松永和紀blog

科学情報の提供、時々私事

エコ生活 挫折

2009-08-14 00:55:12 | Weblog
 今回は、完全に私的な話。

 4月に引っ越しした。ちょっと理由があり、家財道具は前の家にかなり置いてきた(って、家出じゃありませんので、誤解のないように)。
 それを機に、決意したのだ。化石燃料になるべく依存しない生活に変えよう、と。
 冷蔵庫と洗濯機、テレビ、パソコン以外、ほとんど電化製品のない生活。ただし、電子レンジのない生活は続かず、1カ月後くらいに買った。炊飯器はまだ買わず、土鍋でご飯を炊いている。ガスを使うが、これまでは夜、炊飯器のタイマーをセットして朝、決まった時間にご飯が炊きあがる生活だったから、それに比べればおそらく化石燃料消費量は少ない。
 トースターもない。ガスコンロに焼き網を乗せ、食パンを置いてさっとあぶって焼きめをつける。家族に「まずい」と文句を言われるが、無視、である。
 車も乗らない。春までは地方に住んでいたので車なしでは暮らせなかった。今住んでいる場所は、車なしでもまあ、不自由はない。

 だが、問題はエアコンだった。
 新しい住まいはマンションの8階で、まあまあ風が通るので、エアコンなしでとことん頑張ってみようと私は考えた。家族は文句を言ったが、その都度なだめる。だいたい、家族は昼間は家におらず、涼しくなってから帰ってくるのだから、いいのだ。私さえ、我慢できれば。昼間、原稿を書く時に、なんとかしのげれば。

 暑い中、汗をふきふき原稿を書き電話をかけ、ファクスを送る。取材や打ち合わせなどで「酷寒」のスペースに出かけ、終了後はまた、灼熱の家に戻り仕事をする。合間に食事作り、掃除、洗濯……。
 そうこうするうちに、明らかにおかしくなってきた。私が、である。どうもやる気が起きない。とても機嫌が悪く、悲観的になる。そのうちに、寝られなくなってきた。床に就いても寝られないので、仕事をしようとするけれど、今度は音が気になる。なんと、セミの“声”がうるさいのだ。昼間は我慢するけれど、夜中に大音響で鳴く。暑いので、窓を開けたまま寝ようとするのだが、寝られない。
 
 温暖化のせい、とか、都市化のせい、などと軽々しく言う気はないけれど、深夜1時とか2時にガンガン鳴く都会のセミが恨めしく、恐ろしくなった。気がたってさらに寝られない。

 どんどん、痩せていく。「最近、デブになっていたから、ちょうどいいよ」と自分を慰めていた。第一、「セミが怖い」という話を何人かにしてみたのだけれど、だれも本気で心配してくれない。セミに悩むなんて、私のキャラじゃないのだ。大笑いされて、私も笑ってしまう。
 そして、ついに口唇ヘルペス発症。免疫系もおかしくなっているのだろう。唇に水ぶくれができて腫れ上がり、口が開かず食べられなくなった。こうなると、回復のしようもない。負のスパイラル状態に突入だ!

 ふっと我に返って考えた。これは、だめじゃないか。このまま行ったら、大変なことになる。第一、目前に迫っている仕事の大山場をどうするんだ。でも、なにも考えられない。セミが怖くて(笑)。
 思い切って、都心のホテルに一晩、泊まりにいった。セミの声が聞こえず、ここちよく温度調整された部屋で、家族で爆睡。いろいろ考えた。帰りがけにヤマダ電機へ走って行って、エアコン注文。

 結局、エコ生活はなかなか難しい。暮らしの環境影響を、どう減らしていったらよいのだろう? 今も考えている。深夜、セミの声を聞きつつ、見事な“たらこくちびる”で。わーい、もうすぐエアコンがつくぞ!