在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Franz Haas Pinot Nero Schweizer Manna e altri フランツ・ハス

2014-05-15 20:24:59 | Trentino Alto Adige アルト・アディジェ
Franz Haas フランツ・ハス
Pinot Nero Schweizer 2012(anteprima) 2008 2003 2002
Manna 2012 2006
Istante  2010
Moscato Rosa 2010



ハスは思い出のあるワイナリーのひとつである。
(ところで、ハスは、本当はハースと発音するのだが、たぶん日本ではフランツ・ハスと呼ばれていると思うので、ハスで統一)
まだワインの勉強を始めたばかりのころ、友人と集まって家で勉強を兼ねたテイスティング、ひよこが集まってなんてことはない、要は飲んで食べる会を開くことにしたのだが、そのとき友人Kの持ってきたワインがハスのマンナだった。このワイン、おいしいって聞いたのよね~と。確かに美味しかったし、ラベルが当時はかなり斬新で覚えやすく、その後、個人的に何度も買った。
今は、ワイナリーの数もワインの数も星の数ごときになり、ハスのワインを飲むことも少なくなってきたが、今でも個人的に大好きなワイナリーのひとつである。



さて、今回の試飲会は、かわいらしい(かっこいい、が正しい)息子氏と共に来ていた。思わず、かわいい~
試飲会が始まり、ハス氏が淡々と語り出す。
ワインの造り手は、必ず、良いワインを造る条件の一つとして、情熱、を挙げる。
確かに、情熱がないと良いワインは造れないので、当たり前なのだが、その情熱の後ろにあるものは造り手によって微妙に違うと思う。お金をもうけたいための情熱、有名になりたいための情熱もある。(実際に、ヨットを買ったり、投資のアパートを買ったりのために良いワインを造ることに情熱を燃やしている造り手もいる。。。このケースは、ワインの品質は良くても、コストパフォーマンスが非常に悪い)しかし、ハス氏のような人物は、純粋に良いワインを造るための情熱を持っているのが、その話し方、語る内容からわかる。
僕オーナー、詳しいことはあっちに聞いて、という造り手(とは呼びたくない)もいるが、ハス氏は、丁寧に、いろいろな内容の質問に答える。
ただひとつ答えられなかった質問は、ワインの値段だった。よく知らない、と。(コストパフォーマンスが悪いワインを造っているオーナーは、概して、ワインやぶどうのことより値段に詳しい。)

その他、良いワインを造るために必要なものは、気候、土壌。ここまでは、他の造り手と同じ。そして、さらに付け加えたのが、標高、だった。
話はピノ・ネーロを中心に展開。ブルゴーニュのワインが全て良いわけではなく、むしろ美味しくないものは多い、と。アルト・アディジェの土壌はブルゴーニュのそれにかなり近いそうだ。しかし、イタリアは暑すぎ、と言う。同感。
イタリアでは標高が高くある必要がある。
では、高ければよいか?シチリアのエトナで造られるピノ・ネーロは、確かに標高は高いが、粘土を多く含む土壌が違う。だから、良いワインはできても、似て非なるものにしかならない。同感。
アルト・アディジェは、イタリアでもかなり寒い気候で、山に囲まれている土地であるにもかかわらず、900m、1000m以上の標高にピノ・ネーロを植えているのだそう。
(海に近い土地で、標高も低い平地、砂を多く含む土地で、僕のワインすごーく美味しいでしょ、と自慢しているオーナーに聞かせたい。。。)




さて、試飲は白のマンナから。
+++でかなり良いワイン。加えて、プラスとマイナス。
もっとワインの記述がほしい、というリクエストがあったので、少し詳しく。
Manna 2012 +++ 品種は基本的にReisling 50% (ステンレス)、Chardonnay20%(バリック)、Traminer20%(ステンレス)、Sauvignon10%(バリック)。香りの第一印象は、ソーヴィニオン。緑、柑橘、細い感じでミネラル、香草など。香りに奥行きがある。酸味がさわやかで、透き通るようにきれい。
Manna 2006 ++++ 熟したリースリングの風味が出始め、白コショウなどのスパイスと蜂蜜風の甘い香りが交互に。フルーツとトースト臭、持続性良く、後味が心地よい。
Istante 2010 +++ Petiti Verdot 65%その他。ボルドータイプ。タバコ、葉巻、スパイス、色の暗いフルーツ、緑がほのかに。タンニンは繊細、酸味がきれいで、持続性良い。重たさがない。

ここまで来て、やはりいちいち記述していられない。。。(時間だけがかかる)
Pinot Nero 2012(リリース前のサンプル)+++ 良いが、当然未完成で、バランスが整っていない。
2008 ++++ 落ち着きが出て、花、フルーツ、スパイスがほんのり香り、非常に良い。タンニンがとても繊細で柔らかくエレガント。
2003 +++(+)若干太い、強い印象。酸味がその印象をカバー。
2002 ++(+)熟成進み、わずかマデイラ臭。
Moscato Rosa 2010 ++++ ノーコメントで飲みたいワイン。