲第7号証)
 3  原告による国に対する損害賠償請求訴訟の提起,その結果
  (1) 原告は,平成13年7月23日に横浜地方裁判所に対し,自衛隊車の運
   行供用者である国を相手方(被告)として損害賠償請求訴訟(甲1)を提起し
   た(同庁平成13年(ワ)第2714号)が,同裁判所は平成14年8月30
   日に原告の請求を棄却する判決(甲第8号証)を言い渡した。
  (2) 原告は,上記判決に対し控訴した(同庁平成14年(ネ)第5154号)が,
                  3/21
   同裁判所は,平成15年2月4日に控訴を棄却する判決(甲第9証)を言い
   渡した。
  (3) 原告は,上記判決に対し最高裁判所に上告(同庁平成15年(オ)第97
   9号)をするとともに,上告受理の申立て(東京高等裁判所平成15年(ネ受)
   第112号)をした。東京高裁は平成15年4月11日に上告受理申立てを
   却下する決定をしたので,原告が許可抗告の申立て(同庁平成15年(ラ許)
   第128号)をしたが,東京高裁は平成15年5月6日に不許可の決定をした。
   そこで,原告は,この不許可の決定に対し特別抗告の申立てをした(最高裁
   判所平成15年(ク)第568号)。最高裁判所は,平成15年9月12日
   に,上記の上告及び特別抗告に対し,上告を棄却する決定(甲第10号証)
   及び抗告を棄却する決定(甲第11号証)をした。
  (4) 別件訴訟の経緯,原告の主張は,上告理由書(甲第12号証)・同付属書
   類(甲第13号証),上告受理申立理由書(甲第14号証)同付属書類(甲
   第15号証)及び特別抗告理由書(甲第16号証)記載のとおりであるから
   これを引用する。
    最高裁は,東京高裁の明らかな判断遺脱を上告理由と認めず,上告受理の
   申立てに係る事件が民訴法318条1項の事件に当たるか否かを,東京高裁
   が判断し,当該事件が同項の事件に当たらないとして,同条5項,同法31
   6条1項により,決定で上告受理の申立てを却下することを許したのである。 
 4  原告による神奈川県公安委員会に対する行政訴訟の提起
  (1) 原告は,平成16年6月14日に横浜地方裁判所に対し,神奈川県公安委
   員会を相手方(被告)として,同委員会が原告に対し平成16年4月20付
   けでした運転免許更新処分のうち原告を一般運転者として認定したことにつ
   いて,その理由となる安全運転義務違反の事実がなかったと主張して,その
   部分の取消を求め,行政処分取消請求訴訟(以下「別件行政訴訟」という。)
   を提起した(同庁平成16年(行ウ)第37号)が,同裁判所は平成17年4
                  4/21
   月20日に原告の請求を棄却する判決(甲第17号証)を言い渡した。
  (2) 原告は,平成17年4月27日,上記判決に対し東京高等裁判所に控訴した
   (同庁平成17年(行コ第144号)。判決言渡期日は平成17年11月16
    日と決定された。
  (3) 別件行政訴訟の経緯,原告の主張は,控訴理由書(甲第18号証)・証拠説
   明書(甲第19号証)記載のとおりであるからこれを引用する。
 5 別件訴訟第一審での訴訟の経緯
  (1) 訴訟提起  平成13年7月23日 原告 訴状(甲1)提出
  (2) 第1回弁論 平成13年9月3日
    原告 訴状陳述, 被告 答弁書(甲第20号証)陳述
  (3) 第2回弁論 平成13年11月5日
   原告準備書面(1) 陳述
   被告 平成13年11月5日準備書面(1)(甲第21号証)陳述
   (4) 第3回弁論 平成14年1月15日
   原告  準備書面(2) 陳述
   被告 証拠(人証)申出
  (5) 第4回弁論 平成14年3月25日
   証人調書(甲第22号証)
  (6) 第5回弁論 平成14年6月17日
    原告 準備書面(平成14年6月10日付け) 陳述
    裁判官 弁論終結
  (7) 判決言渡し 平成14年8月30日(甲8)
 6 別件訴訟第一審での国の主張及び立証
   浅香らは,平成13年11月5日第2回弁論期日に,準備書面(1)(甲21)
  及び別紙事故現場見取図(甲第23号証)並びに「事故現場写真」(甲第24号
  証),小野寺の陳述書(甲第25号証),本件大型トラックの助手であった2等
                  5/21
  陸曹片岡高房(以下「片岡陸曹」という。)の陳述書(甲第26号証)及び事故
  状況再現写真」(甲第27号証)などを提出した。浅香らが,別件訴訟第一審で
  提出した準備書面及び主な書証は上記以外にない。
第3 別件訴訟に於ける,浅香ら国の指定代理人の違法行為
 1 浅香らは信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない義務があり
  (民事訴訟法第2条),国は,正義を実現し国民を庇護すべき立場にあるから,
  民事訴訟の当事者となった場合でも,通常の当事者とは異なり,事件の解明に
  役立つ資料は進んで全部提出し,真実の発見に協力すべきである。(東京高裁決
  定昭和50.8.7)。国の代理人である訟務職員が個々の事件の指定代理人と
  して訴訟を担当するに当たっては,国家行政組織の中で仕事をするわけだから,
