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半月記

半月に一回くらいは、何か記録をしていきたい

ぶんれっつ!

2009-06-25 21:44:07 | オリナビ的発作
 今日の日記も縦に長いです。もっぱら画像のせいで。

 明日ジグ誕生日なのに、明日までにデザインが上がる気がしませんほんとうに…。
 基本的にジグってマントの巻き方で結構差別化を図ってるので、よく考えるとあまり代わり映えがしていない服装だった…。左列上から二番目と、右列三番目がちょっとジグとしては珍しいといえば珍しいけど…。
 ほっとんど同じラインを使ってるみたいです…。衿とか装飾品とかちょこちょこ違うけどそんなのは別にいつでも付け替えられるものだから正直研究しても意味がないとかもにょもにょ。
 即ち
 このラインをアーマーで表現しなければならないということ…ですか!わかりたくありません!!!

 もう嫌だあああああああああああ
 先生ジグのキャラデザ諦めていいでs…いや諦めたらそこで試合終了だからあああああああああ
 でもとりあえずすごく…疲れました…。

 で。
 ふと。
 あしたそういえばオートインビジブルな子達の絵茶だなって思って、もうジグ描くの嫌になったのでもくもくとキャラを生産…。自分でもデザイン忘れてて焦ったということもあったりなかったり。トランジに眉毛があったかどうかでちょっと悩みました…。
 なんていうか、私の場合、ひとつからだの雛形があると延々キャラ書き続けるのってそんなに時間かからんみたいです。 頭身低めだから線もすくなくていいしー。「どんだけ時間かけたんだよ!」っていわれそうですが…多分この絵の量から見て連想するよりは時間掛かってない。だってコピー&ペーストしてなぞるだけだもん!(殴)1キャラ10分かかってたら100分になるから…1キャラ5分前後で終わってるって事ですね。すげぇ。早ぇ!!!!

①東野晴喜とスタッカート
 お姉ちゃんに(出番を)食われそうな主人公。晴喜のキャラが実は私、つかめていない!スタッカの主人公として唯一いい点は、「大剣」が使えるところにあるよ…。
②東野茜とアークティカ
 新卒オフィシャル(うちにもオフィシャルがいた…だと…!!)コンビ。アークティカは私の娘。異論は認めない。
③天城麗奈とカストラートマン
 お嬢とオカマ。実は麗奈、ハッキング少女。ちっちゃいころから数字ばっかり見てるから、もうデータとかソース見れば画像が頭のなかに浮かぶらしい。時々ジグと組む。
 カストラートは、ほんとはジグの部下ですがまぁなんかよく判らないけど麗奈についてるよ、と…。オカマだから母性本能と父性本能両方あって、麗奈はなんだかどっちのアンテナにも来るんだとか。
④八千草時雨とトランジマン
 時雨はほんとは飛行機のエンジニア。で、トランジマンはほんとはジグの部下だけど、命令だから時雨のお手伝い。彫刻家だから、飛行機のメカニックな部分とかエンジンに妙に感動しているらしい。形状オタク同士妙に息が合うのか?
 時雨は時々ジグと組む。
⑤フォーチューンとアンティエルド
 (白さ的な意味で)浮きまくってる。ネオ・アルカディア製だからとかそんな言い訳じゃ済まされない勢いで浮いている…!!!ナビとしても人としても異彩を放つ感じにしたいからいいんですけど。でもこれ「代表ナビ」として紹介しちゃあかんな…。

 さあ続き描くか…なんか今、妙にハイです。


「白の王女の肖像画」/ばっとん!

2009-06-18 18:18:59 | オリナビ的発作
「…はい、どうぞ。」
 時刻は僅かに遡り、トーンが食事後に女王の部屋に呼ばれた直後。
 何故呼ばれたのか判らず困惑顔の彼女の前に置かれたのは、ミルクのたっぷり入った紅茶だった。ありがとうございますと礼をいいながらも落ち着かず、トーンはカップを両手で抱えながら何か言おうとしては躊躇い、言おうとしては躊躇い、を繰り返している。
「……」
 普段は溌剌と言葉を紡いでいるその唇が彼女らしくもなく躊躇っているのを見て、フォーチューンは静かに微笑んで呟いた。
「そういうところも、ミシロちゃんにそっくりね。」
「え?」
 思いもよらない言葉に、鳩が豆鉄砲を食らったような表情でトーンは目の前の相手を見つめる。そして、恐る恐るといった体で尋ねた。
「どうして一度で変装を見破られたかずっと気になってたんだけど…僕、じゃなくて私と女王様って、会ったこと、ありましたっけ…?」
「いいえ。あなたとは会った事はないわ。」
「じゃあ、ミシロと会ったこと…あるんですか?でもどうして?私達は、生まれてからほとんど一緒だったのに…。」
「貴方達が本当に小さいころだったから、覚えてはいないかもしれないわね。…でもね、ミクロ王女とミシロ王女の、双子の姫を描こうとした画家達が、悉く失敗したという話は、一時期このあたりの国々ではちょっとしたニュースだったのよ。」

