2025年8月29日15時50分、私は沖縄防衛局(嘉手納町)前に登場。16時からの開会に辛くも間に合った。予定では、ここに来る前に嘉手納基地をみてから来る予定だった。27日夜、突然、私は、21日(既報)に撮った写真とキャプションを付けて、お持ちし、抗議に役立てたいと思ったのだ。
プリントは、本来24時間乾かさないと持ち出しは駄目。28日夕方プリントし、ひとまず作品をつくり、29日朝、キャプションを書き、5枚に貼り込み、併せて全体がわかる別紙を作り、準備した。結果、嘉手納基地経由で来る時間がなくなった。
到着後、本日の司会者に私の趣旨を話したが、この5分、10分では無理と判断した。無理もない。その分、私がこの抗議集会に来た人たちにお話しし、代用することに決めた。
本日の集会の呼びかけ団体は、「ミサイル配備から命を守るうるま市民の会」だ。嘉手納爆音訴訟団などからも参加されていた。彼等が当日出した要請書(一部)を転記する(同事務局の了承済み)。
「ホワイトビーチ沖合での米海軍ドック型輸送揚陸艦ニューオーリンズ火災事故についての要請」以下本文
「うるま市勝連のホワイトビーチ沖合で8月20日午後4時22分頃、米海軍ドック型輸送揚陸艦ニューオーリンズで火災が発生した。21日午前4時過ぎにやっと鎮火、約12時間も燃え続けた。戦艦には弾薬が積載されているとの情報もあり、万一引火して爆発したならば、陸上地域にも甚大な被害が及んでいただろう。嘉手納基地や普天間飛行場を発着する米軍機の事故同様、ホワイトビーチに寄港する米艦船や潜水艦が事故を起こした場合、県民の命に関わる重大事態となる可能性がある。
(中略)
日本政府・防衛省は、今回の米艦船ニューオーリンズ火災を県民の命に関わる重大事態として深刻に受け止めなければならない。米政府と米海軍に事故原因の究明と火災の実態を明らかにすることを要求し、弾薬積載の有無も照会しなければならない。
よって、私たち、ミサイル配備から命を守るうるま市民の会は、下記のことを強く要請する。
記
1、防衛省は、米海軍の艦船火災に強く抗議し、事故原因の究明と火災の実態を県民に公開すること。
2、米軍に対し、安全管理の徹底と、実効性ある再発防止策を求めること
3、米軍機や米艦船による民間空港、民間港湾を使った軍事訓練を中止すること
4、9月11日~25日に予定されている「レゾリュートドラゴン25」 米軍、自衛隊の合同軍事演習を中止すること」
開会後の集会で、司会者らから上記の問題意識=要求書が提起され、衆議院議員の赤嶺政賢さん、参議院議員の伊波洋一さん、同高良沙哉(さちか)さんの3名を含む7名が沖縄防衛局に入っていった。
この間を繫ぐ集会が始まった。司会者が私を指名していただいた。私は8月18日(17日夜との説があるが)にホワイトビーチに到着した同艦が弾薬を積載していないはずがないことを報告した。同艦はRAM近接防空ミサイルを2基、またMK46 30ミリ機関砲2基を艦の前後に取り付けており、武装している。前者は対空ミサイルであり、1基に21連装の発射機をもつ。因みに「RAM」とは回転式を意味する。近接は約400m~15000mの近距離の敵を打ち落とすものだ。1本のミサイル(RIM-116C)は全長2.82m、直径14.61cm、翼幅32.17cm(飛ぶ出すとこれが開き、回転しながら安定して目標に向かう。重量88.2kg。弾頭11.0kg。
平敷屋の高台から見ると、遠く小さく見えるが、これだけのブツなのだ。これが1基に21本、搭載されており、パレット(組立式の箱)に708立方メートル、弾薬庫に1007立方メートルの弾薬貯蔵能力があるのだ。これには、他の30ミリ機関砲、12.7ミリ機関銃の弾薬類なども積まれている。ただし今回の演習がどれだけの規模で、どう展開する予定だったのか不明であり、実際の積載量を私は、推定できる資料をもちあわせていない。
ただし、逆に全く積載していないはずはない。これから演習に向かう艦艇の弾薬がゼロだったら、実戦に備える演習は不可能だからだ。米軍がやっているのは、この実戦に備える演習をやっている。むろん、演習だから、上陸演習はAでこう、艦対空の実射はBでこう、などと分けているだろうが、1回の演習を通して、トータルに部隊・兵隊は演習経験を身につけていくものだ。
集会での私は、ここまで細かく話していないが、出火原因と、何に延焼し、12時間ほど燃えたのかがわからなければ、深刻な事態になったのか否か推定しようがない。主催団体が提出した要請書にもあるように、事実確認が何よりも重要なのだ。米軍は軍事機密を盾にとって、事実確認自体をなさないだろうが、この一点だけでも、「軍隊は住民を守らない」と言えるはずだ。米日政府が戦争準備を進めている現在、平時と有事の間がつまってきており、私たちの応対も、ここをより重点的に煮詰めていく時代に入っているだろう。
集会では嘉手納爆音訴訟団など、何人かが話した。交渉団が30分経っても戻ってこず、私は最近の嘉手納基地の実態も話した。F-15EとF-35Aなどは、空中戦用の戦闘機というよりも対地・対艦の武器であり、これらが嘉手納基地周辺で連日低空から侵入してくる訓練を行っている。特にF-15Eは対地爆撃機の要素が高い。レーダーにひっかからないように低空から侵入し、爆撃し、飛び去る訓練だ。むろんここで爆弾を落とさないものの、私たちは何を積んでいるのかに注目したい。F-35の兵装は、翼下に隠されており、殆ど現認できない。彼等の弾薬搭載の実態は、敵レーダーから隠されているばかりか、私たち市民の目からも隠されている。
17時15分頃、交渉団が出てきた。予想通り、何も答えなかったようだ。要請文の「4」の「RD25」についても未だに「交渉中」だと無回答だったという。あと13日後に迫った演習の何がどう調整中なのだろう?! 軍隊は住民から見れば上意下達の困った仕組みであり、調整の余地は少ないはずだ。民間のRORO船を依頼するのは、とっくにできていなければ、移動は不可能だ。今年は従来よりも、どこでどの部隊を乗せ、どう展開するのか、陸海空の統合作戦をどう組み、米軍との共同作戦をどう組むのか。ポイントは兵站能力にあり、佐賀空港脇にできた陸自V-22オスプレイ基地からの展開も、私たちは、注目しないわけにいかない。
暗闇が深まる時代の中で、私たちの反戦・非戦・不戦の取り組みをどうしたら実現できるのだろうか? 私は帰りのバスの中で、ずんと重いものを感じながら帰ってきた。昨夜、書けなかったのもそのせいだ。お詫び申し上げると同時に、新たな連携なしに前に進めないだろう。頑張りましょう。私たち自身が生きているのであり、生き続けるために…。