明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

日米ゴルフ観戦記(15)アースモンダミンカップ初日

2023-06-22 21:17:25 | スポーツ・ゴルフ

1、中継の仕方
今回の中継を行っていたCSのゴルフネットワークは、アウトスタートの1番ホールをティーショットからホールアウトする迄を全部カバーしていた。予選から4日間、朝6時半から夕方6時迄(最大延長7時迄放送,、決勝ラウンドは8時から)と「ほぼ1試合丸ごと」放送するという物凄い気合の入れ方だ。私はゴルフ中継に関しては「もう少しなんとかならないか?」という気がずっとしていた「テレビ放送に不満」があるゴルフファンの一人である。大体ゴルフのテレビ中継を見る人というのはゴルフを楽しいと思っている人に限られている(これは当然だ)。しかしゴルフという競技は18ホールという広大なエリアにティーショット・セカンド・パッティングと注目エリアが分かれていて、しかも参加選手が100名以上という「最もカバーしにくい」競技である。1ラウンドを完全にカバーして放送するとなると、少なくとも1組に1台として36台のカメラクルーを配置しなくてはならない(実際はもっと必要だろう)。これだけ準備にお金と人員・機材をかけて放送したとしても、それに見合う視聴率が稼げなければ企画としては「ボツ」にならざるを得ない。

今現在のゴルフファンは人気がある女子ゴルフでさえ5%が良いとこじゃないかと想像する(男子はもっと悪い)。これでは徐々にテレビ放送が減ってネットでの視聴が増えていくのは避けられないだろう。時代の流れと言えばその通りであるが、それにしてももう少し「工夫があれば」面白くなるのに・・・と思うのは私ばかりではないだろう。そこでゴルフのテレビ中継を面白くするためのアイディアを提案して見た。今回は特にゴルフ専門チャンネルのゴルフネットワークが社運を掛けて独占生放送を敢行した「その男気」に感銘を受けたので、詳しく書こうとなった訳である。けっしてゴルフネットワークの放送がダメだという訳ではないので「気を落とさないように」願いたい。むしろ放送枠の大半を使って中継をしてくれたゴルフネットワークさんには、いくら感謝してもし切れない位である。ありがとう!、ゴルフネットワーク!。そして試合をスポンサーしてくれているアースモンダミンにも、大いに感謝感謝のしまくりなのは言わずもがな、であった。

さてゴルフ中継の問題点と改善の方向だが

① 予選と決勝ラウンドで中身を変える

たーだ試合を「写していればいい」というもんじゃない、と私は思う。決勝は誰が優勝するかという本来のトーナメントの魅力を味わってもらうため、3日目のプレーと最終日の午前・午後のプレーをどうマネジメントして「勝利を目指す」かという所にポイントを当てる必要がある。そしてゴルフの醍醐味でもある「思った通りには行かない」自然との戦いと、それを乗り越えて「スーパープレイをやってのける」実力者の高度な技術とメンタルの強さを映像で届けられれば、スポーツの持つ「感動」を呼ぶ放送が出来るのである。とはいえ、これは昔からやっている方法で、放送がどうこう言うよりも「試合そのもの」の魅力が感動を呼ぶ、とも言える。つまりある意味「試合任せ・選手任せ」の所は否めないのだ。

ところが予選となると、決勝ラウンドとは違った形で放送しないと面白くない。なぜなら優勝争いは「まだ先の話」で、見る者の興味は例えば「どんだけ飛ばすか」とか「バーディやイーグル」を取るか、という位しか残っていない。勢い、女子ゴルフのお得意のコンテンツである「選手の見た目の派手さ」に焦点を当てた、言わば「下世話な興味」に流れてしまいやすいのが予選ラウンドの宿命なのだ。当然、スコアやプレー内容に関係なく「人気選手のプレー」に放送時間の大半を費やすことになるのである。しかし見たい選手はファンによって千差万別。これをやっている限り、多少の差はあるが「お気に入りの選手」が見られなければチャンネルを変えられても仕方ない。大体女子ゴルフでファンが熱烈に応援する選手というのは、実力もあるけど「容姿やファッション」に目が行くのではないだろうか?。勿論これではキャバレーのご指名と全然変わらない「オジサン限定仕様」になりかねない。

だから例えば、1日目は1番スタートの組を全員カバーして「スイングや飛距離」、落としどころのコースセッティングとかバンカーとかパターの難しさなどを解説し、2日目は今度は初日1番スタートだった組の映像を映すのである(予選は大体2日間ある)。そうすればコースのバラエティも十分に紹介しつつ、そのコースをどう攻略するかのマネジメント力も試される「中身の濃い」中継になると思う。たっぷり時間を使って「選手のスイング」を高速度カメラで流しながら、人並み外れて飛ばす選手の「飛距離の秘密」を解き明かす鋭い解説を「売り」にする位の意気込みがあれば、予選だからと言って軽く流すのではなく、予選だからこそ「じっくり見る」練習好きのゴルフファンが増えることと確信している。

