気になる鍾漢良(ウォレス・チョン)とMasaの中華的毎天

大家好!中華圏で活躍する「鍾漢良」をメインに中華的毎天(中華な日常)を綴っています。

「中国テレビドラマ60年大全 人物編」へのウォレスの寄稿文

2018-07-22 23:27:53 | インタビュー
*さて、ずっと気になっていた「中国テレビドラマ60年大全 人物編」へのウォレスの寄稿文をご紹介します。この記事にあるように中国ドラマ60周年の記念に出版された書籍の俳優編に彼の紹介が掲載されることになり、そこにウォレスが寄せた文章です。彼が中国へ進出して苦労した姿が目に浮かんで、なんとなく共有したくなってしまったという感じです。
*【記事:《中国电视剧60年大系 人物卷》发布 钟汉良撰文《一本人生的书》


*私の中国語の理解もままならないのですが、彼の書く文章はなかなか難解で、これぞ「なんちゃって訳」で、日本語さえままならない部分もありますが、是非想像力で補ってくださいませ。また、原文も掲載していますので、大幅な勘違いなどありましたら教えてくださいませ。

*鍾漢良はこの書籍に「一冊の人生の本」という文章を書き、俳優としての彼自身の旅程を寄稿しました。
・・・・・・・・・・・・・
*随分前のことを思い出しました。中国での一番最初の仕事は北京の懐柔区での撮影でした。いままで経験した事のない零度に近い寒さの中で、雨が降る場面の撮影で、雨の水は頭や肩に触れた瞬間に氷付きました。私にとって、身体は少しずつ寒さに慣れてきても、見知らぬ環境の中で孤独を感じ、それを口にすらできませんでした。

*それからの生活は、毎日繰り返し、朝早くまだ明るくなる前に、左手に保温瓶、右手に折りたたみ椅子を持って出かけ、上手く発音できないセリフを練習のために口ずさみ、夜には子供の時に好きだった音楽を流して、普通話(北京語)の練習曲として聞いていました。しかし、虚しい感覚に覆われないように努力しようとしても、自分のした決断に打ちのめされていました。

*ただ、ある日、ある瞬間に、あたかも真理が現れたように、この道はただ孤独に進んでいかなければならないと悟りました。それは将来の自立のためには絶対に必要で、自分独自で考え、創作していく習慣によって人生のシナリオは使命を与えられて完結していくと。

*幸いにも、仕事で一緒だった共演者や先輩たちは、とても親切で暖かく私を迎えてくれて、私と経験を共有してくれました。自分の進むべき道を探して彷徨っている私に、目標に向かって前進し着実に成長していく為の模範を見せてくれました。ある日、ドラマの中で義父が馬の背に乗って、行雲流水(自然体)で駆け回っていた時に彼は私の目を見て、アドバイスをくれました。絶えず練習して、転ぶことを恐れないようにと、そうすれば彼のような英雄になれるのです。また、ある時は泣く芝居の後で、義父のアドバイスは感情表現を押し込めないようにという事でした。一方思い返すと、地面に座り悲しくて辛くて泣きながら、両膝の間に頭を埋めて、本当に悲しい雰囲気を表現するシーンでは、その姿勢で私の髪を剃った頭と大きなおでこが目立ってしまい、カメラには面白い場面が撮れてしまったという事もありました。しかし次第に、現場を観察して、役者とカメラのレンズの距離感を意識し、役柄と観客との関係も研究していきました。

*また、一度、私はベテランの先輩が台本を持っていないにもかかわらず自分のセリフ以外の他の人のセリフも熟読している事が気になり、その理由を聞いてみました。彼は小さな声で「目が悪くて、台本を持ってきてもよく見えないから」とユーモラスに答えました。しかし、これは時間をただ使っているのではなく、労力をかけて、彼自身と役柄の思いを一体にして、無意識の下でリアルな芝居にしているのです。

*時間の積み重ねは、ひとつ、またひとつと良き師であり良い友として、私に自信をつけさせてくれました。継続することで未知の分野に対しても立ち止まらず進んでいけるのです。色々な人達や監督と仕事をして、その経験を通じで、演技に対する強い意志と意欲が自然に湧き上がり、楽しさを共有できます。

*演技と生活、これには境界線がありません。いくつかの年月を経て、さらにその奥深さを探求するにつれて、何気ない自分の感じる喜びでさえ普段の暮らしの中で演技に必要な状況を見つけることができます。どこかの街角で、赤信号になれば車を止めて、誰かが車の前を通ることができます。同様に、あるシーンで上手く演技ができずに1日落ち込んでいる事は自分自身の生活にも影響を与えています。面白いことに、すべての経験はまるで同じという事はありえないし、すべての苦しみや美しさも同じではないのです。大切なのは、自分の心の奥にある気持ちをどのように深掘りしていくかです。その過程の中で、経験や考え方、感受性に寄らず、すべてが統合して新しい姿になり、徐々に変化が生じ、レンズの前でより多くの輝きが生まれ、唯一無二のイメージに変化していくのです。