 双子の対なる王女。運命を背負う、似ていないのに「何故かそっくり」な王女達。彼女達が4つの時、王女たちの絵を描かせようという話がモノケディア王家では持ち上がった。
 最初に呼ばれたのは、モノケディア随一の画家。愛くるしい双子を並べて絵を描いたとき―完成したもののできばえに彼は愕然となった。
 気がつけば、キャンバスに描かれている二人の姫は、どちらにも似ているが故に、本人達にはまったく似ていなかった。瞳の印象以外は、王女達はそこまで似た双子というわけではない―それでも何故か描きあがった絵の中で頬を寄せ合っている王女達の顔は、まるで鏡にでも映したかのようにそっくり同じ顔をしていたのだ。
 その問題は、彼だけに起きたのではない。別の画家にも描かかせてみたが、結果は同じだった。
 王女の肖像画が描けない―。
 未曾有の問題に、王家はすぐに大賢者に意見を求めた。白い髭を撫でながら、賢者は考え深げに呟いた。
「王女様方は、普通の人よりも運命に近いところにいらっしゃいます―そしてその魂の形はひどく似ておられる。キャンバスの上の姿が似ているのは、画家達がその魂の輝きを写し取ってしまっているからでしょう。」
 そして彼が提案したのは、姫達を別々に描かせるということだった。一人は芸術の国として名高いレイ・サントに母親と共に向かい、もう一人は遥か北の大地へ、乳母と共に向かい―そこでそれぞれ描かれた肖像画は、今は向かい合うようにしてモノケディア城の廊下を飾っている。
 とりあえずミクロとミシロ王女のはなし。ここで、トゥルーエンドに必要なアイテムひとつ「ミシロ王女の肖像画」をGETしましたね!これキーアイテムだから「棄てる」ボタン押しちゃだめだよ!!
 そして説明っぽい文章が多くてあれだったなぁと思ってるので、補足を。
 双子をまとめて描けなかったからミクロちゃんは北のほうへ、ミシロちゃんはレイ・サントに来て肖像画を描いてもらったということです!
 北のほうは…ネージェンリュニアとかじゃね?とこっそり思ってますが、そこはまぁぼかす感じで…!

 もう「王女の肖像画」終わりが見えてきたといえば見えてきた…気がします。でも実はジグの誕生日までに「今回はジグのターン!(8日目夜のイベント)」まで辿り着けるとおもってたんですが…この調子じゃ無理な気がしてきました。8日目昼を全然設定練ってないのよ…。
 旅戦が終わった後は一応EXE本編が控えてる予定…なんですがもしかしたら「この世界」をちゃちゃっと書くかもしれないという気がしました。
 なんでかというとね…。ジグの出番がEXE始まると暫くなくなるから…。予定は未定なのですが、ファンタジーで面白そうなネタがあればそっちをホイホイ拾うかもしれない!


 で。本日の画像と小説は何の関係もありません。

 ファイさんから「この世界」版フォーチューンのふつくしい線画頂いたので、昨日の夜喋りながらガツガツと塗ってみました。サムネにしたときは綺麗っちゃ綺麗なのですが、原寸にしたときやっぱりなんか物足りない…!!!(ぐぎぎぎぎ)
 でも色塗りたのしす!でした。線じたいが綺麗なので…(安定してる的な意味で)迷わずぬれます。色塗りたのしい…!!!線画万歳!!!!!(グッ!)
 あ、で。同じ絵をファイさんが塗ったのは…。なんか ふつくしすぎて あごがはずれます…。
 なんかもう…塗りあがったの見た瞬間「光臨 満を持して」って叫びたくなりました。 えぇ 叫びたくなりました…!!!
 明日は俺ファイさん塗りの勉強するんだ…!!!(グッ!)


 今日は日記のネタがたくさんあるのでさくさくと!レインさんから頂いた大切バトン…!!

▼大切バトン

▼このバトンはまじで大切だと思ってる人9人に送ってね?送り主がもし本当に大切ならば送り返すこと!送り主は送った人から返って来なかったら友達考えなおした方が。。。1番下の質問に送りぬしは書かなくていカラ じゃあStart☆

 うぃっす了解!でもなんか腹立たしい日本語だね!!

★名前はぁ?
 蒼牙瓏碧。mixi以外はもうこれで統一しました。蒼牙だけだとかぶるので…。

☆生年月日
 1Q87・09・10(村上○樹自重)

★誰から回ってきたあ?
 レインさんからー!

☆送り主大切?
 一億と二千万分(ってどのくらい?)前から惚れてますとも!!

★送り主は溺愛中?
 お会いしたら脚に噛り付く程度には溺愛です(なんて猟奇的な愛情!!!)青蛸で恐竜が釣れるんだ ぜ!!

