真昼の暗黒 (岩波文庫)アーサー ケストラー岩波書店
おそらく、30年前にこの小説を読んでいたら、共産圏の独裁とはげに恐ろしきものよと他人事で終わっていたでしょう。
しかし、気がつけば、我々の住むこの国が「真昼の暗黒」に向かって進行中なのかもしれませんよ。
たくさんのルバショフが、彼よりも劣性なるグレトキンによって尋問調書を取られていく日が近づいているような気がします。目的のために手段を選ぶ . . . 本文を読む
「断食」の甲斐があってか、現在小生は自分の体重を標準的な体重にまで落とすことに成功しました。標準体重というのがイマイチ分かりませんのでBMI数値という基準で見ますと「標準範囲」に位置しています。
ピーク時は80kg近くにまで達して、華々しくメタボっていました。
20数年来の持病とも言える病状が悪化して4年前にダウンし療養生活に突入。
その頃ベジタリアンに変身。体重は73kgまで落ちましたが、そこ . . . 本文を読む
蛍川・泥の河 (新潮文庫)宮本 輝新潮社
時代の流れに取り残されていった人たち、運命に身を任せる人たちの哀切が、子供の視点から見事に描かれています。
中編小説はまとめるのに難しいと聞いたことがありますが、この作品は骨太で芯のしっかりした読み応えのある作品で、「いい作品を読んだなぁ」という読後感が残ります。
将来読み継がれるべき作品。
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もの言えぬ証人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)アガサ クリスティー早川書房
複数の書籍を同時進行で読んで行くのが小生の読み方でして、こういうものに良し悪しはないと思いますが、昔から染み付いている一種のクセでしょう。マイペースで読み続けて今月も「ポアロシリーズ」を軸に他も含めると13冊目です。
毎月最低10冊(月刊誌や週刊誌は除きます)は読まないと、我が老いゆく哀れな「灰色の脳細胞」が活性化し . . . 本文を読む
百 (新潮文庫)色川 武大新潮社
この小説を読みながら、悪性の進行ガンで死んだ亡父を看病介護していた頃を思い出しました。
死の日が近づくにつれ、身体中の器官が機能しなくなっていくのです。
脳にも酸素が行き渡りませんから、現実と幻想が一緒になっているのです。
突拍子もないことを口にするかと思えば、正気になっていたりもする。
「百」に出てくる「父親」の態度や言葉を主人公が弟に解釈している描写を読 . . . 本文を読む