鉄道各社、金融サービス強化=「経済圏」囲い込み加速
鉄道各社が、インターネット銀行業務に参入するなど金融サービスを強化している。在宅勤務の増加などコロナ禍で変容した生活スタイルを見据え、乗客の生活圏を重視した新規ビジネスで本業との相乗効果を狙う。グループで展開する小売り事業などとも連携し、「経済圏」への囲い込みを加速させる。
JR東日本は5月9日、ネットバンクサービス「JRE BANK(バンク)」を始める。ネット経由で口座を開設し、預金や住宅ローンを利用できる。付与されるカードで買い物も可能。利用に応じてグループのJREポイントがたまり、鉄道の優待割引券などの特典もある。
同社は交通系ICカード「Suica(スイカ)」を展開するが、楽天銀行のシステムを活用し、より幅広い金融ニーズに対応する。早期の100万口座獲得が目標で、喜勢陽一社長は「JREポイントの生活圏を拡充していきたい」と話す。
京王電鉄が昨年9月に始めた「京王NEOBANK(ネオバンク)」も同様に口座が開設でき、利用に応じてポイントが得られる仕組み。「京王沿線エリア在住の方の利用が圧倒的に多い」(広報)といい、若年層の支持獲得も狙う。
東武鉄道は決済機能の強化を急ぐ。日立製作所が開発した指の静脈による生体認証技術を、4月からグループのスーパーの一部店舗に導入。あらかじめクレジットカード番号などを登録しておけば、専用端末に指をかざすだけで手ぶらで買い物ができる。今後系列ホテルなどへの導入も検討し、利便性を一段と高めたい考え。
ニッセイ基礎研究所の福本勇樹金融調査室長は「金融サービスを手掛けることで鉄道利用者の消費や資産に関するデータを得られ、新たな事業に活用できる」と指摘する。少子化で鉄道事業の先細りが予想される中、今後も収益源を多様化する動きは続きそうだ。
昔からある地銀や信用金庫などは人件費が高騰し身軽になり難い環境にありますが日銭を稼ぎ内部留保も潤沢にある鉄道各社が顧客を奪いに来ると熾烈な生き残り競争に巻き込まれ大変な苦労が待っているのかも知れません🐵