親愛なる日記

僕が 日々見つめていたいもの。詩・感情の機微等。言葉は装い。音楽遊泳。時よ、止まれ!

彼方からの手紙

2009年11月18日 | 音の景色


beeさんの記事への呼応という訳でもないけれど、

大好きなスチャダラパーについて。


この『彼方からの手紙』は歌詞の不思議さ、物語性、スーダラ加減。

どれをとっても完璧です。


僕がこのブログを始めるにあたっては、『親愛なる日記』か『彼方からの手紙』かで随分迷ったほど思い入れのある曲。

その割にこれまで取りあげてこなかったのは、

この良さかげんを言葉に表現できないからです。


なぜこの曲は僕を虜にするのか、

なぜこの曲を聴くと、何ともいえない気分になるのか。


そもそも「君」とは誰なのか。

「僕」はどこからこの手紙を書いているのだろうか。


来週に続くような野暮は避けるべきだが、この話は未完のまま、筆を置く。



※ちなみに08年に映画になってるようですね。知らなかった。。芸大のDVDだ。

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素数たちの孤独

2009年11月18日 | 男と女
舞台は1990年ごろのイタリア北部。

友達のない利発な少年が知的障害を抱えた双子の妹とともに、初めて級友の誕生日会に招かれる。

きっと妹がパーティーを台無しにする。

不安になった少年は、待っていろと妹を公園に置いていき、永遠に失う。


     ◆ ◆ ◆

90年代、00年代に青春時代を送った僕は、どちらかといえばこういう喪失の世界に共感を覚えてしまう。

それが、イタリアの物理学者を目指すパオロさんにとっても同じなのか。

彼は物理の学位論文から逃れるようにして、この『素数たちの孤独』という小説を書いた。


     ◆ ◆ ◆


1とそれ自身でしか割り切れない素数に感情移入してしまう少年。

なんだか遠い昔の自分をみるようで、せつない。

11、13、17といった双子素数を自らの関係に重ねる恋人たち。

「割り切れない」孤独は世界共通なのかと、ふと思う。冬前夜。


     ◆ ◆ ◆

パーティーに出ても、コップに注いだ飲み物が表面張力で盛り上がり、揺れ動く様子に見とれたりする。

ねえ、わたしのこと好き?

の一言に

「分からないよ」

「僕は考えなければ、何も分からないんだよ」。


     ◆ ◆ ◆


僕たちはいつでも、「ある」と「ない」の間をさまよっている。

そう言いたげな孤独を いつの日か、後にして。

アイを探そう。ねえ、パオロ。


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