先月もネタにしたが、クルマ雑誌の名門『NAVI』が、
2月末発売の“4月号”をもって、ついに休刊となった。
“休刊”というと「少しの間、お休み」……なんてイメージが
あるかもしれないが、これは出版業界の慣行ってヤツで、
平たく言えば“廃刊”と同じでことある
(せっかくの“雑誌コード”を、単に「手放さないでおく」だけの話)。
ま、今回の『NAVI』休刊については、前回のエントリで
思うところを書いたつもりなので、
改めて述べることなど、あまりなかったりするのだが、
それにしても驚いたのが、“最終号”となる今回、
なんと強気の特別定価「1000円(!)」で出してきた、そのセンスである。
これについては、巻頭の“編集長コラム”で、
当の塩見編集長自身が、このように書いている。
以下は、そのまま引用。
「最終号は読者の皆様の長年のご愛読に対する感謝の気持ちを込めて
特別定価とした。1000円。って
上がっとるやないか! これが二玄社だ」(←原文ママ)
……どんなもんだろうか?
ぶっちゃけ、今回の急な“打ち切り”を境に、
なんか「会社と編集の現場(の気持ち)が、
まったく乖離しているのではないか……?」と、
見ているコッチが心配になるほどの、あけすけな書きっぷりである。
ま、これだけ注目されている雑誌の「最後の一冊」だ。
普段買っていないような人でも
今回ばかりは購入する……なんてパターンも多そうだし、
おそらく今回は、刷り部数だって
通常よりかなり「多め」であると思われる。
そういう号で、狙いすましたかのように「特別定価1000円」……。
なんというか、「待ってました!」とばかりに
儲けに来たなオイ、って感じがしないでもない(笑)。
というか、こういうやり方は、
おそらく「編集部の本意」ではあるまい。
このような手法は、ある意味、
クルマ文化をめぐって高潔な精神論を掲げてきた
「NAVI的な価値観」と、対極をなすものだからだ。
であるからこそ、さきほどの編集長氏の弁になるのだろう。
なんとなく、見てはいけない舞台裏が
透けて見えるようで、ウムム……って感じだ。
とにかく。
このような経緯をたどり、雑誌『NAVI』は終わった。
雑誌の最終ページ、いつもであれば“次号予告”が
載っているスペースには、ただ一言
「See you near future…… may be your PC monitor……」とある。
あるいは、Webを舞台にした「なんらかの新展開」が
これから予定されているのかもしれない。
う~ん、やっぱり“Web”かぁ……。
出版にかかわる人間なら、誰でも同じ思いだと思うが、
いまの出版不況の原因の1つは、間違いなく「インターネット」だ。
ネットにつながったPCさえあれば、無料で楽しめる
コンテンツが、どれだけあるか。
それらに伍して、「有償で」コンテンツを
売っていくことが、どれだけ困難であることか。
もちろん、「内容で勝負すればよい」という理屈は、成立する。
無料コンテンツと有償コンテンツの「より面白い側が選ばれるのだ」と……。
しかし、世は「100年に1度といわれる」大不況だ。
タダで読めるのなら、多少クオリティが低くたっていいや……
なんていう人は、決して少なくないのである。
そんな中、最近になって“電子出版”が注目されている。
言うまでもなく、火付け役は米・Amazon.comの“キンドル(kindle)”だ。
書店に行ったら、毎日新聞社から
『メディアを変える キンドルの衝撃』なる本が出ていた。
紙の戦場から撤退していった雑誌『NAVI』と
この本を同時に購入しながら、何とも言えない複雑な気持ちがした。
これから、出版の世界は、いったいどうなるんだろうね……。
そっか、そのあたりを
この『メディアを変える キンドルの衝撃』を読んで、
まずは勉強すればいいのか(笑)。
というわけなので、まずは
読書タイムに突入することとします~!
で、面白ければ
この本『メディアを変える キンドルの衝撃』の感想も、
近いうちにアップしたいと思います。では~!!