  その職責は正義(ジャステス)の実現に対する奉仕であることを念頭に置かね
  ばならない。(法務省訟務統括審議官 都築弘)
 2 浅香らには本件事故の証拠資料のねつ造・改ざんを行なった違法がある。
第1点 証拠資料を隠蔽破棄し,提出しない違法
  1 警務隊の調査資料について
  2 玖珠警察署の実況見分調書について
  3 車両使用請求書・車両運行指令書について
  4 当事者照会について
  5 運行記録計について
 1 警務隊の調査資料について
  (1) 文書提出命令の申立て
    原告は,平成13年9月3日付けで,陸上自衛隊北熊本業務隊の所有する
   本件事故に関する調査資料の提出を申し立てたが,別件訴訟第一審裁判所は
   採否の決定を行わず文書は提出されなかった。
    原告は,平成13年11月21日に防衛庁長官に対し本件事故に関する発
   生報告書及び関係証拠書類等の行政文書の開示を請求した。防衛庁長官は,
                  6/21
   平成13年12月25日付けの行政文書開示決定通知書で,開示する行政文
   書の名称として,「事故現場見取図」,「事故現場写真」,「陳述書」及び「自
   動車検査証」(請求のあった北熊本駐屯地業務隊作成の文書は存在しないが,
   請求文書と同様のものとしては上記文書が存在する。「発生報告書」及び「実
   況見分調書」は,自衛隊が損害賠償の責に任ずる場合に作成されるものであ
   り,本件に関しては作成されていない。)」と通知した。上記開示文書は相手
   方が提出した書証の,「事故現場見取図 別紙」(甲23)「事故現場写真」(甲
   24)「陳述書」(甲25),(甲26)と同一のものである。
    事故発生時の報告,調査については,陸上自衛隊損害賠償実施規則(達3
   4-5)第2章に規定されている(甲第28号証)。規則第7条(発生報告)
   に,「(事故発生の通知を受けた場合,駐屯地業務隊等の長等は,陸上自衛
   隊に賠償責任がないものと思料される事故であっても現実に損害が発生し,
   かつ,将来賠償請求の可能性のある事故,又は政治的,社会的に重大な影響
   を及ぼすと認められる事故についての報告漏れのないよう特に留意するもの
   とする。(法定第1号)」,との規定がある。
     本件自衛隊車は戦闘団訓練検閲に参加するため師団規模で日出生台演習場
   向け移動中であった。戦闘団訓練検閲は2年に1回実施される師団で最も重
   要な行事である。(甲22・速記録11-12頁)日出生台演習場は,西日本
   最大の陸上自衛隊の演習場で,日米の実弾射撃演習に対し組織的な反対運動
   があり,演習中に事故が起きた時や,米軍の演習が行なわれる場合にニュー
   スになる日本でも有数の演習場である。
    本件事故は,方面総監が賠償実施権者となる重傷事故による損害が実際に
   発生した事故にあたる。よって,本件に関しては,「発生報告書」及び「実況
   見分調書」が作成されていないとは考えられない。
    本件交通事故で,玖珠警察署の司法警察員は,被害車両の運転者である原
   告を道路交通法第70条違反容疑の被疑者として取り調べ,被疑者供述調書
                  7/21
   を作成した。本件事故は,自衛官の犯した犯罪であり,移動する部隊に随伴
   していた警務官が警察官に先んじて知った事案であるから,自衛隊車の運転
   者である小野寺は刑法211条の被疑者として司法警察員(警務官・警察官)
   の取調べを受け,被疑者供述調書が作成される。しかし,小野寺は玖珠警察
   署では事情聴取は受けたが,被疑者としては調べられていないという(甲2
   2・速記録24頁)。また,自衛隊の調査に付いて小野寺は,今回の事故のよ
   うな,自分の方に過失がない場合には,そんな調書等は取られない。警務官
   は供述調書を取っていないと述べている(甲22・速記録24頁)。本件は微
   罪処分にできない事案であるから,司法警察職員は事件の捜査を行い,送致
   しなければならない。送致を受けた検察官が不起訴処分をして初めて,小野
   寺に刑法上の過失がなく,民事上の争いがない場合に初めて自衛隊は損害賠
   償の責任がないといえるのである。
    警務官が本件事故の捜査を事故直後行っていないとは考えられないことか
   ら,北熊本の警務隊が本件の捜査資料を破棄又は隠蔽している疑いが強いと
   して,原告は別件訴訟控訴審裁判所に,文書提出命令(平成13年9月3日
   付け)の申立を採用されるようにあらためて求めた。
  (2) 国は答弁書で下記の抗弁をした。
   原告は,損害賠償実施規則7条は,陸上自衛隊に賠償責任がないものと思料
   される事故であっても現実に損害が発生し,かつ,将来賠償請求の可能性の
   ある事故,又は政治的,社会的に重大な影響を及ぼすと認められる事故につ
   いての報告漏れのないように特に留意するものとすると規定することから,
   本件事故について,陸上自衛隊北熊本駐屯地業務隊において,「発生報告書」
   及び「実況見分調書」が作成されていないとは考えられないと主張する。し
   かしながら,本件事故は,そもそも,警察の実況見分の結果等から事故原因
   は一方的に原告の側にあり,原告からは本件事故が提訴されるまで損害賠償
   についての要求がなかったものであって,将来賠償請求の可能性はないもの
