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【 2018年12月13日 】 京都シネマ
映画の時代背景は2000年代初頭のアメリカとイラクのバグダッド。1990年、イラクが突如「クウェート侵攻」を引き起こしたことにより、アメリカを中心とする多国籍軍が介入して始まった「湾岸戦争」とその後の「経済制裁」でイラクの経済、日常生活は疲弊した。市民の窮状を援助するため、国連による「石油・食料交換計画(プログラム)」が立てられ、国連に職を得たアメリカ青年マイケルはその計画を推進するの事務次長の特別補佐官に任命される。そのプロジェクト=石油食料交換プログラムは、イラクが軍隊を再構築することなく、食品・医薬品その他のイラク市民にとって人道的に必要な物資と交換に、イラクが石油を輸出できるようにすることが目的であった。
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【 ニクソン(子) 】 【 フセイン 】
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しかし、マイケルが赴いたバグダッドの現実は複雑だった。前任者が不審な死に方をして、「プログラム」を進行させようとする中、周囲にはCIAやら正体不明の組織からも公然と圧力がかかる。その実行責任者パシャ(パサリス)らの不正を見抜き、「プログラム」停止の報告を国連本部に上げようとする現地国連本部所長=デュプレが殺害される。デュプレやナシームの言う「真実」と上司のパシャの間を揺れ動くマイケル。
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【 舞台の国連 】
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【 バグダッドの街 】
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【 国連で報告 】
スクリーンの進行は寸分も見逃せない緊迫感にあふれる。原作の題材がいいのと、脚本、演出もしっかりしている。1つだけ個人の感想を言うと、ベン・キングスレーには不足を感じる。迫力がないというか、どことなく貧弱なのだ。
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【 国連職員:マイケル・サリバン役: 【 国連事務次長 パサリス役:
テオ:ジェームス 】 ベン・キングスレー 】
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【 国連現地所長:デュプレ役 【 クルド民族女性闘士:ナシーム役
ジャクリーン・ビセット 】 ベルシム・ビルギ 】
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このプログラムが終了してから、プログラムの資金に関する18億ドル(約2000億円)を超える汚職が明らかになった。後にアメリカ合衆国政府会計局(GAO)による調査では、汚職の一部(フセイン大統領の取り分)だけでも推定101億ドルと、1兆円を超える汚職であった可能性が指摘されるも、国連は調査協力を拒否した為に全容不明であるとのことだ。
本来制裁を受けるべき独裁者フセインが絡んで,逆に懐を肥やしたことにも驚かされが、各国の政治家の関与やアナン事務総長とその息子が絡んでいたのではとの報道もあった。
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【 アナン事務総長 】
その後世界は、大量破壊兵器の存在を理由にブッシュが仕掛けた「イラク戦争」に突入し、ますます混乱の度合いを含め、シリアを巻き込んで泥沼の世界に突入していく。
こうしてみると、世界を震撼させているISは、狡猾な独裁者「フセイン」と「アメリカ帝国主義」、それと無能で残虐性だけが取柄の徹底的な人民の敵=「アサド大統領」との産物である。
〇 〇 〇
映画の中のセリフか、それとも映画評の中でだったか忘れたが、「巨大組織と民主主義には不正は付きものだ」と語る場面があったが、そうだろうか。国内の大企業や中央組織は言うに及ばず、IOC(国際オリンピック委員会)やローマ法王庁にも過去不正疑惑が何度も報道されている。本来、正義や平和を追求すべき組織がどうしてそうなのかと思うこともあるが、1つの組織を《白か黒か》と断じることはできない。ましてや国連が不正に加担していたからといって、それを解体するわけにはいかない。民主主義を貫くのは難しいが、独裁や無政府主義の方がいいというわけがない。民主主義はもろいところもあるから、皆で守り育てていかなければならない。生かすも殺すも、一人ひとりの意識にかかっている。
《世の中に対し、無知であり続けることは、怠慢どころか「罪」である》と改めて思う。
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【 原作本の紹介 】
今年の「是非見てほしい映画」の1つである。
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映画『バグダッド・スキャンダル』ー公式サイト