平成18年(ネ)第5934号 国家賠償請求控訴事件
控 訴 人 出羽やるか
被控訴人 国
準 備 書 面(5)
平成19年9月18日
東京高等裁判所第21民事部 御中
控訴人 出羽やるか
控訴人は,平成19年8月22日の弁論準備手続期日における口頭の議論を通
じて理解した点及び調査嘱託書に対する玖珠警察署長の平成19年8月17日付
け回答(以下「署長の回答」という。)を踏まえ,別件訴訟における浅香らの不
法行為について控訴人の主張を整理補充する。
控訴人が引用する不当訴訟に関する法律文献は甲95,実況見分調書に関する
法律文献は甲96である。参照の便のため関連書証を証拠説明書(12)に再録した。
なお,略称等は本準備書面で新たに用いるものの他は従前の例による。
目 次
第1 不当訴訟における不法行為責任の要件事実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
第2 浅香らの認識可能性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
第3 事故現場又は事故現場写真の偽造・変造及び証拠資料の隠蔽・毀棄・・
1 KP34.9の警戒標識(甲67①)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2 徐行の道路標示(甲32⑦)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
3 炊事車の衝突痕(甲67⑬)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
4 控訴人車の転倒位置(甲32⑯)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
5 自衛隊の実況見分調書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
6 玖珠警察署の実況見分調書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
第4 調査嘱託に対する玖珠警察署長の回答・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
第5 おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
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第1 不当訴訟における不法行為責任の要件事実
1 不当訴訟における不法行為責任の要件事実(請求原因事実)の構造は,
①:被侵害利益の存在,②:権利侵害の事実=違法性,③:故意・過失,④:
②と⑤間の因果関係,⑤:損害発生事実とその数額となる。
2 違法性の内容②は規範的要件と解されるから,その評価を根拠づける具体的
事実が主要事実となる。
3 応訴及び訴訟追行が不法行為を構成する要件は「応訴及び訴訟追行が裁判制
度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くこと」が違法性の内容となる。
4 浅香らの認識可能性の有無によって違法性が決せられる。
5 応訴者(浅香ら・国)が,積極的に虚偽事実を主張したり,証拠をねつ造し
たりすることまで許容されないから,虚偽事実の主張を伴う積極的否認や抗弁
の主張は違法と評価される。
第2 浅香らの認識可能性
1 陸上自衛隊西部方面総監部総務部法務課賠償専門官防衛事務官京極一司は,
平成13年8月30日国の指定代理人に指定された(甲2)。
京極事務官は,自衛隊が平成13年9月18日に行った事故再現見分に参加
し,同月19日事故現場見取図(甲23)を作成し,同見取図を別紙として添
付した平成13年11月5日付け準備書面(1)に指定代理人の一員として記載さ
れている(甲21)。
ちなみに,別件訴訟第1審では,17月の間に口頭弁論期日が6回開かれた
が,浅香らが提出した準備書面は上記一通のみである。
2 陸上自衛隊北熊本駐屯地業務隊防衛庁事務官古澤秀一(甲65)は,平成1
1年10月15日熊本赤十字病院に入院中の控訴人を訪ね「昨日で自衛隊の調
査が終わった」と述べた。(控訴理由第5点9(6) ・21頁)ちなみに,駐屯地
業務隊防衛庁事務官は,交通事故の実況見分調書,事故状況写真,供述書等事
故に関する一切の証拠を作成する(甲31)。
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陸上自衛隊西部方面総監部法務課賠償専門官古澤秀一は,平成15年1月1
4日国の指定代理人に指定され(甲102)別件訴訟控訴審の平成15年1月
21日付け答弁書及び平成15年2月4日付け判決書(甲9)に指定代理人の
一員として記載されている。
