岐阜 柳ケ瀬お化け屋敷「恐怖の細道」公式ブログ

山口敏太郎プロデュース!岐阜市・柳ケ瀬商店街にて開催されるお化け屋敷「恐怖の細道」の公式ブログです。

【連載】やながもんの唄・第三章 もう振り返れない(上)

2015-07-07 11:52:27 | やながもん
第三章 もう振り返れない(上)




『やながもん』とは僕たちの事だ。
柳ヶ瀬を愛する者たちという意味と、柳ヶ瀬にモンスターハウスを創る!
という決意を持って、僕たちは自らをそう呼んでいる。

2012年4月30日。
僕たちはマスコミを集め、記者発表を行った。
『2012年7月13日から柳ヶ瀬でお化け屋敷をやる』

無謀にも・・・どうやって創るのか・・・何も分からないままに。
親にも家族にも会社にも言わないままに・・・計画を発表した。
この年の「恐怖の細道」の副題は『もう振り返れない』。
今だから明かせるが、この副題はまさに、吹き飛ばされそうな逆風の中を走り出した
僕たち『やながもん』の事を指していたのだ!



『やっちまった・・・』

きっと世間は変なヤツが変な事を言っているとか、
アホか絶対に失敗する、とか、
そもそもヨシムラテルアキって誰や?・・・と言われるに決まっている!!

僕は記者会見が終わったその夜、眠れずに朝を迎えた。
言っておくが高揚して興奮して眠れなかったのでは断じてない!
怖かったのだ・・・朝が来て新聞たちが、そして読んだ人たちがそう言うことが。

僕は朝が来る前に岐阜を逃げ出した!
バイクに乗ってあてもなく東へ走り出した、
とにかく岐阜にいたくなかった・・・情けない男だ。

辿り着いたのは相模湾沿いにある真鶴という街だった。
その夜、真鶴湾で僕が見た月の事は今でも鮮明に覚えている。
海に映った、揺ら揺らした青白く大きな月は、情けない僕を嘲笑っているようにも
励ましてくれているようにも見えた・・・忘れじの真鶴の月。




しかし尾崎では無い僕は、いつまでも感傷に浸っている訳にはいかない、
そう僕らはお化け屋敷を創らなければならない!

まず手始めに近隣のお化け屋敷に行った・・・
行ってはみたが、どこも期待はずれだった・・・
どうも縁日的というか、出るときに「えっ終わり?」という感想を持ってしまうのだ。

・・・う~ん違う!僕が求めているものは、人の5感、いや6感を刺激するエンターテイメントなのだ!加えて人の記憶にも襲い掛かる、そんなお化け屋敷なのだ!
僕らの世代には、忘れていたあの記憶を蘇らせるものとして、
子どもたちには、柳ヶ瀬のお化け屋敷体験を僕らの歳になった時にも憶えてくれているくらいの痛烈な記憶として体験してもらいたい!
大仰でまったく酷い誇大妄想だけど僕はそれを求めていた(今も求めている)。

僕たちのような、地域を限定した町おこしお化け屋敷の場合、

ノスタルジーの喚起、創造

これは重要なポイントだと思う。地域に根ざした題材を扱わなければ、一過性のイベントとして消費されてしまうだけだ。これは僕たち「やながもん」の矜持でもある。

話がそれたが、とにかくこの時の僕は五里霧中、暗中模索の状態だった・・・
そんな時に一冊の本に出会った。



『お化け屋敷のつくり方』


平野ユーレイ、斎藤ゾンビという二人の男たちの、お化け屋敷に賭けた人生と貴重なスキルが記された唯一無二の魂の大書だ!!

例のごとくまた僕は走り出した!今度は逃げるのではなく彼らを追いかけて、
お台場にある彼らのお化け屋敷『怪奇学校』まで。

何という恐怖・・・ジメジメした・・・・心が腐るかのような・・・奥行きのある恐怖・・・
コレだ!やっと辿りついた・・・・そして行き道の何倍も長い帰り道が僕を待っていた。

(つづく)


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