ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

「琉球諸島で考える『日本』という国」⑤ペロシ米国下院議長訪台に伴う米中軍事緊張に驚愕(20220902)

2022年09月02日 | 他紙執筆原稿

◎「世田谷いち」の2022年9月1号(379号)に寄稿したものです。自宅に届いたので転載します。

(1)「日本」では報道されましたか?
 前回の予告では、今回は日米地位協定を取り上げる予定だった。ところが8月2日、米国のペロシ下院議長が台湾を訪れた。これに中国が激しい軍事演習を8月3日から開始した。この問題を日本のマスコミはどこまで報じたのだろうか? 
 8月25日、沖縄県知事選に応援に来た方と論争になったのだ。彼は「米中戦争は起こりえない」と言う。私は、あったら大変なことになるが、日(米)VS中戦争が起こるだろうと自説を展開。琉球諸島・日本全体で進む戦争準備のリアリティの有無に唖然とさせられた。こうした分断が、戦争状況を加速しているのだ。

(2)米国下院議長台湾訪問と、軍事緊張
 2022年8月2日夜、ペロシ下院議長が台湾を訪問。翌3日、蔡英文総統と会談。中国外務省は8月1日、ペロシ氏が訪台すれば「中国人民解放軍は座視しない」と警告。中国軍は陸上からのミサイル発射、空母2隻・艦載機などで構えた。米国は横須賀から空母ドナルド・レーガン、強襲揚陸艦トリポリ(佐世保を母校としている「アメリカ」は修理中で動けず)がF-35B戦闘機で対峙。中国軍は台湾を取り囲むように6カ所の海域を演習場とし8月3日から10日まで軍事演習を強行。従来両者が概ね遵守してきた中間線(大陸と台湾の)を超え戦闘機22機が台湾側に踏み込んだ(8月4日)。ミサイルを台湾の頭上を超えて飛ばした。11発のミサイルの内、5発が日本のEEZ(排他的経済水域)、波照間島の南西方向等に落下した。日本領海への最短距離は与那国島沖80kmだった。与那国島の漁協は公海での操業を自粛に追い込まれた。九州から沖縄を経て台湾に向かう貨物船も中座した。
 5日17時(台湾時間)、中国軍航空機延べ68機、艦船同13隻が演習。約10%が中間線を超えたと台湾国防部が発表。演習は8月10日まで続いた。さすがに台湾上陸(模擬)演習は行われなかった。
 こうした演習に対抗した米軍は、沖縄島の嘉手納基地に7月30日以降、KC-135空中給油機11機が米国本国から飛来した。空中給油機計21機との報道もあった。この他、RC-135電子情報機(ミサイル追跡機)も米本国から飛来した。
 私は漸く8月7日(日)に嘉手納基地に行った。当日は日曜日だったが、外来の複数のKC-135空中給油機や嘉手納所属のP-8対潜哨戒機の飛行を認めた。対潜哨戒機は空母等の護衛のため飛んだのだろう。嘉手納基地が「台湾有事」に果たす一端を見たのだ。

2022年8月7日(日)13:24 KC-130空中給油機(9227番機)が嘉手納基地を離陸。この機体は岩国基地(山口県)に15:22岩国基地に着陸。この機体は、8月2日13:13、3機編隊で離陸した。9227。8075、9535の3機。8075は8月10日に岩国基地に戻っている。9535の戻りは未確認だが、後日離陸が確認されている。岩国の3機が嘉手納に飛び、台湾周辺で空中給油の作業に従事したのだろう。岩国、嘉手納、台湾がつながっていると言うことだ(岩国基地の動きは「行動の写真集」から引用、整理)。

 中国が激しい演習を展開したが、米軍は6月24日から約1週間、嘉手納からF-15、岩国からF-35、FA-18戦闘攻撃機、米本国から派遣されていたF-22も加わり、一部が日中中間線を越えた演習を行っていた。米中の力と力の対立が組み込まれているのだ。共同通信は、この演習に航空自衛隊戦闘機は参加せずと報じたが、航空作戦の要となる空中警戒管制機等が参加しており、米日一体の作戦だ。はるかに「専守防衛」を飛び越えているのだ。
 中国は、歴史的に中米、中日関係の中で、台湾を「中国領土」だと主張し、お互いに認めあってきた。一方で台湾の中で「独立派」が増えてきており、米国はこれを煽り、時と場合によっては介入も考えているようだ。

(3)日本政府の「コメントしない」の意味
 こうしたつばぜり合いの最中、岸田政権は「ノーコメント」に終始した。中国にも米国にも何も言えず、事態を追認するしか能がないようだ。
 このままいけば、沖縄が戦場となる。「冗談じゃありません」と沖縄は声を上げ続けるしかないだろう。皆さんは?    (続く)
 



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