なお,東京法務局訟務部部付浅香幹子も同じく代理人に指定されている。
3 第8師団司令部付隊斉藤1尉(甲65)は,平成11年10月12日熊本赤
十字病院に入院中の控訴人を訪ねた。(控訴理由第5点9(5) ・ 20頁)
第8師団司令部付隊は,隊本部,車両小隊,管理小隊,保安警務隊及び師団
司令部勤務班で編成されている(甲58)。本件事故当時,小野寺は管理小隊
吉田兼亮1尉指揮下の自衛隊車を運転していた(甲22・25)。
近松3佐は第8師団司令部付隊の隊長で,本件事故直後現場に到着し,現場
検証後小野寺を連れて小国に向かった(甲22・26)。
ちなみに,近松3佐隷下の保安警務隊は,犯罪の捜査はできないが,交通事
故発生後の現場保全や交通統制を行ない,警察官及び警務隊・業務隊に捜査・
処理を引き継ぐ。
4 上記から,浅香らが自らの不正な行為を認識していたことは明らかである。
第3 事故現場又は事故現場写真の偽造・変造及び証拠資料の隠蔽・毀棄
1 KP34.9の警戒標識(甲67①)(以下「当該警戒標識」という)
(控訴理由第12点・46頁)
(1) 当該警戒標識は南行きの車ために設置された線形誘導標で,擁壁上の2個
の標識に続く3個目として路端に設置されたアロー(矢羽根)のトラマーク
の標識板 [<<]を単一の柱に取り付けた標識である。自衛隊の現場見取図
(甲23)には「安全標識」として位置が示されている。
(2) 当該警戒標識は正しく設置された場合,控訴人が平成13年10月30日
に撮影した写真(甲98の4)のとおり視認される。南行きの車から3個の
標識が良く視認され,北行きの車からは良くは視認されない。
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(3) ところが,控訴人が平成11年10月29日に撮影した控訴人現場写真
(甲98の3),堀部警部補が平成11年10月7日に撮影した警察現場写
真(甲98の2)及び赤埴陸曹長が平成11年10月7日に撮影した自衛隊
現場写真(甲98の1)では,南行きの車から擁壁上の2個の警戒標識は良
く視認されるが,当該警戒標識は支柱だけは見えるが標識はほとんど視認で
きない。一方,北行きの車から標識板の正面が全面視認される。
これら(平成11年10月29日以前に撮影された)写真に写っている当
該警戒標識は正しく設置されていない。標識板の設置角度が誤っているため,
南行きの車からは標識板の側面しか写らず(標識が視認できず)支柱だけが
視認できる。警察写真(甲98の2の②③④=甲32⑩),控訴人写真
(甲98の3の①②③=甲66③④)。一方,北行きの車からは標示板の
正面が見える。警察写真(甲98の2の①=甲32⑪),控訴人写真(甲9
8の3の④⑤=甲66⑦⑥),自衛隊写真(甲98の1の①②=甲67①)。
(4) 被控訴人(被告)は平成18年5月19日付け準備書面(4)で,当該警戒
標識について,「一枚の板でできている同標識を正面の位置から撮影した写
真(甲35⑤,甲66⑥⑦)と側方の位置から撮影した写真(甲35④,甲
66①③)とを見比べれば,同標識が存在していたことは明らかである(5
頁)」と主張し,原判決は「原告現場写真(甲66)には,上記警戒標識が
写っていることが認められる。このことからすれば当該警戒標識は本件事故
当日から既に存在していたものというべきである(判決書23頁)」と認定
判示した。ちなみに,写真(甲35⑤)は警察現場写真(甲32⑪)である。
(5) 原判決は,本件事故発生時存在した当該警戒標識は,その標示板の設置角
度を誤った南行きの車から見えない標識(以下「誤って設置された標識」と
いう)であると認定したことになる。
(6) 控訴人が平成13年10月30日に撮影した写真(甲98の4)の当該警
戒標識は,その標示板の設置角度が正しい南行きの車から見える標識(以下
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「正しく設置された標識」という)である。
(7) 上記から,当該警戒標識は平成11年10月30日から平成13年10月
29日の間に,誤って設置された標識から正しく設置された標識に変える工
事が行われている。
(8) 本件事故以前に存在した当該警戒標識が誤って設置された標識である蓋然
性はない。
(9) 事故当日に,当該警戒標識が通過車両等との接触・衝突により破損した場合
は立替えられる。(例えば連続走行している前車が急制動を掛けた場合,追
突を避けるため路外に逃れた後続車による接触衝突。)この立替え工事の時,
北行きの車から良く視認できるように設置したため,誤って設置された標識
に立替えられ,その後その誤りに気づき,正しく設置された標識に立替えた
との説明がすわりがよい。
(10) 事故当日は,時間的に工事はできない(甲97)から,この誤って設置さ
れた標識への立替え工事は事故翌日(平成11年10月8日)から控訴人現
