雑談の達人

初対面の人と下らないことで適当に話を合わせるという軽薄な技術―これがコミュニケーション能力とよばれるものらしい―を求めて

松田直樹と伊良部秀輝の悲劇は似ている

2011年08月05日 | スポーツの雑談
片や急性心筋梗塞、片や自殺である。だが、競技を深く愛しすぎてしまい、最早そんな自分を変えられない不器用な男たちの悲劇に見える。

己の人生のすべてをかけられるものを見つけた喜び。更にその才能にも恵まれていたという幸運。多くの人々の喝采を浴びた激烈な成功体験…

そんな至福の一時を味わったアスリートたちにも、肉体の衰えは容赦なくやって来る。過去の栄光が輝かしければ輝かしいほど、第二の人生の日陰が耐えがたいものになるだろう。裏方、指導者、解説者、タレント……こんな選択肢も、スター選手としての栄光に比べれば、余りにも空しい余生としか映らないだろう。

「オレ、マジでサッカー好きなんすよ」という、マリノスを去る松田選手の魂の叫びが、こういう残酷な結末の後では、悲しくも痛々しく聞こえてしまう。

そして、「サッカー知らない人もいるけど……」と言いかけて、結局「サッカー続けさせてください」に戻ってしまった。

栄光の後に彼が踏み出すべきだったのは、まだまだ多くの「サッカー知らない人」たちと向き合うことだったかもしれない。だが、彼はその文脈を急に変えてしまった。やはり、サッカーの只中に居たかったのだろう。そして彼は希望通り、最期までピッチで逝ってしまった。歩むべき道を感じていたというのに……

伊良部選手も、野球と関わる全ての道を閉ざされ、自ら命を絶ってしまった。野球しか知らない、野球だけを一途に愛した男だからこそ、残りの人生は「野球を知らない人々」と、全力で向き合って欲しかった。

お二人の御冥福をお祈りします。


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