雑談の達人

初対面の人と下らないことで適当に話を合わせるという軽薄な技術―これがコミュニケーション能力とよばれるものらしい―を求めて

スポーツは道具の性能にどこまで依存して良いか?

2009年07月30日 | スポーツの雑談
世界水泳で、新型の水着が威力を発揮している。新型の水着を着用した無名の選手が自己記録を大幅に短縮し、世界新記録を出したりしている。余りに効果が高過ぎるので、国際水連は今後、一定の規制を課す方針だという。

だが、競技に使用する道具の性能レベルが、勝負に余り影響しないスポーツというのは、ちょっと考えにくい。一見、道具に頼る必要が余りなさそうなスポーツに思える水泳でさえ、水着が極めて重要なファクターであることがわかってしまった。陸上競技ならスパイク、球技ならラケットやボールの性能が、勝負の行く末に大きな影響を及ぼすだろう。ゴルフクラブやテニスラケットなどは、これまでに大変な技術革新を経てきたはずである。重要なのは、いったいどこまで道具の性能に頼ることを良しとするか、その判断基準である。

結局、選手が平等で公平な条件の下で競技できるか、道具の性能が勝敗に決定的な影響を与えてしまわないかどうか、この辺りがメルクマールなのだろう。まぁ、妥当で常識的な判断基準ではあると言ってよい。

しかし、毎度のことで恐縮だが、へそ曲がりの筆者は、それだけでは面白くない。不満である。スポーツマンシップに則り「正々堂々と戦う」ばかりでは、退屈にすぎる。ルールの盲点を突き、それまで誰も思いつかなかった手段や道具を編み出し、呆気にとられる周囲をよそに、楽々と勝利をかっさらっていく。そんな選手の登場を期待してしまうのである。

ソウル五輪における鈴木大地の予想外のバサロキック、イアン・ソープが着用した全身タイツのような水着は、強烈なインパクトを残した。そういえば、バタフライという泳ぎは、元々は平泳ぎのルールの盲点をついて編み出された泳法だという。

水泳以外でも、スキージャンプにおける「V字飛行」、走り高跳びの「背面跳び」、スピードスケートの「スラップスケート」など、それまでの常識を超えた方法を編み出し、周囲の度肝を抜くような予想外の大勝利を収めるのを見るのが痛快である。びっくらこいた競技団体のお偉いさん方が、慌てて新たなルールをこさえて規制強化に乗り出すのも滑稽に見えて面白い。

スポーツ用品メーカーの開発担当の方々は、新たなルール制定による規制強化とのイタチごっこに挫けることなく、今後もルールの盲点を突くような道具を次々と生み出してほしい。選手の皆さんも、思いもよらない方法によるアッと驚く大勝利を、虎視眈々と狙ってほしい。


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