朝バナナダイエットの話を書いた時に、コメント欄でkさんに質問されて回答し忘れていたことがあった。
おおまかに言うと、「一般市民はどうやって、まともな科学者とナンチャッテさんを見分けたらいいの?」という質問である。うーん、とても大事なこと。回答を考えてみた。
(学会や論文に関する説明がまったく足りないのは百も承知。皆さん、コメント欄でもっと上手な回答を!)
…………………………………………………………
まずは学者が一般に発表する説についてです。
質問①
たとえば、こういった研究成果(○○は△△の効果があるとか)は、学会の論文で発表されるのが常識なんでしょうか?まず論文ありきなんですか?
A.「○○は△△の効果がある」タイプの研究は、学会や研究会等で大量に発表されますが、論文としてはまとめられないものも多いです。
発表は事実上、事前審査がないので研究者にとっては楽だし、宣伝効果もあります。新聞やテレビが取り上げてくれる場合も。
一方、論文は多くの場合、審査のうえで掲載されますし、いくつかの実験をしたうえで結果・考察をまとめなければならないので、書き上げるのは大変です。さらに、発表した論文はその後、第三者による評価・検証の対象になります。
質問②
もしそうだとすると、論文のない研究成果は、まず根拠がないと考えていいんですか?
A.論文として掲載される前に学会で発表する場合も多いですから、そうとは限りません。が、「どこかで発表したっきり、論文は何年も出ていません」というタイプの研究は、もう忘れてよいのではないか、と……。論文発表しないと、科学者の世界では業績として認められないですし。
質問③
しかし、論文がない、つまり学会では認められていない研究が、実は正しい発見だったなんてことにはならないものですか?
A.まず、論文と学会は切り離して考えた方がいいですね。学会はたいてい学会誌を持っていますが、学会とは関係がない学術誌もたくさんあります。また、一人の研究者がいくつもの学会に所属しているのが普通です。
つまり、一人の研究者から見た場合、論文として発表できる場は結構たくさんあるということ。そのいずれでも相手にされない、ということはどういうことか? 考えてみてください。
論文を書いていない方が、「反体制派として真実を追究する科学者」として市民団体やマスメディアにもてはやされるケースがありますが、私の見る限り、研究者としての能力が???の人がほとんどです。
それからテレビについての質問です。
質問④
テレビというのは、もう本当にデタラメのオンパレードで、もはや誇張なんてレベルではなく、嘘、捏造だらけと考えていいのでしょうか?
70を100にするどころか、0を100にする、いや、-100を+100にしているようなものなんでしょうか?
A.そんなことはないですよ。まじめに作っている人もいます。テレビ局も制作会社もたくさんあるわけですから、十把一絡げの「テレビというのは」という判断は、しないほうがいいと思います。良質のテレビ番組もある、ひどいものもある、ということ。
学者についての質問です。
質問⑤
テレビに出てくる学者、専門家は、あまり信用のできない人たちが多いと考えていいのですか?
A.これも、そんなことはないでしょう。信用できる人もいる、できない人もいる。
質問⑥
そうだとすると、我々はテレビに出てる学者みんなが信じられなくなってしまいますが、中にはちゃんとした人もいると思います。しかし我々には見分けがつかない。我々がその人たちを見分けるにはどうしたらいいでしょうか?
A.これは難しい。視聴者よりその学者の方が、語っている事柄についてははるかに詳しいわけですから、見分けるのは容易ではありません。
私はまずは簡便な手段として、「単純な話は疑おう」がいいのではないか、と思っています。食の製造システムや安全・品質管理はこんなに複雑になっているのに、「こうすれば、ダイエットできる」とか「○○は危険」というような単純明快な話があるわけない! ごくごく常識的な感覚として、そう思うのが大事では?
質問⑦
そして、そんないい加減な学者やメディアに対する何らかの法的な制裁や懲罰はないのでしょうか?テレビで当たり前のようにデタラメな情報が流されているのはおおいに問題があり、どう考えてももっと厳しく取り締まらなくてはいけないと思うのですがどうでしょう?
A.なにが正しくて、何がでたらめかを判断するのは、実はとても難しいです。法的な制裁や懲罰は、言論や報道の自由の侵害にも簡単につながる恐れがあるので、私は慎重であっていい、と思います。それよりも、科学者が同業者である科学者をきちんと批判するとか、市民団体がおかしな科学者の問題点を指摘する、というような動きがもっと活発になってよいのでは。
現実には、日本の科学者は同業者を批判してもなんの得にもならないので、しない場合がほとんど。消費者団体も、ともするとナンチャッテさんと一緒に行動してしまうので……。ただ、最近は「食の信頼向上をめざす会」などが出てきたので、これから少しずつ変わってくるのかもしれませんね。
おおまかに言うと、「一般市民はどうやって、まともな科学者とナンチャッテさんを見分けたらいいの?」という質問である。うーん、とても大事なこと。回答を考えてみた。
(学会や論文に関する説明がまったく足りないのは百も承知。皆さん、コメント欄でもっと上手な回答を!)
