杉並からの情報発信です

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 ■ 「米国民皆保険反対」「反オバマ」の大キャンペーンの対象は「B層」だ

2009年10月02日 15時20分15秒 | 政治・社会
オバマ大統領が大統領選挙中に公約し実現を約束していた「国民皆保険制度」に猛烈な逆風が吹き支持率が40%台へと急速に低下しています。

「国民皆保険制度」が曲がりなりにも整備されている日本人にとって米国民がなぜこれほどまでに反対するのかその理由がいまいち理解できませんでした。

バンクーバー在住のフリージャーナリスト落合栄一郎氏の記事「デマや宗教的信念の効用(脳使用の放棄) オバマの医療改革阻止を操り、暗殺計画も日平均30件に」を読んでその理由の一端がわかりました。

<アメリカの保険業界、医薬品業界は、今策定されつつある「健康保険公共化」で失うものが莫大なので、あらゆる手を尽くしてこのような法律が成立しないように運動している。その策動に乗ってお先棒を担いでいるのが、共和党の有力議員やFOXという全国放送局、多くの市民を聴視者にもつ最右翼のトークショウホスト達で、ばかばかしいデマを流し続け、それに操られる人間が多く、彼らがタウンホールミーテイングをかき回しているのである。 >

「国民皆保険制度」反対大キャンペーンを仕組んでいるのは莫大な損失を受ける保険会社と製薬会社が黒幕で彼らの意図を受けて動く共和党政治家達とTVなどのマスコミおよび人気キャスター達だとこの記事では言っています。保険会社と製薬会社は莫大な資金を持っていますので反対キャンペーンを全国規模で展開できるのです。

米国の保険会社や投資銀行が資金を使って世論形成に成功した実例が日本にあります。

4年前の2005年9月11日に小泉純一郎首相が仕掛けた「郵政民営化選挙」においてマスコミが総動員された「郵政民営化」キャンペーンです。

日本の郵便保険と郵便貯金は350兆円という莫大な資金を有していることはよく知られていましたので、米国の保険会社や投資銀行は日本の郵便局を分割し民営化して上場させれば、各会社の株を最低51%抑えれば保有する資金350兆円を自由に運用できると見ていました。

この「350兆円略奪計画」を実現するために米国の保険会社と投資銀行は5000億円を電通経由で日本に送金し政治家や官僚やマスコミや評論家を買収して「郵政民営化」大キャンペーンを全国で展開したといわれています。その結果日本国民は見事にだまされ300議席を小泉自民党に与えて圧勝させてしまいました。

「郵政分割・民営化」は2007年に自公政権化で実現ましたが、今年政権交代が起こり「郵政民営化見直し」を公約している鳩山新政権によって「350兆円略奪」は危ないところで阻止されました。

2005年の「郵政民営化」キャンペーンの主要な対象はいわゆる「B層」(注1)でした。米国で今展開されている「国民皆保険制度」反対大キャンペーンの主要対象もまた自分の頭で物事を考える習慣のない「B層」です。まったく同じマーケッティング手法が使わているのがわかります。

注1:B層とは、広告代理店「スリード」が提唱した概念。狭義には小泉内閣支持基盤の層(具体的なことは分からないが小泉総理のキャラクターや閣僚を支持する層)を意味し、広義には政策よりもイメージで投票を行うなどポピュリズム政治に吸引される層を意味する。(wikipediaより)

以下に記事を全文転載しますので是非お読みください。

■ デマや宗教的信念の効用(脳使用の放棄)オバマの医療改革阻止を操り、暗殺計画も日平均30件に

  2009年09月10日 「日刊べリタ」 バンクーバー=落合栄一郎氏 

  http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200909100943294

  世の中は、ますます複雑になっている。しかもいろいろなものの考え方があるし、科学分野などでの新知識も日々増大している。それらの多くを咀嚼して合理的に判断し、自分なりの考えを持とうとすることはなかなか難しくなっている。しかし、そうした脳の活用は人間の特性を生かしてより良い社会をつくるのに貢献する;これが人間社会の進歩の原動力であった。(バンクーバー=落合栄一郎) 
 
 しかし多くの人は自分の頭脳を充分に使おうとはしない。この状況は、昔からあったが、また最近とくに顕著になってきたように思われる。状況を見て、そのような人々を操ろうとする人間がいて、デマやウソを交えて多くの人々を洗脳、煽動するからである。デマとはいえ、それを表明する人達は、その時点ではデマではなく真実と信じこんでいる場合もあるし、デマを承知で行っている場合もある。この結果は様々な社会問題に反映している。 
 
 多くの宗教的ドグマは、合理的根拠は薄弱でありながら、宗教という性格上、人々は疑念を挟まずに信じることこそが正しいとされる。多くの場合、それは「常に正しい絶対者(神)」の言葉であるからと。すなわち、宗教、特に絶対者に依存する宗教は、各人(信者)の判断力を停止させ、そのドグマを妄信させる。人々は、あれこれ考え悩むことなく、与えられたドグマに依存しさえすればよい。というわけで、多くの人々がこうしたドグマ依存・反理性的生き方をしている。 