☆送り主の性格は?
 いい意味でも悪い意味でも感受性豊かな人!
 いろんなことから目を逸らさずにいようとしてるし、その真摯さが作品の繊細さにつながってるんじゃないかなと思います。
 逆にいうなれば、目をそらすスキルと忘れるスキルを上げると人生もうちょい楽かもしれません。いやだがしかしこの才能がそれで損なわれるのは…(なに一人で葛藤してるの!)

 あと性格とは違うんですけど。
 なにをやっても成功させるあたり超努力家…!!
 あの努力はすごい!というかまねできません!(蒼牙は目をそらすスキルと忘れるスキルが高すぎますほんとうに…!!!)

★送り主とこれからもずっと仲良し?
 だといいなと思ってる!!

☆送る9人はあなたにとってどんな存在
 いつまでもおっかけていたい憧れの人にしてどこか同じものを共有できてるような気がする方々!!

★本当にこの9人でいいの?
 9人

☆送る9人全員のことをちょっと紹介して

送りつけるがこっぱずかしいのでスルー推奨!!!!

・ファイ様
 時々フルシンクロ、時々かみ合わない会話をナイス機転でうけとめてくれる…天然ながらできる女、です。
 ナビ界ではとってもとってもお世話になってますし、絵でもまた教わったりとお世話になってる…のにDMCとかカービィとか、妙なところで話が合うのも不思議…!(世界はそれをディスティニーとよぶ!)それにしても昨日のクレド兄さんはひどかったですね。

・スナ様
 私のほうが年上!のはずなんだけど何故か姉御と呼びたくなる方。恐らくてきぱきしてるからか…。
 決断力の高さと勢いのよさと女王様具合にいつだってKOです。いつだって足元に身投げして踏んでもらう準備はOK!!出身は違うはずけどなんか江戸っ子的なものを勝手に感じてる…きがするんですが、何でだろう…。

・レイン様
 ナビでもpixivでもRPGでもお世話になりっぱなし!(いつも駄目参加者でごめんなさい!)何故そんなそんなそこまで色々なことをこなせるのあなたァァァ!!といつも叫びたくなります。
 上でもいろいろかいてるから割愛ー。あ、あとどMなはずの私がうっかりSに回ってしまうあたり、超Mなんじゃないかなって思ってます。
 
・やまさん様(本名で呼べよ…)
 一緒に泊まったとき感じたことは、「なんというソウルメイトvv」。変態バレエであそこまで盛り上がれたのはやまさんだったからだと信じてます。あと延々写真とりあいっこしたりとか、こう…なんか「よく判らないけどおそろいね私達!」みたいな謎テンションを愛してます。らぶ!

・オセロ様
 なんだろうエロとかスタイリッシュとかココロの師!!!どんな弾でもキャッチボールをしてくれるものすごい実力者!キャラにせご本人にせよ一本筋が通ってる幹事がもうかっこういいというか大好きだーー!!リリィちゃんともどもらぶ!!
 あ、あと関係ないですが私はケリーちゃんの大ファンです。
 

・渚様
 写真を見るたびに思うのは「な ん と い う 美 人」。コスプレ神光臨!!!満を持して!!!!二次元を三次元に引っ張りだすことにかけてはもう…神としか いえない。薬売りさんとかもう…たまりません…よ…。
 あとエロネタグロネタギャグネタぜんぶ「おおおおおおおおおおおお!!!!」 というところを持ってらっしゃるのがたまんなく格好いい…!!スタイリッシュ!!!!

・龍様
 ドS神。トレス神。ネタ神。キャラデザ神。この方を「神」の言葉無しでは語れない…!!!!!
 ギャグセンスとかもう全てが 神!ニコ動にUPされてる作品で、私の腹筋がメルトになります…。そしていつも新しいキャラに血圧が上がります…。ドSイケメン(執着系)を描かせたら右に出る人はいないんじゃないかった本気で思います…らぶ!!

・薫様
 耽美世界に埋もれたい。もしくは陰謀ワールドでもいい…!!という、読むものをずるずる引きずりこむような力をもった世界観の持ち主…!!だいすきです。キャラ勿論だけど、世界がとにかく大好きです!!
 あと、意外なところからとんでもないネタを引っ張ってくることについてはプロ。「完全武装のクッキング」という言葉は、今も私の心の中の名言に刻み込まれています。

・茅様
 ほのぼのシリアス二次創作ファンタジードントコーイ!な 文章の魔術師。ブルースの話とかほんとうに鳥肌が立ちました…。文字書きとしてすっごくすっごく刺激を受ける方!
 あと…実は作曲センスに 脱帽。ゲームもつくれて小説も書けて曲まで書けるってどういうこと…!!!憧れすぎて最早…らぶ!!

nowhere fortune

2009-06-17 14:33:50 | オリナビ的発作
 桐生操っていう人の本を読んだら、アリプロの「地獄の門」を思い出した蒼牙ですこんばんわ。
 この作家さんは、えーと…「本当は恐ろしいグリム童話」の作者と言ったほうが通りがいいかな?まぁイヤンvvな大人向けグリム童話を書いてるひとで…あの人とにかく「悪女」という生き物が好きらしく、「世界悪女大全」とか色々そういうのを書いてるのですよー。で、ふっと目に留まったのが「復讐の華ヴェラ」という長編小説。タイトルひでぇvvvでもこの人の長編小説初めてじゃねー??と思いながらなんとなく借りました。
 ま、大人向けグリム童話をフランス革命と絡めて、親を無実の罪で殺されたヴェラという女性が復讐を遂げ、逮捕される前に愛する人に自分を殺させるーというエロを盛り込んだメロドラマ。もうちょっと緻密な時代描写とかがあると期待してたんだけどそこまでではなかった…。エロもほんとうは恐ろしいグリム童話レベルだった…残念!

