整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

流れない部品

2017-06-01 10:23:27 | 効率アップ
ウエステックの整列機は、多数の整列穴が加工された
平板状の整列治具に、部品をランダムに流し、
整列穴それぞれに、部品を一個一個、決まった向きに
収納させる、というものです。

じゃあ流れなかったらどうするの?

・・・並びません。

なので今回は、流れ難い部品を流す方法について
説明します。

整列機で流れ難い部品の種類を挙げますと、

ゴム部品発泡部品(超軽量部品),
静電気が発生しやすい部品・・・
といった物が流れが悪く、整列率も上がらない
傾向があります。

①ゴム部品

ゴムの種類にもよりますが、少しベタつきがあり、
流れ難い物に対しては、基本的に強い振動を
与える必要がありますが、それでも限界があります。

その時は、整列治具の方に工夫を施すしかありません。
方法を何点か挙げます。

その1:

整列治具の表面に、スリット状の細い縦溝を
密集させて加工する。

これは、部品と整列治具の接触面積を減らす方法です。





溝の大きさは、流す部品によってアレンジしますが、
溝が小さくなればなるほど、その加工時間が長くなりますので、
整列治具の単価も上がる事になります。

その2:

整列治具の材質を、例えばMCナイロンの摺動グレード品に
変える方法。

但し、以前のブログにも書きましたが、
特にMCナイロンとかは加工時のバリが取れ難い材質ですので、
この方法が有効な部品の種類は、かなり限定的です。

その3:

整列治具の表面に、滑り性を持たせた表面処理を施す。

表面処理は、基本的に金属にしか出来ません。
かつ、整列機の搭載重量の制約から、アルミまでが
選択の限界です(鉄やSUSは整列機に乗りません)。

アルミであれば、表面を荒らしてテフロンを浸漬させたり、
滑り性を上げる特殊な塗装を施す事が可能です。





但し、その表面処理の膜厚分、整列穴の寸法が小さくなって
しまったり、エッジ部が丸みを帯びたりしてしまいますので、
注意が必要です。

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②スポンジや発泡スチロールのような超軽量部品

これはとにかく、その部品をお借りして整列実験してみるしか
ありません。仮に流れても、並ばない可能性があります。

部品自体が柔らかく、変形して違う向きに穴に入ってしまう
場合がある為です。

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③静電気

これが、或る意味、一番厄介です。

季節によっても静電気の強弱が変わりますし、
作業を始めたばかりの時間帯と、2時間ほど動かした後の
時間帯でも、帯電の強さが変わって来ます。

整列機に限らず、イオナイザーでイオンを照射して、
帯電を中和させる方法はよく使われていますが、
時間の経過と共に帯電状況が変わって来ますので、
フィードバック機能を持ったイオナイザーを使った方が
ベターです(それでも完全には無くなりませんが)。

イソプロピルアルコールなどで、整列治具をサッと拭くのも
効果がありますが、しばらく経つと、また帯電して来て
しまいます。

整列治具の材質を導電性のある物に変えたりする方法も
ありますが、期待したほどには効果は上がらない場合が
多いです。

一番確実な方法は、作業場の湿度を上げる事です。
展示会などでもよく見かける、ドライフォグと呼ばれる
結露しない霧を吹いて、部屋の湿度を上げます。

静電気の発生そのものを抑えるため、効果てきめんですが、
整列の工程では良くても、同じ作業室内でやる他の工程に、
その高い湿度が悪影響を与える場合が多々ありますので、
湿度を上げても支障がない環境に限られます。

静電気に対しては、決定打はないというのが実情です。


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