Vino Masa's Wine Blog

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料理研究家の方々とのディナー

2015-02-08 | Tasting Note

第3回目の企画は、イタリア料理の名手にご出張いただき、現地の味わいを生かしつつ、日本の旬のものを取り入れたディナーをいただきました。私の役割は、1週間前にいただいたメニューをもとにワインを合わせること。日頃ソムリエが考える視点に立つことができて、とても勉強になります。

拙訳書、「ブルゴーニュのグラン・クリュ」にも書かれていましたが、ペアリングを考えるときにどちらが主役であるかを考えることは緊要です。料理が主役の場合、ワインは引き立て役にならねばなりません。イタリア各地のローカル色が表れた料理のため、基本その地方のワインを選び、脇役であることを心得てグランヴァンは避けました。

料理はひと皿、ひと皿が格別でしたが、ワインペアリングは、良いのもあればまあまあのの組み合わせもあったとの印象です。反省点は次の通り。

1)しいたけとトリュフに思い切ってメルロ―を合わせたかった。

2)個人的な最近の流行り、バルベラはカリフォルニアであっても酸味が豊か。バルサミコ酢などに合わせて多用してもよかった。

3)魚介類中心ながら、赤を出しても料理とマッチする局面があった。

4)料理を引き立たせるために、ニュートラルなワインにするだけでは不十分。今回のマシャレリのトレッビアーノのように、料理と調和するワインの特徴にも気を使わなくてはならない。

 

 

以下、料理とそれに合わせたワイン

1.金柑と聖護院かぶのイタリア風千枚漬け 日本のかぶで金柑を包み、イタリアの味付けにした料理。

合わせたワイン→ Fidel Champagne Extra Brut 2008 Vouette & Sorbée (dégorgé le 08-12-10)

フランチャコルタがないのでシャンパンと。個人的には、柑橘系のほのかな香りが金柑とマッチしていた。

 

 

2.ジュニパーベリーのアクセントを効かせたサーモン、石臼挽きトウモロコシのグリッシーニ、パン(桜の花や葉を練りこんだものなど多彩で香ばしい)

           

合わせたワイン→ La Closerie Fac-simile Champage Extra Brut Rose 2008 Jérôme Prévost

サーブの関係上、1本目のシャンパンから2本目への移行がスムーズに行かなかったが、こちらのロゼが前菜2品とマッチしていたとの声もある。ジュニパーベリーとロゼにある若干の苦味がサーモンには合った。

 

3.アブルッツォのチンタセネーゼのコッパ 肉とチーズにうま味がある

合わせたワイン→ Marina Cvetic DOC Trebbiano d’Abruzo 2011 Masciarelli, Teramo, Abruzzo

水っぽいと言われたトレッビアーノからその素晴らしさを引き出したマシャレッリ。故マシャレッリは、奥様名前「マリーナ」を冠したワインを造る。ばリックを使用して熟成させているため、後味にバター香が長い余韻とともに残る。

 

4.トピナンブール(菊芋)のクレマ(泡)と水牛のモッツァレッラ カンパーニャ州

根菜の香りをほのかに伴う菊芋スープとともに味わうモッツァレラ。繊細な一皿。

合わせたワイン→ Plenio DOCG Castelli Di Jesi Verdichio Riserva 2009 Umani Ronchi, Marche

シャルドネに似てニュートラルな味わいのマルケ州のヴェルディキオ種。果実味を生かす優良生産者。

 

5.肉厚椎茸のフリット トリュフとともに

ダブル・キノコ!複雑な香りがまじり合うエレガントな料理。

 

合わせたワイン→ Capitel Croce IGT Veneto Bianco 2013 Anselmi, Verona, Venetoベネット州の白(ソアベに在りながらソアベを名乗らない)ガルガネーガ種

料理は素晴らしく、ワインも秀逸ながら今一歩。当日置き換わった食材のため間に合わなかったが、メルロ―(たとえばスーパータスカン)を合わせるべきだった。

 

6.堀川牛蒡のフリット コテキーノ(肉の脂などを擦り合わせたもの)の鋳込みとレンズ豆 エミリアロマーニャ州

合わせたワイン→ Cortaccio 1997 Villa Cafaggio 隣のトスカーナで造られた赤(カベルネ)。スーパータスカンと呼ばれる国際品種が用いられた初期のワイン。RP高得点。1997はイタリア優良年。ワインが若干強いかもしれないが、根菜、コテキーノと合う。

 

7.グリルに自家製アンチョビのバーニャカウダ ピエモンテ州

にんにくの一般的な使い方に反し、黒くなるまでボイル?して下味にしたアンチョビソース。濃厚だが酸味が効いている。

 

合わせたワイン→ Barbera Monarch Mine Vineyard 2008 Easton, Sierra Foothills, California

酸味強めのバルベラ種(ピエモンテ品種)で造られたカリフォルニアワイン。高地で栽培することで、高い酸度をキープしている。カリフォルニアのワイナリーで直接購入。

           

 

8.パスタ(魚介系) コルツェッティ(メダル型のパスタ)

馴染みのない、餃子の皮のような円形のパスタ。蟹などの旨みをパスタが包み込み、味が凝縮して美味。

 

合わせたワイン→ Meursault 2009 Philiipe Pacalet, Bourgogne ニュートラルで魚介に合うシャルドネ。ビオ好きなシェフに合わせて、ブルゴーニュ自然派の代表的造り手。バイオダイナミックス農法、自然酵母。野生的なニュアンスがある。

 

9.鯖・鱈・烏賊のボレート イタリア北部フリウリの海沿い魚料理 魚を強火で焼き付けた後に酢で煮る。オリーブオイルと酢で入荷した煮汁に焼き白ポレンタを浸しながら食べる フリウリベネチアジウーリア州

日本風に米酢をたっぷりと入れて造る。ソースが濃厚なため、酸味が心地よく感じられる。

合わせたワイン→ Ribolla Gialla IGT Venezia Giulia 2004 Radikon, Gorizia, Friuli-Venezia Giulia

フリウリの白 自然派 地元のリボッラジャッラ種 果皮を取らずに漬け込む古来の醸造方法による。亜硫酸無添加。

好みは分かれていたように思う。オレンジ色になったリボッラジャッラも健全で悪くはないが、酸味がマッチしたカリフォルニアのバルベラの方が個人的な好み。           

 

10.デザート チーズケーキ ととろみが斬新な食感となっていた。

ワインは合わせていない。

 

別に飲んだデザートワイン

Muskat Ottonel TBA #2 2000 Kracher, Burgenland, Austria

オーストリアの貴腐(Trocken Beeren Auslese=TBA)、ブドウはアロマティック品種マスカット・オットネル。甘さが新鮮で美味しい。

 

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