                  8/21
   と考えられたものであり,また,本件事故の態様,被害状況からして,政治
   的,社会的に重大な影響を及ぼすとは認められるものではないから,上記同
   規則7条1項第2文に該当するものではない。したがって,損害賠償実施規
   則に基づく行政文書が存在しないのは何ら不自然なものではなく,原告の主
   張は失当である。また,原告は,警務官が本件事故の捜査を事故直後行って
   いないとは考えられないなどとして,北熊本の警務隊が本件の捜査資料を破
   棄又は隠蔽している疑いが強いと主張する。しかしながら,「自衛隊と警察と
   の犯罪捜査に関する協定」及び「自衛隊と警察との犯罪捜査に関する協定の運
   用に関する了解事項」は,道路交通法に定める車両の交通に関する犯罪に付
   いて,人の死傷又は物の損壊をともなうものにあっては,自衛隊の隊員が犯
   したものであり,被害者が自衛隊の隊員である場合又は被害物件が自衛隊の
   所有し,若しくは使用する物件である場合においては,警務官が分担し,そ
   の他の場合においては,すべて警察官が分担することと規定しており,仮に
   本件事故が犯罪行為に該当するとしても,被害者が自衛隊の隊員ではないか
   ら,本件事故の捜査担任は警察官であり,警務隊により本件事故に関する捜
   査資料が作成されるものではない。したがって北熊本の警務隊が本件捜査資
   料を破棄又は隠蔽している疑いがあるなどとする相手方の主張は失当である
  (3) 原告は下記の再抗弁をした。
    原告は,平成11年11月1日に横浜市のxxx病院に転院し,同病院医
   務課の事故担当者の助言もあり,転院を通知するため陸上自衛隊北熊本駐屯
   地業務隊防衛庁事務官奥田重盛に電話をした。「にし」と名乗る女性が応対し
   奥田は出張で当分帰らないと述べたので,転院先を伝え奥田が帰ったら連絡
   をするように依頼した。以来奥田を含め自衛隊からの連絡はなかった。原告
   は,平成11年11月15日に玖珠警察署からの出頭通知書を受け取り,玖
   珠警察署の間ノ瀬巡査部長に電話し出頭しない旨通告し,事件の「綴りこみ
   」を拒否した。刑事・民事で争うことの意思表示でもあった。
                  9/21
    国は,本件事故は将来賠償請求の可能性はないものと考えたという。本件
   自衛隊車は自賠責保険に加入していないから自賠責保険の補償の対象とはな
   らず,自賠法72条の規定による政府の保障事業の保障の対象ともならず,
   任意保険も自損事故保険金の支払いも認めないので,救済は全くなく,自賠
   責の損害保険会社は関与せず,自衛隊側に損害が生じていないから任意保険
   の損害保険会社も関与しないので,賠償請求は被害者個人が国を相手にしな
   ければならない。記憶も証拠も(金も!力も!)ない遠隔地のよそ者に何が
   できるか,勝ち目が少なく採算の取れない国賠事件を引き受ける弁護士など
   いない,警察も裁判所も同じ公務員で身内だから争っても無駄だ,訴訟を起
   こすのは世間体が悪いので泣き寝入るのが普通だとでも考えたのであろうが
   失当である。本件事故は,少なくとも,現実に損害が発生し,かつ,将来賠
   償請求の可能性のある事故という要件を満たす事故であるから,政治的,社
   会的な影響がないとしても損害賠償実施規則第7条に基づく報告書が存在し
   なければならない。本件交通事故の捜査は警察官が分担することは認める。
   しかし,警務官は,常に警察と密接な連絡協調を図るとともに,捜査に関す
   る警察との協定に定めるところによって捜査を行うのである。警務官が捜査
   をしてはいけないとか捜査をしなくてもよいということではない。警務官は
   警察の捜査資料に基づいて警務官の調査資料を作成し報告することになる。
   国は,答弁書で「本件事故は,そもそも,警察の実況見分の結果等から事故
   原因は一方的に原告の側にあり,」と主張するが,この警察の実況見分の結果
   を記した調書は法廷に提出されていない。
 2 玖珠警察署の実況見分調書について
  (1) 国は,準備書面で事故後に行われた警察の実況検分においても確認されて
   いる等というが引用している事故直後警察が作成した見分調書・現場見取図
   等を一切提出していない。自ら作成した見取図も証拠資料としていない。
  (2) 原告は,平成13年9月3日大分検察庁日田支部の所持する実況見分調書
                 10/21   
   

3-2:国賠・訴状 (p11-18)

2005-12-03 11:23:48 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
   等の文書送付嘱託を第1回弁論期日に第一審裁判所に申し立てた。裁判所は
   直には採用せず,平成14年1月28日第3回弁論期日になって採用し,調
   書は平成14年2月15日に到着した。この調書は平成13年9月27日に
   作成されている。
   (3) 原告は,平成13年11月5日大分県玖珠警察署の所持する,平成11年
   事故直後に作成された,実況見分調書等の文書送付嘱託を第2回弁論期日に
   第一審裁判所に申し立てた。裁判所は直には採用せず,平成14年1月28
