ちょっと前に当ブログで
『オレの宇宙はまだまだ遠い』というコミックを紹介したのだが、
今回は、その『オレの宇宙は~』の作者である
マンガ家=益田ミリの手によるエッセイ集について取り上げたい。
つーか、この益田ミリというマンガ家さん、
以前のエントリでも書いたように
ブログ主は「ぜんぜん知らなかった方」なのだが(←失礼!)、
調べてみたら、もう何冊もエッセイを出してるみたいで
実はマンガ&文字の「両方イケル」、なんとも多彩な
才能の持ち主なのであった……(知らぬはブログ主ばかりナリw)。
ちなみに書くと、今回のエッセイ
『前進する日もしない日も』を読んだきっかけは、
例によって書店の文庫売り場を
ウロウロしているときに“益田ミリ”という名前を発見。
「お、コレ、先日読んだマンガ家さんの
書いたエッセイじゃね?」というわけで手に取ったと、
ま、そのような次第である。
で、読んでみたら……これ、マンガとは違った意味で
またまた「すんごくイイ!」のであった(笑)。
まずもって、タイトルがイイ。
『前進する日もしない日も』って……なんつ~か、こう
「晴れたり曇ったり」というか、「三歩進んで二歩下がる」というか(笑)、
とにかく「ジンセイ、たしかに“そんな感じ”だよね!」と
大方の人間に共感を抱かせる、
素晴らしいパワーを秘めたフレーズだと思う
(どーでもイイ話だが、その昔
銀座に「晴れたりくもったり」という名前の
喫茶店があったのだが、あれ、まだ残ってるのかな……)。
そもそも、この手のエッセイの場合
作者のモノの見方&感じ方に
「うんうん、ホントにそうだよね!」と共感できるかどうかに
大きなポイントがあるわけだが、作者の益田ミリの感性ときたら
もうニクイくらい、ブログ主の琴線に触れまくりなのである(笑)。
たとえば、こんな具合……。
ふとしたきっかけから、
和服の着付け教室に通うことになった益田ミリ。
週一回の教室は雰囲気もよく、
なにごともなく日々が過ぎていく。そんなある日……。
生徒のひとりが「これ、田舎のお土産です」と
和菓子を差し入れに持ってくる。
ま、その日はみんなで「おいしく和菓子をいただきました」と、
そういう話なのであるが、問題は次の週からである。
またまた、別の生徒が
「これ、田舎のお土産です」と差し入れをもってくる。
もちろん、その次の週も
別の生徒が「これ、田舎のお土産です」……。
こうなってくると、やはり自分も
「何か持っていかなければならないのでは?」と、
気になってくる益田ミリ。しかし、そもそもが
“インドア稼業”のマンガ家生活。
旅行に行くことなどないため、当然
「お土産もない」と、そういうことになってしまう。
ところが……。
偶然、仲間たちと名古屋旅行の機会が訪れる。
「チャンス到来!」とばかり、クッキーなど
買って戻ってきた益田ミリは、ここで「はた!」と考え込んでしまう。
要するに、自分までがお土産を買っていってしまうと、
なんだかそれが“決まりごと”みたいになるのではないか?
もちろん、ほかにもまだ何も持ってきていない人もいるし、
順番みたいな話になると、なんだか窮屈じゃないか?etc.……
で、お土産を持っていくかどうか、
クッキーの包みをカバンに入れたり出したりして
おおいに悩みつつ、結局
「クッキーは、自分で食べちゃった」と。
(~『前進する日もしない日も』(幻冬舎文庫)39ページより)
う~ん、このセンス(笑)。
人によっては、こんなことで思い悩むなど
「バカらしい。どーだってイイじゃん、そんなこと!」と
考えそうなものであるが、ま、そこはそれ……。
こういうところにこそ、その人の感性が出るものなのである。
オマケに、最後の部分。
「(悩んだけど)結局、クッキーは自分で食べた」という、
ここですよ、ここ!! www
これが「悩んだ末、お土産を持っていきました」というのでは
ちょ~っと、違うんだなぁ……(って、ま、人それぞれだけどサ・笑)。
とにかく、だ。このように
人によっては「共感度120パーセント!」の
看板に偽りなしの、好エッセイ。
『オレの宇宙はまだまだ遠い』を読んで
感じるところがあった人には、まじオススメである。
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