雑談の達人

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円高に打つ手がない日本と、人民元高を狡猾に抑制する中国

2010年08月19日 | 中国の雑談
日本は円高で大騒ぎのようだが、日本政府は口先介入ぐらいしか打つ手がないようだ。ここ中国でも、人民元がジワジワとあげているのだが、中国政府による「介入」はもっと狡猾で、徹底していて、我々駐在員泣かせである。

人民元は今のところ過小評価されていて、今後の人民元高へのトレンドは間違いないとみられており、何とかして金を中国で運用しようと、世界中から怪しげな金が集まって来ている。現地では、これを「ホットマネー」と呼んでいる。中国政府のスタンスは、海外からの投資という前向きな資金の流入は歓迎しつつ、ホットマネーの流入はビタ一文(元?)たりとも許さない構えだ。

例えば、貿易の決済で、海外仕入先(日本含む)から中国への輸入に対する代金の支払期限を、輸入通関の終了日から原則90日に制限している。この規制は一昨年から始まった。日本の現地法人は、日本の本社を親会社とする子会社がほとんどで、それまでは子会社支援のために支払条件が半年以上とかユルユルだったのに、急に何カ月分もの支払のキャッシュが必要になり、多くの日系企業は金策で大騒ぎであった(筆者も駆けずり回った)。中国政府にしてみれば、支払日までの猶予期間さえ、無駄な資金が国内に滞留することを許さないのである。

逆に中国からの輸出についても、海外からの前払いで送金された代金を受け取るまでには、契約書、通関関連の書類などなど、さまざまな証明が必要だ。モノを買ったふりをして、海外から随分前もって先に金を受け取り、それを運用しようという輩を締め出すわけである。真面目に商売している我々は、金がなかなか受け取れず、資金繰りが苦しくなり、本当に勘弁してほしい。

極めつけは、去年あたりから駐在員の給料は、かならず人民元で払えという、それまでは比較的多めに見られていたお達しが徹底され出すようになったのだ。架空の駐在員の「給料」と称して、結構な額の外貨が国内に入り込み、それが人民元に姿を変えて投機的な資金になっているという(給料として海外送金されてきた外貨は人民元に両替しても、所得税さえ払えば比較的容易に再び外貨に両替できたのだ)。ホットマネー全体からしてみれば、その影響は微々たるものだと思うのだが、そこまでやるかと思ってしまう。

そんなわけで、筆者は給料を全額人民元でもらっているのだが、当局のさじ加減一つで制度が変わってしまうので、将来無事に日本円に両替して持ち帰れるのか不安である(というほど、貯まっていないのも事実だがw)。

貿易の決済代金から、駐在員の給料に至るまで、中国当局が投機マネーには徹底的に監視の目を光らせていることがおわかりいただけるだろう。中国で外貨を動かすのは、本当に大変である。翻って我が国日本であるが、「日本一国で介入しても効果が知れている」などと言って悠長なものだ。問題の本質は、為替介入の効果云々よりも、こうした責任者の他人事的姿勢ではなかろうか。投機マネーと戦う姿勢をマーケットに見せつけたいならば、中国政府のような断固たる姿勢を学ぶべきではないかと思う。

などと、雑談らしからぬエントリを書いてしまい、脳が疲れたので、この辺で寝ることにする。

参考エントリ
隠れた社会主義
為替介入で円高を阻止しろと簡単に言うけれど

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