場写真(甲66)撮影日の前日(平成11年10月28日)の間に行われた。
(11) 上記から,事故当日には誤って設置された当該警戒標識は存在しない。よ
って,当該警戒標識が写っている写真の撮影日は事故当日ではない。
(12) 浅香らは平成13年9月18日に本件事故の再現実況見分を実施し,平成
13年11月5日別件訴訟第2回口頭弁論期日に乙1号証として自衛隊現場
写真(甲67)を本件事故当日撮影したとして提出した。
(13) 同日陳述した準備書面(1)(甲21)に当該警戒標識について,上記工事の
事実を含め事故現場の変更については何ら説明していない。
2 徐行の道路標示(甲32⑦)(控訴理由第14点4(3)・ 50頁)
(1) 警察写真⑦(甲99①=甲32⑦)の控訴人車線に「徐行」の道路標示が
ある。堀部警部補が実況見分時この徐行の道路標示の存在を認めたら,実況
見分調書に記載すべきところ,この標示についての記載はない。控訴人車線
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のひし形マークが減速マークであるとすると,道路標示は「この先カーブ」
または「速度落とせ」となる。本件事故後,警察,自衛隊が控訴人車車線に,
違法に(みだりに)規制標識・警戒標識を設置した。減速マーク(甲78)
は法定外表示であるが,「徐行」の道路標示は法定標示である。
(2) 警察写真(甲99①=甲32⑦)には,炊事車の右側車輪に見入っている
間ノ瀬巡査部長と2名の自衛官が写っている。
(3) 自衛隊写真(甲99②=甲67⑤⑥)は警察写真(甲32⑦)と同一の機
会に同一の炊事車を写している。自衛隊車の停止位置は同じで,炊事車のカ
バーのしわ(皴)も同じである。しかし,人物は写っていない。写真の明度
が上げられ路面が白くなり徐行の道路標示は消えている。
(4) 本件事故の警察の実況見分に自衛隊が関与したことは明らかである。
(5)ちなみに,駐屯地から休憩地の大観望まで50km,大観望から事故現場
まで17km,事故現場から演習地まで45kmで全行程は112kmであ
る(甲103)。時速30kmで計算すると途中の休憩をいれて約4時間の
行程で,演習地ETAは午後0時30分,昼食時間となる。お茶や缶飯を温
めるためのお湯を走行中沸かすため炊事車のカバーはとっておく必要がある。
(6) なを,控訴人が平成13年10月30日に撮影した徐行の道路標示とその
付近の道路状況は,写真(甲99の3の③~⑤)のとおりである。
3 炊事車の衝突痕(甲67⑬・甲32⑨) (控訴理由第18点・60頁)
(1) 控訴人車の前輪右ホークに傷がある(甲69⑨⑩⑪)・(甲100の①③
=甲67⑨⑩,甲32④)。 一方,写真(甲100の②④=甲67⑬⑭,
甲32⑧⑨)の炊事車のホイールナットには傷はなく塗装もはがれていない。
(2) 小野寺は,別件訴訟で見分した警官は「この傷は,トレーラのホイールナ
ットがありますけども,そのホイールナットのところと接触したときの傷だ
と」言ったと証言している(甲22の26頁)。
(3) 炊事車の写真(甲100②=甲67⑬⑭,甲100④=甲32⑧⑨)は,
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事故当日撮影されていない。事故車と同型の炊事車を写した可能性もある。
(4) それにしても,甲100号証①②③④を並べてみると,同一の撮影者が同
一の機会に同一の被写体を撮影した写真に違いないといいうる。
4 事故直後の控訴人車の停止位置(甲32⑯)(控訴理由第19点・60頁)
(1) 本件事故直後に現場写真を撮影した赤埴らが,最初に認識したのは事故直
後停止したた自衛隊車である。浅香らは,停止位置で撮影された自衛隊車の
写真を提出していない(隠蔽している)。
小野寺は,陳述書(甲25)で「私の運転する大型トラックの後方を前進
していた別の大型トラックが到着し,その車両に乗車していた師団司令部付
隊の隊員が交通統制を実施しました。それと並行して事故現場保存の目印を
して警察の到着を待ちました。」と陳述している。浅香らは,自衛隊車の停
止位置を示す目印の写真も提出していない。
(2) 浅香らは,控訴人車の転倒位置の写真として,事故現場写真・控訴人自動
二輪車転倒位置(白い部分)の写真(甲67⑧)を提出している。「白い部
分」は控訴人車車線の中央に位置するが,明瞭ではない。
(3) 警察現場写真(甲101=甲32⑮⑯)に上記(白い部分)が写っている。
写真(甲32⑯)には「バイク」という文字が写っているから,師団司令部
付隊の隊員(保安警務隊の隊員)が目印したバイクの転倒位置の写真である。
しかし,これらの写真は,「本件事故現場路面に印象されていた擦過痕を撮
影したもの」と説明されている。この写真を撮影したのは堀部警部補である
とされているが,事故車両の最終転倒位置という重要な証拠が写された写真
