雑談の達人

初対面の人と下らないことで適当に話を合わせるという軽薄な技術―これがコミュニケーション能力とよばれるものらしい―を求めて

「食べるラー油」ブームが意味するもの。

2010年11月16日 | その他の雑談
中国では、けた外れの日本人がビジネスで駐在している。日本食材のラインナップも驚異的である。そんで、遂に念願の「食べるラー油」が手に入った。わが祖国でブームと聞き、辛党の筆者は試食を切望してきた。いただきます! ……なるほど、うまい。しかし、どこかで食べたことのある味だ……

桃屋の辛そうで辛くない少し辛いラー油 110g【600個限定】
辛そうで辛くない少し辛いラー油
株式会社桃屋

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一体、何の味だったか。ひと瓶食べて、ようやく思い当たった。↓この味だ。

コイケヤ カラムーチョスティックタイプ ホットチリ味 117g
湖池屋
湖池屋

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肉料理、魚料理、餃子、焼売etc. 何にかけても、食材の風味は完全に損なわれ、すべてがカラムーチョの味になってしまうのだ。こういうものが、品薄になるぐらいの大ヒット商品になるのだから、日本人の味覚はかなりイカれてきたのではないか。いや、イカれてきた、というのは正確でない。要するに、「食べずとも分かり切った味」、「分かりやすい味」が求められているのではないか。

筆者の昔の上司に、経費で尋常ならぬグルメ三昧をしたツケがまわって味覚障害になったオッサンがいた。噂によると、既に舌がイカれているのに食通を気取り、シェフを呼び付けてマズイだの何だの怒鳴り散らしていたらしいが、件のシェフは「舌が疲れているのではありませんか?」と、あきれながら反論していたという。「舌が疲れる」とは、筆者も初めて聞いた表現であった。舌も疲れるのだ。美食ばかりしていると、味覚がおかしくなるらしい。

このオッサン、自宅を含め、食費を経費で落とせないときには、ハンバーグとか、コロッケとか、ケーキとか、それはそれは分かりやすい味のするものしか口にしなくなったという。ちなみに最後は糖尿病になったらしい(「最近やたら喉が渇く」などと言うようになり、ジュースをガブのみしていたら、突然意識を失ったという。)

このオッサンほどヒドくはなくても、日本人が全体として美食に走り過ぎている傾向は否めないだろう。うまいラーメンを食うためなら何十分も平気で並ぶ。遠路はるばるマスコミが紹介した店まで出掛けていく。うまいものを食い過ぎている反動で、こういう「食べるラー油」のような「分かりやすい単調極まる味付け」がウケルようになったのではないか。そういえば、昨今、「B級グルメ」なるものがブームだそうだ。これこそ、高級料理を食べ過ぎた反動でハンバーグやコロッケしか食えなくなったオッサンの轍を踏んでいないか。

日本の偉大な食文化の行く末が、大いに懸念される。

参考リンク:品薄状態が続いている桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」を食べてみました

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