それと全員をまんべんなく映すというのは色々なスイングを見られるので、見る方にしてみれば「自分の好きなスイング」をじっくり見ることも出来るので、より楽しめる筈だ。予選ラウンドではドライビングレンジなどの練習も時間を取って映し、まるでゴルフ場に行っているような臨場感を演出しつつ、中にはお気に入りの選手の「自身のスイングの課題」などをインタビューで聞いたり、あるいはパッティング・グリーン で「ライン読み」を教えてもらうなど、ゴルフファンの「興味のある事」を最大限映し出してとことんゴルフにこだわった番組作りを心がければ必ずや視聴者はついてくると思う。是非、予選と決勝の「住み分け」をやって貰いたい。

② ゴルフの注目点はスイングとライとアプローチ、それとパターだ

女子ゴルフだから「短いスカート」っちゅうのも注目点に入るんじゃ?とか考えているオッサンは、そもそもゴルフの中継を見る資格はない!(ちょっと言い過ぎか)。まあ華やかなウェアに健康的なお色気が女子ゴルフを支えている要因の一つになっていることは私は否定はしない。ただ、そればかりでは視聴率が低迷するばかりなのは当たり前である。そんな考えだから視聴者が YouTube や Netflix にどんどん流れてしまうのだ。勿論、テレビ中継には無い「専門的な解説」を売りにするネット配信が出て来るのも、企業戦略としては当然のことだと思う(だが、もう既に出ているかも知れないが私は今の所テレビでしか見てないので、ネット配信については「知らない」としか言いようがない。悪しからず)。聴くところによるとスポーツの配信は DAZN などが気合を入れてやっているようだが何しろ配給権がバカ高く、独占放映権を買うために「ものすごい金額」を払っているようなので「あれもこれも」と、一つのチ配信元で全部見るというのは難しい。例えば DAZN がサッカーなら Netflix はテニスとか得意分野が分かれてしまって、サッカーもバスケットもゴルフも自転車競技も全部見たいという私は「やっている配信元」を全部契約しなくてはならず、しがない年金暮らしの予算では「もうどうしようも無い」状況に追い込まれているのだ(そんなに生活に困っているのなら、見るのを止めればいいのに・・・)。

冗談はさておき話を元に戻すと、重要な場面は専門家(例えば人気のプロコーチや YouTube で評価されている先生など)が視聴者の満足いくまで懇切丁寧に説明して、「あっ、そうか!」と見ている者が膝を打って納得するまで、微に入り細にわたって解説することで「実に役に立つ」有用な番組だ、と評判を呼ぶというのがミソである。ゴルフ番組を見ている人は当然心の奥底では「自分もやってみたい」と思っているに違いないのだ。ただ、身体的な能力に自信が無いとかゴルフ場にいくと一日潰れるとか、または車を持ってないとか金額的にコスパが悪いとか、または練習しないと人に迷惑が掛かるとか色々な理由で「やってない」人が多いと思う(正直、私の知り合いもゴルフには全く興味が無いと言っていた)。その理由については人それぞれ個人的な問題も含めて「テレビ放送でなんとかする」というのは所詮無理である。そこで一つだけ、「ゴルフって面白い」と思わせる部分についてだけは、テレビ放送でなんとかやりようがあるんじゃないか?、というのが私の意見である。今の中継は「余りにも画一的」なつまらない放送に終始している。もっと視聴者に興味を持たせるような「食い付く解説」を提供することによって、自分も「やってみようかな?」と思ってくれる人が多少とも出てくれば幸いである。

取り敢えず解説するところは、スイングの基本とライの打ち分け、それにアプローチとパターの4つである。それぞれの基本的な物理性質と道具の性能の説明、それを発揮するための正しい理論と個人の体形や柔軟性・個性の違いなどを「易しく、時にはズバリと」解説し解説してくれるのなら、視聴者も「食い付いて来る」筈である。当然、先生の数だけ「いくつも理論がある」からその選定には十分時間をかけて選ぶ必要があるが、基本は複数用意して「試合によって変える」のが良いと思う。私は予選ラウンドなどは「この人が解説してるから」という理由で視聴率が伸びるのも「あり」だと思う。是非とも真剣に解説者を選んで欲しい。

