整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

並べる部品のわずかな変化

2017-11-14 11:31:36 | 効率アップ
ウエステックの整列機で部品を並べる場合、
1枚の整列治具に、例えば100ヶ所の整列穴が
あるとしますと、300~500個の部品を
お借りする必要があります。

それくらいの数量を投入しないと、
整列率が悪いか、整列にやたらと
時間が掛かるからです。

通常は整列数の3~5倍、極小サイズ部品の場合は
10倍以上の数量をお借りする必要があります。

ウエステックでは、お客様から部品を並べたい
という依頼を受けると、まずは整列実験から
始めますが、その実験治具(試作治具)は
穴数が少ないです。

その主な理由は2つあります。1つは、整列穴の形状を
実験しながら決めて行くため、変わる可能性の高い
穴寸法なので、加工時間を出来るだけ短くする意図から、
敢えて穴数を多くしません(もちろん少な過ぎると
実験にならない事から、或る程度の穴数は加工します)。

何パターンもの穴形状を試しますので、無駄に多くの
整列穴を加工しますと、肝心の整列実験が遅れ、
お客様への報告も遅くなってしまいます。

2つ目の理由は、お客様の部品自体がまだ試作段階で、
まとまった数量を用意できない事があるためです。

新製品だったり、特注用の寸法変更品だったりしますと、
まだそれほどの量を作っていなかったりするのです。

さて、試作治具の段階では、その限られた数量の部品を、
何十回も、多い時は何百回も整列機で振ります。

並べる部品にもよりますが、それなりのダメージが
蓄積する場合があります。部品と整列治具が擦れる事と、
部品どうしがぶつかり合う事によるダメージです。

具体的には、部品の端の方のエッジが減って来て、
少し丸みを帯びて来たり、表面に薄く擦り傷が付いたり、
表面に印刷されている電極がすり減って来たり、
といった現象です。

本番用治具では、一度並んだ部品は、二度と整列機で
振る事はなく、並んだら次の工程に移りますので、
ダメージは限定的です。

一方、試作治具では、一度並んだ部品も、
また元の状態にバラバラにして、また振ります。
整列率が良くなるまで、整列穴形状を変更したり、
整列機の整列プログラムを変更して、何十回も
何百回も繰り返し振るのです。

よって、部品のカドのC面が、僅かにすり減って
R面に近くなったりしてしまう場合が有ります。

これは、整列率にも影響を与える事がまま有ります。

ウエステックで出荷前に、お借りしていた部品で
取った整列データに比べ、納入後にお客様が実際に
量産で流れる部品を振ったデータの方が、
悪い事が有るのです。

これは部品の僅かな変化が影響しています。

その程度の変化でも、整列率に影響が出るのか、
と驚かれるお客様もいらっしゃいますが、
現実に起こり得る現象です。

対策として、整列プログラムを少し変更するだけで
対応できる場合も有りますが、穴寸法自体の
見直しが必要になる程、重症の場合もあります。

納入後にそういう事態が発生するのは避けたい
ところですので、整列実験の段階で、摩耗しやすい
部品かどうかが分かりますので、お借りしている
部品の量が充分多ければ、敢えて最終データ取り用に、
部品を少し分けておき、整列実験終了後、
その取り置きしていた部品の方で、
改めて整列させてみる、といった方法を
取ったりしています。

お借りしていた部品が少なければ、整列実験終了後、
改めて新しい部品を送って戴けるよう、請求する事も
有ります。

ちなみに、部品のこの変化は、何も整列機で振り過ぎた
時に起きるものばかりとは限りません。

お客様サイドで、部品の金型を更新したりですとか、
表面処理を変えたりですとか、材質を少し変えたり
といった事も、整列率に影響を与える場合が有ります。

金型の更新により、部品のバリの出方が変わったり
ですとか、表面処理が違う事で、部品の滑りやすさが
変わったりですとか、材質の変更により、静電気の
発生しやすさが変わったりするためです。

こちらは納入後、数年が経過してから起きる現象に
なります。その場合でも、ウエステックでは、
整列実験時に、本番用の整列治具に、その穴形状を
踏襲させた試作治具は、全て保管してあります。

整列率が突然悪くなったという部品をお借りして、
その試作治具で振れば、整列状況の再現ができますので、
整列プログラムの変更だけで済むのか、整列穴寸法の
見直しが必要なのかを判断し、報告ができます。

もちろん、部品の寸法の多少の変化程度では、
整列率に全く影響が出ない場合もありますし、
強い振動を与えても、全く変化のない部品も
あります。

そういった事を確認しておくためにも、
事前の整列実験は非常に重要度が高いと言えます。


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