切られお富!

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NHKハイビジョンスペシャル「女形~人間国宝・中村雀右衛門」を観て。

2016-03-01 23:59:59 | かぶき讃(トピックス)
今月はいよいよ五代目中村雀右衛門襲名興行ですね。で、それに先立って、先代である四代目のドキュメンタリー番組が再放送されていたので、簡単に感想を書きます。

四代目中村雀右衛門、大好きな女形でした。六代目歌右衛門の生の舞台には間に合わなかった世代なので、特別な存在という感じでしたね。個人的には、「籠釣瓶」の八つ橋とか「将門」の滝夜叉姫が大好きで、この演目の時ばかりは、なけなしの財布から歌舞伎座の良い席をゲットしたものでした。

で、番組ですが、たぶん昔も観ているんですが、よかったですね~。2002年12月の放送だったようですが、当時齢八十を超えた老優がスポーツジムに通い、バーベル40キロを持ち上げる!わたしなんか、たぶん80まで生きられないばかりか、今だってバーベルなんかとてもとても・・・。

とにかく、かなりの高齢まで元気いっぱいだったことが、このひとの優美な芸のベースにあったんだって再認識しましたね。

あと、女形の最高峰にいるひとが、後輩役者から三階にまで、自分から挨拶に行く謙虚な姿!つくづく立派な人だな~と思いました。自分も多少年を取ってきたから、その分余計に、あの年長者の素晴らしい謙虚さが身に染みる。

で、十種香の八重垣姫の舞台がフューチャーされていたんですが、息子・芝雀との八重垣姫交代の舞台の稽古もよかったなあ~。博多座の五代目襲名興行で「十種香」がでますけど、観たくなりました。それに、やはり、芝翫、雀右衛門が元気だったころの菊五郎は緊張感があってよいですね。菊五郎の勝頼は傑作だけど、旧歌舞伎座ロビーの稽古の台詞からしてよいですもの。

ということで、永久保存版ともいえる国宝級の番組でした。

五代目襲名の舞台も今から楽しみです!

PS①:書籍としては、渡辺保さんの雀右衛門論もよいし、ご本人の『死んだつもりで生きている』と『女形無限』も外せない。とくに、『女形無限』はわりと芸談も出てくるんで、ときどき読み返しますよ。

PS②:映画俳優時代というと、佐々木小次郎のイメージもありますが、個人的には市川崑監督の『青春銭形平次』と溝口健二監督の『噂の女』ですかね。特に『噂の女』は溝口作品の中でもモダンさと古風さの入り混じった傑作だったと思います(久我美子のファッションがオードリー・ヘップバーン風!)。


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