安蘇のやぼやま日記

両毛線沿線の山々を、ノンビリと歩いています。

赤い靴

2007年03月25日 | 映画
 私が生まれる前に製作された映画、公開当時大変な反響を巻き起こしたことは、想像に難くない。過去の名作と言われている映画であっても、今みると過去の遺物になってしまう映画もあるが、この映画は違った。ちょっと違和感を感じるところもあったが、例えばバレリーナのスタイル、公開当時はその素晴らしいプロポーションに日本人の多くは圧倒されたと思うが、今見ると、何か今の若い少女達のスタイルが良くなったせいか、もたついた感じに映ってしまう。

 それから導入部が長すぎる事。そしてバレーシ-ンも(このへんは意見の分かれるところか)。そして最後の唐突な終わり方。

 それにしても「赤い靴」開幕前の緊張感あふれる映像はどうだろう。見ているこちらにもその緊張が伝わってきて、こちらまで心臓バックン状態になってしまう。映像処理も斬新で、今見てもまったく古びていない。

 レルモントフ(バレー団主催者)を演じたアントン・ウォルブルックは怪演というか名演というべきか、この人のお陰でこの映画がより面白くなったのは間違いない。自分の育てたバレリーナに恋をしてしまうレルモントフ。しかしバレリーナが好きなのは「赤い靴」の若 き作曲者。自分の恋心を素直に告白できない可哀想なレルモントフ。可哀想なレルモントフは、恋の邪魔をする意地悪なレルモントフになってしまう。

 猪俣勝人の「世界映画名作全史」には、映画公開当時の凄まじい様子が書かれている。「延々たる行列が劇場を取り巻いており、2時間余りも辛抱したのち館内に入った。汗ぐっしょりの立ちん棒で、2時間以上のこの映画を見なければならなかった。」

 この映画、印象的な名台詞がけっこう多かった。レルモントフ曰く「バレーを何と心得ます」。パトロンのご婦人曰く「或る人はバレーは詩だと」。レルモントフいわく「私にはそれ以上のもので、信仰ともいえる」。この「信仰」という言葉があとで効いてくる。

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