民事裁判の記録(国賠)・自衛隊車とバイクの交通事故の民事裁判

1・訟務検事の証拠資料のねつ造など不法な弁論。
2・玖珠署の違法な交通犯罪の捜査,虚偽の実況見分調書の作成

64-2:上告理由第1~4点

2008-05-29 12:31:12 | 第3訴訟 第2審 被告国(訟務検事)
上告理由第1点:原判決に対する不服・理由不備
 原判決は,当事者が主張していない事実を争点として判断している。
 原判決は,第3当裁判所の判断,2,争点(1),(別件訴訟で浅香らが証拠資料を
隠蔽破棄したか)(1)で,「控訴人(上告人)は別件訴訟で浅香らが,別件訴訟に提
出された堀部警部補作成の実況見分調書について,偽造,変造ないし隠蔽等の不法
行為をした旨主張しているので,以下この点について検討するに」として,判断,
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認定,判示している。
 上告人は,堀部警部補作成の調書(甲42)について,浅香らが,偽造,変造な
いし隠蔽等の不法行為をした旨主張したことはない。上告人は,同調書(甲42)
が,堀部警部補が作成した調書であること自体は争っていない。
 上告人は,浅香らが事故当日撮影したとして提出した書証(甲67)に事故当日
撮影していない写真があると主張し,浅香らには「応訴及び訴訟追行が相当なもの
か(違法なものでないか)検討吟味する義務がある」と主張した。
 原審で当事者が主張・整理した本件の争点は,(1)浅香らの違法行為の有無 (2)
察の実況見分への浅香らの関与の有無 (3)本件実況見分調書(甲42)作成の真
正,等下記上告理由で述べるとおりである。

上告理由第2点:理由不備
 原判決が上告人車のタイヤ痕の位置を認定した過程が不明確で判明し難い。
 原判決は,証拠(甲42,調査嘱託に対する平成19年3月26日付けの玖珠警
署長の回答)及び弁論の全趣旨から,「本件道路面には,中央線から自衛隊車進行
車線側に約40センチメートル入ったところに上告人車のタイヤ痕1条が印象され,
更にそれに連なるように,中央線から上告人車進行車線上に入ったところに上告人
車の転倒によって生じた擦過痕2条がそれぞれ印象されていた」と判示し,上告人
を加害者とした堀部警部補の判断を認めた。
 通常実況見分では,2個以上の固定物からの距離を測定し衝突地点等の位置を確
定する。本件実況見分調書(甲42)添付の事故現場見取図第3図では基点として
KP34.9の位置と,同基点から衝突位置Ⓧ間の距離6.5メートルが記載され
ているのみである。同調書添付の写真⑫~⑯(甲32⑫~⑯)には基点となる固定
物は写っていない。実況見分調書で最も重要な衝突位置が確定されていない。

