安蘇のやぼやま日記

両毛線沿線の山々を、ノンビリと歩いています。

映画「PERFECT DAYS」を見る

2024年02月29日 | 映画

 久々に、いい映画を見たようなきがします。

冒頭の場面から素晴らしく、映画の中に一気に入っていけました。

主人公の男が、仕事先のトイレの有る場所に向かう早朝、カーステレオの

カセット(この男のカーステレオはカセット)を入れると

ジ・アニマルズの「朝日のあたる家」が聞こえてくる。

それが、東京の街並みに朝日があたる映像に重なってくるのである。

この導入部の素晴らしさ、思わず笑みがこぼれてしまう。

無性に家でも「朝日のあたる家」が聴きたくなりました。

 この映画、前半はセリフが非常に少ないのですが

私のように補聴器を利用しているものにとっては、実に有難い映画です。

 最初の仕事先のトイレのある場所の映像が、私には衝撃でした。

よく見かける黄色い「トイレ清掃中」の看板を置いて、掃除していると

高校生くらいの若者が、「なんで今頃掃除してるんだよ」みたいな

いかにも不機嫌そうな顔をしてトイレを利用します。

そして、帰り際「トイレ清掃中」の看板を蹴っ飛ばしていくのです。

この後、主人公の男の顔の表情に画面は変わりますが

男の顔の表情は、まるで何事もなかったかのように

掃除を続けるのです。多分こんなことは日常茶飯事なんでしょう。

看板を蹴ったのも、わざとやったのか、間違ってぶつかって

しまったのか、微妙な撮り方をしています。 

この間セリフは当然ですが、ほとんどありません。

でも、映像が全てを物語っていました。

 中盤、ダレる部分もあるのですが

後半は後半で楽しめました。

 

 ところで、後半、実の妹が訪ねてきます。というのも、男の姪が

一人で訪ねてきて、そのまま居候していたのです。そのため

自分の娘を引き取りにきたわけです。この妹が、最初に発する

言葉が「こんなところに住んでるのね」なのです。

しかも、お抱え運転手付きの高級車で乗り付けてきたわけです。

しかし、このシーン、私には今一つ納得出来ませんでした。

帰り際、妹とハグするのです。私とさして変わらない男が

妹とハグするだろうかと思ったのです。

このへん、監督が外国人であるヴェンダースの影響なのかと

思ったりしました。

 この素材、日本人の監督に撮ってほしかったなーと思いました。

 

 この妹が、訪ねてくるシーン、私は勝手に妄想していました。

妹は、別れた元の妻であり、姪は自分の娘であると。

そうすると、二人のハグも納得できるのです。


映画「理由なき反抗」を見る

2022年05月23日 | 映画

 川喜多記念映画文化財団主催の「午前十時の映画祭」で「理由なき反抗」を

スクリーンで見てきました。かつて、テレビの映画劇場で見たことは有りましたが

まさか、スクリーンで見ることが出来るとは思ってもいませんでした。

 それにしても、1956年公開の映画ですが、当時のアメリカの高校生の

ぶっ飛んでいることビックリです。私は1957年に、小学校入学ですが

同級生の中にはツギアテのズボンをはいている子もいました。

ですから、映画を見た日本人がどんなにビックリしたことか!

テレビでカットされた映画を見た時は、そんなことは、

あまり思いませんでした。

 

 しかし、映画にたいする好印象度は、なお増した感じです。

ノーカットの映画を見ると、シリアス度は増した感じがします。

 

 原作が監督のニコラス・レイであることは、今回初めて知りました。

平日、午前9時からの上映なのに、観客数は自分の

予想を上回りました。

 

 ところで、午前10時の映画祭で上映してほしい映画があります。

それは、ヴァレリオ・ズルリーニ監督の「激しい季節」です。

テレビで見る機会もありませんでした。主演のエレオノラ・ロッシ=ドラーゴ

を見てみたいです。

 この映画、思い入れの強い人が多いようで

出演者の一人、ラフ・マッティオーリが3本の映画に出て

21歳で死んだことも忘れられない人が多いようです。


映画「バジュランギおじさんと、小さな迷子」を見るために、今すぐ映画館に行くべき!!!

2019年01月24日 | 映画

 最近、涙を流していない人も、涙にむせている人も、又、汚れた体内を
浄化したい人も、また、ストレスで鬱ぎみの人も、この映画を
見るべきだと思います。それほど素晴らしいです。
 
 私は、インド映画は初めて(昔、「大地のうた」を見ていました)なのですが、
充分楽しめました。
映画の中のダンス・シーンも、スゴイ迫力です。
こんなにも、インド映画が進化しているとは・・・


 ストーリーからすると、暗い映画と思いそうですが、
実に明るいのです。
 インドで迷子になった6才の女の子を、パキスタン・
カシミール地方の村の家族に、送り届けるお話です。

 島国の日本にいると、なかなかピンと来ないのですが
パキスタンとインド国境を、電車が通過する時の様子や
カシミール地方の村の美しさ、異教徒に対する考え方、
どれも、私には新鮮でした。

 ラスト、インド、パキスタンの国境の壁ならぬ、
バリケードは、こんなふうになっているのかと、
興味深々でした。

 2時間40分の、長い上映時間ですが
少しも退屈しませんでした。

 後半、活躍するTVリポーターの言葉には、ドキッとしました。
マスメディアは、憎しみの話は取り上げるけれども
愛のある話は取り上げないと!


