【AFP=時事】英イングランドにあるブレナム宮殿で14日未明、18金で制作された便器が盗まれる事件が起きた。警察が明らかにした。盗まれた際に配管が壊され、世界的に有名な宮殿の内部が水浸しになった。

「アメリカ」と名付けられているこの便器は、イタリア人アーティスト、マウリツィオ・カテラン氏の作品で、約100万ポンド(約1億3500万円)の価値があるとされている。便器として実際に使用することもできる。

 この事件に関与した疑いで66歳の男が逮捕された。

 ブレナム宮殿は、オックスフォードの近くにあり、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産にも登録されている。この便器は、ブレナム宮殿で12日に開幕したカテラン氏の展示会の目玉作品だった。来訪者は、予約すればこの便器を利用することができたが、待ち時間を短くするため、1回の利用時間は3分に制限されていた。

 米ニューヨークのグッゲンハイム美術館で展示されていた年には、10万人以上がこの便器を使用した。

 警察は「犯人らは夜間に宮殿に押し入り、午前4時50分(日本時間同日午後0時50分)ごろ逃走した。この事件による負傷者はいなかった」と発表。少なくとも2台の車が犯行に使われたとの見方を示し、「便器は配管で建物と接続されていたため、配管から外されたことで深刻な被害があり、水漏れが発生した」と明かした。

 ブレナム宮殿は第2次世界大戦当時の英首相ウィンストン・チャーチルが生まれた場所としても知られている。ブレナム美術財団を設立したエドワード・スペンサー・チャーチル卿は先月、英紙タイムズに次のように語り、便器の警備については心配していないと話していた。

「第一に配管でつながれているし、第二に直前に誰がその便器を使ったのか、またその人が何を食べていたのか、盗もうとする人には分からないのだから、特に便器を警備することは考えていない」「私は裕福な家に生まれたが、金の便器で用を足したことはまだない。そうすることを楽しみにしている」

 カテラン氏は、この便器について「99%の人のための1%の芸術だ」と語り、貧富の格差をテーマにした作品だと説明していた。展示会は、14日は中止されたが15日には再開される。カテラン氏の展示会は、10月27日まで開かれる。 【翻訳編集】AFPBB News

窃盗犯は100億円くらいの価値だと思ったんでしょうが案外こんな値段なんですね