にその説明がない。自衛隊写真を流用している強い疑いがある。
(4) 警察写真(甲32⑮)には,本件道路のガードレールが写されている。
保安警務隊員は,事故直後KP34.9の里程標は道路図の位置に存在し
ていなかったので,位置確定の基点として,KP34.9の警戒標識(安全
標識)とガードレールの北端の支柱を選んでいる。
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5 自衛隊の実況見分調書(控訴理由第10点・39頁)
(1) 原判決は,「本件事故後の警察官による上記実況見分が実施された際,こ
れに並行して,陸上自衛隊第8師団第42普通科連隊第4中隊陸曹長赤埴源
蔵が本件事故現場写真を撮影した(17頁)。」「前記の認定事実に照らせ
ば,本件事故直後に現場写真を撮影した赤埴らは,本件事故現場の自衛隊車
進行車線内に控訴人車のタイヤ痕が残っていたことを認識していたものと認
められる。そうすると,本件事故につき,小野寺には過失がなく,自衛隊が
事故発生報告書等を作成するまでの必要がないとした陸上自衛隊北熊本駐屯
地業務隊長の判断は,上記事故現場の状況に照らして不合理なものではない
といえるから,控訴人の主張は採用できない」と判示した(22頁)。
(2) 赤埴は師団の広報班の撮影をしている(甲22の13頁)。赤埴の認識の
有無は小野寺の過失の有無の判断に何らの意味もない。
(3) 本件事故の状況は,人身事故で小野寺は業務上過失傷害の被疑者である。
事故直後臨場した保安警務隊が現場保全(写真、見取図、記録その他の方法
により原状を明らかにする処置)をおこなった。その後,駐屯地業務隊の防
衛事務官が実況見分を行い,同調書及び小野寺及び片岡の供述書等を作成し,
隊長に提出する(甲31)。駐屯地業務隊長は同調書等から事故発生報告書
等を作成する必要の有無を判断する(甲28)。
(4) 北熊本駐屯地業務隊防衛庁事務官古澤秀一(甲65)が事故後本件事故処
理を担当し,後に別件訴訟控訴審で国の指定代理人を務めた(甲102)。
古澤事務官の作成した実況見分調書等が当然に存在する。
6 玖珠警察署の実況見分調書(甲42)(控訴理由第6点・27頁)
堀部警部補が作成した同調書(甲42)が事故当時の実況見分を基に真正に
作成されたか否かが争点である。多くの事実から同調書が真正に作成されて
いないことは明らかであるが,同調書ついては被控訴人の具体的反論を待って改
めて準備書面で弁論するが,本準備書面では下記の事実を指摘する。
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(1) 玖珠警察署は,「本来であれば,実況見分調書の作成は,見分官である間
ノ瀬巡査部長が行なうべきところ,間ノ瀬巡査部長は,平成13年5月1日
付けで九州管区警察局高速道路福岡管理室に異動となっていたことから,当
該実況見分に補助者として立ち会った堀部警部補が,基本書式で実況見分調
書を作成することし,間ノ瀬巡査部長が平成11年10月8日に作成してい
た交通切符様式の実況見分調書及び堀部警部補が作成していた現場メモ(図
面)並びに事故当日に撮影した車両の損傷状況・道路の状況の写真に基づき
平成13年9月7日付けの基本書式の実況見分調書を作成した。」 という
(甲86・別件行政訴訟神奈川県公安委員会準備書面(1)21-22頁)。
(2) 実況見分調書(甲42)は控訴人を被疑者とした道路交通法違反事件につ
いての調書である。警察は控訴人が「自衛隊車に危害(物損)を及ぼした」
というが,上記第3項で指摘したとおり,堀部警部補が「被害車両のフル・
トレーラ」と説明する警察写真の炊事車(甲32⑨)には物損はない。
(3) 小野寺は,炊事車を牽引した大型トラックを運転し,見通しのよくない半
径約25メートルのカーブに進入する場合,十分に速度を落とし,他人に危
害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない義務があったの
に,最高速度と指定された40キロメートル毎時の速度のままカーブに進入
し,他人に危害を及ぼしたのであるから,カーブに侵入した時点で道路交通
法第70条違反があり,「小野寺には何ら過失のないことが認められる。」
との原審の認定の誤りは明らかで,この認定に基づいて浅香らの不法行為の
存在を否定した原判決には誤りがある。(控訴理由第22点・67~69頁)
(4) 控訴人は,間ノ瀬巡査部長に診断書を提出し,自身が本件交通事故の被害
者である旨を申立てた(甲86の18頁)のであるから,同巡査部長は被害届
けを受理し,犯罪事件受理簿に登録しなければならない。当然に小野寺を被
疑者とする業務上過失傷害事件についての捜査が行われ,その結果を録取し
た実況見分調書が存在しなければならない。(控訴理由第6点・27~33頁)
