整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

登場が早過ぎた製品

2017-11-08 14:17:37 | 効率アップ
コーヒータイム(与太話)

先日、家の中を整理していたら、リコーのRDC-i700
というデジカメが出て来ました。

懐かしいという思いも有りましたが、
このデジカメほど使用頻度が少なかった機種は、
後にも先にもこれだけだな、と思いました。

発売は2000年頃でした。300万画素のデジカメ。
この時期としては解像度が高い方です。

あまり売れませんでした。しかし、今考えると
凄いデジカメでした。

タッチパネル式の液晶モニタが付いていました。
当時としては、タッチパネルも大型です。

当時のタッチパネルの使い方としては、
今のスマホとは違い、指を滑らせるのではなく、
タッチペンで画面上のアイコンを押す、
というものでした。

当時、似たような使い勝手の、PDAと呼ばれる
モパイル端末が有りましたが、
それとデジカメが合体したような感じです。

しかし、RDC-i700が凄いのは、ソコではありません。

当時のノートパソコンと同じ、PCカードスロットを
2基、備えていましたが、ここにメモリカード以外に、
通信カードを差すのです。

つまり、PHSやLANで通信し、撮った写真や映像を、
パソコンやサーバーに送ったりできたのです。

もちろん、Wifiが普及していなかった時代です。
BlueToothなんてもちろん有りません。

それどころか、当時はインターネット環境は
ADSLですらなく、ようやくISDNが出て来て
間も無い頃でした。一般家庭では通信速度が
28800BPSのアナログモデムを使っている所が
多かった時代です。

しかも、RDC-i700は、簡易的ではありますが、
Webブラウザも搭載していました。

つまり、インターネットエクスプローラのような感覚で、
撮影画像の送受信ができたのです。

また、簡易的なエディターや管理ソフトも付いていて、
写真付きの報告書まで作れるようになっており、
しかも画像リストからメニューの作成や、
編集までもできるようになっていました。

それをHTMLファイルにして送る事もできましたから、
受信した人は、パソコン上でそのHTMLファイルを開くと、
ページごとに写真とその説明が見られるわけです。

ビジネス用途をメインターゲットにして作られていた
デジカメですが、確かに、当時これを使いこなせれば、
出張とかでかなりのメリットを享受できそうでした。

要は、この時代に、Wifi搭載の今のデジカメと同じか、
それ以上の事ができたのです。凄くないですか?

では何故、ほとんど使わなかったんだ?と聞かれるでしょう。

要するに、世の中の通信インフラが整っていなかったのです。

当時、無線で通信したければ、PCカードタイプのPHSカードを
使う必要が有りました。普及していた通信速度は64kBPSです。
つまり、今普及している4G(LTE)の1/2000のスピードです。

これでは、いくら写真のサイズを小さくしても、
送るのにどれだけ時間が掛かるんだ、って事になります。

昔のカメラ付き携帯電話で写真を送ると、荒い画像でした。
当時の通信速度でストレス無く送るためには、
それほどファイルサイズを小さくする必要があったのです。

しかし、当時のカメラ付き携帯電話レベルの荒い画像では、
報告書になり得ません。300万画素あれば鮮明ですが、
最低でも100万画素以上はないと、詳細が見えません。
それを報告書にして何枚も何十枚もの
写真付きの書類を送ったら、どうなるか想像が
付きますよね。

結局は、300万画素でも軽くて小さいデジカメで写真を撮り、
それをノートパソコンに取り込んで、喫茶店かホテルで、
Excelとか使って報告書作りをした方が楽だったのです。

RDC-i700だけで仕事を完結させても、結局はホテルに
戻ってノートパソコンを使わないと送れない、となれば、
タッチペン入力よりもキーボード入力の方が速いですから、
写真撮影だけ行い、パソコンで書類を作った方が効率的です。

今思うと、惜しい製品です。考え方や方向性は間違って
いなかったと思われます。ただ、登場が早過ぎたのです。

かと言って、同じような仕様でもう一度今になって
発売しても、スマホに勝てません。

他にも見回してみると、発売時期がもう少し遅ければ、
もしくは早ければ、ヒット商品になったかも知れない
製品は幾つか存在しました。

単に技術や性能だけでなく、世の中に広く受け入れられる
土壌が揃っていないと、製品は売れない、という事を示す
好例だと思います。


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