 読んでてふと思ったんですが。
 ファムファタール即ち悪女ではないはずなんだけど、ファムファタールという言葉を効果的に使うためにはビッチ要素があると楽というか…うーん。文学って難しい。


 ―で、ここで一見脈絡もなく、レインさんに描いていただいた獣化フォーチューン!!
 以前からブログにあげようあげようと思ってたんですがずっとバタバタしてて…!!


 とりあえず叫ばせてください。な に こ の 金 髪 の 塗 り !
 かるく神がかってますほんとうに…!!
 すごく…なんていうか…顎が外れました…。金髪フェチとしては金髪がどれだけうまく塗れるかってのはいろんな事柄より優先される事項なんですが…。
 この金髪はひとつの究極形態だと おもいます (どーん)
 ふへぇぇぇきらきらしてるよう…。なんていうか、「月光の色」と呼ぶのが一番しっくりくるような金髪で…!!ふふぅ堪りません!!!
 他のキャラ描いてる時にあみだした必殺技らしいのですが…ブログかいてるときもスクロールがとまりませんほんとうに…!!!(ちょっとは落ち着いてほんとうに!)
 いやなんていうか。
 今見てくださってる方にはわかると思うんだけど。
 感動ものです この 金髪…!!!落ち着けないというかソワソワソワソワ…!!

 あと腰というか曲線萌え!腰から腿とスカートのあたりがたまりません。普段から水明ちゃんでミニスカ修行(?)を積んでらっしゃる成果、どきどきするめくり方をよくご存知 なんだ ぜ…!ほんとにスカート捲りたいんですが!!どうすればいい!!??(どうしようもない!!)

 ねーちゃんねーちゃんええ身体してんなぁと思わずニヨニヨしましたとも!!!!! 

 他にも翼とか色々SUGEEEEEE!!!!ポイントはあったのでsが、はんぱなく金髪とボディラインがストライクのホームラン(?)だったので、とりあえず悶えを吐き散らしてみました・・・!!
 ええ何度でもいいます。 蒼牙は お っ さ ん で す と も !
 レインさんありがとうございます!測らずともおっさん暴露することになりましたが、後悔はしていないっ…!!!!!


 で。今回の妄想小説は、ある意味で誰かのファムファタールではあっても、ビッチ的な意味で悪女にはなりきれなさそうな女性二人です。
 モナちゃんは復讐心はあっても、悪意に満ちているわけでもないし。パンチラとかはあってもエロはあんまりない気がする。むしろエロ担当はファンg(殴)
 敵討ちに来る女性という要素とか、あと裏小説とか読んでるとやっぱりファムファタールではあると思うんですが…ね!!

 更にフォーチューンの要素が追加された悪落ちとかピンとこないんだ…。なんていうか、「おぉ友よ!罪も無き囚人たちよ!!」的な「失楽園パレード」しか悪落ちが想像つきませんほんとうに…。
 オチ知ってる方は知ってるし、この間の小説読んだ方もお気づきでしょうが、ある意味ジグの人生(どっちかっていうと王生?)を逆転サヨナラホームランの勢いで変えたのはフォーチューンです…。が、ここにも、やっぱり、ビッチ要素皆無!!
                          ようじょ
だってジグ編のヒロインは 麗奈 だから!
(ようじょ!ようじょ!!てるよ!てるよ!)


 …
 ……
 ………あ、あれ?なんかようじょコールのせいで話がまとまらなくなったのでさっさと小説に移ろう…。
 あ、ちなみにこんかいのタイトルは「幸福はどこにもなく/幸福はいまここにある」です。
 祈りではあまりにも無責任だから、せめて全知全能の真似事を。

