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イランの晩婚化は女性の社会進出と関係ないのでは?

2010年01月08日 | その他の雑談
筆者が愛読している城繁幸氏のブログで、イランの某国営企業が独身女性の就労を制限しているという話を知った。

ただ、このニュースを聞いて、「イスラム圏のイランでさえ女性の社会進出が進んで、晩婚化が問題になっているのか」と考えるのは、ちょっと違うと思う。

何を隠そう、筆者は昔、若気の至りでイランに暫し滞在したことがある。

全くカルチャーの違うイスラム圏は、いろいろ面白かったが、中でも歪んだ結婚事情は、強烈なインパクトがあった。

イランの男性が女性に性的な価値を認めるのは、せいぜい十代後半まである。二十歳を過ぎると危ない。二十五を超えると、完全に嫁き遅れである。結婚したかったら、二十歳までに勝負をかけるしかない。「35歳負け犬」などと自嘲している日本人は、向こうの基準からすると今更何を、という感じだ。確かに、あちらの女性は本当に美人が多いが、老けるのも段違いに速い。嫁き遅れてしまうと、もう働くぐらいしかないので、仕方なく働いているのではないか。

さて、男は結婚するには、一にも二にもカネである。新居、クルマ、結納金の3点セットを揃えなければ、女性側の親族の了解を得ることができない。女性側の親族はたいがい強気で、べらぼうな金額を要求したりする。これら3点セットがあるのは当たり前で、そのレベルがどの程度なのかが最大の関心事である。メンツがあるので、たとえ娘が嫁き遅れても、絶対に妥協しないぐらいの強情ぶりだ。

仕方がないので、結婚したい男は必死に働いてカネを貯める。海外に出稼ぎをしたりする物もいる。それなりの3点セットを揃える元手ができる頃には、40半ばぐらいになっている。結果、頭が禿げてきたオッサンと、10代の小娘のカップルが本当に多かった。オッサンと小娘の新郎新婦を乗せた車を先頭に車列を組んで、けたたましくクラクションを鳴らしながら街を疾走する光景は、かなり強烈であった。

自由恋愛はご法度なので、愛の力でウッカリくっついてしまったりすることは絶対にない。出会いも極めて限定されることになる。結局、親や親せきが見合い相手を探してくるのだが、見ず知らずの他人を信用しないので、イトコを連れてくることが多い。で、イトコ同士のカップルもかなり多いらしい。血が濃いので、遺伝病の発生率も高いと聞いた。

そんなわけで、イランの晩婚化と女性の就業率の高さは、結婚をめぐる歪んだ現地特有の慣習にあるのではないかと思う。


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