安蘇のやぼやま日記

両毛線沿線の山々を、ノンビリと歩いています。

ポランスキーの「テス」

2007年03月17日 | 映画
 トーマス・ハーディの原作「テス」は、遠い昔高校生の頃、同じクラスの女の子が読んでいたのを思い出した。他人の読んでいる本のタイトルはけっこう気になるもので、ちょっと覗いたら「テス」だった。かつて世界文学全集などというものがあって、テスなどは必ず入っていた。それにしてもこんな後ろ向きのストーリーを、多感な少女が読むだろう全集に入れて良いのだろうかなどと、余計なことを考えてしまった。自分の夫を殺して絞首刑になってしまうんですよ!原作はどうか分かりませんが!

 ポランスキーがこの作品を撮ったこと自体が謎、どう考えてもポランスキーらしからぬ内容で、他の監督が撮った作品といわれても、そのまま納得してしまうかも知れない。マクベスは分かるのですが。

 冒頭、シャロン・テートに捧ぐとスクリーンに映る。シャロン・テートの、あの忌まわしい事件のショックから、まだ解き放たれていなかったのかもしれない。ショックから解放されるためには、さらに20年も必要だったのか、「戦場のピアニスト」という傑作をものにするまで。

 作品全体も非常に長い作品だが、前半は特に冗長に感じる。後半はやや緊張感を伴ってくるが、質の悪いメロドラマを見ているようなウジウジしたところがあって、どうにも困った感じ。

 いくらポランスキーといえども、シャロン・テートの事件には、相当なダメージを受けていたということかもしれない。でも今は、次回作が待たれる作家の一人だ。

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