ドイツは2022年までに17基の原子炉を順次廃棄する「脱原発」を決定しました。
ドイツの「脱原発」は「新エネルギーに移行するまでの一定期間原発を稼働させる」ことを条件にしていますが、
大きな地震の危険性がないドイツだからこそ可能なのです。
日本はマグニチュード5以上の地震が世界で一番多発する地震大国でありそこに54基もの原子炉が林立しています。
日本はドイツと違って「原発を一定期間稼働させる」「脱原発」の余裕はないのです。
▼ 福島原発の危機的状況
福島第一原発の一号炉、二号路、三号炉は3月11日の大地震と大津波で「冷却システム」が完全に破壊されたために、
緊急停止された核燃料は空焚きされ、2800度の「崩壊熱」で溶融されて圧力容器と格納容器の底を突き抜けて「メルトスルー」して
格納容器全体を支えるコンクリートの支柱上に「塊」 状となっています。
現在は注入された真水でかろうじて「冷却」され安定していますが「塊」の内部は高温の「崩壊熱」を出し続けているのです。
もしも大きな余震が福島原発を直撃して核燃料の「塊」が二つに割れるような事態になれば、「塊」の高温内部と水と瞬時に反応して
「水蒸気爆発」を 引き起こすのです。
それもは1つでなく3つの核燃料が同時に「水蒸気爆発」すれば、高濃度の放射性物質が空気中に飛散して直ちに東京を含む東日本全体は汚染 され、
翌日には日本全体が、一週間後には地球全体が汚染されるのです。
まさに「地球崩壊」の惨劇となるのです。
さらに、福島第一原発の4つの原子炉にはそれぞれ大量の「使用済み核燃料」がプール内に貯蔵され、注入された真水でかろうじて「冷却」され安定し ていま
すが、もしも大きな余震が福島原発を直撃してプールが破壊されれば、高温の「崩壊熱」で空焚きされた「使用済み核燃料」もまた「メルトダウン」し て
「水蒸気爆発」する危険が高いのです。
福島原第一発の大事故はそれほどまでに危険な状態なのですが、政府も東電も大手マスコミもその危険の「真実」を一切語らないのです。
それよりもひどいのは、危機的状況を国民に知らせず「真実」を隠すばかりか、「工程表」の第一ステップが成功裡に完了したので来年1月の「安定的 な冷却」に
成功するかのように「事態は解決に向かって進展している」と楽観的な見通しで国民を騙していることです。
戦前の軍部が米国との戦争に大敗していても「勝利している」と国民に大嘘をついて最後まで騙し通していたことと似ています。
1942年6月5日に始まった「ミッドウェイ海戦」では、日本海軍は航空母艦4艘、巡洋艦2艘、戦闘機289機、将兵3052名を失い致命的な大 敗を蒙りました。
しかし大本営は、「空母ホーネット、エンタープライズを撃沈、敵飛行機120機を撃墜。味方の損害は空母一隻、重巡洋艦1隻沈没、空母一隻大破、 未帰還機35機」
と全くの嘘情報を流して国民を騙したのです。
▼ 日本政府が取るべき4つの方針
日本政府が取るべき第一の方針は、「メルトスルー」した3つの原子炉の「核燃料」と4つのプールに貯蔵されている「使用済核燃料」の「封じ込め」 を
資金と人的犠牲をどれほど払ってでも早急に実現することです。
日本政府が取るべき第二の方針は、原発から100km圏内のすべての住民と家畜とペットをどれほどの資金がかかってでも他県に移住させることで す。
日本政府は住民に対して最低30年間は戻ってこれないことを正直に語るべきなのです。
そして日本政府が取るべき第三の方針は、現在稼働している17基の原子炉を直ちに停止させ54基全ての原子炉を「廃炉」していくことです。
同時に青森県六ケ所村の「再処理工場」と高速増殖炉「もんじゅ」を直ちに閉鎖する事です。
そして日本政府が取るべき第四の方針は、「核のゴミ」処理問題を真正面から取り組むことです。
京大原子炉研究所の小出裕章助教の著作「原発のウソ」(扶桑社新書)によりますと、「核のゴミ」には、放射性物質が付着したペーパータオルや作業 着などの「低レベル放射性廃棄物」と、
使用済み核燃料を再処理してウランとプルトニュームを取り出した後の残りかすである「高レベル放射性廃棄物」の2種類があるとのことです。
「低レベル放射性廃棄物」は2005年にドラム缶で70万本ありましたので、毎年2.5万本増加するとすると現時点(2011年)にはおそらくド ラム缶80-85万本あると推測されます。
現在青森県六ケ所村の地下の「ドラム缶置場」に貯蔵して「放射能漏れ」がないか否かを300年間監視続ける体制が取られています。
「高レベル放射性廃棄物」の処理に関して、政府は「高レベル放射性廃棄物」を「ガラス固体化」して300-1000mの深い竪穴を掘り、そこから 横穴を掘って埋めてしまう計画を立てていますが、
「廃棄物受け入れ施設」に反対する地域住民の抵抗でどこも決まっていないのです。
原発受入れと同じく一旦施設を受け入れれば、地域住民は毎年多額の「給付金」と引き換えに、寿命が30-40年の原発どころでなく100万年の間 「放射能汚染」の危険を
背負わなければならなくなるのです。
▼ 「脱原発」ではなく「反原発」の立場しかない!
