雑談の達人

初対面の人と下らないことで適当に話を合わせるという軽薄な技術―これがコミュニケーション能力とよばれるものらしい―を求めて

内定がもらえないのは、あなたが人並みだからです。

2010年11月22日 | ビジネスの雑談
超就職氷河期がやってきているらしい。未だに内定がもらえない哀れな就活生の苦悩ぶりが報じられている。しかし、内定がもらえないことに、どうしてそこまで苦悩するのだろう。要は厳しい競争を前に敗れ去りそう、それだけのことだ。そんなことなら、世界のどこにでもある日常の風景だ。

就職を目の前に、ようやく社会の厳しさを目の当たりにして打ちのめされたりするのは、それまでの人生の処世術が全く通用しないからである。そうして、価値観が根底から覆されるからこそ、深い苦悩の底に叩き落とされるのだ。この日本で幼稚園から大学生までを生き抜く最も強力な処世術とは何か、それは「人並み」である。

日本では「人並み」であることが、最も有効な戦略である。とにかく周りといっしょ。同じような連中があつまる学校に通い、陳腐なカリキュラムに従順に従って学び、似たような友だちと付き合い、ありきたりなクラブ活動に打ち込み、変わり映えのしない塾に通う。そうして、それなりに幸せな学生時代を謳歌してきたのだろう。

ところが、学校を卒業して以降突入せざるをえないビジネスの現場は、最早「人並み」な人材は不要である。無論、日本の会社組織の現場は今でもクソつまらない仕事であふれかえっているので、人並みな人材に対してもある程度の需要はある。ところが、今の就活生より上の世代に、大量の人並みな人たちが溢れかえっているので、これ以上、役立たずの人並みな人材は不要なのである。かくして、「人並み外れた」学生から、内定を勝ち得ていく。

更に言うと、もともと人並みから外れてしまっているような人たちは、別に就職で苦戦したからといって苦悩したりはしない。人並みになれないことで、既に学生時代までで散々辛酸をなめてきているからだ。場合によっては、他人と違うという理不尽な理由だけで、凄惨なイジメにも見舞われただろう。だが、こういう規格外の人たちは、自分に甘えた幻想も抱いていないので、最初から大手有名企業など狙ったりせず、大人になってからの社会参加に向けて周到な準備をしていたりする。

内定をもらえない哀れな学生が、延々と何十社もエントリーし続けるとか、新卒カードを維持するため留年するとか、いつまでたっても右往左往し、悲劇のヒーロ&ヒロインを演じているのは、トコトン人並みだからだ。そして本当の悲劇は、人並みな人材は、もう必要とされないという現実である。

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