CD全体の生産額、再び低下
あまちゃん 歌のアルバム
2013年の音楽業界は、ソフト全体のセールスが前年を下回る見通しで、厳しい状況が続く。
人気を集めたのは、AKB48らのアイドルものや、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」関連作品のような、テレビ番組から生まれた音楽だった。
★好調維持できず
日本レコード協会によると、10月末までのCDなどのオーディオレコードの生産数は、1億5706万枚で前年同期比で10%減、生産額は1632億円で同9%減。12年はMr.Childrenら大物のベスト盤が売れ、1998年以来、14年ぶりにオーディオレコードの年間生産額が前年(11年)を上回ったが、好調を維持できなかった。
ブルーレイディスクは伸びたがDVDは下がり、これらを足した「音楽ビデオ」の生産額も前年同期を下回った。その結果、音楽配信を除く音楽ソフト全体の年間生産規模は、前年比8~10%減の2700億~2800億円程度になりそうだ。
また、携帯電話やパソコン、スマートフォンなどへの有料音楽配信の売り上げは、9月末までに315億円と前年同期比24%減。パソコン、スマホ向けサービスだけを見るとシングル、アルバムともに前年同期を上回っているが、携帯電話の「着うた」販売などの大幅な落ち込みを埋め合わせるまでには至らなかった。
一方、海外の動きと連動し、4月には、ユニバーサル ミュージックとEMIミュージック・ジャパンが経営統合され、新生ユニバーサルが誕生した。音楽業界を取り巻く環境は日々変化しており、今後の動きにも注目だ。
★AKB48強し
AKB48は今年も強く、売り上げ面では勢いは衰えていない。ほかに目立ったのは「あまちゃん」関連作で、劇中歌などを集めた「あまちゃん 歌のアルバム」がオリコン週間ランキングで1位を記録。「潮騒のメモリー」など関連のシングルもヒットした。また、クリス・ハート、May J.らもテレビ番組をきっかけに話題を集めた。洋楽でも英国のグループ、ワン・ダイレクションらオーディション番組出身のスターが人気で、インターネット時代も、テレビからヒットが生まれる構図は変わっていない。
ほかに邦楽では、マキシマム ザ ホルモン、サカナクション、ONE OK ROCKらロック勢も健闘した。
サザンオールスターズの5年ぶりの活動再開、ポール・マッカートニーの11年ぶりの来日公演と、邦洋のベテランが注目された。
★悲報
「かえり船」や「島育ち」で知られる田端義夫。「東京だョおっ母さん」「人生いろいろ」の島倉千代子。長年にわたり大衆に愛されてきたベテラン歌手が、この世を去った。「タンゴの女王」として知られる藤沢嵐子、「圭子の夢は夜ひらく」などをヒットさせた藤圭子も亡くなった。越路吹雪や加山雄三の歌で人気を博した作詞家の岩谷時子も、帰らぬ人となった。
海外では、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、そしてソロで活躍した米のルー・リードが亡くなった。前衛的な作品から私小説的な作品までを発表し、ロック界に多大な影響を与えた。(桜井学)
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担当記者が選ぶ年間ベスト盤&ライブ
米のサンダーキャット、英のジェイムス・ブレイク。この若い2人はアルバムもライブもよかった。サンダーキャットの「アポカリプス」=写真=はフュージョン風だが、坂本龍一の作品を使った曲が泣ける。ブレイクの「オーヴァーグロウン」は、電子音楽と独特のソウルフルなボーカルの組み合わせがユニーク。キュアーやスワンズら、長年親しんできた人たちのライブも素晴らしかった。(桜)
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女性ロックバンドの赤い公園のアルバム「公園デビュー」=写真=が素晴らしかった。意表を突く展開に加え、涙腺を刺激するメロディーも。新たな深みに達した松任谷由実「POP CLASSICO」、ピアノロックのWEAVERの野心作「Handmade」も、もっと多くの人に聴いてほしい。ライブではキリンジの兄弟最終公演。感傷的なムードを排し、音楽性のみを追求した美学に感動した。(仁)
(2013年12月19日
読売新聞)
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