   日第3回弁論期日になって採用した。玖珠警察署は,「平成13年11月20
   日に日田区検察庁に関係書類とともに送致している。」と回答した。
  (4) 以上から,事故直後に行われた実況見分の結果を記載した実況見分調書は
   法廷に提出されていない。自賠法3条の無過失についての証明責任を負う相
   手方が,本来提出すべき警察官又は警務官による,捜査報告書・事故調査報
   告書・事故直後行われた実況見分調書等を一切証拠として提出しない。
 3 車両使用請求書・車両運行指令書について
  (1) 原告は平成14年4月24日に,第42普通科連隊が所持する,自衛隊車
   の平成11年10月7日から平成11年10月15日を含む期間が記載され
   ている上記書面の文書送付を申し立てた。
  (2) 第一審裁判所は,採否の決定を行わず提出されなかった。
  (3) この書類は当事者間に争いのある下記事項を明らかにするのに必要である。
   ① 事故後の自衛隊車の操縦手はどの時点で誰が任命されたか。(自衛隊車
    を事故直後の停止位置から移動した操縦手は誰か。)
   ② 自衛隊車が事故現場を離れた時刻
   ③ 演習地から帰ったあと,自衛隊の実地調査が行われた事実
   ④ 事故当時の自衛隊車の車長は誰であったか。(小野寺は証人尋問で車長
    であったことを否定している。)
   ⑤ 小野寺は事故当時自衛隊車の操縦手に任命されていたか。
                 11/21
  (4) 国には原告の証拠資料への接近を妨害した違法がある。
 4 当事者照会について
  (1) 原告は,平成14年5月27日原告は民事訴訟法第163条による当事者
   照会をおこなった。(甲第29号証)
  (2) 照会事項は,①平成14年3月25日証人小野寺の速記録に記載された証
   言中言及された「近松3佐」について(本件事故当時の)氏名及び階級,職
   種及び職務,所属部隊(例えば保安中隊),特別司法警察職員か否か,事故当
   日の動静(事故現場に到着した時刻および経緯,事故現場を離れた時刻およ
   び小国に到着した時刻を含む),②乙第1号証〔事故現場写真〕(甲24)に
   写されている人物の特定:事故当時の道路状況(別府方面から熊本方面)に
   写されている人物;警官と話している自衛官の氏名・階級・職務及び所属部
   隊;自衛官と話している警官の氏名・階級及び所属,③乙第4号証〔事故状
   況再現写真〕(甲27)に写されている人物の特定:事故発生の状況の4,ブ
   レーキを踏んだ地点に写されている下記警官の氏名・階級及び所属,バイク
   のハンドルを両手で支えている警官,バイクの後部を持っている警官,ヘル
   メットをかぶっている警官,事故現場の車両状況の3,③-ハを見通した位
   置に写されている警官のうち,上記1-3に写されていない4人目の警官の
   氏名・階級及び所属 ④玖珠警察の実況見分調書の写真に写されている人物
   の特定:写真⑦に写されている下記警官の氏名・階級及び所属;作業帽をか
   ぶっている自衛官,ヘルメットをかぶっている自衛官,警官である。
  (3) 照会に対し平成14年6月7日国が回答書を提出した(甲30)。国は,本
   件照会事項は原告の主張とどのような関係に立つのか不明確であり,「主張
   又は立証を準備するために必要な事項」に該当するものとは認められないの
   で,当事者照会の対象にならないとして全ての照会事項に回答しない。
  (4) 照会事項は証人尋問の記録や事故現場の証拠写真の内容等についての照会
   で,同条に定める除外理由に該当しない。その他当事者照会の要件を満たし
                 12/21
   ている。主張又は立証を準備するために必要な事項とあるが,主張責任,立
   証責任を負う事項に限らず,反論や反証のための準備に要する事項も含まれ
   る。また,「準備するため」であるから,照会事項それ自体が主張,立証に直
   接結びつく必要はなく,何らかの関連性のある事項であれば,間接的な事項
   についてまで広く照会することができると解すべきである。本案件では,情
   報が国に偏在しており,国の持つ情報の開示が訴訟の充実をはかるために不
   可欠である。例えば,「近松3佐」についての情報は,玖珠署の間ノ瀬巡査部
   長が事故後小国警察署から横浜の原告の自宅に電話した事実など,本件事故
   後の自衛隊,小国警察署及び玖珠警察署の捜査状況を明らかにするのに必要
   である。
  (5) 原告は,本件事故の調査ができず,証人とすべき人証の特定ができないの
   で証拠申出ができない。
  (6) 事故現場写真(甲24)の写真に,長者原の交番の警察官及び小国警察署
   の警官2名は写されているが,事故直後実況見分をしたと主張する玖珠警察
   署の警察官・堀部警部補及び間ノ瀬巡査部長の映像がないことが明らかであ
   る。事故直後の事故現場の捜査・見分は,警務官(近松3佐),長者原の交番
   の警官(早水巡査長)及び小国警察署の署員2名で行われたと推認される。
 5 運行記録計について
  (1) 原告は,別件訴訟控訴審第1回口頭弁論期日に,準備書面(1)を陳述し,
   運行記録計について下記のとおり主張した。
    「73式大型トラックの保安基準は,自衛隊の使用する自動車に関する訓
