杉並からの情報発信です

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「エジプト民衆革命」の旗手は30歳のエジプト人グーグル社員

2011年02月16日 14時38分53秒 | 政治・社会
30年間の独裁恐怖政治で貯めたムバラク前大統領の個人資産は5-6兆円と報じられています。

アメリカからエジプト政権への軍事経済援助は毎年2500億円ですが最大の外貨収入はスエズ運河の航行料で毎年2500億円の収入があります。

そのうちの1000-2000億円がムバラクの個人口座に入金され30年間で5-6兆円の個人資産に膨れ上がったのでしょう。

エジプトではお墓に建てられた死者用の小屋に住みついて一日1ドル以下の生活を強いられている貧民が100万人以上います。

他方ムバラク前大統領のようにビルゲイツの個人資産4兆5千億円を上回る世界最大の大金持ちもいたのです。

米国は「イスラエル支援」のためにこの独裁者を30年以上に渡って支援してきたのです。

今回ムバラク大統領の即時辞任を実現した「エジプト民衆革命」の旗手はワエル・ゴニム氏という「インターネット中毒」の30歳のグーグル社員

でした。ゴニム氏はカイロのアメリカン大学でMBAを取得しAE(アラブ首長国連邦)のドバイにあるグーグルのオフィスで中東・北アフリカ地域の マーケティングを

統括していましたがデモに参加するために妻と子供をドバイに残しエジプトに戻って来たのだ。

ゴニム氏はフェイスブックやツイッターや携帯電話を駆使して若者を動員し1月25日から始まった大規模な民主化デモの中心人物でしたが、1月27 日に

突然秘密警察に逮捕され拷問されて一時は死を覚悟したほどでしたが幸運にも2月7日に釈放されたのです。

ゴニム氏の釈放後デモは再び勢いを増し2月10日にムバラク大統領が即時辞任を拒否する演説でデモ隊の怒りが爆発しついにムバラク大統領を最終的 に追い詰めたのです。

「エジプト民衆革命」の今後の勝敗はエジプト国民が米国から独立した「主権在在民」の政権を自分たちで樹立できるかどうかかかってくると思いま す。

このことは米国の植民地であり続けてきた日本が「主権在在民」の政権を自分たちで樹立して「米国からの独立」を実現する我々の戦いに大いに関係す るのです。

日経新聞ロンドン支局の大竹剛氏が書かれた優れた記事を以下に転載しますのでお読みください。

▼ エジプト革命、必要だったのはオバマよりグーグル 「政策は嫌いだが文化は好き」米国への愛憎相半ば 
  
2011年2月16日 日経ビジネスOn Line 大竹剛氏(日経新聞ロンドン支局)

