岐阜 柳ケ瀬お化け屋敷「恐怖の細道」公式ブログ

山口敏太郎プロデュース!岐阜市・柳ケ瀬商店街にて開催されるお化け屋敷「恐怖の細道」の公式ブログです。

口裂け女たちへ、愛を込めて。

2019-09-20 01:31:03 | 日記
 いよいよ、岐阜柳ケ瀬お化け屋敷「恐怖の細道」の8年間の歴史に、ピリオドが打たれる日が近づいて来ました。

 終焉を数日後に控えた今、改めてこのお化け屋敷の主役たる「口裂け女」への思いを書き綴ってみようと思う。


■「口裂け女」はまちおこしのヒロイン!?

 時々、なぜ「恐怖の細道」の口裂け女はお客の前でライブをしたり、一緒に記念写真に収まったりするの?と聞かれることがある。確かに、通常お化け屋敷のキャストが外に出ていくことは、取材でも無ければあり得ないし、さっきまで脅かしていたお客様と仲良く写真を撮ることも妙な話であると思う。

 この答えは単純で、我々「やながもん」は『口裂け女=まちおこしのヒロイン』と考えているからである。口裂け女の都市伝説が生まれた1978年。その時代は、ちょうど柳ケ瀬商店街の最盛期と重なっている。だから、我々にとって「口裂け女」とは「あの頃の柳ケ瀬」の象徴であるわけだ。

 「恐怖の細道」の物語は、少年「やなお」が口裂け女によって昭和時代の柳ケ瀬に連れ去られてしまう…というところから始まっている。しかし、口裂け女は「やなお」を連れ去りこそするものの、彼に危害を加えることはしていない。
 なぜなら、彼女は「柳ケ瀬においで…」「あの頃のように帰っておいで…」と誘う存在だからだ。


■口裂け女を演じた女性たち

 「恐怖の細道」の8年間で、口裂け女役を演じてくれたキャストは、通算で何人いるのだろう?集計してみたところ、なんとその数総勢25人。今思えば、それぞれ個性的な人たちばかり。学生さん、フリーター、主婦、OL、劇団員に保育園の先生、歌手に怪談師に元地下アイドル。年齢も職業もバラバラな彼女たちですが、それぞれが個性を発揮してくれたおかげで「恐怖の細道」は多彩な魅力を纏うことが出来たと思っています。改めて、心から感謝を申し上げたい。



 口裂け女を演じてくれた彼女たちのほとんどは、演技経験を持たない。もちろん、口裂け女伝説をリアルタイムで体験したわけでもない。そんな彼女たちがなぜ「恐怖の細道」のキャストを演じることを選んだのか?

 オーディションの際の志望動機を振り返ってみると、「以前にお客として来て、自分も演じる側をやってみたいと思った」「口裂け女を演じるのが楽しそうだった」という答えがほとんどだった。

 これは私見だが、「まちおこし」は楽しいものでなくてはならない、と思っている。今でもよく覚えているが、一年目の「恐怖の細道」に来場してくれたとある記者の方が「このお化け屋敷は夏中お祭りをやっているように見える」と評してくれたことがある。彼女たちの存在が、柳ケ瀬にハレの空気を生み出し、どんどんその輪に加わるメンバーが増えていったのだと思う。
 

 本当は25人それぞれのエピソードを語りたいくらいだけれど、きりがないのでやめておく。これから人間に戻った彼女たちの人生の中で、「恐怖の細道」の思い出がどのくらいのウエイトを占めるかは分からないけれど、これだけは伝えておきたい。君たちは、みんな立派にまちおこしのヒロインだったぜ!と。



■それでも、伝説は終わらない

 「恐怖の細道」の終焉に際し、我々は会場に「令和元年、口裂け女は成仏します」と記した。来場者の皆さんに口裂け女たちへのメッセージを書き残して欲しかったからだ。

 でも本当は、「口裂け女」という存在が成仏することは無いと思っている。今から40年前の噂話がいつしか都市伝説になり、現代まで語り継がれているのと同じように、柳ケ瀬に存在した彼女たちも来場してくれた多くの人たちの心の中に生き続けると思うからだ。
 
 8年という月日は長い。最初11歳という設定だった少年・やなお君も今年で19歳になる。あと1年もすればお酒を飲める年頃だ。「恐怖の細道」を愛してくれた少年・少女たちもいずれ大人になる。そして、いつか一緒にこの屋敷を訪れた友だちと「そういえば、あの時のお前はカッコ悪かったな」とか「あの口裂け女はマジで怖かったね」とか酒の肴に語り合ってくれたら嬉しい。そして願わくば「自分もあんなイベントをやってみたいな」と思ってくれる若者が現れて欲しいと思っている。

 「やながもん」、そして「恐怖の細道」の物語はあと3日で幕を閉じる。でも、もしそんな夢みたいな話が実現したら、きっと口裂け女たちも「やながもん」のメンバーたちも黙ってはいないだろう。きっと新たなお祭りに混ざりにやってくるはずだ。

 この8年間は、夢のような、お祭りのような日々でした。
あと3日、我々も口裂け女たちも全力で皆さんに「怖くて楽しい」アミューズメントをお届けするつもりだ。だから、どうぞ最後まで見届けてください。
祭りの最後は寂しいけれど、きっと心に残るものになる筈だから。

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