   令第10条により別冊1で定められている。別冊1の項目45で運行記録計
   を備えることになっている。この記録計は,24時間以上の継続時間内にお
   ける当該自動車について,すべての時刻における瞬間速度とすべての2時刻
   間における走行距離を自動的に記録できる構造である。
    運行記録計を備えなければならないこととされている自動車の使用者は、
                 13/21
   運行記録計により記録された当該自動車に係る記録を、内閣府令で定めると
   ころにより一年間保存しなければならない。(道路交通法第63条の2)
    航空機事故の調査にフライトレコーダー(飛行記録装置)の解析が欠かせ
   ないのと同じく,本件交通事故の調査には当該運行記録計のチャート(記録
   紙)の解析が事故の真相解明に必要である。たとえば,本件で当事者間に争
   いがある,本件事故現場に進入時の速力,草地に移動したかどうか,事故現
   場を離れた時間なども記録紙から読み取れる。然るに国は当該記録紙を提出
   せず,その存在すら言及していない。」
  (2) 大型トラックが人身事故を起こした場合,通常,捜査を行う司法警察職員
   は第一に運行記録計の記録紙の任意提出を求め領置し,所有権を任意に放棄
   させ,実況見分調書に証拠として添付するのが捜査の基本である。
       本件事故の場合,運行記録計の記録紙が添付されていない実況見分調書等
   の資料は適法に作成されているとはいえない。
第2点 自衛隊の行った実況見分の隠蔽
 1 陸上自衛隊損害賠償実施規則
   陸上自衛隊損害賠償実施規則(甲28)に基づき,業務隊長の作成する書類
  は,(ア)発生報告書(法定第1号),別添 事故現場見取図,(イ) 賠償実施
  結果報告書(法定第2号)添付書類 認定書(別添,証拠目録)及び和解契約
  書などである。(甲第31号証)
   別添の証拠には,①実況見分調書,②事故状況等写真,③供述書,④申立書,
  ⑤運転免許証,⑥自動車車検証,⑦根拠命令等,⑧車両運行指令書,ならびに,
  損害賠償に関する書類(請求書,委任状)などがある。
 2 原告は,別件訴訟第一審横浜地裁に,業務隊が作成する上記文書の,提出命
  令と送付嘱託を申し立てたが,同地裁は採否を決定せず,上記文書は提出され
  ないまま結審した。
 3 防衛庁は,「発生報告書」及び「実況見分調書」は,自衛隊が損害賠償の責に
                 14/21
  任ずる場合に作成されるものであり,本件に関しては作成されていないという
  が,上記規則(甲28)から信用できない。
   本件は,入院療養見込み期間が3箇月で,2箇月以上の人身事故であるから
  賠償実施権者は方面総監である。駐屯地の業務隊が賠償責任の有無を決めるこ
  とはできない。
 4 原告が入手した,開示された行政文書(甲31)の,平成8年2月16日北
  海道古宇郡で発生した事故の場合,発生当日の16日に警察及び警務隊が現場
  検証し, 19日操縦手の2等陸曹の供述書を,20日に相手車の運転者の申立
  書を駐屯地業務隊の防衛事務官がとり記録した。20日に同事務官が実況見分
  調書を作成し,同月26日に業務隊長が方面総監に発生報告書で報告している。
  同年3月12日には賠償実施結果報告書で報告し処理を終わっている
 5  本件事故現場に,事故10分後の午前11時5分ころから,午前11時50
  分に現場に到着した早水巡査長が小国署員からの捜査の引継ぎを終える時間ま
  では,複数の警務隊員及び近松3佐(師団司令部付隊長)が現場にいて,事故
  現場保存,捜査・実況見分,現場写真撮影など行なったことは証拠上明らかで
  ある。(甲24,甲25,甲26)
 6  別件訴訟で小野寺は「今回の事故のような,私のほうに過失がない場合には,
  そんな調書等は取られません。」と証言している(甲22の24頁)。甲25,
  甲26は「陳述書」であり,別件訴訟の国の代理人に対して話したことを代理
  人が浄書したものである。
 7  平成11年10月15日に,北熊本駐屯地業務隊防衛庁事務官奥田重盛が熊
  本赤十字病院に入院中の原告を訪ねたが本件事故の態様などについては一切ふ
  れず,原告の「申立」の有無についても一切言及していない。
 8 本件は,入院療養見込み期間が2箇月以上の人身事故であるのに,北熊本駐
  屯地業務隊は,当事者の供述書等を取らず,実況見分調書を作成せず,小野寺
  に過失はないと決定した。
                  15/21
 9 自衛隊は,規則遵守や書類の作成など,形式は重んじる組織であるから,本
  件の場合も,北熊本駐屯地業務隊は,陸上自衛隊に賠償責任がないものと思料
  される事故としての発生報告書及び事故現場見取図を作成し,方面総監に報告
  したと推認される。
     発生報告書の保存期間は10年とされているから(甲31の5)業務隊長か
  ら方面総監宛の文書が現存している。上記の文書には,原告が別件訴訟で送付
  嘱託を申し立てた「車両運行指令書」も含まれている。
 10  平成13年7月23日に別件訴訟の提起をうけた国(自衛隊)は,自衛隊が
  平成13 年9月18日に本件事故状況を再現して実況見分(以下「事故再現見