福島第一原発の大事故の現実を直視するならば、原子炉の稼働を一定期間認める「脱原発」ではなく、全ての原子炉を直ちに停止させ「廃炉」にする
「反原発」の立場を取るべきなのです。
菅首相が7月13日の記者会見で突然言い出した「脱・原発依存」は、「大連立」で「原発推進」を目論む自民党、公明党、民主党Bグループと経産省 などの
霞が関官僚が一体となって仕掛けた「菅おろし」に対抗する「延命のための方便」でしかないのです。
電力各社、電子炉メーカー、ゼネコン、原発誘致自治体と住民、自民党、公明党、民主党B(枝野、岡田、仙石、安住、玄葉、前原、野田など新自由主 義者)などの
利権政治家、霞が関特権官僚、財界、御用学者などが作る「原子力村」の「原発利権」を解体することは決して出来ないでしょう。
「原子力村」の「原発利権」を本当に解体できるのは「反原発」の立場の国民と政治家の行動しかいないのです。
「参考文献」
1.小出裕章氏「原発のウソ」(扶桑社新書¥740+税)
2.小出裕章氏「原発はいらない(幻冬舎ルネッサンス新書¥838+税」
【関連記事】
■ 我々は今「途方もない規模の新しい危機」の真っただなかにいる!
2011.07.17 山崎康彦
http://blog.goo.ne.jp/yampr7/e/8874e04f3094e770cf02f2342fa604a5
(終わり)
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ドイツの「脱原発」は「新エネルギーに移行するまでの一定期間原発を稼働させる」ことを条件にしていますが、
大きな地震の危険性がないドイツだからこそ可能なのです。
日本はマグニチュード5以上の地震が世界で一番多発する地震大国でありそこに54基もの原子炉が林立しています。
日本はドイツと違って「原発を一定期間稼働させる」「脱原発」の余裕はないのです。
▼ 福島原発の危機的状況
福島第一原発の一号炉、二号路、三号炉は3月11日の大地震と大津波で「冷却システム」が完全に破壊されたために、
緊急停止された核燃料は空焚きされ、2800度の「崩壊熱」で溶融されて圧力容器と格納容器の底を突き抜けて「メルトスルー」して
格納容器全体を支えるコンクリートの支柱上に「塊」 状となっています。
現在は注入された真水でかろうじて「冷却」され安定していますが「塊」の内部は高温の「崩壊熱」を出し続けているのです。
もしも大きな余震が福島原発を直撃して核燃料の「塊」が二つに割れるような事態になれば、「塊」の高温内部と水と瞬時に反応して
「水蒸気爆発」を 引き起こすのです。
それもは1つでなく3つの核燃料が同時に「水蒸気爆発」すれば、高濃度の放射性物質が空気中に飛散して直ちに東京を含む東日本全体は汚染 され、
翌日には日本全体が、一週間後には地球全体が汚染されるのです。
まさに「地球崩壊」の惨劇となるのです。
さらに、福島第一原発の4つの原子炉にはそれぞれ大量の「使用済み核燃料」がプール内に貯蔵され、注入された真水でかろうじて「冷却」され安定し ていま
すが、もしも大きな余震が福島原発を直撃してプールが破壊されれば、高温の「崩壊熱」で空焚きされた「使用済み核燃料」もまた「メルトダウン」し て
「水蒸気爆発」する危険が高いのです。
福島原第一発の大事故はそれほどまでに危険な状態なのですが、政府も東電も大手マスコミもその危険の「真実」を一切語らないのです。
それよりもひどいのは、危機的状況を国民に知らせず「真実」を隠すばかりか、「工程表」の第一ステップが成功裡に完了したので来年1月の「安定的 な冷却」に
成功するかのように「事態は解決に向かって進展している」と楽観的な見通しで国民を騙していることです。
戦前の軍部が米国との戦争に大敗していても「勝利している」と国民に大嘘をついて最後まで騙し通していたことと似ています。
1942年6月5日に始まった「ミッドウェイ海戦」では、日本海軍は航空母艦4艘、巡洋艦2艘、戦闘機289機、将兵3052名を失い致命的な大 敗を蒙りました。