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控 訴 人 出羽やるか
被控訴人 国
準 備 書 面(5)
平成19年9月18日
東京高等裁判所第21民事部 御中
控訴人 出羽やるか
控訴人は,平成19年8月22日の弁論準備手続期日における口頭の議論を通
じて理解した点及び調査嘱託書に対する玖珠警察署長の平成19年8月17日付
け回答(以下「署長の回答」という。)を踏まえ,別件訴訟における浅香らの不
法行為について控訴人の主張を整理補充する。
控訴人が引用する不当訴訟に関する法律文献は甲95,実況見分調書に関する
法律文献は甲96である。参照の便のため関連書証を証拠説明書(12)に再録した。
なお,略称等は本準備書面で新たに用いるものの他は従前の例による。
目 次
第1 不当訴訟における不法行為責任の要件事実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
第2 浅香らの認識可能性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
第3 事故現場又は事故現場写真の偽造・変造及び証拠資料の隠蔽・毀棄・・
1 KP34.9の警戒標識(甲67①)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2 徐行の道路標示(甲32⑦)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
3 炊事車の衝突痕(甲67⑬)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
4 控訴人車の転倒位置(甲32⑯)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
5 自衛隊の実況見分調書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
6 玖珠警察署の実況見分調書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
第4 調査嘱託に対する玖珠警察署長の回答・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
第5 おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
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第1 不当訴訟における不法行為責任の要件事実
1 不当訴訟における不法行為責任の要件事実(請求原因事実)の構造は,
①:被侵害利益の存在,②:権利侵害の事実=違法性,③:故意・過失,④:
②と⑤間の因果関係,⑤:損害発生事実とその数額となる。
2 違法性の内容②は規範的要件と解されるから,その評価を根拠づける具体的
事実が主要事実となる。
3 応訴及び訴訟追行が不法行為を構成する要件は「応訴及び訴訟追行が裁判制
度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くこと」が違法性の内容となる。
4 浅香らの認識可能性の有無によって違法性が決せられる。
5 応訴者(浅香ら・国)が,積極的に虚偽事実を主張したり,証拠をねつ造し
たりすることまで許容されないから,虚偽事実の主張を伴う積極的否認や抗弁
の主張は違法と評価される。
第2 浅香らの認識可能性
1 陸上自衛隊西部方面総監部総務部法務課賠償専門官防衛事務官京極一司は,
平成13年8月30日国の指定代理人に指定された(甲2)。
京極事務官は,自衛隊が平成13年9月18日に行った事故再現見分に参加
し,同月19日事故現場見取図(甲23)を作成し,同見取図を別紙として添
付した平成13年11月5日付け準備書面(1)に指定代理人の一員として記載さ
れている(甲21)。
ちなみに,別件訴訟第1審では,17月の間に口頭弁論期日が6回開かれた
が,浅香らが提出した準備書面は上記一通のみである。
2 陸上自衛隊北熊本駐屯地業務隊防衛庁事務官古澤秀一(甲65)は,平成1
1年10月15日熊本赤十字病院に入院中の控訴人を訪ね「昨日で自衛隊の調
査が終わった」と述べた。(控訴理由第5点9(6) ・21頁)ちなみに,駐屯地
業務隊防衛庁事務官は,交通事故の実況見分調書,事故状況写真,供述書等事
故に関する一切の証拠を作成する(甲31)。
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陸上自衛隊西部方面総監部法務課賠償専門官古澤秀一は,平成15年1月1
4日国の指定代理人に指定され(甲102)別件訴訟控訴審の平成15年1月
21日付け答弁書及び平成15年2月4日付け判決書(甲9)に指定代理人の
一員として記載されている。