*皆さんに愛される俳優である事を感謝しています。歳月の積み重ねを経て、ドラマの演技の中で、一つ又一つと異なるキャラクターを表現してきました。この仕事を始めたばかりの頃の知能に障害がある少年を経て、太古の詩人や革命の勇士を演じてきました。それぞれの作品はそれぞれの時代の自分の記録で、映像を通してみる事ができ、1冊の人生の本のように、時々見返す事ができます。今の私はまだ書き続けている途中です。人生のなかでの人生百態(色々な経験)や風景を見えるようにして、この百科事典を完成させたいと思っています。

・・・・・・・・・・・・・
*懐柔区は北京の北部に位置していて90%は山間部という場所との事。

*義父とは、年配の男性への尊敬を込めた総称らしいです。


・・・・【原文】・・・・

《中国电视剧60年大系 人物卷》发布 钟汉良撰文《一本人生的书》

想起多年前,第一次到北京怀柔镇拍戏,感受前所未有的寒冷天气,在接近零度的环境下拍摄淋雨画面时,雨水接触到头部和肩膀瞬间冻结成冰。
对我而言,虽然身体在慢慢地适应,但陌生环境下伴随而来的孤独感,却是难以启齿。接下来的生活,重复着每天早晨走在天还没有亮的路上,左手提着保温瓶,右手拿着折叠椅,嘴上练习着不流利的台词,每天晚上回到房间播放小时候喜爱的音乐,听着普通话练习曲,努力试着不让空虚围绕,击倒自己的决心。

就在某一天的某个瞬间,像发现了真谛般,体悟这是条一个人的路,只能孤独地前进。必须在未来的日子里学习独立,习惯独自思考、创作,完成每一个剧本赋予的使命。

幸运的是,在工作中出现过的合作者和前辈们,他们亲切地嘘寒问暖,与我分享经验,让我在漫长的探索旅途上能找到模范,朝着目标前进,稳步成长。回忆起看着戏中的义父骑在马背上,行云流水般驰骋,他看着我的眼神,像是提醒我,只要通过不断练习,不怕摔倒,便能成为他那样的英雄。有一次哭戏后,义父提醒我,不能封闭地表现情感。回想自己坐在地上,因为伤心、难过,便一边哭泣一边把头埋在双膝之间,本该悲伤的气氛,却出现只有我剃光头发的大脑门,对着摄影机的有趣画面。

渐渐地,借由观察,开始意识演员和镜头的互动方式,研究角色和观众之间的关系。还有一次,我好奇某位资深合作者是如何做到不带剧本,把自己的台词以及其他所有人的台词皆熟读,他语带幽默地小声回答:“我眼睛不好,剧本带来也看不清楚。”这不仅仅是私下花多少时间,运用多少心力而已,而是他和他的角色与灵魂凝聚在一起,演变成潜意识中的真实演出。时间的积累,一个又一个良师益友使自己有信心,继续在未知的领域不停追求,让你尝试跟不同的人演戏,跟不同的导演合作,或多或少的经验交流,那种演戏的使命感和生命力便油然而生,享受其中。

表演和生活是一条无止境的路。经过一些年月,愈往深里继续发掘,愈能在不经意的地方带给自己惊喜,在生活中找到戏中需要的样子。就在你身边的某个角落,在你开着车停在红灯前的时候,他会在你的车子前面经过。同样地,当自己在某个戏中角色表现不够确定,一整天闷闷不乐的情绪,也会影响着私下生活。有趣的是,所有的经历都无法复制,所有的痛苦和美好也不尽相同,重要的是如何挖掘并考验自己内心的定力。在过程中,不管是经验、想法和感受,都汇聚起来成为崭新的面貌,慢慢产生变化,在镜头前焕发更多光彩,蜕变出独一无二的形象。

我常心存感激能成为被大家喜爱的演员,也庆幸经过岁月的积累,在影视和戏剧中,已经呈现一个又一个不同的样貌。从刚入行,演出有智能问题的少年到古代诗人,再到革命勇士,每一部作品把不同时期的自己记录下来,透过影像呈现出来,像一本人生的书,能不定时翻阅回味。

现在的我仍然继续书写,也正在努力,希望把生命中的人生百态和风景,透过演绎,完成一部百科全书。

中國電視劇60年大系·人物卷(上卷)鍾漢良《一本人生的書》


***

【記事:钟汉良:《一本人生的书》

【記事:钟汉良 | 每一部作品透过影像呈现出来,就像一本人生的书

【記事:钟汉良|把生命中的人生百态和风景透过演绎,完成一部百科全书

<ブログ関連記事>F
「中国テレビドラマ60年大全 人物編」へのウォレスの寄稿文が気になります。


コメントありがとうございました。

>Keteru87さん「溶けてしまいそうな気温ですね〜〜」【すでに、「暑中お見舞い申し上げます」ですね~
涼しいところにいらっしゃるんですね。羨ましいです。そして「おまけ」気に入っていただけましたか。いつもまじめ路線ばかりも面白くないかなぁと、遊んでみました(笑)

