毎日の読書 「教会の祈り」

私たちはキリストの体の一部 「聖務日課(読書)」より

オリゲネス 神殿とはご自分の体のことであった

2011-08-31 21:17:13 | オリゲネス
オリゲネス(185年~254年) アレキサンドリア学派の神学者、司祭、殉教者
『ヨハネ福音書注解』
イエスは言われた。「この神殿を壊してみよ。三日で建て直してみせる。※1」ここでは、ユダヤ人たちを通して、肉的な人々、感覚的なことを好む人々がしめされているように私には思われる。彼らユダヤ人は、自分たちによって優遇されて、父の家を商売の家としてしまった人々がイエスによって追い出されたことに腹を立て、しるしを要求する。ところで、そのしるしによって明らかになることは、彼らが受け入れるものを拒んだみことば※2がこのようなことをなさるのはふさわしいことだったということである。そこで救い主は、「あなたは、こんなことをするからには、どんなしるしを見せるつもりか※3」という彼らの要求に、神殿に関することとご自分の体に関することを一つの言葉に結びつけて、「この神殿を壊してみよ。三日で建て直してみせる」と答えられるのである。

 実のところ、神殿であれイエスの体であれ、いずれも一つの解釈によれば、教会の姿を表していると思われる。生きた石で建てられ、聖なる祭司たちのための霊的な家となった※4教会は、「使徒や預言者という土台の上に建てられ、そのかなめ石がキリスト・イエスご自身※5」だからである。その教会が神殿と呼ばれる※6。さて、「あなたがたはキリストの体であり、また一人ひとりはその肢体」なのだから、神殿のもろもろの石の調和が壊され、詩篇の第二十二編に述べられているように、迫害によって神殿の一致に戦いを挑もうとたくらんでいる者たちからの圧迫と迫害によって、キリストの骨が皆ばらばらにされる※8ように思われようとも、神殿は建て直され、悪が支配する日の後、そして結末の日の後、三日目に体は復活するであろう。

まさに、新しい天と新しい地※9に三日があるであろう。このとき、イスラエルの全家であるすべての骨は※10、死に対して勝利を収めた後、大いなる主の日に再び起き上がるであろう。こうして、すでに実現された十字架の苦しみの後のキリストの復活は、キリストの体全体の復活の秘義を含んでいるのである。

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年間第二十二水曜日

使徒や預言者の上に建てられた教会の要石はキリスト。
迫害によって神殿の一致に戦いを挑もうとたくらんでいる者たちからの圧迫と迫害により、バラバラになってしまった感のキリスト教会は、今再び、建て直されつつあるようにも感じます。壊れてしまったキリスト教会、キリストの体の復活を待ち望んでいます。

※1 ヨハネ2:19
イエスは答えて言われた。「この神殿を壊してみよ。三日で建て直してみせる。」

※2 ヨハネ1:11
言は、自分の民のところへ来たが、民は受け入れなかった。

※3 ヨハネ2:18
ユダヤ人たちはイエスに、「あなたは、こんなことをするからには、どんなしるしをわたしたちに見せるつもりか」と言った。

※4 1ペトロ2:5
あなたがた自身も生きた石として用いられ、霊的な家に造り上げられるようにしなさい。そして聖なる祭司となって神に喜ばれる霊的ないけにえを、イエス・キリストを通して献げなさい。

※5 エフェソ2:20
使徒や預言者という土台の上に建てられています。

※6 エフェソ2:21
キリストにおいて、この建物全体は組み合わされて成長し、主における聖なる神殿となります。

※7 1コリント12:27
あなたがたはキリストの体であり、また、一人一人はその部分です。

※8 詩編22:15
わたしは水となって注ぎ出され 骨はことごとくはずれ 心は胸の中で蝋のように溶ける。

※9 黙示録21:1
わたしはまた、新しい天と新しい地を見た。最初の天と最初の地は去って行き、もはや海もなくなった。

※10 エゼキエル33:11
彼らに言いなさい。わたしは生きている、と主なる神は言われる。わたしは悪人が死ぬのを喜ばない。むしろ、悪人がその道から立ち帰って生きることを喜ぶ。立ち帰れ、立ち帰れ、お前たちの悪しき道から。イスラエルの家よ、どうしてお前たちは死んでよいだろうか。





聖ベダ司祭 キリストの誕生と死の先駆者

2011-08-29 07:00:00 | 聖ベダ
聖ベダ司祭(673-735) ベネディクト会士 司祭 教会博士
説教
主イエスの誕生、宣教、死の先駆者であったヨハネは、その苦難と死によって、神のまなざしを引きつけるに値する勇気を示しました。聖書に言われているように、彼は、「人間の目には懲らしめを受けたように見えても、不滅への大いなる希望が彼にはある※1」のです。それで私たちは、その殉教によって血で彩ったこの日に、彼の天国への誕生を喜んで祝います。そして、主キリストに対して建てた証しを殉教によって全うしたこの人の記念を、聖なる喜びをもって祝います。

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8月29日 洗礼者ヨハネの殉教  記念日

洗礼者ヨハネの殉教は、エルサレムでは五世紀に記念されていた。サマリアのセバステで、主の先駆者であった彼にささげられた教会堂の記念日がこの日にあたると思われる。洗礼者ヨハネの殉教の記念は六~七世紀には、「洗礼者ヨハネの受難」という名称で西方でも東方でも広く祝われていた。