「逃がしちゃった」
 はぁ、と艶やかな黒髪を揺らして少女がため息をついた。その滑らかな頬には、先程の鬼気迫る表情はない。憑き物が落ちた…と言うべきか、どこか清々しくすらあるその表情は、鬼のそれよりも彼女に数倍似合っているように思われた。「ごめんなさいね。」と安堵しつつ声をかけると、ぷいと少女―ハーモナは顔を背け、「全くそう思ってないでしょ?」ちらり、と試すような目線で呟いてくる。
「間違ったことをしたとは思わないけれど、あなたの邪魔をしたという事実に変わりは無いわ。」
 さらりと答えると、やっぱりね、と大袈裟な溜め息。演技なのか、ほんとうに割り切っているのか…それは今一判別がつかない。どこかばらばらとした、不安定なその表情の裏の本心は、もしかしたら彼女自身でさえ掴みきれていないのかもしれなかった。
「ほんとうにね。」
 と頷いたハーモナの漆黒の瞳が、掌の上の刃に落ちる。
「あいつ、裏インターネットをちょこちょこ逃げ回ってるから、見つけ出すためにも一苦労なのに…。」
 彼女が手にしていたのは、長剣ではなく、至って小ぶりの―「包丁」だった。普段の彼女が持つ武器「ノートロッド」よりも、包丁は攻撃可能な距離の問題もあり、遥かに武器としては劣る。
 先ほどから話題に出ている逃げた少年―ファングマンの装備が両手のクローであることを考え合わせると、彼と相対するためにその武器を選択するというは過ちであるとしか思えなかった。

 ただ。

 包丁というのは、人間の日常の中にあるもっとも身近な凶器である。
 彼を殺す武器として「包丁」という日用品に拘る理由が何か特別にあるとすれば―それは即ち、彼女の殺意が彼女の「日常」から非常に近いところからきているということだろう。

「どうして、彼を殺したいの?」と、聞いてはいけないと思う前にふと疑問が口をついた。
「言いたくない。」
 むっと、包丁をもてあそびながらハーモナは返す。予想通りといえば予想通りの反応だったので、フォーチューンは小さく頷くに留めておいた。
「そう…。」
「だって、あなたには関係ないでしょ?どっちかっていうと邪魔してきた側だし…。私の話を聞いて、私を可哀相と思って協力してくれるってなら、考えてあげてもいいけど?」
「あら、それは厳しい条件ね。」
「でしょ?」
 小首をかしげる姿は、年相応の少女のそれで、フォーチューンに対する目線にも殺気は微塵もない。
 先ほどからの一連の会話の流れで、彼女の目が本気だった―と感じられるのは、ファングマンを目の当りにした時だけだった。
「私があなたの話だけ聞いて、約束を果たさずに飛んで逃げてしまうことは簡単だけど…その手は使わないでおくわ。」ため息交じりに呟くと、ハーモナは半ば呆れたように
「馬鹿正直ね。」
 と返してくる。
「でしょう?ふふ、でも、まっすぐなことが幸せだとは限らないわ…。あなたも、そう。何かを成さなければ幸せになれないと思っている間は、幸せには出会えないものよ。」
 自分のことを言われて、白い頬が一瞬ぷっと膨れた。「お説教が過ぎたかしら」と曖昧に微笑んで、立ち去ろうと背を向ける―。勿論別れの言葉などあるわけもなく、沈黙に押されるようにして歩を進めた。

 リンクに脚を踏み入れる直前、沈黙にかき消されそうな小さな声で「それでも許せないことがあるって、【オモテの王妃】様は知らないでしょう?」と呟く声が聞こえた。
 恐らく、ハーモナのほうにも聞かせるつもりはなかったのだろう。ただ周りがひどく―彼女の悔しさに全ての音が押しつぶされていたかのように静かだったから、フォーチューン自身の五感が獣化することによって―それこそ獣の如く鋭敏に―研ぎ澄まされていたから、耳に届いたにすぎない。


 だから、それには聞こえない振りをして、振り返りもせず、リンクに踏み込んだ。



 「殺さないで」「復讐を諦めて」などという祈りは、復讐の前ではほとんど無意味だ。かつて命よりも大切な人を殺され、復讐を望んだことがある身としては、ハーモナの気持ちも理解できないことはなかった。
 しかし―。
 同時に復讐だけを見つめるということは、恐ろしく人から「人間味」を奪うことでもある。それは
 復讐を望み爪を研ぐ間の、臓腑を食い破られるような昂ぶりと痛みを知りながらも、全知全能の神のような顔で「復讐は幸せではない」と説く。自分が行っているその矛盾に微かに微笑み―
「私は、正直というよりは…正直でありたいと思っている、というほうが正しいわね。」
 そう呟く声は、誰にも届くことはなかった。

「aller a la chasse」/しくっ た !

2009-05-21 01:12:17 | オリナビ的発作
  ハルモニアを襲った相手は、彼女に呼ばれた騎士団が捕らえ―引き立てられていく男を見ながら、ミブロはちらりと残されていたハルモニアを見やる。こんな時間に何を、と彼女自身も疑いの目を向けられたものの、たまたま丸腰であったこと、女王本人が認可している客人であったことから、今回の襲撃とは関係がないという判断が、目の前の騎士団長によって下されたようだった。
「…夜分に出歩くな。紛らわしい。」
 だがそれは別に、肉親の情からというわけではなく、犯人が彼女ではないことを確信していたからのようだ一団の姿が見えなくなって、彼が最初に放った言葉はそれだった。おや、とハルモニアは目を見開き、
「………まるで、今日の襲撃を予測していたみたいでしたねェ?」と聞き返す。見上げる男の横顔からは何らかの表情を読み取ることはできなかった。
「王が代わってからは珍しいことじゃねぇ。」
「…苦労しますねェ」
 つぶやきながらハルモニアは軽く肩を竦めた。彼女の、他人を煙に撒くような態度も、ミブロの無表情同様に「食えない」ものであった。
 「王が代わってから」―それは即ち、10年前。
 そして10年前と言えば―彼女たち兄妹にとってみれば、また別の意味を持つ時間であった。