>ポチさん「嬉しいです😊」【香港を紹介した番組
雑誌届きましたか!!ポスターも3種類あるようですね。見るのが密かな楽しみですね。この記事も新しいドラマ「涼生,我們可不可以不憂傷」のエピソードや料理の話、これから挑戦したいSFドラマについてが、すこし違う角度でかかれているようです。(←課題です)

>Mimiさん香港を紹介した番組
楽しみましょう^^。

では、今日はこの辺で。。。
コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 香港を紹介した番組  | トップ | ブレイク〜〜ひと息入れてます。 »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いつも、お返事嬉しく読んでいます❣️ (Keteru87)
2018-07-23 02:35:57
若いのに、自分にストイックに何かを課し続けてる感じが共感しますし、
これからが益々楽しみです。
人生の最後の日にステキな本を書き続けられたことに、
感謝できたらいいなーとわたしも思っています。
Masaさん、楽しみをありがとうございまーす
返信する
ますます目が離せない (lily)
2018-07-23 13:59:38
読書に関する文章を読んで、あまりの立派さにそれまでのいろいろな彼の行動や文章を咀嚼するのに時間がかかりました。今回の寄稿文を読んでウォレスのたどってきた道がわかりかけてきました。
私は毎日「ウォレス・チョン」ですが、ますます好きになり、目が離せなくなりました。これからも私たち鐘漢良迷に素敵な本を書き続けてくださいね。Masaさん、訳していただいて本当にありがとうございました。
返信する
Unknown (ホー)
2018-07-23 18:47:05
ほー🍀です。

たいへんな翻訳、ありがとうございます。
早速ですが、こちらの翻訳文をすこしお借りして、ツィートさせて頂いてしまいました。
調度、はじめてみた動画に、感動したのですが、たまたま、こちらのコメントにふれていたので、さらに、心が動きました。
いつも、ありがとうございます。
返信する
俳優 (kumi)
2018-07-24 09:01:51
何度も繰り返し読ませて頂きました。
ウォレスがダンスや歌をただ好きな事をしてきただけと語った時、俳優業はどうなんだろうと思っていましたが、今回の寄稿文で少しわかった気がします。
彼にとっての俳優業は人生なんですね。
孤独に続けてきたこの道が自分の人生のシナリオだとある日気づき、覚悟する様子が彼の言葉で綴られて読んでいて胸が熱くなりました。
普段の生活と切り離せない、彼が経験し見る景色感じた思い全てが演技に繋がっていく…でもそれに頼らず色々に変化するからこそ彼の演じる人物は輝きを増し唯一無二な愛される存在になる。

本当に大好きな俳優さんです。

Masaさん、この文章を共有して下さりありがとうございました。
返信する
楚北捷 (ポチ)
2018-07-24 10:41:18
去年、ウォレス・チョンさんの存在を知り、そこから逆走するようにその経歴を辿っているわたしですが、(もちろん水先案内人はMasaさんです)このような文章やインタビュー記事を読ませていただく度に、素直で正直で飾らない方だなぁと同じ感想を持ちます。そして知性に裏打ちされているという点も同じです。うまく表現出来ませんが、真っ直ぐに一本の道が過去から今につながっているといった印象です。
そして、何も知らないまま「孤高の花」を見ていたわたしがいきなり!?楚北捷に心を掴まれたのも当然のことだったと今さらながらに思いました。遠い日の冷たい雨や 乗馬、感情表現、セリフの覚え方などへの先輩のアドバイス、ウォレス 自身の覚悟や普段の生活など様々な経験値のエキスをぎゅーっと絞って、美味しいところをいただいていたんだなぁ…と。Masaさんも「よくぞこの役に出逢ってくれた…」みたいなことを書かれていたような。(記憶違いだったらごめんなさい🙏)ウォレス との出会いとなった楚北捷はわたしの中ではやっぱり1番です^_^
返信する
翻訳ありがとうございます。 (mati)
2018-07-24 21:55:54
なぜ、ファンが離れないのか分かります。
そして、ますます目が離せなくなりました。
苦手な事をする時は、ウォレスチョンの写真を時々眺めながらすると、何とか終わります。
今度いやだなあと感じていた仕事は、前向きに捉えて楽しみながらすることにします。
ありがとうございます!!MASSさん。
返信する
努力の人 (pipi)
2018-07-24 22:01:38
またも読み応えのある素晴らしい文章ですね。
私も何度も読み返しました。
輝くウォレスの姿の裏には涙の日々があったのですね。
ますます彼に惹かれ、これからも応援しようと心に誓いました。
Masaさん、本当にありがとうございます。
返信する
遅ればせながら… (Ryu)
2018-07-29 17:49:22
今年の初め頃あなたのブログを見つけて、ずっと拝読しています。なのに今さら…と思いますが、「光のように…」「寄稿文」の翻訳があまりに素晴らしく、以前私も挑戦してみましたが文章に繋がらなくて… 彼の言葉、心情が伝わり、感動感動!masaさん素晴らしい!感謝です!
返信する

コメントを投稿