※1 知恵の書3:4
人間の目には懲らしめを受けたように見えても、不滅への大いなる希望が彼らにはある。


聖アウグスチヌス 主は私たちを憐れんでくださった

2011-08-28 07:00:00 | 聖アウグスチヌス
聖アウグスチヌス(354-430年) 北アフリカ ヒッポの司教、教会博士
説教
聞いていること、歌っていることを私たちが実行すれば幸いです。聞くことは種をまいてもらうこと、実行することはその種が実を結ぶことです。皆さんがこれほどすばらしいことを聞いているのにそれを実行せず、無駄に教会に集まらないようにするために、説教の初めに、このことを皆さんに言っておきたかったのです。使徒パウロが言っているように、「私たちは恵みによって救われました。このことは、自分の業によるのではありません。それは、だれも誇ることがないようにするためなのです。私たちか主の恵みによって救われたからです。※1」
私たちは神の恵みを受ける前には、正しい生活を送ったことはありません。神が天からその生活を喜び、「この人々が正しい生活を送っているから、彼らを助けよう」と言われたことは決してありません。神は私たちの生活を忌み嫌い、私たちが行った全てのことを嫌われました。しかし、神は、ご自分でお造りになったわたしたちの存在を決して忌み嫌われなかったのです※2。だから、神は私たちの行った業を断罪し、ご自分がお造りになった私たちを救ってくださいます。
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年間第二十二主日

※1 エフェソ2:8-9
事実、あなたがたは、恵みにより、信仰によって救われました。このことは、自らの力によるのではなく、神の賜物です。
行いによるのではありません。それは、だれも誇ることがないためなのです。

※2 知恵の書 11:24参照
 あなたは存在するものすべてを愛し、お造りになったものを何一つ嫌われない。

聖ヨハネ・クリゾストモ キリストの体を尊ぶ

2011-08-27 07:00:00 | 聖ヨハネ・クリゾストモ
聖ヨハネ・クリゾストモ(349-407年) コンスタンチノープル司教、教会博士
『マタイ福音書講話』
キリストの体を尊びたいのですか。それなら裸でおられるキリストをさげすんではなりません。教会堂の中で絹の布をあげてキリストを尊びながら、戸外にあって寒さと裸で震えているキリストをなおざりにしてはなりません。それは、「これはわたしの体である※1」と言われ、この言葉によってそれを事実として保証されたキリストは、「お前立ちは、わたしが飢えているのを見たときに食べさせなかった※2」、「この最も小さな者の一人にしなかったのは、わたしにしてくれなかったことなのである※3」と言われたからです。聖体が求めているのは、清い魂であって、衣を必要としません。しかし、戸外にいる貧しいキリストが多くの心づくしを必要としているのです。
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年間第二十一土曜日

※1 マタイ26:26
一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、賛美の祈りを唱えて、それを裂き、弟子たちに与えながら言われた。「取って食べなさい。これはわたしの体である。」

※2 マタイ25:42~43
お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせず、のどが渇いたときに飲ませず、旅をしていたときに宿を貸さず、裸のときに着せず、病気のとき、牢にいたときに、訪ねてくれなかったからだ。

※3 マタイ25:45
そこで、王は答える。『はっきり言っておく。この最も小さい者の一人にしなかったのは、わたしにしてくれなかったことなのである。』


聖ヒエロニモ 私に立ち帰れ

2011-08-26 07:00:00 | 聖ヒエロニモ
聖ヒエロニモ(340~420年) 司祭 教会博士
『ヨエル書注解』
「心から私に立ち帰れ。※1」そして断食し、泣き悲しんで魂の悔い改めを示せ※2。今、断食するあなたがやがて満たされ、今、泣くあなたがやがてほほえみ※3、今、悲しむあなたがやがて慰められるために。
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年間第二十一金曜日
※1 ヨエル2:12
主は言われる。「今こそ、心からわたしに立ち帰れ 断食し、泣き悲しんで。

※2 ヨエル2:12
主は言われる。「今こそ、心からわたしに立ち帰れ 断食し、泣き悲しんで。

※3 ルカ6:21
今飢えている人々は、幸いである、あなたがたは満たされる。今泣いている人々は、幸いである、あなたがたは笑うようになる。

聖ヒエロニモ
ユーゴスラビアの信心深い裕福な家庭に生まれ、ギリシャ語とラテン語をマスターした。18歳で当時の学術文化の中心ローマに留学。当時は、キリスト教が国教となり40年ほどしか経っていなかったため神々への迷信も根強く残っており、不品行な学生に誘われ都会の享楽にうきみをやつしたこともあったようです。その後、悪友を避け別人のように信仰に精進し学問に励みました。そしてヘブライ語の研究を始めました。ナジアンズの司教グレゴリオと親しくなり、司教のすすめに応じてギリシャ語の護教書や教会史をラテン語に翻訳し有名になります。その後、新約、旧約聖書のラテン語訳に取り組みます。これが、現在カトリック教会で遣われているラテン語訳聖書(ウルガタ)になります。