一般のワイン愛好家を対象とするワイン会でやまぶどうとヤマソーヴィニョンの比較試飲をしたところそこそこ好評でした。やまぶどうとは、日本固有の野生ぶどう品種。学名は、ヴィティス・コワニティ、この品種を見つけたamelographer(ブドウ分類学者。かつて欧米においては、ブドウの分類学は独立した学問領域で、ampelographyと呼ばれていた。)であるJules-Emileは、日本からブドウ品種を持ち帰ったコワニティ夫妻に因んで命名されています。ヤマソーヴィニョンとは、Cabernet Sauvignon(父)とやまぶどう(母)のハイブリッド品種。やまぶどうは、フィロキセラ耐性があるが、ヤマソーヴィニョンには、フィロキセラ耐性がありません。私見ですが、日本のテロワールを忠実に再現するためには、やまぶどうは台木として利用されることを試したいと思っています。
このやまぶどうが、国際的にも認められるワイン用品種なのか試したいと思っていました。多国籍のプロのテイスター等が参加するワイン会のホストを務める機会があったので、これらの品種を諮ってみました。ワインは全てブラインドで供出。いずれの品種も高速道路のサービスエリアで1,000円~2,000円で販売される、取るに足らないものは避け、比較的値の張る、評判の良いものを揃えてみました。
外観は、いずれもガーネット色。Okushiriの外観は、他と比べてかなり淡い。Kuzumakiは、ケミカルな香りが鼻を衝く。Notoが比較的安定した味わい。月山のSolil Levant Vitis Coignetiaeには、若干のブショネ香が残る。どれも酸味が極端に強く、果実感は薄い。投票するに満たないとの評価に終わる。やまぶどうもヤマソーヴィニョンもその強すぎる酸味と、それに応える特徴に乏しいのが現実のようだ。日本ワインを造りたいと思う自分にとっても厳しい結果との印象を持った。これは、品種の個性に由来するものなのか、はたまた多雨で日照が少ない日本のテロワールなのか。
Okushiriは、北海道奥尻島のワイナリー。Kuzumakiは、岩手県の盛岡からそれほど遠くない葛巻町に在るワイナリー。やまぶどうの種の収集、保存などにも力を入れている。Notoは、字義どおり石川県の能登半島のワイナリー。かつての試飲では一番人気だった。すでに売り切れていたので、ワイナリーにメールして直接分けてもらった。Gassanは、山形県鶴岡市に統合された、旧朝日村の農協が経営するワイナリーで、「やまぶどう研究所」を名乗る。ワイン名のルヴァン・ヴィヴァンは、旧朝日村の「朝日」に因んで命名。能登ワインと最後の月山ワインは、メルロもしくはカベルネを多少含む。
1 | Okushiri (奥尻) Winery | Okushiri Island, Hokkaido | Yamabudo | 2010 | 13.5% | Yamabudo 100% | Japan | 5,000 |
2 | Kuzumaki (葛巻) Wine | Kuzumaki, Iwate | Yamabudo Rarity | NV | 12.0% | Yamabudo 100% | Japan | 3,780 |
3 | Noto (能登) Wine | Noto Peninsula, Ishikawa | Yama Sauvignon Quanesse #1/1349 | 2011 | 13.0% | Yama Sauvignon 90%, Merolot 10% | Japan | 5,400 |
4 | Gassan (月山) Wine | Tsuruoka, Yamagata | Soliel Levant Vitis Coignetiae | 2012 | 12.0% | Yamabudo 100% | Japan | 2,970 |
5 | Gassan (月山) Wine | Tsuruoka, Yamagata | Soliel Levant Yama Sauvignon | 2011 | 12.0% | Yama Sauvignon 100% | Japan | 1,728 |
6 | Gassan (月山) Wine | Tsuruoka, Yamagata | Soliel Levant Rouge | 2010 | 12.0% | Yama Sauvignon 80%, Cabernet 20% | Japan | 3,000 |
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