親愛なる日記

僕が 日々見つめていたいもの。詩・感情の機微等。言葉は装い。音楽遊泳。時よ、止まれ!

If I were you

2009年11月02日 | 音の景色


そういえば、むかし僕がまだ高校生だったころ。

恋愛につまづいて、自分が嫌いで、何かになりたくて、父さんにたずねた。


ねえ、父さん、僕は豊川悦司になりたいんだよ。

あんな風に背が高くて、クールな指の男になりたい。


しばらく考えて、父さんはゆっくりこう言った。


僕にはその豊川なんとかはわからないけど、それについて言えることは一つだけ。


努力してたどり着けないものに、憧れてはいけない。

僕は 僕がなれるものにしか憧れない。



そんな、言葉がふとした瞬間に頭をよぎる。

ともすると人は、何にでもなれるような夢想をしてしまうけれど、

自分自身の肉体から逃れることはできない。


そうした苦しさが、あっさりと切り捨てられたことが、

当時の僕にはとても小気味良かったように思う。



さて、そんな回想をしたのも、ベックがあまりに格好いいからでして、

親父の小言を思い浮かべつつも、

ああ、こんな男になれたらななんて思ってしまう 秋の空。