  http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110214/218414/?P=1

「エジプト国民へ、日曜は仕事にもどろう。これまでにないくらいがむしゃらに働いて、エジプトが発展した国になるように手助けしよう」

エジプト、カイロのタハリール広場の大群衆が、ムバラク大統領辞任の知らせに歓喜してから数時間後、ある“つぶやき”がツイッター上で駆け巡っ た。

発言の主は、ワエル・ゴニム氏(30歳)。1月25日から始まった大規模な民主化デモをけん引してきた中心人物である。

 彼は一連の反政府デモを「レボリューション2.0」と呼び、フェイスブックやツイッターを駆使して若者を動員してきた。今やエジプトの若者間で ヒーロー的な

存在となっている。

 ゴニム氏は、警察に暴行され昨年6月に死亡した若者の名前を冠したページ「We are all Khaled Said」をフェイスブック内に匿名で立ちあげ、

草の根で反政府活動を展開してきた。そのアラビア語のページは現在、約80万人をメンバーとして集めている。チュニジア革命後、彼はこのページを 通じて

ムバラク大統領退陣を求めるデモを呼びかけた。

英雄の釈放、デモに再び活力を与える

 その影響力の大きさからゴニム氏は当局に目を付けられ、1月27日に突然逮捕され姿を消す。だが、2月7日に釈放されてからは反撃に転じた。積 極的に地元や

海外のテレビ局によるインタビューに応じ、反政府デモの顔となっていく。

 CNNとのインタビューでは、当局との衝突で命を落とした数多くの市民を涙ながらに悼み、デモを扇動したとして当局からターゲットにされたこと や、

拘留中に死を覚悟したこと、「誰1人として、我々の要求を阻むことはできない。彼らはもう、30年もこの国を支配し続けてきた。もう十分、うんざ りだ」と

声を震わせながら革命を完遂させる決意を示した。その映像はユーチューブで瞬く間に広がり、一躍、エジプト革命の旗手となった。

 反政府デモは、政府と野党勢力などが事態打開に向けて話し合いを始める中で膠着状態に陥っていた。だが、ゴニム氏の釈放でデモは再び勢いを増し た。

2月 10日にはムバラク大統領が即時辞任を拒否する演説をし、これを機にデモ隊が怒りをさらに爆発させ、ムバラク大統領を最終的に追い詰めた。

 事実、ゴニム氏ほど、エジプト革命を象徴する存在はいない。エジプト革命のけん引役はインターネットと携帯電話を使いこなす若者世代。

実に、人口の約3 分の2が30歳以下というから、いかにエジプトは若者が多いかが分かる。しかも、ソーシャルネットワークを使いこなす学歴のある中流層が

大きな役割を演じた。その意味で、ゴニム氏は文字通り「レボリューション2.0」の代表的な存在だ。

革命の旗手、素顔はMBAホルダーのグーグル社員

 ゴニム氏は、カイロのアメリカン大学でMBAを取得したほど高い教育を受けている。そして、ツイッター上のプロフィールで、自ら「インターネッ ト中毒」と

認めるほどのインターネット好きだ。勤め先はUAE(アラブ首長国連邦)のドバイにあるグーグルのオフィスで、中東・北アフリカ地域のマーケティ ングを

統括する立場にあった。今回、デモに参加するために妻と子供をドバイに残し、エジプトに戻ってきた。

 インターネット世代の若者であることに加え、米国に代表される西側諸国に抱く愛憎半ばする感情でも、ゴニム氏は典型的なエジプト人の1人と言っ て良い

だろう。エジプト人の多くは、米国流の開かれた民主主義や文化に好意を抱く一方、米政府の中東政策には嫌悪感を抱いている。ゴニム氏もまさにそん な

エジプト人の1人だ。

自由な社風を持ち、最新技術を生み出し続けるグーグルは、いわば、インターネットを通じて米国流のオープンな価値観を世界に伝えている伝道師とも 言える。

ゴニム氏はCNNとのインタビューで、そんなグーグルを「働き先として世界で最も良い会社」と表現している。13日、グーグル側もツイッターを通 じて

ゴニム氏に対して、「私たちは、あなたのことを非常に誇りに思っています。もちろん、あなたの準備が整ったら、復帰するのを歓迎します」と伝え た。

 その半面、ゴニム氏は米国を始めとする西側諸国の中東政策には批判的だ。ゴニム氏がツイッターで、「西側諸国の政府よ、あなたたちは私たちを抑 圧していた

(ムバラク)体制を支援し続け、30年間、黙って何もしてくれなかった。お願いだから、今になって介入してこないでくれ」と発言したのは、米国を 始めとする

西側諸国の中東政策に対する不信感の表れだろう。

エジプト人の6割が米国嫌い、でも自由と文化は好き

 エジプト国民の米国に対する感情を知る上で、興味深い調査がある。米調査会社ゾグビー・インターナショナルが、アラブ諸国で米国の文化や外交政 策に対する

国民感情を調べたものだ。

 エジプト人に、米国に好意を抱いているかと問うと、2002年は好意的と答えた割合が15%、好意的でないが76%だった。イラク戦争勃発後は 米国のイメージが

さらに悪化し、2004年は好意的の割合が4%、好意的でないが95%となった。だが、オバマ政権誕生後の2009年には、好意的が30%、好意 的でないが64%となり、