上告理由第3点 証拠説明の欠缺・判断遺脱
 判決の結論に影響を及ぼす証拠(調査嘱託に対する平成19年8月17日付けの
玖珠警察署長の回答)が弁論に顕出されていない。
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 平成19年2月15日第1回口頭弁論期日に原審裁判長は「平成11年10月に
なされた実況見分の調書の作成日付が平成13年9月になっているが,被上告人は
その理由を説明し,証拠があれば提出されたい」と釈明した。
 被上告人は平成19年3月15日調査嘱託申し立てを行った。調査事項は(1)玖珠
警察署が作成した本件実況見分調書(甲42)の実況見分実施日と同調書作成年月
日が相違している理由,(2)同調書は何に基づいて作成されたのか。作成に際し用い
た資料(写真等)その他がある場合,その資料等の作成日等,である。平成19年
3月26日付け玖珠警察署長の調査結果は,「(1)当該実況見分調書の作成日時が実
施日時と異なった理由は,本件を一旦保留処分としていたところ,上告人から民事
提訴がなされ,送致する必要性を生じたため,検事の指揮を受けた上で,事故当日
の現場メモを基に実況見分調書を作成したという経緯による。(2)当該実況見分調書
は,平成11年10月7日の事故発生当日に堀部警部補らが実施した第2当事者の
小野寺立会いによる実況見分で,同警部補が自ら記録した現場メモに基づいて作成
したものである。従って,同現場メモの作成日は,事故当日の平成11年10月7
日となる。」である。
 被上告人は,さらに,平成19年8月14日付けで調査嘱託の申し立てを行った
(以下「2回目の調査嘱託」という)。原審は平成19年8月15日決定で申出を採
用した。2回目の調査嘱託に対する平成19年8月17日付けの玖珠警察署長の回
答は「調査(回答)事項 (1)・実況見分調書に添付されている写真の撮影年月日,
撮影場所及び撮影者(平成11年10月7日,事故現場にて撮影 撮影者 堀部金
丸警部補),(2)・(1)の写真のネガの現存の有無(有),(3)・平成11年10月7日
の事故発生時に,玖珠警察署交通課所属の堀部警部補が作成したとされている現場
メモの現存の有無(無),(4)・(1)の写真及び(3)の現場メモのほかに,同調書作成の
基となった資料等の有無(無)」である。 
 上告人が平成20年3月11日に複写した証人等目録(被上告人申出分)には,
被上告人が平成19年3月15日に申立てた調査嘱託について,備考欄に19.3.
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16嘱託,19.3.28到着,第2回弁論顕出との記載があるが,2回目の調査嘱
託についての記載がない。すなわち,口頭弁論に顕出されていない。
 堀部警部補は同調書が真正に作成されたとの供述をしていないこと,原審が同警
部補の証人申請を却下したことに加えて,堀部警部補が作成したメモが現存せず,
本件実況見分調書作成の資料等も存在しない事実は,同調書(見取図)の正確性・
真実性の担保がなく,その判断のいかんにより判決の結論に影響を及ぼす。

上告理由第4点 証拠説明の欠缺・理由不備
 原判決は,本件実況見分が平成11年10月7日に実施されたと認定しながら,
本件実況見分調書(甲42)以外に警察官が作成した実況見分調書があることを認
めるに足りる証拠はないと認定した。適法な証拠調べの結果を無視した違法がある。
 犯罪捜査規範104条は,「実況見分は,関係者の立会を得て行い,その結果を実
況見分調書に正確に記載しておかなければならない。」と規定する。
 間ノ瀬巡査部長は,上告人に「小野寺立会いの見分と調書は取りました」と述べ
ている(甲115・甲5)。小野寺は,「事故当日,警察に出頭して調書をとられた」
と述べている(甲75)。別件行政訴訟の被告準備書面(1)に,「間ノ瀬巡査部長は,
原告に対して平成11年10月8日に作成した交通切符様式の実況見分調書に基づ
いて本件交通事故の発生状況を説明するとともに,その発生原因は,原告が中央線
を越えたことによって発生したと認められると説明した。すると原告は驚いた様子
で,「相手の車がセンターラインを越えて来たと聞いていたので,今の説明は納得が
いかない。」と,自身が本件交通事故の被害者である旨を申し立てた。」との記載が
ある( 甲86)。
 原判決は,「堀部警部補らは,上告人立会いの実況見分を実施しようとしたが,上
告人が応じなかったので,本件事故発生から約4ヶ月が経過した平成12年2月1
0日,本件事故捜査を一時保留処分にした。」と判示した。
 立会人の指示説明が実況見分調書に記載されるのは、第一義的には実況見分の動
機・手段を明らかにする必要からであって、その内容の真実性を立証することを直
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接の目的として記載されるものではない。本件調書では小野寺が立会人とされ,指
示説明をしており,実況見分の対象は特定されているから,上告人立会いの実況見
分は必ずしも必要ではない。上告人立会いの実況見分を実施しなかったことは間ノ
瀬巡査部長が事故当日実施した実況見分の調書を作成しなかった理由とならない。