 ミブロとハルモニアは、モノケディアやレイ・サントよりもやや西に位置する国に生を受けた。家業はいわゆるシーフのまとめやくであったが、シーフといっても盗みを働く類の「盗賊」ではなく、神殿や政府などの機関から依頼を受けて、古代の遺跡や建造物の調査を行う―いわばトレジャーハンターと考古学者を兼ねたような仕事をする人々を統括ような家柄だった。当然その家業を継ぐのは長男であるミブロだと考えられていたが―レイ・サントの騎士団長となったミブロが、国内の動乱を受け正式に家督を放棄することを10年前に宣言し、現在、その任は妹であるハルモニアに任されている。
 もっとも二人の間でそれについての正式な話し合いがされたことは無く、ミブロが放棄し、ハルモニアが受け継がされた、という見方をすることもできなくは無い。
 家を出てここにいることに後悔はなく、実家のことなど朧に思い出すような程度だったが、今実際に「男性」を装って動き女性らしい格好をしていない妹を見ると、胸の奥には曖昧なものが浮かぶことを否定はできなかった。そんな彼の心情を知ってか知らずか、
「そういえば…もう、ナイフは、使わないんですかィ?」
 などと妹は聞いてくる。ナイフ投擲は、ルーンウェル家・・・つまり、彼女と騎士団長、ハルモニアとミブロの家のお家芸のようなものだった。シーフという職業にとって、ナイフというものはもっとも馴染み深い武器である。持ち運ぶに軽く、またその用途は幅広い―。攻撃範囲という点では弓に劣り、強力さという点では大剣にはるかに及ばないものの、剣を凌ぐことはできるし、逃げ出す敵の足止め、逃げる際の牽制にもなる。先ほどの男がもし逃走を図っていたなら、投擲によって足止めを食らわすことも可能だっただろう。そんな便利なものを何故使わないのか―それは彼女からしてみれば純然たる好奇心だったが、ミブロにはやや別の響きを伴って聞こえたらしい。微かに眉を顰め、「元々得意じゃなかったのは知ってんだろ」と淡々と答える。
「……静かに事を進めるには、俺にはナイフより、闇に紛れてこれを抱える方が向いてたみてぇだ。」
「なるほど。」
 ハルモニアは納得したように頷く。確かに―幼いころ何度か見たことがあるが、彼のナイフの腕前は一撃必殺、というレベルのものでは無かった。朧な記憶ではあるが、「熟達」の域ではあったものの、けして「絶対の信頼」をおけるものではなかった―というのがその印象だ。ナイフの使い道は攻撃だけではない。遺跡を探索する際のトラップの確認には勿論のこと、有事の際の脱出にはナイフの柄にくくりつけたロープだけを頼りに壁を伝わなければならないこともある。そのとき必要なのは、狙った場所に過たず切っ先を食い込ませる正確さ―ミブロの投擲には、それが欠けていた。
 いや、欠けていたというのは不適切であろう。彼は同年代のどの男子よりも上手くナイフを扱っていたのだから。あえていうなれば―妹が持っている才能と同じものを、親から「受け継がなかった」という方が正しい。些細な能力の有無ではあったが、いざというとき生死を分かつのはそういった技能だと、ミブロもハルモニアも、また彼らの家族全員が知っていた。
 彼女の返答にミブロは応えず、思い出したように沈黙が落ちた。いざこざに巻き込まれるから部屋へ戻れと言いかけた瞬間、ハルモニアがふっと、夜風に紛らすように呟いた。
「…でも俺、あんたの投擲、好きですぜ。」
 不意打ちのような言葉に、ミブロは一瞬唖然となる―勿論表情には出なかったものの、相手にはそれが見事なまでに伝わってしまったらしい。一瞬で真っ赤になると、
「折角うちで学んだことなんだから使わないと腕が泣くだろっ!あんたに負けてたシーフ仲間のこともあるし!」
 と口早に付け足し―そしてたっと駆け出して行ってしまった。暗がりに消えていく銀の髪をミブロは暫く見送ると、ふ、と苦いため息をついて身を返す。