しかし大本営は、「空母ホーネット、エンタープライズを撃沈、敵飛行機120機を撃墜。味方の損害は空母一隻、重巡洋艦1隻沈没、空母一隻大破、 未帰還機35機」
と全くの嘘情報を流して国民を騙したのです。
▼ 日本政府が取るべき4つの方針
日本政府が取るべき第一の方針は、「メルトスルー」した3つの原子炉の「核燃料」と4つのプールに貯蔵されている「使用済核燃料」の「封じ込め」 を
資金と人的犠牲をどれほど払ってでも早急に実現することです。
日本政府が取るべき第二の方針は、原発から100km圏内のすべての住民と家畜とペットをどれほどの資金がかかってでも他県に移住させることで す。
日本政府は住民に対して最低30年間は戻ってこれないことを正直に語るべきなのです。
そして日本政府が取るべき第三の方針は、現在稼働している17基の原子炉を直ちに停止させ54基全ての原子炉を「廃炉」していくことです。
同時に青森県六ケ所村の「再処理工場」と高速増殖炉「もんじゅ」を直ちに閉鎖する事です。
そして日本政府が取るべき第四の方針は、「核のゴミ」処理問題を真正面から取り組むことです。
京大原子炉研究所の小出裕章助教の著作「原発のウソ」(扶桑社新書)によりますと、「核のゴミ」には、放射性物質が付着したペーパータオルや作業 着などの「低レベル放射性廃棄物」と、
使用済み核燃料を再処理してウランとプルトニュームを取り出した後の残りかすである「高レベル放射性廃棄物」の2種類があるとのことです。
「低レベル放射性廃棄物」は2005年にドラム缶で70万本ありましたので、毎年2.5万本増加するとすると現時点(2011年)にはおそらくド ラム缶80-85万本あると推測されます。
現在青森県六ケ所村の地下の「ドラム缶置場」に貯蔵して「放射能漏れ」がないか否かを300年間監視続ける体制が取られています。
「高レベル放射性廃棄物」の処理に関して、政府は「高レベル放射性廃棄物」を「ガラス固体化」して300-1000mの深い竪穴を掘り、そこから 横穴を掘って埋めてしまう計画を立てていますが、
「廃棄物受け入れ施設」に反対する地域住民の抵抗でどこも決まっていないのです。
原発受入れと同じく一旦施設を受け入れれば、地域住民は毎年多額の「給付金」と引き換えに、寿命が30-40年の原発どころでなく100万年の間 「放射能汚染」の危険を
背負わなければならなくなるのです。
▼ 「脱原発」ではなく「反原発」の立場しかない!
福島第一原発の大事故の現実を直視するならば、原子炉の稼働を一定期間認める「脱原発」ではなく、全ての原子炉を直ちに停止させ「廃炉」にする
「反原発」の立場を取るべきなのです。
菅首相が7月13日の記者会見で突然言い出した「脱・原発依存」は、「大連立」で「原発推進」を目論む自民党、公明党、民主党Bグループと経産省 などの
霞が関官僚が一体となって仕掛けた「菅おろし」に対抗する「延命のための方便」でしかないのです。
電力各社、電子炉メーカー、ゼネコン、原発誘致自治体と住民、自民党、公明党、民主党B(枝野、岡田、仙石、安住、玄葉、前原、野田など新自由主 義者)などの
利権政治家、霞が関特権官僚、財界、御用学者などが作る「原子力村」の「原発利権」を解体することは決して出来ないでしょう。
「原子力村」の「原発利権」を本当に解体できるのは「反原発」の立場の国民と政治家の行動しかいないのです。
「参考文献」
1.小出裕章氏「原発のウソ」(扶桑社新書¥740+税)
2.小出裕章氏「原発はいらない(幻冬舎ルネッサンス新書¥838+税」
【関連記事】
■ 我々は今「途方もない規模の新しい危機」の真っただなかにいる!
2011.07.17 山崎康彦
http://blog.goo.ne.jp/yampr7/e/8874e04f3094e770cf02f2342fa604a5
(終わり)
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