③ 解説者を選べ

時々あるのだが、ろくに日本語が「しゃべれない」解説者が堂々とテレビに出て来るときがある。昔ツアーで活躍したとか名前が知られているとか「だけで」選ばれている人が余りにも多いので嫌になるのだ。要するに、テレビで試合を流していて適当に「何かしゃべっていればいい」位の役割しかしていないから、こんなだらしない解説がまかり通ってしまうのである。選手がパッティングし、届かなかったら「弱かったですね」。右側を通り過ぎたら「ラインが違ってましたね」。今度は見事にカップインさせると「入りましたね」。・・・これじゃよっぽど「子供の使い」の方がマシではないか。

そもそもパッティングというのは「どの方向に、どれくらい落ちるか」を読むのが全て、と言っても過言ではない。タッチを合わせるというのはそのライン読みに合わせてボールを転がす為に「スピードを調整」する行為だから、要するに「ライン読み」が全てと言ってもいい。カップにボールが入るラインが単純な「真っ直ぐ」であれば、多少強かろうが「届かない以外は」全部入る。つまり曲がるラインの入れ方が難しいし面白いのだ。

例えば30cmくらい「直角に左に落ちる」ラインだとしよう。弱ければ「手前で曲がる」し、強ければ「先で曲がる」。曲がるのは大体が「傾斜や芝目」のせいだから、遠くても近くても「曲がる距離」は変わらない。この理屈が分かっていない人が、世の中には実に多くいるのである。勿論、傾斜の角度が進行方向に近づけば近づくほど「落ちる距離にボール自体の進む力が加わる」から、落ちる角度が浅くはなるが「落ちる距離」は変わらないのである。パッティングはこれらを総合して「予測して」打つから、選手の技術がモロに出てしまって実に面白いのである。その辺りを事細かに詳しく解説して貰った上で実際に選手のパッティングを見れば、何故外したのかまたは「何故入ったのか」がよく理解出来て、一層面白く見られると思う。

バンカーやアプローチでも、ティーショットのドライバーでも全て理論というのは聞いていると「なるほど」と分かった気になるものだ。しかし実際にやるとなると「とてつもなく難しい」のである(私がゴルフパートナーで苦戦しているのもこれなのだ)。サッカーでも野球でも、あるいはマラソンやテニスや卓球でも「見る人と実際にやる人」とは、多くの場合「別」である。唯一ゴルフだけは昔ビジネスマンが仕事の延長で「社会人の嗜み」として流行った時期があり、そのせいで「年代が高い」人達の間では結構な割合でゴルフをやる人がいる。そういう人達は得てして自己流のやり方でゴルフを覚え、「見様見真似」で無我夢中でやっていた人が殆どである。だから自分でプレーはするし「ゴルフについても色んな事を知っている」が、実はゴルフと言うスポーツの「基本的な理屈」を知らない人が多いのではなかろうか。

いまさら基本なんて知らなくてもいいと「拗ねる」のもいいが、知って尚且つその上で楽しめれば「なお良い」のは間違いがない。もしテレビで懇切丁寧に基本から解説してくれて、見ているだけで知らず知らずのうちに「ゴルフに詳しいおじいちゃん」に成れたとしたら、興味を持った孫に「ちょっとした自慢」も出来ようと言うものであろう。

取りあえず気が付いたところを書いてみた。以上である。

ついでに思い出したのでこの場を借りて言いたいことがある。それはテレビ放送で十何メートルかのロングパットをテレビで大写しにしている時に、心無いバカが「どえらい大声」で入れ!などとワーワー騒ぎ立てるシーンが度々みられるが、見ていてウンザリする位に「下品」だからマジ止めさせてほしいのである。パターは入るか入らないかの「2つに一つ」で、カップを外れて転がっていくのが分かっているのに「入れ!」と絶叫するのは、プロレスでロープに登ってダイブする選手に声援を送る時にこそ相応しいのではないだろうか、ゴルフはもっと「お上品」なスポーツである。クラシックの演奏会でスタンディング・オベーションをする時みたいに、「静かに、且つ情熱をこめて」拍手するのが正しい観客のマナーだと言いたい(しかもテレビ放送では音声が遅れるので、カップを通り過ぎてから「入れ!」と聞こえるから、猶更「バカが騒いでる」ように聞こえるのだ)。大体入らないと分かっているのに「入れ!」と叱咤激励するのは、打った選手に失礼だし「恥を掻かせるだけ」の事ではないか。入るか入らないかは物理法則に従って結果が出る。少なくともボールがカップを通り過ぎるまでは「じーっと黙って」ボールの進む方向を見守り、それからリアクションをするべきである。

以上。ゴルフのテレビ中継を面白くする方法、でした。


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