○本稿は、かって辺野古テント村を訪れてくださった「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会のKさんからメールを頂いたことに始まりました。そこに「沖縄を戦場にする政策をやめてください」がありました。ここに彼の了解を得て、全文転載させていただきます(連絡先等省略)。「災害避難」の実態を見つめてきた彼らが、「戦時避難」に言及し、沖縄の仲間達を慮り、そもそも「沖縄を戦場にする政策をやめてください」と5項目を岸田首相に求めています。簡潔にして要点をついた内容であり、私も胸を熱くしてしまいました。
私はかって世田谷の地で障がい者運動と係わってきた者として、この50年余りの絆が残っていたのかと感無量です。多くの方々が読んでいただき、沖縄であれ、どこであれ、戦場にさせないことを、なお一層、自らの課題にしていきましょう。(ヤマヒデ)
彼らのHPは以下
2024年3月28日
内閣総理大臣 岸田文雄 様
沖縄を戦場にする政策をやめてください
「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会
(連絡先)東京都杉並区(以下略)
Eメール 略 電話番号 略
「(岸田内閣は)台湾有事といった非常事態に沖縄県の離島住民らを避難させる計画策定に向け、内閣官房に検討斑を設置した」(共同通信1月27日)と報じられました。
そして、「政府の現在の想定では、他国からの武力攻撃が予測される事態となった場合、沖縄本島などの住民約130万人を屋内避難させ、台湾に近い先島諸島の全住民約11万人と観光客約1万人を沖縄県外に避難させる。石垣市と宮古島市から民間の航空機と船舶で、福岡空港や鹿児島空港、鹿児島港に運ぶ想定で、県の試算では1日当たり、最大で約22000人を輸送できれば、6日で島から避難できる。九州の空港や港からはバスや新幹線で各県の避難先へ移動する」(毎日新聞2月9日電子版)とも報じられています。その想定に基づく計画策定や訓練までもが行なわれています。
各地で発生してきた自然災害の中で、しょうがいしゃは、避難所での生活が実際には困難で、痛んだ住宅や車の中で生活せざるをえない状況を経験してきました。1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、そして今年1月の能登半島地震においても、この状況は変わっておらず、政府の無策に歯ぎしりする思いでいます。
沖縄県外に移転させられる12万人の中には、しょうがいしゃ、高齢者、病気で入院している人などがいます。移転させるということそのものが、そうした人々のいのちと生活を破壊することになります。そして避難所暮らしがますます命を脅かすことになるのです。
沖縄本島で屋内避難させられる130万人の人々は、どうなるのでしょうか。基地が集中しているこの島が、政府の想定する事態の中で、安全であるはずがありません。シェルターのようなものがつくられたとしても、そこに移動させられる、しょうがいしゃなどの人々のいのちと生活を脅かします。そして、地域生活が破壊されることになります。
私たちは、障がい者権利条約でめざされている共に生きる社会を破壊するこのような計画に絶対に反対します。そして、戦争のために避難せざるを得ないような状況にする政策そのものに反対します。
○なぜ沖縄を戦場にする事態が想定されているのか
政府は、防衛費を2023年度予算で26.4%増額し、2024年度予算案でも16.5%増額しようとしています。生活や福祉に係わる深刻な事態を、解決することもないままです。この増やした防衛費の中で、他国の領土を攻撃できるミサイルを、購入したり、自国で生産しようとしています。
外国の領土を攻撃することを想定しているから、自国領土も攻撃される。だから、避難体制を作る、としているのです。「台湾有事」などという事を想定しているので、沖縄が避難の対象とされるのですが、これは第2次世界大戦の時と同じように、沖縄を戦場にする計画にほかなりません。そしてかってのように、近隣諸国の人々のいのちを脅かすことになるのです。
他国の領土を攻撃すること、他国で起こっている戦争に参戦すること、これら一切が日本国憲法違反です。沖縄県民が示した選挙での意思表示をも無視して、辺野古新基地建設を推し進める政府も最高裁も、憲法違反を行なっているのです。新たなミサイル部隊を配置したり、自衛隊の訓練場を作ろうとするなど、沖縄への基地負担を、さらに増やそうとする政策も容認できません。「沖縄は今も戦後ではない」という言葉が、沖縄の仲間から語られ、わたしたちは、一刻も早く、こうした状況を変えなければならないと考えます。
○こうした観点から、以下のことを求めます。
①沖縄を戦場にする計画をやめてください。
➁他国の領土を攻撃できる兵器の保有をやめてください。
③他国で起こる戦争に、介入することをやめてください。
④政府予算は、生活・福祉の充実のために使ってください。特に2022年9月に、国連の障がい者権利委員会から出された対日総括所見に基づき、しょうがいしゃが隔離されることなく、一生涯地域で共に暮らせるようにするための政策に使用してください。
⑤自然災害のための避難に当たっては、災害関連死を防ぐためにも、人間らしい生活が継続できる国の避難計画・避難所の基準を策定してください。この場合、しょうがいしゃ団体との検討を十分に行なってください。