『Welcomeのぶ・ろ・ぐ』A recluse in Manila

隠遁オヤジは今日もまた桜散る散る日本と陽はまた昇るマニラにて世の無常を嘆きつつ、後は野となれ山となれ。

「戦争と平和(3)」

2014年03月17日 | 読書・映画・音楽
戦争と平和〈3〉 (岩波文庫)
トルストイ
岩波書店


アップし忘れておりました。マニラで『戦争と平和(2),(3)』を読んだのですが、暑い国で冬のサンクトペテルブルクやモスクワの話を読むのもオツなものです。

ピエール、アンドレイ、ニコライの3人とナターシャをはじめとする女性たちが軸に展開されます。
借金にまみれながらも優雅な生活を送る貴族たちの人物像を特徴的に描くのが得意なトルストイは、ここでもその才能を遺憾なく発揮します。

ニコライが身近にいるソーニャの人間性の美しさに初めて気付きます。2人は、結ばれたくても叶いません。
なぜなら、ニコライの ロストフ家は上流貴族ながら借金まみれです。
ニコライがどこかの資産のある女性と結婚しない限り家の財政状況は逆転本塁打にはなりません。
(読者としてはソーニャという女性は芯の強い、控えめで、大変魅力的な女性に映りますが、トルストイはソーニャとニコライをそれ以上の関係に進ませないようにしているかのようです。)
ニコライもアンドレイもそうですが、おそらくこの時代の貴族は父に逆らえない立場にあったのかもしれません。
なんとなく腑抜けた印象をぬぐい去れません。

ピエールは相変わらず崩壊した夫婦関係の中でいろいろな気付きがあります。
フリーメーソンの人たちの理念と実態に疑問を持ち、離れていきます。

アンドレイは自分にないものを持っているナターシャに惹かれ、婚約しますが、アンドレイの親が反対したので結婚までの猶予期間を設けられます。
其の間に、ピエールの妻の兄アナトールが婚約中のナターシャを誘惑し、駈け落ちをしようとしますが、すんでのところで失敗。ピエールがアナトールを詰問し、モスクワから追放します。
それにして『アンナ カレーニナ』でもそうでしたが、トルストイは女性の心を描写するのが上手いですね。

傷心のナターシャをピエールが慰めます。
この時、ピエールはナターシャに恋心を抱いていることに気づきます。
1811年の彗星が流れる最後の場面は、やがて始まるナポレオン軍のロシア侵攻を予想させます。

さて、(4)では、足音をたてて、ロシア最大の危機がすぐそこに迫ってきます。

これでようやく半分終わりました。


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