 これらの人々は、そのドグマの誤謬を指摘されても、指摘する側の人間の信仰心のなさを非難するのみである。子供の時から繰り返し刷り込まれ、洗脳された頭の中を変えるのは容易なことではない。不可能な場合が多い。そしてこうした頭脳になってしまっている人は、さらに権威的装いをした人物の言うことを疑いを差し挟まずに信じこむ傾向が強い。 
 
 現在の混沌とした社会で、生き方に迷いが生じたり、不安になってこうした権威のもたらす観念にすがりつこうとする人々が増えているようである。その対象は必ずしも宗教的ドグマとは限らない。第一次世界大戦後のドイツでのナチスの台頭に典型例が見られる。経済危機から人々の注意をそらすためにナチスの発したデマ(アーリア人種の純潔性と優越性、それを汚すユダヤ系人種)は多くの人々を翻弄、戦争へと突き進ませた。ヒットラーによれば「デマも繰り返し唱えるうちに真実になる」のだそうである。というよりは、「デマも繰り返し唱えるうちに人々に信じ込まれるようになる」のであろう。 
 
 さて現在のアメリカの様子を見てみよう。オバマという半黒人が大統領に当選して以来、共和党議員や人種主義者達(白人優越主義者)などのデマゴーグ達がオバマを追い落とそうと躍起になっている。特に夏の国会休暇中にアメリカのあちこちの町で催された「健康保険」についてのタウンホールミーテイングでの「健康保険の公共化」政策反対(保険業界の画策と人種主義者達の相乗り)を標榜する市民達による会議のかき回しが盛んに行われた。 
 
 アメリカの保険業界、医薬品業界は、今策定されつつある「健康保険公共化」で失うものが莫大なので、あらゆる手を尽くしてこのような法律が成立しないように運動している。その策動に乗ってお先棒を担いでいるのが、共和党の有力議員やFOXという全国放送局、多くの市民を聴視者にもつ最右翼のトークショウホスト達で、ばかばかしいデマを流し続け、それに操られる人間が多く、彼らがタウンホールミーテイングをかき回しているのである。 

 曰く、健康保険が政府に支配されると、老人の生死も政府機関パネル(Death Panel)が決する(生死の自由もなくなる)、また障害者の生死も政府支配下に置かれる(これは、特に例の共和党副大統領候補だった元アラスカ知事のペイリン女史が流布した)、一般にオバマが社会主義的政策で国民の選択の自由を奪う、オバマはアメリカ市民ではない(ハワイ州で生まれたという出生証明書はでっち上げである)などなど、根も葉もないデマが流され、上に述べた種類の人達が簡単に乗せられて、オバマのやる事なす事、とくに健康保険法の導入を阻止するために躍起となっている。このため、まともな多くの市民が欲する「健康保険の公共化」の実現が怪しくなっている。 
 
 反対する人々は、普通の市民で、上のような宣伝に乗せられて、真剣に「皆のための健康保険」成立を阻止すべきだと信じ込んでしまっているようである。そしてアメリカの流儀で、銃を持って会場に入る例が増えている。シークレットサービスの報告によると、日に平均30件ほどのオバマ暗殺の計画が暴露されているらしい。しかも大統領を護衛するシークレットサービスは現在人員不足で、最悪の事態の発生が懸念されているらしい。 
 
 さて、日本に目を転じてみると、日本の国体というものを信奉するいわゆる「右翼」的な人が増えているように見受けられる。そして、平和憲法を守ろうとしたり、靖国神社参拝を問題にする人々を直ちに「反日」「愛国心欠如」と断定して、威嚇的行動を取るようである。 
 日本国を守ろうとして戦場に行き、帰らぬ人になった人々ばかりでなく、日本と日本国民をそうしたおぞましく、無益な、そして近隣諸国に多大の被害をもたらした戦争に引き込んだ責任者達も同時に祭る靖国神社の性格を充分に考えて、その参拝、特に政治家達の参拝が妥当なものかどうかを判断する前に、右翼的宣伝に乗せられて、靖国参拝反対イコール反日と極め付けてしまう。このような状況は、上に述べたアメリカの現状と本質的には差がない。(もちろん、人種差別などなどの状況の差は多々あるが) 
 
 アメリカのワシントン郊外のアーリントン墓地にしろ、靖国神社にしろ、あらゆる国で、命を落とした兵士を厚く葬る事は普通に行われている。それは、戦争の犠牲になったものを慰霊するという意図の他に、そうして犠牲になっても国や国民が感謝を捧げる、大事に扱われるのだから進んで戦争に行って下さいという(権力による)おためごかしなのである。おそらくそうでもしなければ、死を無視して戦争に喜んで出かける人間はいなくなるであろう(義務兵役や経済的理由がなければ)。 
 
もちろん、誤った観念を持ち戦争に積極的に参加しようとする人間はいないわけではないが。日本の場合はそれが更に宗教の衣を纏っている。 
 
 アメリカのキリスト教右派の聖書密着、ある種のイスラム信者の原理主義的考え方、などなど世の中には、充分に物事を考えず、合理的・理性的な判断を放棄している人々が多くなっているようである。宗教に限らない。市場原理主義(新自由主義)などの非条理さに振り回されてきた、経済学者自身やそれを信奉してきた政治家、企業家などにもそうした傾向は見ることができる。 

(終わり)
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