なお,東京法務局訟務部部付浅香幹子も同じく代理人に指定されている。
3 第8師団司令部付隊斉藤1尉(甲65)は,平成11年10月12日熊本赤
十字病院に入院中の控訴人を訪ねた。(控訴理由第5点9(5) ・ 20頁)
第8師団司令部付隊は,隊本部,車両小隊,管理小隊,保安警務隊及び師団
司令部勤務班で編成されている(甲58)。本件事故当時,小野寺は管理小隊
吉田兼亮1尉指揮下の自衛隊車を運転していた(甲22・25)。
近松3佐は第8師団司令部付隊の隊長で,本件事故直後現場に到着し,現場
検証後小野寺を連れて小国に向かった(甲22・26)。
ちなみに,近松3佐隷下の保安警務隊は,犯罪の捜査はできないが,交通事
故発生後の現場保全や交通統制を行ない,警察官及び警務隊・業務隊に捜査・
処理を引き継ぐ。
4 上記から,浅香らが自らの不正な行為を認識していたことは明らかである。
第3 事故現場又は事故現場写真の偽造・変造及び証拠資料の隠蔽・毀棄
1 KP34.9の警戒標識(甲67①)(以下「当該警戒標識」という)
(控訴理由第12点・46頁)
(1) 当該警戒標識は南行きの車ために設置された線形誘導標で,擁壁上の2個
の標識に続く3個目として路端に設置されたアロー(矢羽根)のトラマーク
の標識板 [<<]を単一の柱に取り付けた標識である。自衛隊の現場見取図
(甲23)には「安全標識」として位置が示されている。
(2) 当該警戒標識は正しく設置された場合,控訴人が平成13年10月30日
に撮影した写真(甲98の4)のとおり視認される。南行きの車から3個の
標識が良く視認され,北行きの車からは良くは視認されない。
3/11
(3) ところが,控訴人が平成11年10月29日に撮影した控訴人現場写真
(甲98の3),堀部警部補が平成11年10月7日に撮影した警察現場写
真(甲98の2)及び赤埴陸曹長が平成11年10月7日に撮影した自衛隊
現場写真(甲98の1)では,南行きの車から擁壁上の2個の警戒標識は良
く視認されるが,当該警戒標識は支柱だけは見えるが標識はほとんど視認で
きない。一方,北行きの車から標識板の正面が全面視認される。
これら(平成11年10月29日以前に撮影された)写真に写っている当
該警戒標識は正しく設置されていない。標識板の設置角度が誤っているため,
南行きの車からは標識板の側面しか写らず(標識が視認できず)支柱だけが
視認できる。警察写真(甲98の2の②③④=甲32⑩),控訴人写真
(甲98の3の①②③=甲66③④)。一方,北行きの車からは標示板の
正面が見える。警察写真(甲98の2の①=甲32⑪),控訴人写真(甲9
8の3の④⑤=甲66⑦⑥),自衛隊写真(甲98の1の①②=甲67①)。
(4) 被控訴人(被告)は平成18年5月19日付け準備書面(4)で,当該警戒
標識について,「一枚の板でできている同標識を正面の位置から撮影した写
真(甲35⑤,甲66⑥⑦)と側方の位置から撮影した写真(甲35④,甲
66①③)とを見比べれば,同標識が存在していたことは明らかである(5
頁)」と主張し,原判決は「原告現場写真(甲66)には,上記警戒標識が
写っていることが認められる。このことからすれば当該警戒標識は本件事故
当日から既に存在していたものというべきである(判決書23頁)」と認定
判示した。ちなみに,写真(甲35⑤)は警察現場写真(甲32⑪)である。
(5) 原判決は,本件事故発生時存在した当該警戒標識は,その標示板の設置角
度を誤った南行きの車から見えない標識(以下「誤って設置された標識」と
いう)であると認定したことになる。
(6) 控訴人が平成13年10月30日に撮影した写真(甲98の4)の当該警
戒標識は,その標示板の設置角度が正しい南行きの車から見える標識(以下
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「正しく設置された標識」という)である。
(7) 上記から,当該警戒標識は平成11年10月30日から平成13年10月
29日の間に,誤って設置された標識から正しく設置された標識に変える工
事が行われている。
(8) 本件事故以前に存在した当該警戒標識が誤って設置された標識である蓋然
性はない。
(9) 事故当日に,当該警戒標識が通過車両等との接触・衝突により破損した場合
は立替えられる。(例えば連続走行している前車が急制動を掛けた場合,追
突を避けるため路外に逃れた後続車による接触衝突。)この立替え工事の時,
北行きの車から良く視認できるように設置したため,誤って設置された標識
に立替えられ,その後その誤りに気づき,正しく設置された標識に立替えた
との説明がすわりがよい。
(10) 事故当日は,時間的に工事はできない(甲97)から,この誤って設置さ
れた標識への立替え工事は事故翌日(平成11年10月8日)から控訴人現
場写真(甲66)撮影日の前日(平成11年10月28日)の間に行われた。