 今夜の月は、ナイフのように細く―妹の髪のように、淡い色をしていた。

 タイトルは「狩に行く」という意味。実は今回の更新分とはまったく関係がありません。あと3-4回したら出てくる「今回はジグのターン!」のタイトルにしようかなと思ったんですが…オセロ様の漫画で、ジグと猟銃が似合いすぎることに感動したので、うっかり旅戦における彼の最終(?)武器が、拳銃ではなくて猟銃になりましたと宣言しそうにになりましたのでその記念として…。テラ似合うと思ったから今日が猟銃記念日。的な。色塗ったら若返った…。
 まぁ猟銃描けなくて結局拳銃になっちゃったけどね!いかにも中世ーな、ジャック・スパロウとかがもってそうな拳銃の形が凄く好きです。

 で。
 えーと、散々ジグが出張って紛らわしくなりましたが、今回の更新分はハルさんとミブロさんのお話ー。
 スナさん宅で読んでらっしゃる方にはちょっと説明がくどいかな、という気もするのですが…まぁ一応、このブログ単品でもなんとかファンタジー、として読めるように話を組んでいるので、そこのところはご勘弁を。
 で―。
 私のほうで兄妹の和解ネタを拾わせて―実はこのあと、ナイフ投げ披露→心のキャッチボールで仲直り、と思ったのですがちょっと思うところがあったので仲直りまでもう少し引っ張ることにしました(笑)美味しいネタは先に先に延ばしておくのは私の悪い癖…!!!!




 そしてタイトル…なんですが。
 これは リアルに まずい ?

 再来週、卒業論文の構想発表会。
 私来週から、教育実習。
 で。
 そんな私、今日が最後の指導。
 構想発表会の資料、ほんとうにほんとうにやる気が起きなくて昨日徹夜で書きました…いや、二時間ぐらいは寝たけど。 
 勿論、文章はしっちゃかめっちゃかというか…私の文章の癖がでて、「論理性ナッシン!」。小説は「本当らしさ」勝負だからこう…。
 データを きちんと 読みましょう。
 今から直したのでは間に合わないというか先生が忙しすぎるので…頭の回転が恐らく人の30倍速い先生はにこっと笑って言いました。
「蒼牙さん、発表会の担当の先生と院生さんに、間に合いませんってメール送っといて」(意訳:あきらめましょう!!)
 …いや、まったく、嫌味ではないですよ。
 教育実習行くっていったら「マスク忘れないようにね」とか「いってらっしゃい」とか仰ってくださるような優しい先生ですほんとうに…。
 だから ほんとうに なんか土下座…。
 私ほんとに院にいかなくてよかったって気がします。
 あとはこの就職先をなくさないよう、しっかり卒業するだけ…なんだけど最早不安が不安でソワソワソワソワ…。大丈夫かな卒業できるかなわたし…!!

ガッツだぜアンティエルドォォォォ!!!!!!!

2009-05-20 18:11:59 | オリナビ的発作
 アンティーにがんばって欲しくて、なんとなくジグムントとアンティエルド。
 ドSというよりはドライな面が前に出て来るせいか、シリアスな会話をさせると似合うんだけど。
 ネタでちゃらちゃらと会話をさせようとするとどうもアンティーがいじり、ジグがスルーしたりスルーしきれなかったりとどうもバランスが悪い…。
 すっごいメタに近い会話内容なので、EXEと流星わからない人には完全に判らないかもしれない。わかっていてもわからないような気さえしてきた。それでもかまわないだってこれは卒業論文構想発表会の資料を描きたくない私の逃げだから!!!
 台詞ばっかりガツガツかいてますが、これを情景含め綺麗な描写に直す心の余裕はなかった…。ジグがちょっと親切すぎるかな。ドライ感が先立っちゃって、ドS感が足りない…。
「人間とかどーでもいい」な王様と、「人類総体アホすぎるけど個人がいいから微妙なんだよねー」という英雄もどき君は、相手にドSの牙を向けない限りは平和…なのか…?


 ちなみに。話の流れとしては
 EXE本編最後でジグムントが出発→フォーチューンがいなくなる→電脳世界消滅→アンティーはちゃっかりコピーロイドに逃げ込み、自分で「電脳」用のプログラム組んで生還→ちょっとずつ自分のプログラムをいじって電波体に→流星1のちょっと前にジグがちょこっと戻ってくる。
 って感じです。自分のプログラムを、コピーロイドになって書き換えるとか自分で自分に手術する並みの変態神経だと思いますがそこはあえて「変態」ではなく「ガッツ」といいたい。
 なんていうか。
 天才肌の努力家がすきです。
「僕は人類を愛さない。…だから僕は、人の中に人を求めてやまない。矛盾してるようだけど、そういうことさ。」




 空が茜色から濃藍に色を変えると、昼間は薄かった光の道が一層眩く見える。
 ウェーブ・ロード。空に架けられる道が虹だけだったのは最早アンティエルドにとっては過去の話だったが、こちらに戻ってきたばかりのジグムントにとってはそうでもなかったようだ。騒々しいな、と開口一番呟く声には微かに呆れたような侮蔑が滲んでいた。
「すぐ慣れる…と思うけど、長居する気は無いんだっけ?」
「用件が済み次第あちらに戻る。同盟破棄だ裏切りだ、とケフェウスがひどく―煩くてな。」
「王様に王様のお守りを頼むことになるなんて、まさかデューオも思わなかったんだろうね。」
 アンティエルドはくすくすと笑い、「ママが呼ばれた理由、わかるような気がする。ねぇ、ママは元気にしてる??」
 と聞いてきた。
 突然の言葉に―何を言う、とジグムントは真顔で少年を見返した。その表情に、今度はアンティエルドが首を傾げる番だった。