  分」という)を行なって作成したという,別紙の事故現場見取図(甲23)お
  よび事故状況を再現した写真(甲27)に基づき状況を説明した平成13年1
  1月5日付け準備書面(1) (甲21)を提出した。
 11 事故再現見分に対する玖珠警察署の関与
  (1) 事故再現見分について,上記の準備書面には玖珠警察署の関与についての
   記載はなく,玖珠警察署も関与を否定している。
  (2) 原告は,別件訴訟で当事者照会書を提出し,甲27の写真に写っている人
   物の特定を求めた,釈明の必要はないとして応じなかった。
  (3) <甲27の事故発生の状況1「バイクを確認した位置」の写真の画面に,①
   里程標の近くに立っている白色の帽子覆いの制帽の警官,②カメラを構えて
   いる警官,③腕組みをしている警官,④自衛官と③の警官とのあいだに立っ
   ている警官,⑤路上を駆けている警官が同時に写されている。
  (4) 事故発生の状況4ブレーキを踏んだ地点の写真に写っている人物は,①バ
   イクの後ろを支えている活動帽半そでシャツの警官,②バイクのハンドルを
   持った制帽夏制服の警官,③トランシバを手にしている長袖シャツネクタイ
   の中年男性,④メモを取っている半そでネクタイの青年,⑤バイクの後部を
   支えている半そでネクタイの青年,⑥カメラを構えている半そでネクタイの
                 16/21
   男性,⑦白バイの運転者,⑧大型トラックの運転者である。他に⑨この写真
   の撮影者がいる。その他に交通統制等を行なっている制服の自衛隊員が写さ
   れている。
  (5) 警察官は4,5名,自衛隊の関係は,防衛庁事務官(平服の人物)が総監
   部,熊本業務隊,湯布院業務隊からあわせて5名以上,自衛隊員(制服・作
   業服)は,業務隊幹部(ウ1の作業帽の),自衛隊車と白バイの運転者及び交
   通統制をしている制服の複数の自衛官などが写されている。
  (6) 警官は少なくとも4名は参加しているから,本件事故処理に関与した警官
   の,堀部警部補,間ノ瀬巡査部長および早水巡査長の全員が参加していると
   推断される。特に(4)の①,(4)の②,(3)の②の人物の特定を求める。
  (7) 玖珠警察署は「警察官らが現場に赴いた目的は,自衛隊が現地調査時に事
   故防止措置を執っているかを確認するためであり,離れた地点から同調査を
   見守っていた。」と主張するが,事実でないことは写真からも明らかである。
 12 事故再現見分の必要性
  (1)  本件事故処理の特異な点は,事故後数分で,随伴していた,交通事故処理
   を主任務のひとつとする自衛隊保安警務隊が隊長以下到着し,現場保存,交
   通統制及び捜査・実況見分をおこない,その後熊本県警の小国署員2名が到
   着,そのまた後に管轄の大分県警玖珠警察署の早水巡査長が現場に到着し,
   実況見分しながら小国署員から捜査を引き継いだことである。引継ぎの様子
   は写真(甲24)に写っている。
  (2)  警務隊員が基本に従い捜査を行なったことは,バイクの転倒位置の印をつ
   けた写真があることからもうかがえる。(甲24の写真⑧・原告車転倒位置
   「白い部分」,玖珠署実況見分調書添付写真(甲第32号証)の写真⑮・⑯)
  (3)  警務隊の行なった実況見分の結果を録取すれば一級の実況見分調書が完
   成する。なぜ再現見分を行なったか。本件事故の見分の結果は自衛隊車の全
   面的過失によるものであったから,事故を作り直したのである。
                 17/21
  (4) 浅香らは,本件事故の経過を準備書面(甲21の5頁)で「小野寺は,右
   方向の杉林が途切れた①の地点で,イ地点の原告車を確認した」と主張して
   いたが,実際には草木に遮られて見通せない。各地点は,事故現場見取図(甲
   23)参照。
  (5) 事故現場写真(甲24)の事故当日の道路状況(熊本方面から別府方面)
   を見ると,右方向の草地に,自衛隊員の背丈の2倍近い草木が茂っている。
   同じ場所を写した,事故状況再現写真の事故発生の状況1,バイクを確認し
   た位置の写真では,草木が警官の腰の高さ以下に刈り取られている(甲27)。
   事故再現写真の,右手草地の草木の状態は,事故当時と著しく相違している。
   この重要な事実について,国(自衛隊)はなんら言及せず,事故当時の状況
   を再現したものだと主張している。
 13 事故再現見分の信頼性
   事故現場見取図(甲23)で,原告車の急ブレーキによるタイヤ痕の位置を,
   「現場見取り図においては,同図作成当時,すでに急ブレーキによるタイヤ痕
   が消失していたが,同写真におけるセンターライン(黄色)の中央部分のひび
   割れ部分から,小野寺が及び片岡が確認の上,タイヤ痕の位置を特定した。(甲
   21の6頁)」という。事故再現見分が行なわれたのは,平成13年9月18日
   であるから,事故から712日経過している。「急ブレーキによるタイヤ痕の位
   置」は,国が主張する衝突位置を決定した唯一の証拠である。これにより,原
   告の全面的過失による事故とされ,原告は特別刑法の被疑者として送致された
   のである。浅香らの主張は,不法というか,無法な主張である。
第3点 証拠資料のねつ造・改ざん(KP34.9の里程標)