小津安二郎の映画・「東京暮色」を見る

2019年01月04日 | 映画

 いまだに、ウツ状態が続いているようで、なかなか山に行けません。
そんなわけで、ブログ更新も出来ないでいるわけです。
何とかリフレッシュをと思い、映画を見たりしています。
 最近見た映画で、最も衝撃的だったのは「東京暮色」でした。
テレビ放映したものを録画してみたわけですが。・・・

 1957年に制作されたものですから、私が6歳の時のものです。
はっきり言って何回も見たくなるような映画ではありません。
何とも、やりきれなくなるような映画なのです。

 一家の主、笠智衆の家族の物語。
とにかく、家族の中に明るい希望の持てるような話がないのです。
それでも、引き込まれてしまうのは、これが人生だと思わせるような
説得力があるからじゃないかと思うのです。

 笠智衆の次女(有馬稲子演ずる)が3歳の時に、笠智衆の妻(山田五十鈴演ずる)は、ある男とのっぴきならない関係になり、子供を置いて
家を出てしまいます。これって残された家族は大変なことですよね。

 また、長女(原節子演ずる)には、2歳の子供がいるのに
夫とけんかしてしまい、実家に戻ってしまいます。
この時の父親の言葉は、胸に突き刺さります。
今思えば、あの男じゃなくて、もうひとりの〇〇さんのほうを
世話しておけば良かったのかな、などといいます。
 娘を持つ父親として、この言葉は実に胸に響きます。

 そうこうしているうちに、突然、家を出て行った母親と
次女が、偶然会ってしまいます。
このシーンは素晴らしいシーンとなっています。
次女は母であることを知りません。しかし、後で
母かもと言うのです。
そして、観客も親子かもと思うのです。
なぜ分かるかというと、山田五十鈴の演技に
負うところが大きいと思います。絶品でした。

 あとで、次女は望まぬ子を妊娠してしまい
自殺(偶発的な交通事故かも)してしまいます。

 そして、母は東京を後にするのですが。・・・
電車で駅を発つシーン、長女が駅に見送りに
来てくれるかもと思っているのですが、最後まで
来ませんでした。このシーン、私は娘に来てほしいと
思っていました。しかし、小津安二郎の選択は
もっと厳しいものでした。


 他に、「ボヘミアン・ラプソディ」も見ましたが、
もっと、フレディ・マーキュリーの人間に迫って
ほしかったです。しかし、楽曲は素晴らしいです。

 ヘップバーンの「パリの恋人」は文句なしに
楽しかったです。ただ、恋人が、なぜアステアなのか
他に踊れる俳優さんがいなかったのでしょうか?

 ジョン・フォード監督の「太陽は光り輝く」
これは、1953年に制作された小品ですが
実に立派な作品でした。
きっと予算が取れなかったんでしょうね。
著名な俳優は出ていません。舞台俳優とのことですが。

 最後の葬列のシーン、胸に迫ってくるものが、ありました。
公開は、1966年で、テレビ放映されたものを
録画して見ました。
 ジョン・フォードの作品は、ユーモアがあり
最後は、シンミリとで大好きです。


「今夜、ロマンス劇場で」を見る

2018年02月24日 | 映画

 2月24日と25日に、足利映像まつりというイベントがあり、24日行ってきました。20代の頃は、熱烈な映画ファンだったのですが、しばらく映画館からは遠ざかっていました。

 6年足らずの介護後、ウツぎみで、何もヤル気が起きず
困っていました。

そこで、リフレッシュを兼ねて、「今夜、ロマンス劇場で」を見てきたわけです。

 素晴らしい映画でした。ほとんど、文句の付けようがありません。
こういった、夢のようなお伽噺を映画化すると、リアリティを
もった映画に
することは、非常に難しいと思うのですが、
杞憂に終わりました。


 この映画、足利で撮影された部分も多く、そちらも興味深く見ることが
できました。
 たとえば、ロマンス劇場ですが、これは廃館になった
足利の映画館でした。

又、うっとりするようなフジの花のシーンですが、これも市内の
足利フラワーパークでした。この場面私も、ハイテンションに
なってしまいました。

 上映後、武内英樹映画監督の舞台挨拶があり、その中で、この映画の
企画は、綾瀬はるかの為の企画であり、始めに綾瀬はるかありきでスタートしたということでした。

 ところで、午前中には、廃館になった映画館で(イベントの一環)
「ラ・ラ・ランド」を見て来ました。こちらは、もうご存知の
傑作ですが、久しぶりに大型スクリーンで、映画を見る喜びに
浸ってきました。

 オープニングで夥しい車の上等で、迫力あるダンスシーン
が 繰り広げられますが、その後、画面にタイトルが現れたところで
拍手する人がいました。でも、その気持ち分かります。
 又、ロスの夜景をバックにした主人公二人のダンスシーンも
圧巻です
。映画館で見ないと、この楽しさは味わえないかも
知れません。
 ところで、主人公の女性が乗っている車が
トヨタのプリウスでした。映画によく馴染んでいて
全く違和感がありませんでした。映画の中で
「乗っている車は?」と聞かれ、「プリウスよ」と
答えたりしているのです。
 こんなオシャレな映画に良く合っていました。