オバマ政権に対する期待が高かったことが分かる。

 このように全体的な米国のイメージを聞けば、好きではないと答えるエジプト国民の割合が圧倒的に多い。しかし、個別に中身を聞いていくと、愛憎 相半ばする

感情が浮き彫りになる。米国の自由と民主主義について聞くと、好意的と答えた割合が2002年から2009年まで、常に50%台を維持している。

また、米国製品に対する見方についても、好意を抱いている人の割合は50%台で推移し、米国の技術やブランドに対する信頼が高いことが見て取れ る。

米国の中東政策がイメージ悪化の元凶

 では、何が米国のイメージを悪くさせているのか。それは、中東地域での外交政策に他ならない。パレスチナ問題に関する政策について聞くと、好意 的と答えた

割合は2002年では3%、2004年は1%。イラク問題でも、好意的にとらえる割合は2004年は1%以下だった。

 調査でシニアアドバイザーを務め、ワシントンでアラブ社会への理解を高める活動をしているアラブ・アメリカン・インスティチュートのプレジデン ト、

ジェームス・ゾグビー氏は、「アラブ諸国の人々は、米国の価値観に嫌悪感を抱いていると見られがちだが、実は、米国民や文化、価値観に好意を持っ ている。

嫌いなのは政策だ」と言い切る。

 興味深いのは2009年、政策分野でも好意的に見る割合が増えたことだ。、オバマ政権になった2009年、パレスチナ問題を好意的にとらえる割 合は 19%、

イラク問題でも17%に上昇した。「オバマ大統領がカイロで(米国とアラブ諸国との融和を目指す)演説した時、人々は変化の時が来たと感じ取り、

期待は最高潮に達した」とゾグビー氏は分析する。

だが、その期待は既に裏切られている。例えば、9・11後、テロリストや容疑者を収容してきたグアンタナモ収容所は、迷走するオバマ政権の象徴と もいえる。

オバマ大統領は、グアンタナモ収容所の閉鎖を約束しつつ、いまだ実現していない。ゾグビー氏は、「2010年末の調査では、米国を好きと答える人 の割合が、再び下がっている。

約束したことと実行した中身のギャップが広がり、その失望が事態をより難しくしている」と話す。

デモへの対応で失点重ねたオバマ政権

 今回のエジプト革命への対応でも、オバマ政権はエジプト国民からの期待に十分に応えたとは言い難い。

 1月25日のデモ勃発後、ヒラリー・クリントン米国務長官は「エジプト政府は安定しており、国民の正当な要望に応える方法を探っている」と発 言。

2月5 日には、オマール・スレイマン副大統領による政権移行を支持する考えを表明するなど、民主化の重要性を強調しつつも、ムバラク政権に配慮した

慎重姿勢を続けてきた。

 ブルッキングス研究所ドーハセンターのシャディ・ハミド氏は、「オバマ政権は、徐々に立ち位置は良くなってきたとはいえ、民主化デモへの対応で

後手に回ってきた。米国の反応に対して、多くのエジプト国民は落胆した」と指摘する。米国はエジプトを中東和平の仲介役と位置付け軍事支援を続け てきた。

ムバラク政権との密接な関係から、民主化デモに対する立場を明確にするまで時間を要した。

混沌とするムバラク後の世界

 民主化運動に力を与えるインターネットを、世界に広げてきた自由の国。そして、親米ムバラク政権を追い落とす民主化の現実に、なかなか向き合え なかった

オバマ政権。矛盾する2つの顔を持つ米国は、今後、エジプトが民主化を進め、民主化の波がほかのアラブ諸国にも広がる中で、今以上に難しい局面に 立たされそうだ。

 ブルッキングス研究所のハミド氏は、「(米国の方針に左右されない)今まで以上に独立的な新しいアラブ諸国が台頭すれば、米国の影響力が弱まる リスクは

ある。しかし、米国やEU(欧州連合)とアラブ諸国の関係が根本的に見直され、西側諸国が変化を支援する好機となる可能性もある」と話す。

 エジプト革命を成功させるのに必要だったのは、オバマ政権の支援ではなく、グーグルで働くインターネット中毒の若者の活躍だったという事実。

それは、国際社会においてオバマ政権の輝きが失われていることを改めて印象付けただけではなく、エジプト国民や他のアラブ諸国の国民にとって、

自らの力で変化を起こせるという大きな自信を生み出したはずだ。今後、米国に代表される西側諸国は、アラブ諸国の民主化の動きをいかに受け止めて いくのか、

難しいかじ取りを迫られる。

(終わり)

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