 1 原告は,実況見分調書添付の写真(甲第32号証)⑪の写真)の「里程標」
  は,事故当日同位置に存在しないと主張した。原告の主張は,別訴国賠の上告
  理由申立て理由書第2点(甲14)及び別件行政訴訟の控訴理由書第4点(甲
  18)のとおりであるからこれらを引用する。
                 18/21

3-3:国賠・訴状 (p19-21)

2005-12-03 11:19:33 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
 2 原告の主張として以下の点をあげる。
  (1) 事故当日,事故現場見取図(甲23)のKP34.9の位置に里程標は存
   在しない。原告が平成11年11月29日に撮影したKP34.9付近の写
   真には里程標は撮影されていない。上告受理申立理由書付属書類(甲15)
   の別紙1の写真)
  (2) 警察,自衛隊の撮影したKP34.9の里程標の写真と原告が平成撮影し
   た写真に写っている同里程標とは,地上高及び設置されている位置が異なる。
   (甲第35号証)
  (3) 事故当時,本件道路の里程標は,キロメートル標(ポスト)と100メー
   トル標では形状寸法が異なっていた。警察,自衛隊の写真には,キロメート
   ル標と同じ形状寸法の100メートル標が写っている。 
 3  別件行政訴訟で,担当裁判官の適切な釈明により,神奈川県公安委員会は,
  平成17年1月18日付けで,乙4号証として実況見分調書に添付された写真
  ⑪の拡大写真(甲第33号証)を提出した。
    甲34の写真①は,甲33の拡大写真である。甲34の写真②は,原告が平
    成13年10月30日に撮影した写真を拡大し,写真①の画面と同じになるよ
  うトリミングした写真である。基点となるものとして,(1)ガードレール上の2
  個の視線誘導標,(2)その延長上にある擁壁上の(警ら車の後窓を通して見える)
  警戒標識,(3)間ノ瀬巡査部長の後ろにある警戒標識がある。
   ガードレールの袖の視線誘導標を基点として写真①と②を重ね合わせ(透か
  して)見ると,(2)の警戒標識の高さは一致するが,写真②の里程標の標示板は
  自衛官の肩付近の高さに位置する。写真①の標示板は自衛官の臀部に写ってい
  るから,①の標示板は明らかに②の標示板より低い。
第4点 証拠資料のねつ造・改ざん(KP34.9付近の警戒標識)
 1 写真加工の実例
   <甲35の写真①の間ノ瀬巡査部長の後ろに写っている,「黄色の地に黒色の
                 19/21
  <<」の見慣れない警戒標識がある。(甲23に「安全標識」と特に記載している。)
  この警戒標識の写真に違和感がある。
 2 写真③及びに,擁壁上に2個の警戒標識がある。小国方面(南)に向かう
  車に,前方に左急カーブがあることを示す警戒標識であると理解される。
 3 写真①の警戒標識は「黄色の地に黒色のくく」であるが,写真③と⑧は,「黒
  色の地に黄色のくく」である。この違いは,写真①②,写真⑪⑫⑬でも確認で
  る。なんで違うのか。
 4 写真⑫は写真①と同じ場所を写しているが警戒標識の写り方が違う。はっき
  り違う,誰が見ても違う。
 5 南行きの車に対する警戒標識であるから,標識を通り過ぎ,カーブの南にい
  くと見える面が少なくなる。ところが,写真⑤を見ると,北行きの車から,間
  ノ瀬巡査部長の後ろに警戒標識が大きくはっきりみえる。おかしい。
  6 写真⑦は,写真①と同じ付近の道路を写している。左手に写っている複数の
  警察官と自衛官の背景は黒く塗りつぶされていて草木の茂り具合はわからない。
  しかし,問題の警戒標識だけはなぜか写っている。標識にこだわっている。
 7 写真④を見ると,問題の警戒標識は茂った草木に隠されて,間ノ瀬巡査部長
  に向かって左上に,わずかにのぞいているだけである。写真①の警戒標識は,
  茂った草木に隠されていたのだ。
 8 写真⑤に里程標を挿入したとき,問題の警戒標識が草木に隠れていたので,
  ついでに,小型警ら車から間ノ瀬巡査部長にかけての背景を加工し,草木を消
  し,警戒標識を挿入したのだ。
 9 背景の加工はまずまずの出来であったが,挿入した警戒標識を北行きの車の
  ための標識と勘違いして,標識の面の向きを誤り,南から見えるようにしたの
  がまずかった。
 10 ちなみに,北行きの車の右カーブの警戒標識は,「黄色の地に赤色の>」にな
  っている(甲24の写真⑥ 本件自衛隊車両2)。
                  20/21
 11 草刈をした後には,「黒色の地に黄色のくく」に気付いていたが,写真のほう
  に合わして「黄色の地に黒色のくく」にした。
第5点 その他
   別件行政訴訟控訴理由書(甲18)記載の,本件事故による道路の痕跡(タ
  イヤ痕と擦過痕),本件事故による自衛隊車の制動痕及び本件事故の態様(初認
  位置)も引用・主張する。
  その他,口頭弁論において必要に応じて準備書面で主張する。
第4 原告の損害 総合計 金3000万円 
  原告に生じた損害は次のとおりである。
 1 別件訴訟敗訴による損害 金2557万8457円
 2 慰謝料等 金442万1543円
第5 結論
   よって,原告は,被告に対し,損害賠償として金3000万円の一部として