(11) 上記から,事故当日には誤って設置された当該警戒標識は存在しない。よ
って,当該警戒標識が写っている写真の撮影日は事故当日ではない。
(12) 浅香らは平成13年9月18日に本件事故の再現実況見分を実施し,平成
13年11月5日別件訴訟第2回口頭弁論期日に乙1号証として自衛隊現場
写真(甲67)を本件事故当日撮影したとして提出した。
(13) 同日陳述した準備書面(1)(甲21)に当該警戒標識について,上記工事の
事実を含め事故現場の変更については何ら説明していない。
2 徐行の道路標示(甲32⑦)(控訴理由第14点4(3)・ 50頁)
(1) 警察写真⑦(甲99①=甲32⑦)の控訴人車線に「徐行」の道路標示が
ある。堀部警部補が実況見分時この徐行の道路標示の存在を認めたら,実況
見分調書に記載すべきところ,この標示についての記載はない。控訴人車線
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のひし形マークが減速マークであるとすると,道路標示は「この先カーブ」
または「速度落とせ」となる。本件事故後,警察,自衛隊が控訴人車車線に,
違法に(みだりに)規制標識・警戒標識を設置した。減速マーク(甲78)
は法定外表示であるが,「徐行」の道路標示は法定標示である。
(2) 警察写真(甲99①=甲32⑦)には,炊事車の右側車輪に見入っている
間ノ瀬巡査部長と2名の自衛官が写っている。
(3) 自衛隊写真(甲99②=甲67⑤⑥)は警察写真(甲32⑦)と同一の機
会に同一の炊事車を写している。自衛隊車の停止位置は同じで,炊事車のカ
バーのしわ(皴)も同じである。しかし,人物は写っていない。写真の明度
が上げられ路面が白くなり徐行の道路標示は消えている。
(4) 本件事故の警察の実況見分に自衛隊が関与したことは明らかである。
(5)ちなみに,駐屯地から休憩地の大観望まで50km,大観望から事故現場
まで17km,事故現場から演習地まで45kmで全行程は112kmであ
る(甲103)。時速30kmで計算すると途中の休憩をいれて約4時間の
行程で,演習地ETAは午後0時30分,昼食時間となる。お茶や缶飯を温
めるためのお湯を走行中沸かすため炊事車のカバーはとっておく必要がある。
(6) なを,控訴人が平成13年10月30日に撮影した徐行の道路標示とその
付近の道路状況は,写真(甲99の3の③~⑤)のとおりである。
3 炊事車の衝突痕(甲67⑬・甲32⑨) (控訴理由第18点・60頁)
(1) 控訴人車の前輪右ホークに傷がある(甲69⑨⑩⑪)・(甲100の①③
=甲67⑨⑩,甲32④)。 一方,写真(甲100の②④=甲67⑬⑭,
甲32⑧⑨)の炊事車のホイールナットには傷はなく塗装もはがれていない。
(2) 小野寺は,別件訴訟で見分した警官は「この傷は,トレーラのホイールナ
ットがありますけども,そのホイールナットのところと接触したときの傷だ
と」言ったと証言している(甲22の26頁)。
(3) 炊事車の写真(甲100②=甲67⑬⑭,甲100④=甲32⑧⑨)は,
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事故当日撮影されていない。事故車と同型の炊事車を写した可能性もある。
(4) それにしても,甲100号証①②③④を並べてみると,同一の撮影者が同
一の機会に同一の被写体を撮影した写真に違いないといいうる。
4 事故直後の控訴人車の停止位置(甲32⑯)(控訴理由第19点・60頁)
(1) 本件事故直後に現場写真を撮影した赤埴らが,最初に認識したのは事故直
後停止したた自衛隊車である。浅香らは,停止位置で撮影された自衛隊車の
写真を提出していない(隠蔽している)。
小野寺は,陳述書(甲25)で「私の運転する大型トラックの後方を前進
していた別の大型トラックが到着し,その車両に乗車していた師団司令部付
隊の隊員が交通統制を実施しました。それと並行して事故現場保存の目印を
して警察の到着を待ちました。」と陳述している。浅香らは,自衛隊車の停
止位置を示す目印の写真も提出していない。
(2) 浅香らは,控訴人車の転倒位置の写真として,事故現場写真・控訴人自動
二輪車転倒位置(白い部分)の写真(甲67⑧)を提出している。「白い部
分」は控訴人車車線の中央に位置するが,明瞭ではない。
(3) 警察現場写真(甲101=甲32⑮⑯)に上記(白い部分)が写っている。
写真(甲32⑯)には「バイク」という文字が写っているから,師団司令部
付隊の隊員(保安警務隊の隊員)が目印したバイクの転倒位置の写真である。
しかし,これらの写真は,「本件事故現場路面に印象されていた擦過痕を撮
影したもの」と説明されている。この写真を撮影したのは堀部警部補である
とされているが,事故車両の最終転倒位置という重要な証拠が写された写真
にその説明がない。自衛隊写真を流用している強い疑いがある。