「普段は何百年に一度ってペースでしか地球にこないデューオが、君の件のあと比較的すぐ地球に来てたから、同じ用件かと思ってたけど。」
 これまでの経緯をかいつまんで説明すると、アンティエルドは納得したようなしていないような顔で頷いた。
「FM星は、王が疑心暗鬼になってから随分と出入りする者については厳しくなっていた。あれがもしFMないしAMに来ていたならば、私の知るところとなっている筈だ。」 
「君のそういうところは信頼できるような気がするけど…そうだとしたら、いやほんと…ママどこにいるんだろうねぇ。」
 心配しているのかいないのか、よく判らない口調に「清々したという顔に見えるのは何故だろうな?」とジグムントは冷たい毒を含んだ声を返す。
「否定はできない。寂しいけどね、まぁ、ママが今FMにもAMにも、地球にもいないという事実に僕はひどく安心してるよ。」
 母親といたころの彼を知る者がみたら目を丸くするだろう台詞をさらに吐いて、天を衝くような電波塔の骨組みに腰掛、ぶらぶらと脚を揺らしながらアンティエルドはぼやいた。
「こんな光景見たら…きっと、すごくすごく悲しむだろうから。」


 人間がその欲望のために作り出したモノを犠牲にする。それは親が子を喰う地獄絵図。何故人間の味方をするのだと、問われたときに胸を張って、「人間が好きだから」と答えた、作られた「モノ」達は次々切り捨てられた。ほかならぬ人間の手によって。
 あるときはロボット、あるときはレプリロイド、ヒト・オリジナル・ユニット、そして今回は「ネットナビ」―。
 それは幾度と無く繰り返された歴史。自らと似た存在を作り出しては―恐れ―迫害する。現れた英雄の期待を裏切り続けて。

「母親がいなくなって、猫を被る必要がなくなったか。」
 被ってるように見えてる?とアンティエルドは笑い声を上げた。
「…ネットナビっていうのは、凄くいい条件だったんだよ。あくまで『使役される』という立場ではあったけど―ほら、生き物として必要な『住居空間』が人間とはまったく違うでしょ?土地問題、エネルギー問題、『レプリロイド』だったときの問題なんかは全部クリアできてるはずなのに…。あーあ、って感じ。人は何が不満だったんだか。」
「…人間というものに期待などするからだ。これだけ裏切りを目の当りにしてもまだ人に協力するお前のほうが得体の知れない生き物に思えるが。」
「…ま、僕もあんまり期待してる訳ではないんだよね―。」

 餓えることのない飽食の時代の中で尚何かを犠牲にせざるを得ないというなら。
 それは最早生への執着ではなく、破壊の欲望でしかない。人間という総体はなぜ常に犠牲を求めるのだろうとう、「個人として好きな人はいるんだけどね」などと言いながら彼はもう一度天を仰いだ。
 かつて世界を席捲した、電脳世界の変わりに走る光の道は、空の星をつなぐかのように無数に走っている。しかしそれがかつての「人とナビ」という道を瓦解させてできたものであるということもまた紛れもない事実で。
 
「『電脳世界』が無くなった日からずっと考えてる―何で人間は僕らが嫌いなんだろうって。どう考えても悪いのは向こうでしょう?」
「そしてその尻拭いをさせられるのは、人間ではないことが多い。」
 ジグムントがその後を引き取った。
「人が愛せないのに、お前は英雄を名乗るか。下らんな。」
 心底面白がるように聞くと、アンティエルドはふと思い出したように笑う―。
 どこか冷たく、暗い笑みだった。
「もう、惰性、かな。」
 普通の相手ならば、黙り込んでしまうような白々とした笑みだったが、ジグムントは冷たく鼻であしらっただけだった。
「それは結構なことだ。人がお前のことを聞けば、涙して喜ぶだろう。素晴らしい英雄だと。」
「でしょう?こんな英雄堪らないよね。」
「今の演説をあの女に聞かせてやれないのが残念だ。…お互い理解しあうことは、たった二人きりの親子にとっては大事なことだろう?」
 その言葉にアンティエルドはにやりと笑った。「母親には秘密にしときたいことの一つや二つ、男の子にはあるんだよ。」とわざとらしく告げ、立ち上がって伸びをする。
「ま、情報交換できたし、そろそろ出発しない?命を取り合ったとはいえ、君は昔話ができる数少ない生き残りだから、協力するよ。」
「お前にとってはまだ新しい記憶のはずだが…昔話か。」
「たかが100年だって、知り合いが全部いなくなれば、折りたたむしかない過去だよ。」