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まずは学者が一般に発表する説についてです。
質問①
たとえば、こういった研究成果(○○は△△の効果があるとか)は、学会の論文で発表されるのが常識なんでしょうか?まず論文ありきなんですか?
A.「○○は△△の効果がある」タイプの研究は、学会や研究会等で大量に発表されますが、論文としてはまとめられないものも多いです。
発表は事実上、事前審査がないので研究者にとっては楽だし、宣伝効果もあります。新聞やテレビが取り上げてくれる場合も。
一方、論文は多くの場合、審査のうえで掲載されますし、いくつかの実験をしたうえで結果・考察をまとめなければならないので、書き上げるのは大変です。さらに、発表した論文はその後、第三者による評価・検証の対象になります。
質問②
もしそうだとすると、論文のない研究成果は、まず根拠がないと考えていいんですか?
A.論文として掲載される前に学会で発表する場合も多いですから、そうとは限りません。が、「どこかで発表したっきり、論文は何年も出ていません」というタイプの研究は、もう忘れてよいのではないか、と……。論文発表しないと、科学者の世界では業績として認められないですし。
質問③
しかし、論文がない、つまり学会では認められていない研究が、実は正しい発見だったなんてことにはならないものですか?
A.まず、論文と学会は切り離して考えた方がいいですね。学会はたいてい学会誌を持っていますが、学会とは関係がない学術誌もたくさんあります。また、一人の研究者がいくつもの学会に所属しているのが普通です。
つまり、一人の研究者から見た場合、論文として発表できる場は結構たくさんあるということ。そのいずれでも相手にされない、ということはどういうことか? 考えてみてください。
論文を書いていない方が、「反体制派として真実を追究する科学者」として市民団体やマスメディアにもてはやされるケースがありますが、私の見る限り、研究者としての能力が???の人がほとんどです。
それからテレビについての質問です。
質問④
テレビというのは、もう本当にデタラメのオンパレードで、もはや誇張なんてレベルではなく、嘘、捏造だらけと考えていいのでしょうか?
70を100にするどころか、0を100にする、いや、-100を+100にしているようなものなんでしょうか?
A.そんなことはないですよ。まじめに作っている人もいます。テレビ局も制作会社もたくさんあるわけですから、十把一絡げの「テレビというのは」という判断は、しないほうがいいと思います。良質のテレビ番組もある、ひどいものもある、ということ。
学者についての質問です。
質問⑤
テレビに出てくる学者、専門家は、あまり信用のできない人たちが多いと考えていいのですか?
A.これも、そんなことはないでしょう。信用できる人もいる、できない人もいる。
質問⑥
そうだとすると、我々はテレビに出てる学者みんなが信じられなくなってしまいますが、中にはちゃんとした人もいると思います。しかし我々には見分けがつかない。我々がその人たちを見分けるにはどうしたらいいでしょうか?
A.これは難しい。視聴者よりその学者の方が、語っている事柄についてははるかに詳しいわけですから、見分けるのは容易ではありません。
私はまずは簡便な手段として、「単純な話は疑おう」がいいのではないか、と思っています。食の製造システムや安全・品質管理はこんなに複雑になっているのに、「こうすれば、ダイエットできる」とか「○○は危険」というような単純明快な話があるわけない! ごくごく常識的な感覚として、そう思うのが大事では?
質問⑦
そして、そんないい加減な学者やメディアに対する何らかの法的な制裁や懲罰はないのでしょうか?テレビで当たり前のようにデタラメな情報が流されているのはおおいに問題があり、どう考えてももっと厳しく取り締まらなくてはいけないと思うのですがどうでしょう?
A.なにが正しくて、何がでたらめかを判断するのは、実はとても難しいです。法的な制裁や懲罰は、言論や報道の自由の侵害にも簡単につながる恐れがあるので、私は慎重であっていい、と思います。それよりも、科学者が同業者である科学者をきちんと批判するとか、市民団体がおかしな科学者の問題点を指摘する、というような動きがもっと活発になってよいのでは。
現実には、日本の科学者は同業者を批判してもなんの得にもならないので、しない場合がほとんど。消費者団体も、ともするとナンチャッテさんと一緒に行動してしまうので……。ただ、最近は「食の信頼向上をめざす会」などが出てきたので、これから少しずつ変わってくるのかもしれませんね。