金持ち日記

金持ちなるまで続く男の日記

2005年11月18日 21時53分34秒 | Weblog
 2002年7月の話である。子馬の競り市で、生まれて3ヶ月の馬が7000万円で落札された。父が「サンデーサイレンス」という名馬だったことを考えれば1億円以上の値がつくのも珍しいことではない。ただ、その馬は体つきが小さいためあまり期待されなかったのだ。

 馬が牧場に来ると、翌日からパドックに入れられた。パドックとは足元に不安のある馬が入る、半径4メートルの柵に囲まれた小さな場所である。馬にとったら窮屈な場所で退屈だっただろう。

 一ヵ月後、パドックを出たその馬は広い牧場を思いっきり走り回った。だれよりも速く牧場を駆け回った。集団の先頭にはいつもその馬がいた。他の馬が休んでいるときも走り続けた。生まれつき蹄(ひづめ)が薄いため、血がでたがそれでも走ることを止めなかった。

 その馬も今では3歳になった。しかし、彼は先頭で走り続けることをやめようとはしない。その馬の名を「ディープインパクト」という。皐月賞・ダービー・菊花賞と、7戦全勝「無敗の3冠馬」として名をとどろかせている。

 生まれつき体が小さく、蹄鉄を釘で打ち込むことすらできない薄い蹄を持つディープインパクトが、だれよりも速く、だれよりも美しく走るのは、誰よりも走る喜びを知っているからだと、私は思う。

 
参考番組)NHKスペシャル