(4) 警察写真(甲32⑮)には,本件道路のガードレールが写されている。
保安警務隊員は,事故直後KP34.9の里程標は道路図の位置に存在し
ていなかったので,位置確定の基点として,KP34.9の警戒標識(安全
標識)とガードレールの北端の支柱を選んでいる。
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5 自衛隊の実況見分調書(控訴理由第10点・39頁)
(1) 原判決は,「本件事故後の警察官による上記実況見分が実施された際,こ
れに並行して,陸上自衛隊第8師団第42普通科連隊第4中隊陸曹長赤埴源
蔵が本件事故現場写真を撮影した(17頁)。」「前記の認定事実に照らせ
ば,本件事故直後に現場写真を撮影した赤埴らは,本件事故現場の自衛隊車
進行車線内に控訴人車のタイヤ痕が残っていたことを認識していたものと認
められる。そうすると,本件事故につき,小野寺には過失がなく,自衛隊が
事故発生報告書等を作成するまでの必要がないとした陸上自衛隊北熊本駐屯
地業務隊長の判断は,上記事故現場の状況に照らして不合理なものではない
といえるから,控訴人の主張は採用できない」と判示した(22頁)。
(2) 赤埴は師団の広報班の撮影をしている(甲22の13頁)。赤埴の認識の
有無は小野寺の過失の有無の判断に何らの意味もない。
(3) 本件事故の状況は,人身事故で小野寺は業務上過失傷害の被疑者である。
事故直後臨場した保安警務隊が現場保全(写真、見取図、記録その他の方法
により原状を明らかにする処置)をおこなった。その後,駐屯地業務隊の防
衛事務官が実況見分を行い,同調書及び小野寺及び片岡の供述書等を作成し,
隊長に提出する(甲31)。駐屯地業務隊長は同調書等から事故発生報告書
等を作成する必要の有無を判断する(甲28)。
(4) 北熊本駐屯地業務隊防衛庁事務官古澤秀一(甲65)が事故後本件事故処
理を担当し,後に別件訴訟控訴審で国の指定代理人を務めた(甲102)。
古澤事務官の作成した実況見分調書等が当然に存在する。
6 玖珠警察署の実況見分調書(甲42)(控訴理由第6点・27頁)
堀部警部補が作成した同調書(甲42)が事故当時の実況見分を基に真正に
作成されたか否かが争点である。多くの事実から同調書が真正に作成されて
いないことは明らかであるが,同調書ついては被控訴人の具体的反論を待って改
めて準備書面で弁論するが,本準備書面では下記の事実を指摘する。
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(1) 玖珠警察署は,「本来であれば,実況見分調書の作成は,見分官である間
ノ瀬巡査部長が行なうべきところ,間ノ瀬巡査部長は,平成13年5月1日
付けで九州管区警察局高速道路福岡管理室に異動となっていたことから,当
該実況見分に補助者として立ち会った堀部警部補が,基本書式で実況見分調
書を作成することし,間ノ瀬巡査部長が平成11年10月8日に作成してい
た交通切符様式の実況見分調書及び堀部警部補が作成していた現場メモ(図
面)並びに事故当日に撮影した車両の損傷状況・道路の状況の写真に基づき
平成13年9月7日付けの基本書式の実況見分調書を作成した。」 という
(甲86・別件行政訴訟神奈川県公安委員会準備書面(1)21-22頁)。
(2) 実況見分調書(甲42)は控訴人を被疑者とした道路交通法違反事件につ
いての調書である。警察は控訴人が「自衛隊車に危害(物損)を及ぼした」
というが,上記第3項で指摘したとおり,堀部警部補が「被害車両のフル・
トレーラ」と説明する警察写真の炊事車(甲32⑨)には物損はない。
(3) 小野寺は,炊事車を牽引した大型トラックを運転し,見通しのよくない半
径約25メートルのカーブに進入する場合,十分に速度を落とし,他人に危
害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない義務があったの
に,最高速度と指定された40キロメートル毎時の速度のままカーブに進入
し,他人に危害を及ぼしたのであるから,カーブに侵入した時点で道路交通
法第70条違反があり,「小野寺には何ら過失のないことが認められる。」
との原審の認定の誤りは明らかで,この認定に基づいて浅香らの不法行為の
存在を否定した原判決には誤りがある。(控訴理由第22点・67~69頁)
(4) 控訴人は,間ノ瀬巡査部長に診断書を提出し,自身が本件交通事故の被害
者である旨を申立てた(甲86の18頁)のであるから,同巡査部長は被害届
けを受理し,犯罪事件受理簿に登録しなければならない。当然に小野寺を被
疑者とする業務上過失傷害事件についての捜査が行われ,その結果を録取し
た実況見分調書が存在しなければならない。(控訴理由第6点・27~33頁)
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