こんな本を読みました

気ままで偏りのある読書忘備録。冒頭の文章は、読んだ本からの引用です。

『ええもんひとつ』(山本兼一)

2016-05-30 | 歴史・時代小説
いつもええもんを眺めて目を肥やしていれば、くだらないものを買って失敗することもない。

 ときは幕末、三条木屋町に真之介とゆずが開いた古道具屋「とびきり屋」でのエピソードを描いた
「とびきりや見立て帖」シリーズ。図書館で見かけ、テーマに惹かれて初の山本兼一。いや?『利休に
たずねよ』は読んだっけ。いやいやいや・・・こういうことがあるから、やっぱり必要な覚書。
 でもって、実はこちらはシリーズの2巻目にあたるものだったが、楽しく読めた。「ええもんひとつ」
というタイトル、抜粋で示した考え方も品があって好きだ。抜粋の前の文章が、「道具を十点買ったら、
いちばんよい道具をひとつとりわけして残しておき、ほかの九つを売って利益を上げるようにする。そう
しておけば、いつも手元にいちばんええもんがひとつ残る。それが道具屋の大きな財産だ。」というもの
だが、「ええもんひとつ」、ほんまにええ言葉だ。一点豪華主義と言ってしまうと身も蓋もなくなるが、
たくさんのなかから、ひとつだけ選んで手元に、というのに、品を感じる。
 舞台が幕末なだけに、志士やら新選組がからんでくるのがちょっと残念。歴史物が好きなだけに、それ
は別の話で読みたいの~。こっちは道具の話だけしといてほしいの~という個人的わがままであった。
 山本兼一さん、ちょっと前に他界されたんだよな。シリーズのまだまだ先が読めないのは、とても残念。
とりあえず1冊目を購入してあるので、ゆっくり読むぜ!
(読書日記、またも停滞中だけどアップしていない本が数冊~)