  金30万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割
  合による遅延損害金の支払いを求める。
                                  
証拠方法
 証拠説明書に記載のとおり
 その他,口頭弁論において必要に応じ提出する。

附属書類
 1 証拠説明書(1) (甲第1号証~甲第42号証)              1 通
 2 上申書                          1 通
                21/21

2:国賠・上申書

2005-12-03 10:48:40 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
                          平成17年10月18日
国家賠償請求事件
原告 出羽やるか
被告 国
                  上 申 書

横浜地方裁判所 御中
                         出羽 やるか ㊞

        神奈川県横浜市xx区xx0丁目00番00号(送達場所)
                     電話045(000)0000
                      FAX045(000)0000

第1 上申の趣旨                           
   原告は,本日,御庁に,国を被告として,国家賠償請求事件を提起したが,
   同事件を御庁自ら審理及び裁判されるよう上申する。
第2 上申の理由
 1 被告国の便宜にも資するので,被告は異議を述べず応訴すると思料され,当
  事者間の公平にも適し,かつまた訴訟の迅速的処理にも役立つ。
 2 同事件は国家賠償請求事件であり,簡易裁判所にとっては複雑な事件であり,
  慎重な審理が望まれるので,御庁に移送されると思料される。
                                   以上



1:文書提出命令の申立書

2005-12-02 07:04:21 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
平成17年(ワ)第3710号 国家賠償請求事件
原告 出羽やるか
被告 国
文書提出命令の申立書
                          平成17年10月18日
横浜地方裁判所第9民事部ろ係 御中
                                                       原告 出羽やるか
  1 文書の表示
  (1)発生報告書(法定第1号)及び事故現場見取図
   (2) 実況見分調書
  (3)事故現場及び損害状況写真
  (4)供述書 (運転者小野寺秀和及び助手の片岡高房)
  (5)車両運行指令書
 2 文書の趣旨
     平成11年10月7日午前10時55分ごろ,大分県玖珠郡九重町大字湯坪県
   道別府一の宮線水分基点34.9kmで発生した申立人が運転する普通自動二輪
   車(1横浜あ6876)と陸上自衛隊所有の73式大型トラック(33・145
  1)に牽引されたフル・トレーラ(80・2431)との交通事故について,陸
    上自衛隊損害賠償実施規則に基づいて,北熊本駐屯地業務隊が作成し,西部方面
    総監に報告された文書。
    なを,これら文書の保存期間は10年とされているから現存する。
  3 文書の所持者
    第8師団司令部付隊(北熊本駐屯地業務隊)
     〒860-8529 熊本県熊本市八景水谷2-17-1
    陸上自衛隊西部方面総監部
     〒862-0901 熊本市東町1丁目1番1号 健軍駐屯地
                             1/2
  4 証すべき事実
  本件交通事故の態様
  5 文書の提出義務の原因
    民事訴訟法第220条3号
  6 事情
   第8師団司令部付隊は、北熊本駐屯地(熊本県熊本市)に駐屯し、隊本部、車
    両小隊、管理小隊、保安警務隊及び師団司令部勤務班で編制され、師団司令部の
    業務やその管理支援・車両の運行・車両の誘導統制などを行っている。
    本件事故当日,平成11年度第24戦闘団及び第8偵察隊訓練検閲に参加する
    ため師団規模で,各部隊が陸上自衛隊日出生台演習場に向かっていた。本件自衛
  隊車は,第8師団司令部付隊の管理小隊長指揮下の10両編成の8号車であった。
  事故後数分で,随伴していた保安警務隊が事故現場に到着し,交通統制,現場保
  存,実況見分をおこなった。
  本件事故で,玖珠警察署の堀部警部補が作成した実況見分調書の原本は,日田
 区検察庁で既に廃棄されているという。同調書の一部の写しは存在するが,堀部
 警部補らが実況見分を開始したのは同日午後0時34分とされており,普通自動
 二輪車と自衛隊車事故直後の路上から移動されていた。同調書添付の写真に,普
 通二輪車の最終停止位置が写された写真は存在するが,自衛隊車の最終停止位置
 を写した写真が存在しない。本件事故の態様を解明する上に,自衛隊が撮影した
 写真等証拠資料が必要である。
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                                   以上